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「変わることを恐れない」リーディングカンパニーの挑戦

株式会社ビジネス・アーキテクツ

ウェブクリエイティブの黎明期からその名を馳せ、業界を牽引してきた株式会社ビジネス・アーキテクツ。この世界で働く者なら誰もが知る老舗かつ大手、という企業イメージの一方で、彼らの中で変わらないのはむしろ「変わり続ける姿勢」だという。それを体現するかのように、昨年は設立以来14年間用いた社名ロゴを含む新CI(コーポレートアイデンティティ)の導入も話題となった。またこれに先立つ2011年、映像制作を主軸にするAOI Pro.グループの一員となり、デジタルメディアを駆使した広告表現から、ウェブマーケティングの分野まで、全方位でクライアントのニーズに対応する大胆な施策を採ったことも記憶に新しい。そこで今回、世代も職能も異なる同社スタッフ4氏に取材し、最新のビジョンを伺う機会を得た。「今が第2創業期」と言う、彼らの決意と未来予想図はどんなものなのだろうか?

取材・文:内田伸一 撮影:永峰拓也(2014/01/23)

「来るべき時代のニーズ」をとらえ続けて

株式会社ビジネス・アーキテクツ(以下、BA)は、株式会社リフレクスとして1999年に創業。無印良品の「MUJI.net」の立ち上げをはじめとした数々のクライアントのウェブ展開を成功に導き、現在活躍している多数のクリエイターを輩出したことでも知られる。前身となった株式会社リフレクスの設立メンバーでもある同社常務取締役CCOの青木誠さんは、初期の歩みをこう振り返る。

株式会社ビジネス・アーキテクツ 常務取締役 CCO 青木誠さん

株式会社ビジネス・アーキテクツ 常務取締役 CCO 青木誠さん

青木:最初は5人でリフレクスを立ち上げました。静岡県の下田に本社があり、わざわざそこまで来て一緒にやろうと言ってくれるお客さんと付き合いたいとか、僕らの鼻息も荒かったですね(笑)。その後2000年に、当時すでに個人で活動し、同時にひとりでやれることの限界を感じ始めた人々が、未開拓の領域を目指して集まりビジネス・アーキテクツとして始動しました。おかげさまで「MUJI.net」や「Sony Design」など、先進的な企業のネットを使った新しい取組みに関わることができ、さらに結果を出せたのは大きかったと思います。

日常の一部になってゆくデジタルを用いたコミュニケーションを、クライアントと一緒に考え、ビジネスへとつなげていく。Eコマース、新形態の広告、動画、ソーシャルなど時代の変化にも対応し続けて現在に至る。常に「こういうニーズがあるはず」と提案を続け、結果、BA自体も変化し続けてきたのだ。

制作本部長の和田正弘さんは2005年から合流し、多彩なプロジェクトを手がけてきた。また、同制作部の山本麻友美さんはデザイナーとして2007年に新卒入社し、現在はアートディレクターとしても活躍している。2人はBAについて、それぞれこう語る。

制作本部 本部長 ビジネスソリューション部 部長 和田正弘さん

制作本部 本部長 ビジネスソリューション部 部長 和田正弘さん

和田:実はうちの会社のサイトのどこを見ても「ウェブ制作会社」とは出ていないんです。BAがずっとやってきたのは、広い意味でのコミュニケーションの課題解決。僕はそこが一番の特徴だと思います。

山本:デザインというものは、表層の見た目だけでなく、もっと根っこの部分からエンドユーザーとのコミュニケーションを考える必要があり、その「体験」自体もデザインの範疇だとBAで学んできました。

執行役員でコーポレート本部長の越智敬之さんは、BAがAOI Pro.グループに合流後、2013年から参加。経営戦略から人事広報までコーポレート業務全般を担う。自身もウェブ制作会社の起業を経て、サイバーエージェント社や博報堂社などを渡り歩いてきた経験から、BAの特徴をこう説明してくれた。

越智:これは私見かもしれませんが、かつてのBAは「猛獣的な異能クリエイター集団」といった印象でした(笑)。もともとは、自分のスタイルやポリシーをしっかり持った優秀なクリエイターたちが、1人では出来ない大きなミッションを成し遂げるために集まり、プロジェクトチームとなり、気がつけば組織になっていった、といった感じです。ですから極めてダイバーシティな環境でもあり、ひとりひとりの守備範囲が広いことも特長だと思います。想いを伝え、人の心を動かすためには、ウェブにこだわらず、企業やブランドを取り巻くすべてのコミュニケーションからデザインすべき。そうした本質を理解するクリエイターが集まっているのは、当社の大きな強みなんです。

より深く、クライアントに踏み込むこと

現在では社員約120名を擁し、まさに実績・規模ともに業界内の大手と言えるBA。一方で近年は働き方の多様化も進み、少人数でエッジの効いた試みを繰り出す新鋭企業の活躍も目立つ。それらとは異なる、BAのような組織ならではの強みとはどんなものだろう? ひとつには、多くの主要クライアントと長期の信頼関係を保ちつつ仕事をしていくスタイルが挙げられるという。現在、常時数十件のプロジェクトが稼働するが、同一クライアントからの大小の案件が同時進行している割合も大きい。積み重ねた実績のなせる業とも言えると同時に、そこにあるのは安定志向とも思えてしまうのだが、実際はどうなのだろうか?

