Special 特集・PR

クラウドファンディングこそ、世界を動かす。

株式会社ワンモア

ネット上で支援を募り、プロジェクトに必要なお金を集める仕組み「クラウドファンディング」。日本でも、コンテンツと支援者を結ぶ新しい購買のかたちとして徐々に浸透しつつある。2013年にリリースした『GREEN FUNDING』は、「モール型」というコンセプトを掲げる、クラウドファンディングポータルサイトだ。ロックバンド「SOUR」の『Life is Music』MV制作プロジェクトの制作資金集めとして利用され話題になったのも記憶に新しい。「世界でも話題になるほどの、質の高いプロジェクトを応援したい」と語る彼が、クラウドファンディングを通して、世の中に何を伝えたいのか。お話を伺う中で見えてきた、同氏のコンテンツづくりに賭ける想いに迫った。

取材・文:宮崎智之 撮影:菱沼勇夫(2014/03/05)

一流クリエイターのすごさを知った電通時代

数あるクラウドファンディングサービスの中でも、『GREEN FUNDING』はどのような想いで、どのように運営されているのだろうか? その原点を知るため、代表の沼田健彦さんの学生時代から話しをスタートしたい。東京大学在学中はテニスに明け暮れる一般的な大学生だったという沼田さんが、経営とマーケティングに興味を持ったのは恩師との出会いからだという。

沼田:大学三年の時、ブランドマーケティングの第一人者である片平秀貴先生のゼミに入りました。入ゼミ面談のとき、先生から「ブランドは何で作られると思う?」と質問されて、「経営者の志だよ」と言われたことは今でも忘れられなくて。この一言が、僕の原点だと思っています。

その後、片平ゼミで経営やブランドについて議論を深めていくうちに、マーケティングへの興味が高じ、大手広告代理店である電通への入社を決めたという。

入社後は営業職に配属され、クライアントはANAを担当。媒体営業や商品のCM・グラフィック制作担当など多方面に渡る業務を経験した。なかでも記憶に残っているのが、電通出身のクリエイティブディレクター・佐々木宏氏が率いる「シンガタ」との仕事だと話す。

株式会社ワンモア 代表取締役 沼田健彦さん

株式会社ワンモア 代表取締役 沼田健彦さん

沼田:佐々木さんが立ち上げた「シンガタ」とお仕事させてもらっていたのですが、クライアントから予め「あんしん、あったか元気!」とキャッチコピーが決められた企業広告の制作依頼があって。それを見た佐々木さんが「イニシャルにもうひとつ『A』があればANAのAが3つ揃って『トリプルA』だな」といって、「あんしん、あったか、あかるく元気!」というコピーが生まれたんです。結果ANAさんにも評価され、歴史に残る広告になり、佐々木さんに改めて畏敬の念を覚えました。あのときの衝撃は未だに忘れられないですね。

言葉の力一つで世の中が動く場面を目撃した電通時代。数字や効率だけでなく、コミュニケーションの力を信じる沼田さんの思想に大きな影響を及ぼしたと言える。

沼田:ときにはロゴのサイズを1ミリ変えるか変えないかに、何度もクリエイターやクライアントとやり取りすることもある。ネット業界では「安い値段で請ける作り手がたくさんいるんだからスピードと効率重視で」という発想を好む人もいますが、僕は必ずしもそれだけではないと思う。人の心を生み出すものは、熱や想いが必要。その熱を生み出すには時には、手間ひまや時間が必要なこともあります。

徐々に感じた、インターネットの潮流

一方、沼田さんが電通に入社した当時は、インターネットの広告やPRの重要性が、現在ほど社内に浸透していなかったという。

沼田:当時はmixiの画面を社内で開いていたら、「なんだそのオレンジの画面は?」と言われるくらいの感じでした(笑)。ただ、ANAさんは航空券のネット販売にいち早く取り組んでいたので、すでに既存メディアの予算が削られ、かなりの広告費がインターネットに投下され始めていたんですね。それで、「若いからネットのことが分かるだろう」という理由で僕がネット広告の担当に任命されて(笑)。

