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リピート率90%以上。デザイン会社・モフから学ぶ、クライアントの課題への向き合い方

株式会社モフ

株式会社モフ

ブランドデザインからUXデザイン、そして実装までをワンストップで提供しているデザイン会社のmoff(以下モフ)。多くのクライアントと10年以上の付き合いをしており、そのリピート率はなんと90%以上になるといいます。

なぜモフは、クライアントのハートをがっちりと掴んでいるのでしょうか? クライアントの課題へいかに向き合い、いかに解決へと導いているのか? 今回は、現場で実際にクライアントと日々向き合っているリードデザイナーの細谷眞斗さん、米川智陽さん、デザイナーの竹村和さんの3名へのインタビューを通して、その核心に迫ります。

モフの働き方にフォーカスした前回の特集記事はこちら
  • 取材・文:宇治田エリ
  • 撮影:タケシタトモヒロ
  • 編集:佐伯享介

驚異のリピート率90%。なぜモフはクライアントから選ばれ続ける?

―モフは、情報設計やグラフィックデザイン、アート、テクノロジーなど多彩なスキルを活かし、ブランディングから企画、デザイン、実装まで、幅広く手掛けてきました。クライアントからの信頼も厚く、10年以上にわたって仕事をすることも多いそうですね。

細谷:はい。付き合いの長いクライアントとは、いわゆるツーカーの仲というか、あうんの呼吸で仕事することができていますね。そのような信頼関係にあるクライアントが別のクライアントを紹介してくださることも多く、期待に応えようと課題に取り組むことで、クライアントが求める以上のアウトプットにつながり、さらに関係性が続くという好循環が生まれているのだと思います。

細谷眞斗さん。プライベートでは知人の会社のブランドやサービスイメージを行う、趣味は動物のイラスト制作。

―クライアントからは、どのような点が評価されているのでしょうか?

細谷:私たちに相談してくださるクライアントは、ソーシャルグッドから教育、宇宙開発に至るまで、さまざまな領域にまたがります。事業内容がユニークになるほど、ユーザーと接点をつくる際に参照できる前例が少なくなるので、実際にどのようなアウトプットをするのが正解なのか、答えを出しづらいというケースが多いんです。

そういったニッチで伝えかたが難しい商材を扱っているクライアントの課題を解決するため、親身になって相談に乗り、難しいテーマに果敢に取り組もうとする姿勢が評価されているのだと思います。その結果、新規クライアントの約90%がリピーターとなってくださっています。

―非常に高いリピート率ですね。クライアントとの関係構築のために、どのようなことを大切にされているのでしょうか?

細谷:クライアントが求めることを的確に捉えるためにも、人と人との関係で接することができるような、親しみやすさを大切にしています。モフの場合は社長の荒川がフレンドリーなタイプですし、僕は肩の力を抜いて気楽にやりましょう、という感じ。一方で米川さんは、プロフェッショナルとしての手厚い対応に長けています。親しみやすさを感じさせる方法はメンバーによって違いますが、みんな共通して人当たりの良さがあると思いますね。

米川:僕自身が他メンバーと比べてフレンドリーなタイプではないので(笑)。だからこそ、壁をつくらずに信頼を得ていくことが親しみやすさにつながっていくと捉えて、クライアントの要望をしっかりと聞き、丁寧なアウトプットするようにしていますね。

米川智陽さん。店舗設計、エディトリアルデザイン、広告制作会社を経て2021年からモフに参加。好きなデザイナーは井上嗣也。

米川:それと、クライアント側も社内で上下関係や部署間の関係などさまざまな事情を抱えていることもある。そういった先方の人間関係も気にかけながら、うまく軌道修正するといった動きも大切にしていて。例えば、ミーティングの場で担当者さんが上司の前では自分から言いにくいのかもと感じたら、意図を汲み取って「こういういうことですか」と補足しつつ発言を促してみたり、とか。

そんなふうに、社内事情などを説明しなくても話を進められる状態にしていくことで、仲間意識やチーム意識も育まれていくと実感しています。

竹村和さん。グラフィックデザインと3Dモデリングを中心に担当する。CINRA.JOBの求人募集を通して入社。モフの新卒採用第一世代。

竹村:社長やリードデザイナーの皆さんのふるまいを見ていると、やっぱりつねに笑顔でクライアントと接しているなと感じますね。また、具体的につくるものが決まっていない状態から進んでいく案件が多いので、途中で受注内容の範囲を超えて「これもつくってほしい」となることが多々あります。そこで、クライアントの要望を的確に捉えながら、「ここまでなら予算内でできますよ」と積極的に提案する姿勢がモフにはある。だからこそ、クライアントから「求めていた以上のものになった」と喜んでいただけて、次の仕事につながっていくのだと思います。

いかにクライアントの課題に向き合うか。説得力のあるデザインを導きだすプロセス

―近年のお仕事で、印象に残っているものはありますか?