青木:特定のクライアントと長く関係を維持するのは、実はすごく大変なことです。我々は日常的なルーティンワークだけを引き受けることを目指してはいません。共に考え課題を解決していくパートナーを目指しています。結果として自ら高い目標を設定し、クリアすること以上の期待値として「+α」を加える努力が必要になります。だから、常にプレッシャーもあるし、挑戦の連続です。しかしそこには当然メリットもあり、クライアントと密接になるほど、次に何をして、何を目指すかを、長期的視野で共に「たくらむ」ことができるのも大きな魅力です。

執行役員 コーポレート本部 本部長 越智敬之さん

執行役員 コーポレート本部 本部長 越智敬之さん

その「たくらみ」はときに、クライアント側の組織内で話をどう広げ、誰を巻き込んでいけば最終的に上層部のGOサインが得られるのかといったことまで含まれる。それが実績になれば、(クライアント側の)担当者の社内プレゼンスも高まり、より裁量権を広く持てるようになり……と、共に挑戦できることのレベルを上げていく。クライアント側にとっても、案件のたびにコンペを開催するなどの過程を節約でき、費用対効果も上げることになるのだという。いわゆる「ウェブ制作会社」で、ここまで考えられる会社はなかなかいないだろう。

越智:クライアントには、自分たちも気づいていない「潜在的な課題」もあります。だから提示されたRFP(提案依頼書)通りの提案では不十分だと考える際は、RFPの再構成から提案させていただくこともあります。私たちは決められた業務に応じる「オーダー」を受けるのではなく、クライアント課題に真正面から向き合い、包括的なソリューションを提供させていただく「オファー」を受けていると認識しております。それはクライアントビジネスに貢献するパートナーとして、重要なスタンスであると考えています。

多種多様な人材で、フラットな組織に

また、豊富なスタッフを擁することの強みもある。たとえばウェブサイトひとつをつくるのにも、必要な領域の多様化と専門化は、今後ますます進んでいくだろう。そんな中で個々人が最大のパフォーマンスを発揮できるのは、周囲に違う才能を持った多彩な仲間がいる場所ではないか、と和田さんは言う。

BA4

制作本部 ビジネスソリューション部 アートディレクター 山本麻友美さん

和田:企画、設計、デザイン、実装、ディレクション……少人数でやるにはどうしても限界がくる一線があります。野球でいうと、どこでも守れる選手が9人揃えれば最強というわけではないですよね。むしろ持てる力の最も突出した部分を生かせるのは、他分野のスペシャリストが一緒にいる環境だと思うんです。

和田さんは以前に小さな会社で働いた経験もふまえ「大規模な案件ほど、個人が任される責任もやりがいも大きい」と言う。そして、それは個と組織の成長の好循環にもつながる。

山本:私の場合は入社直後にいきなりベテランの青木と一緒に仕事をさせてもらうことになり、周囲に引きずられるように20代を駆け抜けて(笑)、今の自分があると思ってます。特に最初は恐いもの知らずで、色々ヘンなことを言って周りを困らせたかもしれませんが、それも汲み取ってもらえたし(笑)。そのあたりは、組織として機能しつつもフラットな関係性がBAにはあると感じます。

新技術も人材も、適材適所で化学反応を

新しいものを取り入れる、そのバランス感覚にもBA流が見られる。常に変化していく世の中の「標準」に敏感でありつつも、あくまでクライアントやプロジェクトのニーズにあった形で活用・提供していくという姿勢だ。

BA5

NTTデータグループWEBサイト
本プロジェクトにおいてBAはNTTアドとともに、NTTデータグループの新たなWEB上でのコミュニケーション構築のプラットフォームづくりから、グループ各社によるグローバル統合運営体制の構築まで、広く深くサポート。
http://www.nttdata.com/global/en/

青木:クライアントが求めるユーザー体験レベルの実現につながる技術やアイデアは、常に取り入れていきます。ただ、「これ新しいね!」を売りにしたいと考えるクライアントもいれば、「内部で継続運用したいので、そこは従来通りで」という要望もあり、そこはケースバイケースです。

山本:出発点として、技術ありきで何かを考えるというより、課題解決のために、つくる側の人間が「こうやればできるじゃん」といった形で新技術が生きればよいなと思ってます。結果、新しいことをやっていると気づかれにくいこともあるかもしれませんが、目指す結果に対して有効ならそれでいいと考えます。

ともすれば、目的と手段(新たな技術)が入れ替わりがちなこの世界で、適材適所を忘れないこと。これは多様なスタッフのマネージメントにおいても共通するものだという。多様な能力を適所に配することで、個々のやりたいこと・やれること・やるべきことが重なっていくことを目指す。

BA6

和田:たとえば、BAには漠然とした「ウェブディレクター」という役職はないんですね。プロジェクト・マネージャー、インフォメーション・アーキテクトといった実務的な職能があり、本人の能力と適正で、プロジェクトごとに役割が決まるかたちです。デザイナーでも得意ならプロジェクト管理やディレクションも兼任することがある。それは案件ごとにチームを組む中で決まっていきますし、IAを志向したスタッフが、その付加価値を高めることを考えてSEOを勉強できる環境にシフトしたり。その意味で、各々が自身のやり方でキャリアパスを描きやすい環境とも言えると思います。

人が職能に当てはめられるのでなく、個々の中にある職能の多様さを生かす。これは案件ごとのミッションの明確化、スタッフの適正や稼働状況の的確な管理で実現されているという。加えて「最後は人そのもの」ということで、その判断材料となる各メンバーの希望や指向を管理職が拾い上げることも日々行われる。
 
では、この激動の時代において、これからのBAはどうなっていくのか? 「第2創業期」と語る彼らの未来への予想図を、次ページで紹介していきたい。

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「第2創業期」を迎える今