その後、ネット広告の様々なプロジェクトを手掛ける一方で、担当していた雑誌やラジオなどの既存メディアへの出稿は徐々に減っていった。この頃、後にクラウドファンディング立ち上げに影響を与えた、ある「課題」を発見したのだという。

沼田健彦さん

沼田:雑誌やラジオなどのメディアは、媒体運営だけでなく、イベントやプロジェクトを手掛けていることも多く、広告出稿だけでなく多くの協賛依頼がきます。ただ、意義があり、イメージの良いプロジェクトでも、クライアントはすべてを受けていたらキリがない。こちらからお断りを入れるわけなのですが、何人かの担当の方に「協賛がなかったらどのように進めるのですか?」と聞いてみたところ、「自費で出し合ったり、関係者でお金を持ちよって、成立させたりすることが多い」と。そのとき、世の中にはそういう形で成り立っているコンテンツがかなりあって、逆に資金の問題を解決できる仕組みがないことを学んだんです。

同時に、そういった意義のあるプロジェクトが、ネットを使ったマッチングでお金を集める時代がくるのではないか、とも思ったと言う。そんな経緯から、異動の時期には、迷わずネット関連の部署を希望したが、それは通らなかった。最前線ではインターネットの激流が起きはじめているという現実と、自分が立たされている現場とのギャップに歯がゆい思いをしていたという。

沼田:お世話になった先輩方に迷惑をかけることはわかっていたんですが、今までどおりのビジネスを守る役割に、自分の人生を賭けられないなと思ったりもしたんです。今思えば、幼稚な考えかもしれませんがね(笑)。ちょうどそんな時期に、フェアトレードでサッカーボールを製造している会社を経営していた友人と話をする機会がありました。直感だったんですけど、思い切ってそのベンチャーに飛び込んだのが2008年のことです。

エモーショナルな価値にお金を払う時代がくる!

もちろん、大手企業である電通からベンチャーに転職するのは、かなり勇気のいる決断だった。

沼田:走っている電車から飛び降りるくらいの覚悟で臨みました。ベンチャーといっても当初はわからないことばかりでしたが、経営を「現場」で学ぶことができましたから、今でもここでの経験には本当に感謝しています。

転職した株式会社イミオは、SFIDAというデザイン性の高いサッカーボールのブランドを手掛ける会社。パキスタンなどに生産拠点を持ち、児童労働のない健全なフットボールビジネスの実現を目指している。

greenfunding3

沼田:会社に投資してくださる方やお客様は、サッカー好きな人ばかり。SFIDAの想いに心から共感してくださっていたと思います。ある株主さんに言われたのが、他メーカーの製品が機能的ベネフィット、つまり使いやすさなどが理由で売れている一方、SFIDAの製品は想いやデザインなど、情緒的なベネフィットで購入されることが多い、ということ。例えば、好きなサッカー選手がデザインしたボールが子供たちにプレゼントされるというプロジェクトがあったら、欲しいと思う人は結構いるのではないか? と議論したり。そういう経験からも、エモーショナルな価値にお金を払う時代が、これから来るのではないかと感じていて、海外の事例を調べたところ、行き着いたのがクラウドファンディングだったんです。

電通時代に感じたプロジェクトと資金のミスマッチの問題も、クラウドファンディングなら解決できるのではないかと、大きな可能性を感じたという。

沼田:「これはすごい!」っていう感覚がありましたね。アメリカで先行していたサービス「Kickstarter」や「Indiegogo」などは、面白いプロジェクトやコンテンツに投資して、出来上がったら支援者に対してきちんと一定の見返りがある。これなら、フェアトレードのような社会貢献につながるようなものでも、映画でも音楽でも、いいアイデアにはお金が集まり、それを形にすることができると思ったんです。

その後、2011年にイミオを退社した時には、クラウドファンディングによる事業構想を描き出していた。

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