細谷:リスキリング教育の一環で、DXを推進するSaaSサービスを始めようとしているクライアントとの案件ですね。それこそ、ご相談いただいた段階では、どのようなアプローチをすれば顧客に伝わるのかという相談から始まりました。この仕事では、私たちはまずサービスのイメージをつくるブランディングのところから携わらせていただき、そこからGUIの開発と設計に移りました。それに加えて、サービスのお披露目をする展示会では展示ブースの設計を行ないました。

米川:僕自身、内装、エディトリアル、広告と、さまざまな経験があるなかで、これまでに得てきたスキルをフルに活かすことができていると感じますね。ここまでの幅広さで対応しているデザイン事務所はなかなかないと思います。

―クライアントと「ツーカーの仲」になるために、どのような方法で案件を進めていくのでしょうか?

細谷:初めて仕事をする相手に、いきなり大きな案件を依頼するというのは、クライアントにとって不安が大きいものです。そこで、お試しの案件からスタートし、マッチングするとなったら大きな案件のご依頼に移っていただくという、段階を踏んだ進め方をすることが多いですね。そのほうがクライアントにとって安心感がありますし、私たちとしても、クライアントの事業の特性やコミュニケーションの仕方に合わせて次はこうブラッシュアップしていこうと考えられるので、より密に並走できる形になっていく。結果として満足度が高くなり、長期的な関係が築きやすくなるのだと思います。

―ヒアリングからアウトプットまで、クライアントからのオーダーに対して、どのように向き合い仕事を進めていくのでしょうか?

米川:目の前の仕事だけではなく、その先にあるクライアントの意図やビジョンを捉えることが重要だと考えているので、顧客に対するリサーチや分析を欠かさないようにしています。

そのなかでも特にモフらしいアプローチが、キックオフの段階で行なうミーティングです。クライアントへどのようなヒアリングをするか、要望に対してどう応えるか、事前にチーム内で方針を固めてからクライアントに接するようにしています。ここでかなりの時間をかけて話し合い、メンバーが方針にしっかりと納得することで、チームも1つの方向を向いていくことができます。

話し合いの過程で「もしかしたら、クライアントからこういう要望が来るかもしれない」と、起こりうるさまざまな可能性を検討する機会にもなるので、実際に案件を進めていくなかで方向性が変わったときも、想定の範囲内のこととして対応できるんです。

オフィスの様子。左から2番目が代表の荒川健司さん。

―最初の段階から粘り強くクライアントと向き合うことで、後手後手の対応にならないようにしているのですね。アウトプットにはさまざま選択肢があると思いますが、どのようにして提案内容を決めているのでしょうか?

細谷:私たちはブランディングの観点からのアウトプットを重視しているので、クライアントの課題を明確にしてターゲットを設定する、といった基本に忠実な手順を踏みながらアウトプットを決めることが多いです。

例えばロゴデザインをする際も、直感的に思いついた何十もの案をクライアントに見せて、そこから選んでもらう、というようなことはほとんどしません。クライアントと密にヒアリングをし、競合調査などを通してターゲットとなるエンドユーザーとつなげていくためのロジックを積み上げたうえで、的確な提案をしていきます。結果的に、「こういったロジックがあるから、これが理想のデザインだと思います」という提案になることが多くなります。


オフィスの様子。棚にはインスピレーションを与えてくれるお気に入りアイテムや書籍、資料などが飾られている

細谷:ブランドのイメージをつくるためのワークショップを行なう際も、例えば「クライアントの規模が大きいので、プロジェクトに関わる全員が、足並みを揃えてプロジェクトを円滑に進めるために、方向性をしっかりと定めるためのワークショップにできないか」といったプロジェクトを進行するうえでの課題を設定し、既存のフレームワークをそのまま使い回しをするのではなく、カスタマイズしながら独自に設計していく。そういった点にもオリジナリティがあると思います。

米川:ロジックを大切にする一方で、いわゆるビジュアル面のデザインにおいても、クライアントがデザイン会社に期待するような、直感的な美しさ、かっこよさといった部分は最低限のラインとしてクリアしなければいけないと思っていて。そういった点も踏まえて、「モフならではのクオリティ」を提供することを大事にしています。

―それはどういったものでしょうか?

細谷:1つ目はスピード感を持ちながら、丁寧にプロジェクトを進めていくこと。2つ目は、デザイナーの個性を出すというよりも、アウトプットのベクトルを自由に変えながら幅広いアウトプットをすること。そして3つ目が、クライアントの課題を深く捉え、解決する力を持つこと。この3つの要素が、モフならではのクオリティだと考えています。

―アウトプットの幅を広げるために、どのような工夫をされていますか?

