Column 連載

つくる人のごはん

飲み代はケチらない。スナックも経営する編集者が語る「食と仕事」の関係

多忙な毎日のなかで、心に安らぎを与えてくれる「美味しいごはん」。良質なコンテンツを世に送り出すべく知恵をしぼり、日々制作に励むクリエイターのなかにも、食事から仕事の活力を得ている人は多いはず。そんな「食べる」と「つくる」の関係性を探る本連載、第1回目にご登場いただくのは、コンテンツメーカー・ノオト代表の宮脇淳さんです。 宮脇さんは編集者として20年のキャリアを持ち、現在は企業メディアの制作・プロデュースや「コワーキングスナック」の運営など、幅広い領域で活躍しています。取材場所に選んだのは、五反田の「立喰すし 都々井」。美味しい寿司をつまみながら、ビール片手にお話をうかがいました。

プロフィール

宮脇 淳
宮脇 淳

コンテンツ メーカー 有限会社ノオト代表。1973年3月生まれ。和歌山市出身。品川経済新聞、和歌山経済新聞編集長(兼務)。コワーキングスペース「CONTENTZ」管理人。『R25』ほか、企業メディアからマーケティング・広告までさまざまな領域でコンテンツ制作を手がける。宣伝会議「編集・ライター養成講座」で10年以上講師を務めている。

https://twitter.com/miyawaki

取材・文:榎並紀行(やじろべえ) 撮影:有坂政晴(STUH) 編集:服部桃子(CINRA)(2019/07/10)

絶品ヅケマグロに舌鼓。「ほぼ毎日、『五反田ヒルズ』で飲んでいます」

—取材にあたり、宮脇さんの「お気に入りのお店」をうかがったところ、真っ先に挙げていただいたのが都々井さんでした。ここへはどれくらいのペースで通っているんですか?

宮脇:少なくとも週1回は必ず。先週は3回来ましたね。過去最高記録は、週8回です。

宮脇 淳さん

宮脇 淳さん

—1週間の日数を超えちゃってますね(笑)。

宮脇:このあたりで知り合いに会うと、都々井に行きたいって言われることが多いんですよ。「おれ、さっき行ったから」って言っても、強引にね(笑)。そうすると、1日2回になったりします。

—ちなみに、好きなネタは?

宮脇:必ず食べるのはヅケマグロと、コハダ、平目の昆布締め。それから、いまはかんぴょうのわさび巻きが好きです。普通のわさび巻きもおすすめですよ。ここのは、練りわさびじゃなく刻みわさびを使っていて、つぶつぶの食感が特徴です。ビールにも合いますね。

(左上から)〆サバ、マダイ、ヅケマグロ、コハダ、シマアジ、平目の昆布締め

(左上から)〆サバ、マダイ、ヅケマグロ、コハダ、シマアジ、平目の昆布締め

かんぴょうのわさび巻き

かんぴょうのわさび巻き

—どのような方と来ることが多いのですか?

宮脇:友人はもちろんですが、ライターさんやクライアントといった、仕事関係の人ともよく来ますよ。立ち食いがいやじゃない人だったら、だいたいここへ誘います。カジュアルですし、椅子がないぶん人との距離感が近い。初対面でも、ここへ来ると親密になれる気がしますね。

それに、都々井が入る「五反田ヒルズ」には小料理屋や飲み屋が集まっているので、二軒目、三軒目にも流れやすい。ほぼ毎日、このビル内のどこかで飲んでいます。

五反田ヒルズ(正式名は「リバーライトビル」)。小料理屋やバー、スナックなど、約50軒の飲食店が集まる

五反田ヒルズ(正式名は「リバーライトビル」)。小料理屋やバー、スナックなど、約50軒の飲食店が集まる

—そのなかでも、都々井さんは断トツに利用頻度が高いと。なぜ、そこまで通ってしまうのでしょうか?

宮脇:気軽に立ち寄って、さくっと食べられるのがいいですよね。それでいて、寿司にはとても手間をかけている。このマグロの漬け具合なんて、絶妙ですよね。しっかり仕事をしているんだけど、やりすぎず、素材を生かしている。それって、ぼくら編集の仕事にも通じるところがあるんじゃないかなと思います。編集者が原稿に手を加えすぎてしまうと、ライターさんの持ち味が消えてしまいますからね。

黙々と寿司を握る津々井の職人さんたち

黙々と寿司を握る津々井の職人さんたち

深酒して終電を逃しても。飲み屋が自分の「サードプレイス」

—宮脇さんは、お酒もかなり飲まれると。

宮脇:好きですね。ただ、食事が栄養補給とすると、酒は毒だと思っています。『禁酒セラピー』という本にもそう書いてありましたから(笑)。

でも、お酒って、ふとしたことでうつろになってしまう自分の心を救ってくれるというか、日常とは少し違う時間を体験させてくれるんですよね。体には毒でも、心への栄養素はめちゃくちゃあるといいますか。だからつい深酒してしまうこともあるんですけど……。昨日も深夜まで大塚で飲んで、知り合いと渋谷で合流したら、終電で帰れなくなりました(笑)。

—お一人でも飲まれますか?

宮脇:飲みますね。一人でスナックに行くこともあります。居合わせたお客さんと、どうでもいい話をしながらゲラゲラ笑って。ぼくにとって、そういう飲み屋がサードプレイスのような場所になっているんだと思います。仕事とも家庭とも関係のない場所で、精神のバランスをとる。それで、仕事も頑張れる。

—宮脇さんはご自身でも五反田ヒルズ内で、飲みながら仕事ができる「コワーキングスナック」を経営されていますよね。いわば、自ら憩いの場をつくったという感じでしょうか。

宮脇:ただ、自分の店ではホスト側の立場なので、会話にはわりと気を遣います。だから、自分の店が終わって、日付が変わってから五反田ヒルズの別のスナックで楽しいお酒を飲むこともありますね。周りのお客さんは、いい歳して恋バナで盛り上がったりしていますから。

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「編集者的視点」は、バーやスナックにも活かせる