リモートワークはサボっても良い? メリハリをつける型破りなハック術

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新型コロナウイルスの影響もあり、クリエイティブ企業でもリモートワークの導入が増えている。しかし、家で仕事をしていると集中力が続かないし、どうメリハリをつけたら良いのかわからない……。

そんな若手のお悩みに、社会人の先輩がアドバイスする連載企画の第8弾。頼れる先輩は、クリエイティブ業界を渡り歩いた末に、現在はインフォバーングループの人事を担当している田汲洋さんだ。

自宅デスクの横にはゲーム機が置いてあるなど、誘惑の多い環境にも関わらず、仕事に集中できるという田汲さん。試行錯誤を重ねて、たどり着いたという「メリハリのつけ方」とは?
  • 文・イラスト:田汲洋
  • 編集:市場早紀子(CINRA)
  • Profile

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    田汲洋

    新卒でちっちゃな広告代理店に入社する。その後、某雑誌主催の大喜利世界大会に出場して優勝。ここで思いっきり進む方向を間違える。2011年に出版社に転職。宣伝部でエロゲー雑誌やラノベ、マンガを担当し、テレビCMやキャンペーン広告ほか、ゲームショウやコミケなど数々のイベントを手がける。2014年にインフォバーングループに入社。2017年10月よりHR領域担当となる。

リモートワークはだらけがち。どうメリハリをつければ良いの?

どうも。タクミです。

現在、企業のデジタルマーケティング支援やメディア運営などを行うインフォバーングループで採用担当をしています。ちなみに、前職は某出版社の宣伝部で働いていました。

迷える若手クリエイターたちの質問に対して、真摯にお答えする連載第8弾。曲がりなりにもクリエイティブ業界で経験を積んできたぼくが、これまで経験したことをもとにアドバイスさせていただきます。

最近は暑いのでプリンやフルーツなど、なんでも凍らせて食べています

先日、読者の若手クリエイターからこんなお悩み相談をいただきました。

家でリモートワークをするようになって、仕事に集中できなくなりました。これまでは先輩の横で直接指導していただいていましたが、ひとりになると緊張が緩んでしまいます。良くも悪くも「やることをやっていれば、何をしても良い」と思うようになってしまいました。どうやって仕事にメリハリをつければ良いのでしょうか?

出版社 新卒2年目 編集職 ユースケ(男性)

これはいまの時代ならではのお悩み。たしかにリモートワークだと、仕事と日常生活の境がつかなくなるので、なかなか集中するのが難しいですよね。また、クリエイティブ職って集中して一気に作業することも多いので、逆に仕事を終えるタイミングを見失うこともあります。若手の場合はとくに、働き方のスタンスも定まっていないと思うので、メリハリのつけ方に苦労するでしょう。

最近ぼくは、オンラインのアクションゲーム『フォートナイト』のバーチャル空間に没頭しすぎて、ゲームの世界があれば肉体なんかいらないと思っていました。仕事と日常生活の境どころか、現実と非現実世界の境すらわからなくなっています。

ヘタクソですが長時間やっているので、これが自分の本当の姿に思えてきました

ですが、久しぶりにこうして下界に降りてきましたので、真剣にお悩みに答えようと思います。

まずは、ユースケさんと同じ編集職をしている、ぼくの前職の大先輩(エロゲー雑誌の担当)に話を聞いてみました。彼は自宅のマンション内にある「集会所」を借りて仕事をしているそうです。先輩には中学生の娘さんがいるのですが、仕事のやりとりで「ここにモザイクかけて」とか娘の横で言うわけにはいかないため、プライベートな空間を確保したとのこと。

また、玄関を出ることで気持ちを切り替えられるし、だらけている姿をもし住人に見られたら恥ずかしい、という危機感も生まれる。結果として、会社にいたときよりも効率よく仕事ができているそうです。

一度、ぼくがZoomでお話ししたとき、まわりに先輩以外は誰もいませんでした。集会所は、意外と穴場だそうです。会社とはまた違った緊張感のある状況で仕事をするのは、一つの良い方法かもしれませんね。

机の横にはNintendo Switch。それでも仕事に集中できる理由とは?

