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地方移住やローカルに真っ向から取り組むココロマチの挑戦

株式会社ココロマチ

最近、「地方」に注目した動きが活発だ。特に東日本大震災以降は、都市部で会社に属して働くだけではなく、地方に住み、人と人との繋がりを大切にしながら過ごす暮らしを選択する人が増えている。そんな中、都市部で住まいを探す人向けの地域情報サービス「itot(あいとっと)」や、都市と地方の移住・交流を促進する「ココロココ」などのメディアを運営しているのが、港区にあるココロマチという会社。なぜ今、彼らは地域や地方に注目し、何を目指しているのか。

取材・文:宮崎智之 撮影:豊島望(2015/09/30)

燃え続けるまちを見て、会社を飛び出す。

ココロマチ代表の吉山日出樹さんは兵庫県出身。大学卒業後は大手就職情報会社の神戸支店に就職し、兵庫県内の企業が県内の学生を採用するための情報誌を担当した。しかし、地方版情報誌は全国版に吸収される形で廃刊に。その後、東京に転勤になり、仕事に忙殺される日々を送っていた。しかしある日、吉山さんの人生を変える出来事が起こる。

吉山:1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生したのです。テレビで自分の出身地が火事で燃える惨状を見て、衝撃を受けました。そのショックがあまりに大きく、会社を飛び出してしまいました。退職後は復興に携わる活動をしようとしたのですが、東京と被災地を行ったり来たりするだけ。思うように力にはなれませんでした。いい加減に仕事を再開しなければいけないと思い始めた時に、やはり地域に根ざした仕事がしたいと思いまして。

出身地の惨状を目の当たりにして、より一層、「ローカル」への関心が高まった吉山さん。吉山さんが最初に手掛けたのは、北海道・オホーツクの地域おこしプロジェクトや東京・銀座の商店街の活性化などについての情報発信だった。

ココロマチ代表取締役 吉山日出樹さん

ココロマチ代表取締役 吉山日出樹さん

吉山:そうした活動を通して知ったのは、地方だけでなく銀座という華やかな都市部でも、“過疎”が進んでいたということ。バブル崩壊で都市部の地価が下がったため、銀座近くにもタワーマンションが建ち始め、人口は増えていましたが、地域活動に携わる人は年々減少していき、人と人との関係性は薄れていく印象でした。商店街にはもちろん外から人を呼び込むという機能もありますが、そもそもは生活する人のための場所であったはず。ですから、「その街に住む」という概念をPRする取り組みが必要だと思いました。住むことによって、人との新たな関係性を築いてもらい、街を活性化させるという発想です。

そして、この情報発信をきっかけにして、2006年に地域情報サービス「itot」を開設。現在では1,900を超える地域を扱っている。地域の不動産会社をクライアントとしているが、「物件を買ってもらう」ことを前面に押し出すのではなく、「街の生活空間と暮らしを買ってもらう」という想いでサイトを運営しているという。

「itot」のデザインを担当するのは、現在社内で唯一のデザイナーである山本潤さんだ。

山本:その物件のエリアをより魅力的に見せたいクライアントのニーズと、「itot」らしいそのエリアの生の情報を伝える切り口とのバランスを取りながらデザインするのがポイントです。実際に自分で足を運んで写真を撮りに行ったりもしました。

2度目の震災から生まれた、地方にフォーカスしたメディア「ココロココ」

さらに2013年には、地方移住やローカルな活動をテーマにしたメディア「ココロココ」をオープンした。「ココロココ」の立ち上げにも、“震災”が大きな影響を与えたという。

吉山:東日本大震災が発生して1か月くらい経ったときに、岩手県の陸前高田市を訪れました。「なにか自分たちにできることはないか」という想いを抱いて。しかし、現地に行ってみると街自体が津波に流されてなくなってしまっている。自分たちがこれまで「itot」でテーマにしてきた「街」とは一体なんだったのかと、無力感に襲われました。

これを機に、「ココロココ」の構想が徐々に出来上がり始めた。

吉山:人間は、誰かが困っている時に、「助けたい」という気持ちがわきます。震災直後は、誰もがそう思ったはずです。しかし、ただ「助けたい」ではなく、もし自分が困った時には「助けてもらいたい」と思うのが人間です。つまり、「助け合い」です。助け合いたい、支えあえたい、分かち合いたい。そんな心と心を繋ぐメディアを作りたいと思いました。

そう考えた時に、地域というテーマで仕事をしてきたココロマチにできることは何だったのか。

吉山:全国には、若者や次世代の担い手がいない限界集落が増え、存続の危機に瀕している地方コミュニティがたくさんあります。一方で、地方に移り住みたい、自分の能力を地方のために役立てたいと思っている若者も多い。「地方にあるもの」と「都市にあるもの」をお互いさまの精神で交換していけば、豊かな関係性をつくることができる。地方も都市も、もっと豊かで楽しい場所になると考え、「ココロココ」をスタートすることにしたのです。

「ココロココ」で編集長を務める奈良織恵さんは、地方の問題である「過疎」という言葉を単に人口が減る現象とは捉えていないようだ。

「ココロココ」編集長 奈良織恵さん

「ココロココ」編集長 奈良織恵さん

奈良: “過疎”とは、人口が少なくなる現象だけを指すのではなく、人々の“関係性”が希薄になることも含まれると考えています。逆に言えば、人口が少なくても、人々の関係性が密ならば過疎ではないとも言える。全国的に見れば人口が少なくなっていく現象は、これからも止めることはできないでしょう。しかし、その地域と関係する人口が増えていけば、人々はもっと豊かに暮らしていけるはずなんです。ただ移住を推進するのではなく、「ココロ」と「ココロ」の通った関係を作る。それが「ココロココ」のコンセプトなのです。

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住民票を移すだけではない、さまざまな「移住」の形