米川:モフ内のデザイナーでも得意不得意がありますから、やっぱり適材適所というかたちで担当を割り振られるということも往々にしてあります。同時に、デザイナーがリードデザイナーとして成長し、スタンドアローンで活躍できるように、新たなスキルを身につけたりして、各々が自分の領域を広げていく姿勢も大事にしています。

自社サービスも開発中。デザインの力で社会に通用する価値を生み出していく

―最近、手応えを感じたのはどんな案件でしょうか?

竹村:ちょうど3月に終わった案件で、サービスのビジョンを紹介するための概念図をつくったときです。チームのメンバーは、私ともう1人の同期と社長の3人。デザインのメイン担当として、ある程度フロントに出てクライアントにヒアリングをしながら作業していきました。いままではリードデザイナーの下につくことが多く、初めてクライアントの前に出る案件だったので、これまで先輩方から学んできたことを実践できるいい機会になりました。

細谷:私たちはずっとクライアントワークをやり続けてきたのですが、いよいよ自社サービスにチャレンジをしようということで、現在はサイネージやスマートフォン上で使える、AIやビジュアルデザインの技術を用いたアンケートシステムを開発しています。今後このサービスを活用して、クライアントが抱える課題をより深く捉えるなど、いろいろな場面で展開できないかと考えています。

―竹村さんと米川さんは、将来モフでどんな挑戦をしていきたいですか?

竹村:私は先輩方のようなリードデザイナーを目指していきたいですね。同時にデザイナーとしてもクオリティの担保をしていけるように、技術力を磨いていきたいです。

米川:僕はこれまで他業種も含めて経験してきているので、そこで得た知識やスキルを活かし、ミックスさせながら、新しいグラフィック表現をしていけたら面白いなと思っています。そういった挑戦をすることで、アウトプットにさらに付加価値をつけられたら嬉しいですね。

オフィスの様子

―最後に、モフで働くことを検討している方へメッセージをお願いします。

竹村:ロジカルであることにプラスして、いいものをつくりたいという思いを強く持っているのがモフらしさだと思うので、ものづくりが好きな人にぜひ来ていただき、切磋琢磨していきたいです。

米川:モフは社長を含め、上層部とも対等に話ができる環境です。言われたことだけをやるのではなく、自分の言葉で積極的に提案できる人にぜひ入っていただきたいですね。

細谷:モフはクライアントだけでなく、インナーでもしっかりと話し合う風土があります。話すことが好きで、既存の価値観を覆していきたいという意欲がある人に来ていただけたらと思います。

Profile

株式会社モフ

経済系、教育分野、AI領域、宇宙事業……。これまでにモフが手がけてきたクリエイティブの領域は多岐にわたります。そのための打ち手も幅広く、情報設計からグラフィックデザイン、アート、テクノロジーなど、手法を限定していません。案件ごとの課題を見極め、最も適したスキルを用いてクライアントのご要望にお応えしてきました。

■未経験領域の課題解決にも、お客様と信頼関係を築きながらチャレンジ!
たとえば、企業のモニタリングシステムの設計・企画・デザイン・実装までの一連をパートナーと併走しながら手がけたり、大企業の新規事業立ち上げの際のビジョンメイキングを担ったり。また時には、海外の工業団地で「大気汚染や水質汚染の測定結果を監視するモニタリングシステム」の設計から実装までを担当したこともあります。

なかには未経験の領域や難しいオーダーもあります。それでも、やりがいや意義を感じればお話を伺い、まずは自分たちができることを探す。これがモフの基本方針です。お客様と信頼関係を築きながら、案件に本気で向き合って、ワンアイデアを足したうえでアウトプットに落とし込む。「お客様の課題を解決する」という一番の目的のために何ができるかを最大限考え抜くのが私たちの役割。一つとして同じような仕事はありません。だからこそ常に新鮮で、ポジティブな気持ちで案件に向き合えますし、クライアントの課題解決に関わることに大きな喜びを感じています。

■スキル向上のカギは手法を問わないクリエイティビティ
WEBやグラフィックなどのデザイン手法を問わずクリエイティブを手がけているため、入社後もデザイナーとして成長できる機会が多くあります。さまざまな領域に応用が効くデザインの基礎を学べますし、スキルだけでなく、根本的な問題解決にまつわる考え方を実際の仕事から身につけることができます。

社内には、これまでモフが手がけた仕事から確立したデザイン基準があり、社員のスキル向上に役立てています。入社後は先輩やベテランデザイナーのメンターと一緒に案件を進めながら学んでいけるので、未経験でも一定以上のデザインスキルを身につけることができるはず。すでにキャリアを積まれている方だけでなく、未経験でもクリエイティブに対する強い欲求さえ持っていれば、どんどん成長していける会社だと自負しています。「モフと相性が良さそう」と感じた方は、ぜひご応募ください!

【採用ピッチ資料】
事業内容から働き方まで、さまざまな角度からモフを紹介する採用ピッチ資料を公開しました。 ぜひご覧ください。
https://speakerdeck.com/moffinc/moffcai-yong-pitutizi-liao

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