Interview 私としごと

兵役を経て、国を越えて活躍する心の強さ

株式会社シフトブレイン
許 源根(デベロッパー)

韓国で生まれ育ち、現在は株式会社シフトブレインでデベロッパーとして働いている許 源根(ほ うぉんぐん)さん。昔から好きだったアニメやゲームを通じて日本に興味を持ち、2年前から日本での暮らしを始めた。「やりたいと思った事は、誰に反対されてもやる」と話すほど、小さな頃から行動力と好奇心が旺盛な許さん。2年2か月経験した兵役の話など、韓国籍ならではのお話を聞かせてくれた。

プロフィール

許 源根

1983年4月16日生まれ。kit専門学校卒業。兵役による2年2か月の海軍生活の後、韓国の制作会社でflash+htmlを使った業務を経験。その後、10日間の日本旅行をきっかけに日本での生活を決意。東京、大阪でのアルバイト生活を経て、株式会社シフトブレインへ入社。デベロッパーとしてflash、JSなどフロントエンドの開発やモーションデザインを担当している。JLPT日本語能力試験2級。

インタビュー・テキスト:たろちん 撮影:すがわらよしみ(2013/2/20)

やりたいことは誰に反対されてもやる

―以前から日本がお好きだったんですよね。きっかけはなんだったんですか?

許 源根

:アニメーションを好きになったのがきっかけでした。韓国でも日本のアニメがたくさん放送されています。小さな頃はどこの国のアニメかなんて知らずに、ただ面白いと思って観ていたんです。それが小学生のときに日本のアニメだってことを知って、日本にすごく興味を持つようになりました。その頃から『未来少年コナン』や『鉄腕アトム』が大好きでしたね。今でも『ONE PIECE』は大好きです。

—でもどうして韓国のアニメではなく、日本のアニメが好きになったんでしょう?

:韓国では歴史的な背景上、表現に規制があったので、漫画やアニメは発展しなかったんですよ。でもアニメは夢を見せてくれますよね? たとえば『ONE PIECE』だったら、仲間を助けに行ったり冒険をしたり。すごくワクワクしますよね。

―初めて日本に来たのはいつ頃だったんですか?

:3年前に旅行で来たのが最初です。大阪から出発して10日間で福岡、鹿児島、東京を周りました。元々、行ってみたいとは思っていたんですが、その旅行ですごく日本が自分に合う国だなと思ったんです。それでいま日本に行かないと一生後悔すると思って、すぐに韓国の仕事を辞めて、半年後には日本に住み始めました。

―半年とは! 行動がすごく早いですね。

:やりたいことがあれば、誰に反対されてもやりたいんです。実は日本に来て半年後に東北の地震があって、一度は韓国に戻っているんです。それで韓国に数か月いましたけど、やっぱり日本に住みたい気持ちが強くなって。家族にも反対されたんですけど、結局しばらくしてからまた日本に来たんです。だけどその時は、地震が怖いので東京ではなく大阪でした(笑)。

軍隊からは逃げられないから楽しむしかない

―デザインやプログラムは韓国にいたときから勉強していたんですか?

:専門学校に行って勉強しました。小さい頃から孫悟空の絵を描いたりするのが好きで、何かをデザインする勉強がしたかったんです。それで家族の薦めもあって高校卒業後にコンピューターグラフィックスの学校に入りました。学校は2年制なんですが、学んだことを早く試してみたくて、途中で1年間休学して実際に制作会社で働き始めたんです。

―まさに「やりたいことはやる!」というポリシーですね。

:その頃は「世界で一番美しいデザインをしたい」っていう夢があったんです。でも、その会社ではほとんど給料がもらえなかったんです。いわゆるブラック企業でした(笑)。その時は「自分の技術が試せればいい」と思ってたんですけど、やっぱり頑張ってもお金がもらえないので、だんだんストレスになっていくんです。それで胃腸炎になって仕事を辞めて復学したんですけど、結果的に仕事で得た経験が活きて、学校の先生にはすごく褒められました。

―待遇は悪かったけど、その経験は無駄にはならなかったと。

:はい。flashが面白いということを知ったのは、その会社で働いてからですね。デザインは動かないけど、flashを使うと動きが出る。何かを動かすということはすごく楽しいんですよ。「生きてるなぁ」って感じがします(笑)。今やってるようなプログラムに興味を持ち始めたのはそれがきっかけですね。

―卒業後はまたすぐに働き始めたんですか?

許 源根

:いえ、その後に兵役がありました。韓国では義務として誰もが「陸軍に入りなさい」ってはがきを受け取るんですけど、僕は決まっている所にいくのはつまらないと思って、自分から海軍への申請を出しました。だからほとんどの人は陸軍で2年間なんですけど、僕は海軍を選んだので2年2か月間。

―自ら海軍へと……。海軍って結構キツいイメージがありますけど?

:軍の中でも訓練が一番キツいですよ。今でも覚えているのは、小さい小屋の中に10人くらいが押し込められて煙を焚かれたりするんですけど、本当に死ぬかと思いました。でもここで諦めたら、自分の負けだと思って。だけど、本音を言うと一番キツかったのは兵役の期間中に彼女と別れたことですね(笑)。

―そうなんだ(笑)。軍にいる間って娯楽は全然ないんですか?

:ありますよ。アニメ好きな仲間ができて一緒にガンダムを観たりしました。休暇中に仲間がアニメのビデオをたくさん持ち込んでくるので、それを皆で観るのが楽しかったです。2年間一緒にいる仲間なのでどんどん仲良くなるし、皆で誕生日パーティをやったりもします。何をしても逃げられない義務なので、それなら楽しむしかないですから。

―じゃあ始めから割り切って楽しもう、という気持ちだったんですか。

:いや、そうはいっても最初はやっぱり逃げ出したかったです。軍に入る当日は丸坊主になって、大きな扉の前に家族が見送りに来るんですけど、お母さんが泣きながら「元気でね」って言っていて、僕も涙が出ました。その光景を今でも覚えています。それで軍の人も家族がいる前ではすごく優しいんですよ。でも、扉が閉まった途端、悪魔に変わるんです(笑)。「オマエは何をしてるんだ!」って。

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やっぱり自分は、デザインの仕事がしたいんだ

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