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クリエイター集団がなぜ結婚式をつくる?幸せをかたちにするCRAZYの哲学

株式会社CRAZY

「no other experience —人生が変わるほどの結婚式を—」。株式会社CRAZYによる「CRAZY WEDDING」は、結婚する二人の個性をクリエイターの手によってかたちにするオーダーメイドウェディング事業。初年度から売上1億円を達成、毎年200%超えの急成長を遂げている。結婚式業界にイノベーションを起こした彼らだが、じつはウェディング事業だけをやっているのではない。型破りのクリエイションを生み出す彼らが大切にすることとは? 新事業であるCRAZY CREATIVE AGENCY(以下CCA)のクリエイティブディレクター林隆三さんとCRAZY WEDDINGのアートチーム マネージャー染谷和花さんに、会社が持つ使命と、いまCRAZYが求めるアートディレクター像について取材した。

取材・文:AYANA 撮影:岩本良介(2018/2/28)

「結婚式ってクリエイティブじゃないよね」という大きな誤解

「Lapis Lazuli」「染み込む」「大結宴」——これらはCRAZY WEDDINGプロデュースの結婚式でつけられたコンセプト名だ。

スノードームのような空間や、映画の受賞式をイメージした演出、バンドマンだった2人に思い出の卒業ライブを再現するなど、新郎新婦の個性を活かして世界に一つだけの結婚式をつくっている。目の前の人を幸せにしたいという思いから生まれるクリエイティブは、アートディレクターにとって「とてもエモーショナル」だと語る。

ー「CRAZY WEDDING」にとって、アートディレクターの役割とはどのようなものですか。

染谷:結婚するお二人が歩んで行きたい人生背景や大切にしている価値観などをプロデューサーが深くヒアリングし、新郎新婦の理想に寄り添いながら「個性と人生背景が詰まったコンセプト」をつくり上げます。それをデザインに落とし込み、クリエイティブで表現するのがアートディレクターの仕事です。

結婚式のコンセプトは「snow dome」 / ウェディングプロデュース事業「CRAZY WEDDING」(画像提供:CRAZY)

結婚式のコンセプトは「snow dome」 / ウェディングプロデュース事業「CRAZY WEDDING」(画像提供:CRAZY)

林:単に結婚式をデザインする仕事ではありません。新郎新婦にとって本当に意味のある、心を動かす要素を組み合わせて、空間をつくります。ですから、目の前にいるお二人とは深くしっかり向き合いますね。私たちはヒアリングをとても大切にしているので、コアな部分を引き出すために、感情的にも論理的にも話しを聞き続けます。実際、親にも話したことがないエピソードを話してくれる方もいらっしゃるなど、密なコミュニケーションがあったうえでのクリエイティブなので、非常にやりがいがありますよ。

染谷:当日、新郎新婦に目隠しをして、つくり上げた会場を「せーの」で見てもらうのですが、その瞬間はいつもエキサイティング。多くの方が涙してくれるのですが、それを受けてアートディレクターも間違いなく泣いてますね(笑)。

林:じつは黒子であるスタッフが泣くことは、業界的には御法度とされているらしいんです。裏方に徹しろということだと思うのですが、目の前で喜んでくれる人の姿を見て泣いてはいけないだなんて、それは無理だと思うんです。ぼくたちはウェディングをつくっているのと同時に、「感動」をつくっているのだから。

結婚式のコンセプトは「NON LIMIT」 / ウェディングプロデュース事業「CRAZY WEDDING」(画像提供:CRAZY)

結婚式のコンセプトは「NON LIMIT」 / ウェディングプロデュース事業「CRAZY WEDDING」(画像提供:CRAZY)

—やはりCRAZYの考えはウェディング業界に変革を起こしていますね。

林:自分たちのクリエイティブが人の幸せに役立っていて、それを目の前でダイレクトに体感できるってすごいことですよね。一般的にクリエイターは、アウトプットの結果や評価が見えにくかったり、モニターに向かって作業しているうちに、なんのために、誰のためにデザインしているかわからなくなってしまったりする経験が少なからずあると思うんです。CRAZYの仕事はその対極です。

ウェディングにはコンサバティブな印象がありますが、結婚というものは人生のターニングポイントであり、一人ひとりのウェディングは異なっていて当たり前。本来はめちゃくちゃクリエイティブにできるはずのものなんですよね。

