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音楽業界とアニメ業界を、デザインとグッズ製作の現場から支えたい

株式会社 楽日

音楽業界とアニメ業界に特化したデザイン事務所「楽日(ラッカ)」。アーティストや作品のもつ世界観を丹念に掘り下げ、ビジュアル化するのを得意とし、CDやDVDのパッケージ、Tシャツに代表されるライブやイベントグッズ、販促ツールなどの企画から制作、販売に至るまでを行ってきた。これまでに手掛けてきたアーティストには、RADWIMPSや凜として時雨など、そうそうたるメンツが並ぶ。来年は設立10周年を迎える特別な年。同社の代表取締役・加藤晴久さんにこれまでの道のりと、今秋リリース予定の新メディアについて話を伺った。

取材・文:梶山ひろみ 撮影:豊島望(2016/10/24)

「好き」を仕事にするために歩んだ苦難の道

学生の頃から絵を描いたり楽器を弾いたりすることが好きで、デザインや音楽にまつわる仕事に就きたいと思っていた加藤さん。しかし、両親から「アートや感性でメシは食えない」と大反対され、憧れの美大は受験することさえも叶わなかった。大学進学を断念し、入社したのはサッカー用品を取り扱うスポーツメーカー。小さな貿易会社だったこともあり、商品企画から営業、細かな事務作業に至るまで、幅広い業務を担当することになった。しかし意外にも、加藤さんはこの仕事をきっかけに、一度は諦めたデザインの道を再び目指すことになる。

加藤:新卒で入社したのが今から20年ほど前。ある時、海外のスポーツブランドの国内展開用の販促物を制作するように言われたんです。その当時は会社にワープロしかなく、さすがにそれでカタログを作るのは無理だろうと思い、デザイン事務所の力を借りることにしました。手描きのイラストやワープロを駆使し、さらに雑誌の切り貼りで作ったイメージをもとにデザインを依頼。その後デザイン事務所から上がってきたラフを見て衝撃を受けたんです。「僕が手作業で作ったイメージがこんなにかっこよくなるんだ!」って。

代表取締役・加藤晴久さん

代表取締役・加藤晴久さん

その後、加藤さんは勤めていた会社を辞職。デザイン事務所の門を叩くために、まずデザイン学校を卒業しなければと一念発起した。必死でお金を貯めて購入したばかりの車を学費捻出のために売るなど、迷いは一切なかったという。卒業後は晴れてデザイン事務所に就職した。

加藤:実は、デザイナーではなく「デザインもわかる営業企画」として入社したんです。その頃には、絶対に自分で手を動かしてデザインをしたいという気持ちよりも、自分が熱中できる仕事をとってきて、人とコミュニケーションをとりながらモノづくりをしていきたいという気持ちの方が大きくなっていました。

ようやく願った業界に足を踏み入れた加藤さんだが、そこで満足したわけではなかった。会社としては未知の領域だった音楽業界の仕事を獲得すべく、様々な道を模索したのだ。

加藤:当時はインディーズ音楽が好きだったのですが、全国にチェーン店を持つ大手CDショップがインディーズの情報を紹介するフリーペーパーを作っていたんですよ。こうした情報誌に携わることができたら、もしかすると音楽業界の仕事を開拓できるかもしれない。そこで担当者に、「デザインをやらせてほしい」とお願いし続けました。そうしたら、店頭POPやフライヤーの制作を任せてもらえることになり、あるタイミングでフリーペーパーのデザインもやらせてもらえるようになったんです。そこからいろんなレーベルやマネジメント会社との繋がりができました。僕が今も音楽業界との仕事ができているのは、このとき無我夢中で走った経験があるからです。

デザイン事務所で実績を積んだ後、加藤さんはアパレル商社に転職した。社内ブランドの販促ツールなどを制作するデザインチームを新しく立ち上げる話が舞い込んだからだった。独立を視野に入れつつ、チーム作りを勉強する目的での転職でもあったが、ファッションの仕事をする傍ら、前職からの繋がりで音楽業界からの仕事も請け負っていた。ここでファッションと音楽を融合させた展開で実績をつくる。会社からは加藤さんが代表の子会社を作ると打診があったが、「ゼロからやってみたい!」と独立へ踏み出した。

自身と会社の成長のきっかけは「凛として時雨」と「RADWIMPS」

2006年には自らの会社として楽日を設立。初期の楽日では、加藤さんが得意とする音楽業界の仕事のみをしていたそうだ。しかも、アーティストマネージメント会社とインディーズメーカーにしぼって。メジャーメーカーからの案件は受けない。それが独立当初に決めたことだった。

加藤:10年以上前のことになるけれど、音楽業界の移り変わりを見てきて、これからアーティストマネジメントとインディーズがもっと伸びてくるはずだと思っていたんです。それから、今ほどCDが売れなくなるんじゃないかと予想していました。そうなると、ライブの付属品みたいな捉え方をされているグッズ(物販)が、なくてはならないものになる可能性が高い。そのうちに予想していたとおり、グッズの売り上げがアーティストの活動を支えているんだなと実感する場面が増えていきました。立ち位置としてはアーティストとデザイナー、場合によっては事務所の担当者をつなぐHUB。例えば、音源(作品)やツアータイトルを元に僕がグッズのテーマやアイテムを考えて、アーティストとデザイナーに方向性を詰めてもらったりしています。

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なぜそこまでグッズにこだわるのかを聞いたところ、加藤さんは「グッズはバンドの分身。バンドから切り離された別のものではないから」と答えた。なかでも、強く記憶に残っているのが「凛として時雨」のグッズ制作だという。

加藤:「凛として時雨」のモノづくりでは、音楽性にもあるように激しくも繊細なアートワークをどれだけグッズに踏襲できるかが求められます。毎度、僕とTK、そしてアートワークを担当するYukiyo Japanとでトライ&エラーを繰り返す実験性の高いモノづくりになっており、探究心を掻き立てられるような刺激をもらいます。

楽日と加藤さん自身を成長させてくれたのは、「RADWIMPS」だそうだ。

加藤:もともとRADWIMPSはインディーズ時代から知っていたのですが、メジャーデビューをし、注目度も上がっていたので、まさか僕に話がくるなんて思っていませんでしたね。嬉しい反面、正直、うちのような駆け出しの会社が規模的にも受け止められるのかという不安もありましたが、〝やりたい”という気持ちが不安を凌駕しました。RADWIMPSとのモノづくりは言葉では言い表せない次元にあるというか、型にハマらないバンドなので、常にいろんなものにアンテナを張っていられます。

インディーズのアーティストを中心に手掛けてきた楽日(ラッカ)にとって、ツアーの動員数も桁違いというRADWIMPS。彼らのグッズを担うからには、アイテムのクオリティだけでなく、さまざまな数字とのバランスをとることや、そのプロセスも重要だという。

加藤:作ったものを納品して終わりではなく、原価と販売価格との兼ね合いも考えますし、その売れ行きも気になります。チームの一員でありたいというのかな。必要以上に関わらなければリスクを負わなくていいけれど、その分自身の成長もない。一緒に成長していくというのが一番いい付き合い方なんじゃないかと思っているんです。それをRADWIMPSというバンドを通して教わりました。そしてRADWIMPSに限らず、少しでも踏み込んで、良い意味でプレッシャーと責任を背負いながら、これからもアーティストと共に創っていきたいと思っています。

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