とはいえ、ユースケさんが都合良くそんな場所を見つけられるとは限りません。もしかしたら、だらける原因は「家」という場所じゃなくて、集中する「きっかけ」がないだけかもしれませんし。

ぼくはきっかけがないと集中できない派なので、いま人事の仕事をしているのはラッキーだと思ってます。面接や面談などZoomで誰かと話す機会が多く、強制的に時間が確保されるため、基本的には集中できるからです。もしその時間がなかったら、ゲームをやったり、マンガを読んだりしちゃうかも。

ふとした瞬間に『ONE PIECE』第1巻を手に取ってしまったら……、現在96巻まであるのでおしまいです。しかもストーリーが完結していないので、最新刊を読み終えても、続きを考察しているYouTube動画などを見てしまうでしょう。

また先日、つい『アイシールド21』全37巻をオトナ買いしてしまったときも苦労しました。さすがに仕事中は読みませんでしたが、退勤後に夜通し読んで寝不足になりましたから。それ以降、どうしてもマンガが読みたくなってしまったときは、1巻や上下巻で終わることが多い、いましろたかし先生の本を手に取るようにしています(『平成地獄ブラザーズ ハード・コア』がオススメ)。

スポ根は嫌いではないです。一番好きな特訓はアメリカ大陸を40日間で横断する「死の行軍(デスマーチ)」

いま、ぼくの机の横は、つねにNintendo Switchが起動できる体制です。しかし嘘偽りなく「ぼくは仕事に集中できる」と言い切れます。それはなぜかと言うと、仕事にメリハリをつける、以下4つの方法を実践しているからです。

・机と椅子を使えるようにした

・粘土でオブジェをつくった

・ドライヤーを買った

・大声で歌った

ここに至るまでは、かなりの試行錯誤がありました。悩めるユースケさんのためにも、これらを順序立てて説明しましょう。

机と椅子を使えるようにした

お掃除で仕事も快適&開運! 松居一代さんに教わりました

はっきり言ってこれがないと始まりません。ぼくの部屋にも一応、机と椅子はあったのですが、書類だらけで散らかっており、ここ3年くらい机に向かって何かをするという経験はありませんでした。家で仕事をするときは、寝っ転がってPCをお腹の上に乗せるという状態。ほぼラッコです。

どうしても土日でやらなければならず、かつ集中したいときだけ、近所のルノアールに行っていました。ですが、コロナ渦でそれもできなくなり、初めて机を片づけたのです。さらに、余っていたモニターを置いたところ、会社のデスクと比べても遜色ないほどとても快適な仕事環境を得ることができました。

いちいち書くなよ! という話かもしれませんが、意外と家で働くことを想定していなかった人も多いと思います。日常と仕事モードを切り替えるためにも、まずは机と椅子を整えましょう!

粘土でオブジェをつくった

「何のためにつくったの?」と聞かれたときの答えは用意しておりません

仕事とプライベートの区切りをつけず、ついつい作業に没頭してしまうリモートワークでは、息抜きが重要です。ぼくも机に向かっているだけでなく、何かほかのことをしようと思い、たまたま買っていた紙粘土で「右手」をつくりました。30分くらいで終わり、リフレッシュするにはちょうど良かったです。ただ、つくったあとで「これを毎日やるためには紙粘土が圧倒的に足りない」と気づきました。買いに行きたいけど、守りたいぼくらの「STAY HOME」(※4、5月頃の話。いまは外に出ています)。

結局それ以降、粘土で工作することは諦めました。ぼくが右手をつくったように、お花に水をあげたり、家庭菜園をやってみたり、身体や手を動かす習慣を始める人も周りで増えております。息抜きになる「何か」を用意することが身体や心の健康のためにも大事だと思います。

ドライヤーを買った

ドライヤーという名の素晴らしいプロダクトを初めて購入

決まった時間がないリモートワークのなかで、生活リズムをつくるためには、ルーティンの設定がオススメ。ぼくはリモートワークの日が増えた頃、ヤマダ電機で生まれて初めてドライヤーを買いました。実際に使ってみてその効果にびっくり。すぐ乾いてしかもサラッサラになるのがあまりに嬉しくて、買った初日は3時間おきに髪を水で濡らしては、ドライヤーで乾かしていました。ドライヤーってこんな楽しいものだったんですね。この状況で、こんな素晴らしいプロダクトと出会って良かった!

