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「編集力」はすべての仕事に役立つ。インクワイアが考える未来の編集者像

株式会社インクワイア

社会をアップデートするウェブメディア『UNLEASH』編集長、ライティングスキルの共有化を目指すコミュニティーサービス「sentence」オーガナイザーを務める編集者のモリジュンヤさん。代表取締役を務める編集デザインファーム「inquire(インクワイア)」は、フリーランスの編集者が集い、「社会が変容する媒体をつくる」という理念を掲げ、独自の編集チームのあり方を模索している。「これからは新たな編集視点が必要」と語る代表のモリジュンヤさんと、編集者の小山和之さん、向晴香さんに、編集視点を持つことで得られることや、未来の編集者像について語ってもらった。

取材・文:笹林孝司 撮影:豊島望(2018/6/13)

新しいかたちの編集者コミュニティー。インクワイアという組織のあり方

—まずは、インクワイアという組織の枠組みを教えてもらえますか。

モリ:ぼくが代表取締役を務めていて、そのほかは、フリーランスの編集者やライター、個人のスキルを生かして副業でクリエイティブワークなどをしている人がインクワイアに関わっています。全国各地にいるメンバーは30人ほど。プロジェクトベースで、それぞれのスキルに合った業務をお願いしています。

—フリーランスの編集集団とも言えると思いますが、中心になるメンバーもいらっしゃるのですか。

モリ:コアメンバーは7、8人で、ぼくの考えやインクワイアの目指す方向性により共感して、深く関わってくれている人たちですね。彼らは編集業務だけでなく、ディレクターのような立場で、複数のプロジェクトに携わっています。向と小山も、コアメンバーという立ち位置ですね。

代表取締役のモリジュンヤさん

代表取締役のモリジュンヤさん

—向さんと小山さんはコアメンバーとのことですが、インクワイアに所属する以前はどのようなお仕事をされていたのですか?

向:私は大学在学中に翻訳アルバイトを経験したのち、テックやソーシャル系メディアで記事を執筆していました。その後、副業でライターの仕事をしつつ、教育系のベンチャー企業でマーケティングを担当。そのなかで、求人サイトでインクワイアを知って応募し、少しずつ仕事で関わるようになりました。いまは、フリーで編集、ライターを続けています。

小山:ぼくは大学卒業後、建築設計事務所を経て、デザインコンサルティング会社に入り、ディレクションやオウンドメディアの立ち上げ、編集などを行いつつ、フリーの編集者、ライターとしても活動していました。そこで、モリさんを取材する機会があったんですけど、そのときに話されていた編集に対する考え方に興味を惹かれて。

その後、インクワイアが主催するライターのコミュニティー「sentence」が開催したスクールに参加した縁で、会社員と個人の仕事を続けながら、インクワイアの仕事にも関わるようになりました。

編集者・ライターの向晴香さん(左) 編集者の小山和之さん(右)

編集者・ライターの向晴香さん(左) 編集者の小山和之さん(右)

—給与形態はどのようになっているのでしょうか。

モリ:給与形態は、コアメンバーや普通のメンバーという区分けはなく、お願いしている仕事によって異なります。月額固定でお支払いする人もいれば、何本原稿を書いたかによってお支払いする人もいますし、そのハイブリッドでお支払いする人もいますね。

—インクワイアでは具体的にどういった案件や業務を行っているのですか?

モリ:自社メディアやライティングコミュニティーの運営をしつつ、クライアントワークを行っています。クライアントワークでは、編集パートナーとして、メディアのコンセプト設定、事業と連動する目標設定、運営体制の構築、コンテンツ制作など、メディア運営全般を支援することが多いですね。

—それだけ多くの仕事があるなかで、コアメンバーにはどのように仕事を振り分けているのでしょうか?

モリ:ぼくはコアメンバーと2か月に一度くらいの頻度で面談をしていて、興味があることや得意分野、伸ばしたいスキルなどを共有しています。それを踏まえたうえで、個人の仕事との兼ね合いを見つつ、インクワイアとコアメンバー、両方の能力を伸ばしていけるような案件にジョインしてもらっています。

—ただ仕事を振るのではなく、個人と組織の双方に良い影響を与えることを前提に進めていくのですね。

モリ:インクワイアは、いわゆる会社的なピラミッド型の組織ではありません。上意下達ではなく、コミュニケーションを取りながら、業務範囲を決めているんです。

自社メディアの運用のほか、外部の編集コンサルティングやブランディング戦略などの業務を請け負う(画像提供:インクワイア)

自社メディアの運用のほか、外部の編集コンサルティングやブランディング戦略などの業務を請け負う(画像提供:インクワイア)

クライアントワークで最も重視する点は、読み手に「学び」や「得られるもの」があるコンテンツかどうか

—インクワイアでは、クライアントワークを請け負う場合、企業のどのような点を重視していますか?

モリ:インクワイアでやるからには、質の高いコンテンツをつくりたいと考えています。クライアントワークを請け負うときの流れとしては、まず、企業がコンテンツで達成したいビジョンを伺って、私たちの理念「社会を変容する媒介役になる」と重なる部分があるかどうかを確認します。

また、中長期的に関わることができるかも重要です。インハウス体制などを構築し、継続して価値が生み出せるような案件を請け負っています。

小山:先ほど理念の話がありましたが、インクワイアが大切にしていることは、読み手に学びや得られるものがあり、変化につなげられるか。つまり、本質的な価値があるかが重要なんです。そこを重視するからこそ、メンバーも本質的な価値は何かを考え続け、メディアと共に成長できるのだと思います。

向:インクワイアが制作するメディアやコンテンツでは、小山が話したとおり、学びや得られるものがあるかを重要視しています。そういった制作物をつくりたい場合、どのような文脈で語るべきか、なぜいまその情報を世の中に届ける必要があるのか、といった問いにも向き合わなければいけません。考えることがとても多いし、頭を使います。しかし、編集の技術的なノウハウだけでなく、より思想的な部分を学べる。それは大きなメリットだと思っています。

小山:さまざまな得意分野を持つメンバーがいるのも大きいですね。お互いの経験や知識を共有し合うことができますし、それぞれが得意とすることに注力できる。自分が苦手な仕事は、得意なメンバーにやってもらうほうが効率もいいですから。

向:フリーランスだと、一人で仕事をすることも多く、孤独を感じるときもあります。でもインクワイアがあることで、「コミュニティーに属している感」が得られる。また、関わる組織が複数あると、どれか一つで煮詰まっても、別の仕事が気分転換になることもあります。私にとっては、大きなメリットです。

モリ:フリーランスのコアメンバーのほかにも、副業で関わっているコアメンバーが2、3人います。本業はフルタイムで別の企業で働いて、副業としてインクワイアの広報やプロジェクトマネジメントなどを手伝ってもらっています。

地方から関わってくれているメンバーも多く、リモートワークを前提とした働き方をとっているので、副業で関わるメンバーも仕事のしにくさは少ないのではないかと。最近は副業可の企業も増えてきましたが、まだまだ、受け入れる企業の準備が整っていない。インクワイアでは、柔軟な働き方の実験を積極的に行って、個人に合った、さまざまな働き方ができるようにしたいですね。

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「未経験でも、編集はできる」。これからの時代に求められる編集者像

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