Column 連載

つくる人のごはん

『凪のお暇』は「食と酒と人」から生まれた。コナリミサトが自身の漫画を紐解く

女性を中心に絶大な支持を集め、累計部数は300万部を突破。2019年にはドラマ化もされた漫画『凪のお暇』の作者、コナリミサトさん。彼女の著書には、食事のシーンや料理のレシピが多数登場します。それらの印象的なシーンや物語は、一体どのようにして生み出されているのでしょうか。じつはコナリさん自身も、お酒と食べることが大好き。そこで今回は、高円寺にある居酒屋「大将」でマカロニサラダをつつきながらインタビュー。「食」シーンのこだわりとは? コナリ漫画の原点とは? 「漫画と食」について、たっぷり語っていただきました。

プロフィール

コナリミサト
コナリミサト

ハイティーン向けファッション雑誌『CUTiE』(宝島社)で『ヘチマミルク』の連載をきっかけに漫画家デビュー。現在、『凪のお暇』(秋田書店)を連載し、ストレスを抱えながら働く女性をはじめ多くの人から反響を呼んでいる。著書に『珈琲いかがでしょう』『恋する二日酔い』『宅飲み残念乙女ズ』など。

『凪のお暇』あらすじ
『凪のお暇』あらすじ

いつも場の空気を読むのに必死で、「わかるー」が口癖の大島凪・28歳。ある日、元カレの一言がきっかけでついに過呼吸を起こして倒れてしまう。以後、会社を辞め、家財を処分し都心から郊外へ転居。すべての人間関係を断ち切った凪は、ゼロから新しい生活を始める。

https://souffle.life/manga/nagi-no-oitoma/20181016-6/

取材・文・編集:服部桃子(CINRA) 撮影:玉村敬太(2019/11/11)

赤提灯も、チェーン店も好き。コナリミサトが愛する「酒場の食」

—今回、コナリミサトさんのお気に入りのお店として高円寺にある「大将」を挙げていただきました。

コナリ:はい。ここは『凪のお暇』の6巻で、ゴンとエリィが一緒に飲んでいるシーンの舞台なんです。お昼からやっているので、友人を誘ってふらっと飲みに行けるのが良いんですよね。

『凪のお暇』6巻より ©コナリミサト(秋田書店)2017

『凪のお暇』6巻より ©コナリミサト(秋田書店)2017

—おすすめのメニューはありますか?

コナリ:マカロニサラダは外せないです。味が濃くてお酒と合う。マカロニサラダって、自分ではあんまりつくらないので、人がつくったものを食べられるのが嬉しくて。この本店にはないですが、ほかの「大将」の店舗には、しそサワーがあって。ピンク色が鮮やかで、それも好きです。

(右)コナリミサトさん

(右)コナリミサトさん

—マカロニサラダ、気になります……!

コナリ:じゃあ頼んじゃっていいですか? とりあえずビールに、マカロニサラダと、鯖ポテトサラダと、もやしナムル、カキフライ。あと焼き鳥ください!

—良いですね! コナリさんは、いわゆる「赤提灯系」のお店でよく飲むのですか?

コナリ:好きですけど、いろんなお店で飲みますよ。チェーン店飲みも好きですし。よく行くのは「てんや」と「王将」。でもいま一番、推したいのは立ち食いそばの「いわもとQ」ですね。天そばとビールでサクッと飲んでます。チェーン店は、どこのお店に行っても変わらない味が出てくるのが強みだと思います。

「100%良い人はいない」。居酒屋バイトで学んだ人間模様

—コナリさんは昔からお酒好きだったんですか?

コナリ:はい。フリーター時代はずっと飲み屋で働いていました。おしゃれな感じとざっくりした感じのお店を掛け持ちしていたこともあります。客層がぜんぜん違うお店で働いてみたかったんですよね。

でも私、接客がすごく苦手で。回転の早い店とかだと、場を回すことができないんです。焼き鳥屋で働いていたときは、お肉を焼くのは超上手かったらしく(笑)、女性では珍しく焼き場に配置されました。いっぱい気を配るのは苦手だけど、ひとつのことをガーってやるのは得意だったんですよね。

コナリさんイチ押しのマカロニサラダ(右奥)

コナリさんイチ押しのマカロニサラダ(右奥)

—なぜ居酒屋で働きたいと?

コナリ:多分、お酒を飲んでいる状態の人が好きなんですよね。見ているのも喋るのも。ほら、酔っ払うとみんな本音が出てくるじゃないですか。酒の場って、いつもはできない話をしたりするのが楽しいんですよ。そういう話を聞けるから、居酒屋を選んだのかもしれません。

—居酒屋で働いていると、いろいろなお客さんに出会いそうですね。

コナリ:そうですね。少し厄介なお客さんもたくさんいました(笑)。たとえば昔、お店で働いている女の子に優劣をつけるお客さんがいたんです。当時はすごくフレッシュに憤ってました。でも一方で、その人の行動について、自分なりに納得できる落としどころを見つけたりしていました。

たとえば、嫌なこと言う人だけど、家に帰ったら良い人なのかも、とか。本当にいろんな人間模様を見させていただいたので、それらのエピソードをいつか漫画にできたらなとも考えていましたね。

—コナリさんの漫画は、人間の明るい面だけじゃなく、仄暗い面もしっかり描かれているように思います。

コナリ:現実は良い人ばかりじゃない、とはつねに思っていますね。私の漫画に出てくる『凪のお暇』の主人公である凪だって、別に100%良い人ではないですし。人にはみんなそれぞれの生活があるから、そこを描いているだけというか。

『凪のお暇』2巻より ©コナリミサト(秋田書店)2017

『凪のお暇』2巻より ©コナリミサト(秋田書店)2017

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タンブラーにお酒を入れて。「酒散歩」でアイデアを考える

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