Interview 私としごと

その哲学に憧れていたミナ ペルホネンが、今では私の仕事場に

株式会社ミナ
井上彩(素材開発)

国内外の生地産地と連携して素材を開発し、手描きの図案からオリジナルの生地を製作するアパレルブランド、ミナ ペルホネン。1995年の立ち上げから「特別な日常服」をテーマに、世の女性を魅了している。当ブランドでテキスタイルの企画・デザインを担当しているのが、井上彩さんだ。大手アパレルにて勤務ののち、フランスでテキスタイルデザインを学んだという彼女。大学生活から現在までのキャリアについて伺った。

プロフィール

井上彩

青山学院大学 国際政治経済学部 / 桑沢デザイン研究所を卒業後、大手アパレルにて、企画として4年間勤務。その後、フランスへ渡りテキスタイルデザインを学ぶ。帰国後、国産にこだわりものづくりをしているアパレルでの企画デザイン経験を経て、2015年に株式会社ミナに入社。現在テキスタイルチームのスタッフとして活躍中。

取材・文:小沢あや 撮影:兵頭理奈(2018/11/8)

大学で国際経済を学びながら、夜はファッションの専門学校に通った

ー井上さんは、大学入学後に専門学校に入学されたのですね。最初からファッションやデザインの学校に進学しなかったのは、何か理由があったんでしょうか?

井上:元々は語学が好きだったので、それを活かした仕事をしたいと思っていました。10才から14才まで父親の仕事の関係でロンドンに住んでいて、最初の頃は、当たり前なんですけど言葉が通じないということに、純粋にすごく驚きました。でも英語を覚えれば覚えるほど、どんどん人とコミュニケーションが取れるようになる。その変化が新鮮で、快感を覚えました。帰国後は、英語をメインに勉強できる青山学院の附属高校に入学して、そのまま大学へ進学しました。

ーということは、ものづくりに関心を持ったのは大学に入ってから?

井上:いえ。小さい頃からずっと、絵を描いたり何かを作ったりすることは好きでした。だけど仕事にしたいとまでは考えておらず。大学に進学してから、「本当はどういう仕事をしたいんだろう?」と考えることが増えてきました。友人の中には美大に進んだ子もいて、その姿を見ていたら「私もチャレンジしても良いのかも」と思えてきたんです。それで大学2年生のときから、ダブルスクールで桑沢デザイン研究所の夜間部に通い始めました。

ーなかでもファッションの道を志したのは、なぜだったのでしょう。

井上:「絵を描ける仕事ってなんだろう?」と考えて、ファッションデザインかな、と。洋服が出来上がるまでのプロセスには、テキスタイルだったりデザイン画だったり、絵を描く仕事が多いのかなと思っていたんです。それで昼間は大学で勉強をして、夜はファッションの勉強という生活を2年送りました。

ーかなりタフな学生生活ですね。就活の時は、どんな企業を?

井上:思い切ってダブルスクールしたので、デザインができる企業・職種に絞って就活をしました。周りからは「選択肢をそんなに狭めなくても……」と心配もされましたが、最後までこだわりを捨てずに探し続けて、無事にアパレル企業にデザイナーとして入社できました。

ーダブルスクールの甲斐がありましたね! 希望通り、デザインのお仕事は実現できましたか?

井上:配属されたのが手頃な価格のブランドで、そこで4年間デザイナーをしていました。使える素材や原価に制限はありましたが、自分でデザインを考えることはできていました。ただ実際に服が作られるのは、自分の手を離れたところで。そのうち「自分のデザインはどのように生地となり形となり、製品になるのだろう」という関心が膨らみ、4年経ったところで退職を決めました。

4年勤めた会社を辞めて一念発起。言葉の通じないフランスへ

ーその後、フランスへ留学したと伺いました。会社を退職してまで留学しようと思った理由は、何だったのでしょう?

井上:それまで担当していたブランドでは、オリジナル生地の色や柄を作らせていただいていました。そうした作業を任せてもらっているうちに、テキスタイルデザインへの興味が増していったんです。専門学校でテキスタイルを学んだわけではなかったので、詳しく勉強するため留学を決めました。日本で学ぶこともできるけど、好きな語学に触れながら海外でいろいろな人と出会って視野を広げたいと思い、住んだことのないフランスを選びました。

ー現地では、デザイン専門学校に通っていたのですか?

井上:学校ではなく、若手テキスタイルデザイナーのアトリエで実際に制作をしながら学んでいました。本当は現地の専門学校に通うつもりで、オープンキャンパスにも行ったのですが、学生の作品を見ていたら「基礎から学び直すのではなく、4年働いた経験を活かしてステップアップできる方法はないだろうか」と感じたんです。現地の先生にその想いを伝えたところ、卒業生がやっているアトリエを紹介してもらえました。

ー行動力がすごいですね……! フランスでの生活を通して、日本との違いを感じることも多かったのではないでしょうか?

井上:最初の頃、ホームステイをしながら通っていた語学学校には様々な国の人が学びに来ており、みんな自分の国や近隣国の歴史にとても詳しくて衝撃を受けました。「日本はどうなの?」と聞かれても、なんとなくしか答えられず。私は、日本を知っているつもりで何も知らないんだな、と痛感しました。また現地では自分の意見を順序立ててディスカッションする機会が多く、みんな起承転結をしっかり立てたプレゼンテーションが上手で、それはとても大切なスキルだなと思いました。

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目指すのは、人生に寄り添える服。
代表・皆川明とディスカッションしながら作るデザイン

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