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「紙と電子をハイブリッドに使い分ける。」翔泳社が考える、これからの編集者が果たすべき役割とは?

株式会社翔泳社

1985年の創業以来、ビジネス書をはじめ、プログラミングやITインフラといったコンピュータ関連の技術書、情報処理他技術系の資格書を多く手がけてきた翔泳社。近年では介護や福祉関連の資格書、デザイン・ライフスタイル関連の書籍にも力を入れている。インターネットの黎明期以降は紙媒体にとどまらず、マーケター向けの専門メディア『MarkeZine』や、ITエンジニアに特化した情報提供を行うWEBメディア『CodeZine』を運営するなど、紙とWEB、それぞれの特性を活かし、世の中に役立つ知識や技術を発信してきた。デザインやライフスタイルにまつわる書籍を企画・製作しているSE編集部の編集長である関根康浩さんと編集者の本田麻湖さんに、編集者の醍醐味や紙メディアとWEBメディアの違いについて語っていただいた。

取材・文:梶山ひろみ 撮影:永峰拓也(2016/06/20)

本を通して、読者の喜びを創出する

関根さん、本田さんが在籍するSE編集部は、デザインとライフスタイルにまつわる書籍の企画・製作を手がけている。デザインとひと言で言っても、取り上げる内容は幅広く、PhotoshopやIllustratorなどのデザインソフトの技術書やフォント集、写真、イラストまでを網羅する。ライフスタイルの分野では、人気ブロガーやインスタグラマーなどのアイデアをまとめた、『みんなの持たない暮らし日記』『みんなの作りおき日記 週末ひと手間、平日らくらく。』といった、『みんなの○○日記』シリーズが好評だ。

関根:僕は1997年に入社して2001年からSE編集部の編集長を務めています。Photoshopはバージョンが3でレイヤーが付きましたけど、そういう時代からデザインの学習書やデザインツールのリファレンスのシリーズを作ってきました。今はWEBデザイン関連の技術書を担当することが多いです。

SE編集部 編集長 / 関根康浩さん

SE編集部 編集長 / 関根康浩さん

本田:私は入社して今年で10年が経ちます。Photoshopなどのデザインソフト系とレイアウトの本、『みんなの○○日記』シリーズを担当しています。もともとWEBデザイナーになりたいという気持ちがあったので、ユーザーとしての自分の興味を形にできないかという視点で作ってきました。

お二人を含めて現在SE編集部は3名のみ。昨年は25冊の本を世に送り出した。取り上げるテーマは多岐にわたるが、「いろんな意味で誰かの役に立つ本」であることが第一にあるという。それは、実用度が高いということとも少しニュアンスが異なるようだ。

関根:たとえば、『みんなの作りおき日記』という本は、いろんな方の常備菜を紹介していますが、レシピは載せていません。なので、実用的な本とは言えないかもしれません。でも、この本を読んだ方に、「私も作ってみようかな」とやる気になってもらえれば、これも役に立ったことになると思うのです。さらに言うと、本を通して「喜び」を創出したいということが基本にあります。問題が解決するとか、あたらしい知識が身に付くとか、試験に合格するとか、実用書は何かの役に立つものですが、即物的なことだけではなくて、同時になんらかの「喜び」が生まれていてほしいと思っています。

本田:やっぱり売れる本を作りたいですよね。正直に言うと「いい本なんだけどねぇ、売れないよね」という本もあります。がんばって作ったからといって、それが全て売り上げ部数に繋がるとは限りません。売れ行きが評価に繋がる仕事なので、部数次第で自分のモチベーションにもなるし、反省材料にもなる。売れた時は、「同じように思っている人がいたんだ」「自分の感覚が周りと似ていてよかったなぁ」という気持ちになります。

編集は本の企画だけでなく、著者をも生み出す仕事

外部からの依頼で仕事が動き始める編集プロダクションと違い、出版社で編集者として働くことは、企画からプロモーションに至るまで、自分で決められることが格段に多い。やらなければならないことが増える分、大変でもあり、自分の裁量で動ける楽しさにも満ちている。

本田:基本的に受注仕事というものがないので、自分で考えないと仕事になりません。スタッフの配置、製作期間、装幀、帯のコピーに至るまで、自分で決められるというか決めなくちゃいけない。気持ち的にはプレッシャーを感じますが、自分のスケジューリング能力次第という部分が大きいのである意味楽といえば楽ですね。

編集者 / 本田麻湖さん

編集者 / 本田麻湖さん

関根:手法やアイデアには著作権がないので、既にある本を真似しようと思えばいくらでも真似することができますが、僕らは進んで真似しようとは思わないんです。そこはなぜか自分たちにすごく厳しいです。編集者といっても企画者なんですかね。あくまでもゼロからイチを生み出すことにこだわっています。著者を作ることも同じです。まだ本を書いたことの無い方を世に出すのは、編集者の重要な役割と考えています。この人なら平均点の本を書けるだろうとわかっている人よりも、大きな可能性を感じれば、はじめて本を書く人に懸けたくなります。そういう方を支えるのも編集者の仕事なんですね。大変ですが、やりがいと楽しさを感じます。

本田:私たちのいる編集部とは別に、本を売ってくれる営業部があるので、どれくらい売れているのか、商品の動きを最後まで見られるのも出版社ならではだと思います。編集者も本を作ったらそれで終わりではないんですよね。著者のインタビューを作ってアップしたり、著者のブログで紹介してもらったり、メディアに献本して紹介してもらうようお願いしたり。売るところまでどうコミットしていくのかが課題になっています。

売れ行きという観点から見ると、Amazonなどのサービスが人々の生活に定着した現在も、やはり書店の存在は大きいという。

本田:やっぱり、知らない本屋さんに行った時、自分の作った本が目立つところに陳列されていると、「この書店、好き!」と思いますね(笑)。書店員さんがその本をどう評価してくれたのか、直接話さなくともどの本棚でどう並べられていて、どんな店頭POPを作ってくれたか見るだけで伝わってくるものがあります。いつでもオンラインで書籍を変える時代とは言っても、本屋さんで並べてもらえたときに初めて、この本と出会ってくれる読者さんもいるんです。

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紙の書籍には、時代の空気感が圧縮されている

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