—責任もやりがいも大きな仕事だと思いますが、目の前の人に感動してもらうために、CRAZYのアートディレクターは、どのように仕事と向き合っているのでしょうか。

林:クレイジーのアートディレクターに雛形はありません。どういう結婚式にするかは完全に自由。「二人にとって本当に素晴らしい1日って何だろう?」ということを突き詰めて考えながら、一つの世界観に落とし込んでいきます。

だから、クライアントのために自分の能力を惜しみなく注ぎたいと思えることは大切です。新郎新婦に深く入り込んで、一緒に喜びを分かち合うので、親族のような距離感になっていきます(笑)。だからこそ、CRAZYのスタッフは、これもつくれる、あれもつくれるという技術力だけでなく、「気持ち」も大事になってくるのだと思います。

CCAクリエイティブディレクター 林隆三さん(左)、CRAZY WEDDINGアートチーム マネージャー 染谷和花さん(右)

CCAクリエイティブディレクター 林隆三さん(左)、CRAZY WEDDINGアートチーム マネージャー 染谷和花さん(右)

「自分を生きるっていいよね」と伝えていく

徹底したヒアリングなどによって、クライアントと真摯に向き合ったクリエイティブをつくり続けるCRAZYのメンバーたち。その結果、染谷さんのようにCRAZYで挙式を挙げた後、その仕事や人柄に魅了されて転職してくる人も多いという。

いっぽうで、CRAZYが問うのはクリエイティブだけではない。その実現のために、社員一人ひとりの人生設計や、生き方についての考えを求めることもあるという。なぜなら、クライアントの人生にとって大きなターニングポイントとなる「結婚」をかたちにするという仕事には、自分の人生観がとても影響するからだ。

林:CRAZYのメンバーによく話すのが、「自分を生きている」感覚を大事にしてほしいということ。それはお客さまやCRAZYに関わるすべての人に対して思っています。

「自分を生きる」というのは伝わりにくい表現なのですが、つまりは、ものごとに対して「自分で見極められる力を持つ」ということ。現状や当たり前とされることに違和感を持つ敏感さと、その疑問をもとに行動できるかどうか。

CRAZYにはそんなメンバーが集まっていて、そのうえでクリエイティブな仕事を実現している。人生のターニングポイントであり、人の心を震わせる感動が毎度のように生まれるウェディングには、「あ、自分を生きるってこういうことなのか、めちゃくちゃ楽しい!」と思える場面がたくさんあるんです。

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染谷:じつは私自身、ウェディングをCRAZYにお願いしたのですが、そのときの経験があまりにも印象的だったため、ここに転職したんです。

それまではずっと大企業で働いていて、業務内容も勤務形態も会社から与えられるのが当たり前だと思っていました。そんななかで「私の人生、このままでいいのかな?」とふと考えたときがあって、気がつけば結婚式というプロセスを通して、自分の人生を考えさせてくれたCRAZYに足が向いていたんです。

でも入社してみたら、なんでも自分で決めていい、会社に期待するなという社風で、これまでとあまりに違う環境に、最初はずいぶん面食らいました。

林:「会社に期待するんじゃなくて自分に期待しろ」という話をしましたね。でもそれは自分の可能性を信じろという意味なんですよ。変化に肯定的であれという。

染谷:誰だって自分のなかに好きじゃない部分や変えたい部分を持っていると思います。でもそこに向き合い、変えようとするのは苦しさを伴う作業。いっそのこと、逃げてしまったほうが楽かもしれない……。

実際に私も、型にはまった働き方をする大企業病が抜けず、苦労しました。だけど、それを乗り越えたときに、自分で選択しながら生きる喜びがあった。CRAZYのみんなはそれを知っているから、もしそこでつまずく人がいたとしても協力的なんです。

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林:かつて、出産と仕事の狭間で悩んでいた時期もあったよね。仕事もしたいけど子どもは絶対に産みたい、そのときは仕事をあきらめたほうがいいのかなと言っていて。

染谷:仕事をしていると子どもが産めない、出産したら仕事ができない、そう思い込んでいました。でも、どっちもやればいいんじゃない? そういう仕組みをつくろうよ! とみんなが言ってくれて。聞いたときは、そんなことしていいの? と半信半疑でした。出産して戻ってきたら、本当にベビーシッターの制度ができていて。自分も変化したいと思ったし、自分を信じて待っていてくれたメンバーの存在があったから、いまここに立てているんだと思います。

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互いにリスペクトしながら、いちアーティストのように個々が自分の足で立つ