いまでは昼過ぎのだいたい13時くらいには、1回髪を濡らして乾かしています。これは2か月経った現在でも続けています。要するに、ルーティンをつくることで気分転換をして、仕事も集中できるというわけですね。

大声で歌った

このシチュエーションに深い意味はありません

リモートワークだと家で缶詰め状態になることも多いので、ストレスが溜まりますよね。それを発散するために、「ウタエット」というボイストレーニング用の器具を購入しました。これを口につければ、大声で歌ってもその声量が大幅カットされるという優れもの。パッケージに「自宅で全力熱唱できる! だから歌が上手くなる!」と書いてあります。

「全力熱唱できる=歌が上手くなる」というのはロジカルではないと思いましたが、試しに広瀬香美さんの『ゲレンデがとけるほど恋したい』を休憩中に熱唱。広瀬香美さんのYouTube動画から教わった「高いキーでは手を挙げて歌う」を実践。これはむしろ会社ではできないストレス発散法なのでオススメです。

しかし、体力的に勤務時間中はこの1曲で十分。3曲歌うと自分の声帯レベルではかなり消耗します。学生時代にバンドでボーカルをやっていた人以外、全力で歌うのは1曲で十分です。

ムダを取り入れ日常化。メリハリ探しのPDCAをまわしてみよう

ダラダラ書いちゃいましたが、やはりユースケさんには、ぼくなんかの言葉より現役のクリエイターの言葉のほうが参考になると思います。ぼくの友人で、映像クリエイターのNさん(MVや映画など多数制作)は、こんなことを言っていました。

「仕事」以外の目的を、日々のなかで適度に設定してますね。例えば、誰かと遊ぶとか、ご飯を食べるとか約束をすることで「早く作業を終わらせよー」ってやる気のスイッチが入ります。あと「他人に何かを話すこと」が、自分にとっては息抜きにもなるし、仕事の締切りやブレストの代わりとして機能してます。

つまり、ビジネスライクではないところで「人と会うこと」は、結果的に仕事に効いてくる。これって仕事の効率から考えると無駄なように見えますが、じつは人生の楽しみというか、人が人に会う理由の本質的なところだと思います。

これ! ぼくが言いたかったのはまさにこれ! 人生には、仕事視点から考えると「ムダ」と思うような時間が圧倒的に多い。だからこそ、「ムダ」も取り入れて日常化しようということですね。

先ほど挙げた4つの方法のほかに、フィットネスゲーム『リングフィット アドベンチャー』を買って運動するも3日で飽きる、自転車であてもなく爆走するなど、いろいろ試しました。振り返れば、仕事の効率化とはまったく関係ないムダなことをたくさんやり続けたように思えます。

そうして続けているうちに、ムダが日常生活に溶け込み、自然とリモートワークのスタイルが確立され、仕事にメリハリがついていることに気づきました。

ユースケさんの「やることをやっていれば、何をしても良い」という考えは極論ですが、ある意味「メリハリをつけるためにムダを日常化すること」と同じではないでしょうか? なので、一概に悪いとは言えないかも。とくにクリエイティブ業界で求められる、ハッとするようなアイデアは、ムダな行為からこそ生まれる気がするので、やっぱりムダは必要!

ムダに暴走するのが正しい自転車の使い方!

あと、他人と話すという行為はものすごく大事。自分が所属している部署は毎日そういった時間があります。この「CINRA.JOB」を運営している株式会社CINRAも、毎朝15分くらいチームごとに雑談をする制度を取り入れているそうですよ。

メリハリをつける方法は人それぞれです。まずは思いついたものからやってみて、駄目だったらほかのことにチャレンジする。つまり、「メリハリ探しのPDCAをまわす」ことが大事なのかもしれません。もしユースケさんがドライヤーを使いたかったらお貸ししますよ!

【まとめ】

・環境を整えよう。机と椅子は本当に大事!

・ムダなことをしてみよう

・メリハリをつける方法を自分なりに探し続けよう。続けることが何より重要!

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