Interview 私としごと

3分前の自分はもう別人。デジタルネイティブ世代のブロガーが、ネット記者になるまで。

アイティメディア株式会社
山崎 春奈(編集記者)

最新のデジタルニュースやネット上の話題を伝える「ITmediaニュース」。インターネット黎明期から今に至るまで、人気を博し続けるネットメディアだ。そこで編集記者として働く山崎春奈さんは、小学生の頃から自分でサイトを作って運営してきたバリバリのデジタルネイティブ世代。ブロガーとしての一面も持っており、「ネットに最適化した文章の書き方を自然と身につけてきた」と言う。一方で、現職であるネットメディアの記者とブロガーの違いに苦しんだ時期もあったとか。「今の仕事がとにかく好き」と語る山崎さんの仕事観とは?

プロフィール

山崎 春奈

1989年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、アイティメディアに新卒入社。大学時代からTwitter・ブログを始め、就活時には自分のブログのエントリを提出して採用が決まった。入社後の1年間は企画営業、2年目からは「ITmediaニュース」の編集記者として活躍している。

インタビュー・テキスト:たろちん 撮影:すがわらよしみ(2014/5/15)

レゴ感覚でサイトを作っていた小学生時代

―以前から、山崎さんのTwitterやブログはかなり多くの人に読まれていたんですよね。アイティメディアに就職したきっかけは?

山崎:昔からインターネットで文章を読むのが大好きなので、アイティメディアには親近感がありました。採用の方法がユニークで、エントリーシートの代わりに自分がネット上でやってきた活動を提出するというものだったんですね。私のときは自分のブログのURLを提出したら最終的に内定をもらえて。昔から文章を書くこととインターネットが好きで、そのまま今に至ってるという感じです。

―そもそも、インターネットと出会ったのはいつ頃だったんですか?

山崎 春奈

山崎:父親の影響で小学1年生の頃からタイピングゲームをやったりとか、パソコンには触れていました。毎月『りぼん』を買って読んでいたけど、ネットなら毎日カラーのイラストが見られる! なんてワクワクしたのも覚えていますね。本格的にネットにハマったのは5年生くらいの頃。好きな小説や漫画のファンサイトを見たり、同年代で遠方にいる子とチャットで話したりするのが楽しかったんです。小学生の自分にとってはリアルでは絶対に会えないような距離にいる人たちと話してる、という感覚がとても新鮮でした。自分で初めてサイトを作ったのもその頃ですね。

—小学生でもう自分のサイトを! まさにデジタルネイティブですね(笑)。

山崎:トップページに日記や掲示板のリンクを載せる程度でしたけど、レゴとかシルバニアファミリーの感覚で遊んでました。色々なコードをコピペして組み合わせるだけでサイトが出来上がっていくのが楽しかったんです。検索すると新しいモジュールやデザインがたくさん出てきて、「インターネットって新しいことがこんなにできるんだ」って感動しました。

—そのサイトはいつごろまでやってたんですか?

山崎:今考えると、私の「サイト管理人」時代は小学校くらいで終わってますね(笑)。中学に入るとケータイを持つようになって、自然とPCからはフェードアウトしていきました。その頃は友達とひたすらメールばかりしてて、依存症ってくらいケータイをいじってましたね。授業中も机の下に隠しながらずっと何かしてて、バッテリーが熱くなりすぎるからハンカチで包んでたくらい。勉強中分からないところを2ちゃんねるの世界史板で質問していた覚えもありますね……。

「ネットに文章を書くことに、頭が最適化されているのかもしれません(笑)。」

―当時はまだ今ほど2ちゃんねるまとめサイトとかも流行ってなくて、「ネットをやってる」ってあまり友達には言いにくい雰囲気がありましたよね。

山崎:そういう意味では大学に入った頃から意識が多少変わったかもしれません。慶應義塾大学のSFC(湘南藤沢キャンパス)に進学したんですが、そこでは皆がノートPCを持ち込んで授業を受けるのが当たり前。授業でTwitterを使って先生に質問したりする場所だったんです。一緒に授業を受けてる学生と、まずTwitter上で仲良くなってからリアルで知り合って遊ぶようになるとか、もう学内にいるだけで「オフ会」みたいな。そういう環境のおかげでネットに対する意識が、友人同士のメールでも2ちゃんねるでもない、もっとオープンなものに変わっていきました。

―Twitterも最初は大学内での交友関係に使っていたんですね。今や9000人を超えるほどのフォロワーがいるそうですが、それだけ注目を集めるきっかけってなんだったんでしょう?

山崎 春奈

山崎:1つは2009年の衆議院選挙ですね。政治について普通の人が考えていることを読む経験って今までほとんどなかったので、Twitterを見てるのが面白くて。自分も少しだけ意見を書いてみたら、それが予想外に多くの方に読まれて驚いたのを覚えてます。ここに書いたことは思ったより遠くまで届くんだと気付いて、もっと色んなことを書いてみようと。それで、Twitterに書ききれないことを書くためにブログも始めたんです。140字では足りなくなってきちゃって(笑)。

―でも、普通の女子大生がブログを始めてもそんなに話題になることはないと思うんです。山崎さんの場合は何故多くの人に読まれたんでしょう?

山崎:そもそも当時、私の年代で「アメブロ」的なものとは異なる外向きの文章を書いてる人が少なかったんですよね、きっと。自分には当たり前のことでも少し年代が違ったり育った環境が違う人の目に触れると、面白がってもらえるんだなぁってことはありました。あと、言い方が難しいですけど、ネットで文章を書くことに頭が最適化されてるんだと思います。“釣りタイトル(記事をクリックされるために誇大なタイトルにすること)”ってほどじゃなく、もっと無意識に。ずっとネットで文章を読んでくる中でうまいなぁ、真似したいなぁ、と思うようなフレーズにたくさん出会ってきて、そのデータベースが蓄積されている感じでしょうか。自分の文章を紙に印刷したら印象が変わるだろうなってよく思います。

―ネット上で話題になると、叩きコメントなどネガティブな反応もあると思います。そういうのを見て嫌な思いはしませんでしたか?

山崎:炎上的な経験もありましたけど、そんなに傷ついたことはないような気がします。同世代がすごく共感してくれる一方で、他の大人たちの常識とは全く違った、とかもありました。それは驚きもあったけど、言葉は厳しかったり強かったりしても、納得できる意見が多かったので勉強になりましたね。ネットを長く見てきたのもあって、煽りに対する耐性は最初からそこそこあったのかもしれません。

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得意なはずだったのに全然できない。苦しかった「ブロガー」から「記者」への矯正

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