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目指すは、「経営パートナー」としてのクリエイティブカンパニー

アートアンドサイエンス株式会社

独立系制作会社の増加やテクノロジーの進化による低価格化で、「ほとんどの制作会社は近い将来生き残れなくなる」という趣旨の記事を見かけることが多くなってきた。より専門性を高めるか、よりクライアントの経営まで理解したパートナーになっていくか、残された道は多くないのかもしれない。アートアンドサイエンスは、完全に後者型。クリエイティブの力でいかにクライアントの経営的な課題を解決できるかを提案する専門家集団だ。代表でありクリエイティブディレクターの岡村忠征さんと、アシスタント・ディレクターの森脇菜津美さん、そして今回は実際のクライアントでもある株式会社昭文社の鶴岡優子さんにもお話を伺った。

取材・文:CINRA.JOB編集部 撮影:中村ナリコ(2015/12/11)

医者や弁護士と同じ。今はクリエイティブにも「説明能力」が求められる時代

クリエイティブとコンサルティングの両刀使いを標榜するアートアンドサイエンス株式会社。9名と少人数ながら、クリエイティブ面ではブランディングに関わるグラフィックデザインとWEBデザイン、編集、映像の4分野を網羅。さらにビジネスにも明るく、どんなクライアントとも直接やりとりをしながら、コンサルティングのような提案を行っているという。

岡村:デザインのリテラシーはお客さんの中でもどんどん高くなっています。中小企業でも大企業でも、ブランディングに対するニーズやWEBサイトをメディアとして戦略的に使っていきたいというニーズが非常に大きくなっていて。だからこそ制作会社の側も、ただ作るのではなく、クライアントのビジネスを理解したうえで戦略的に、なおかつクオリティの高いデザインを提案するべきだと考えています。

彼らの言う「ビジネス」とはどういうことだろう?

クリエイティブディレクター 岡村忠征さん

クリエイティブディレクター 岡村忠征さん

岡村:先方の経営者がまず話すことは、デザイン的な要望というよりはビジネスのこと。まずはそのビジネスの部分での要望を受け止めてあげないと、結局2~3時間そういう話をただ聞き流して、作るものはわりとテンプレ通り、みたいになってしまうケースも少なくありません。私たちはお客さんとの共通言語をきちんと見出して、お客さんの課題を十分に理解するべきだし、自分たちのクリエイティブに関する提案もお客さんにきちんとポイントがわかるように伝えるべきだと思うのです。

クライアントのビジネス課題を社内のクリエイターへ的確に伝え、制作物に反映する。そして今度は制作や提案の意図をクライアントへ伝える……。口で言うのは簡単だが、決して容易なことではないだろう。アートアンドサイエンスがクライアントと対峙する際に重視しているのは、「説明」だそうだ。

岡村:かつて弁護士や医者など、典型的な「専門家」「権威」と呼ばれていた人たちには「あなたはこの薬を飲んでください」というような“指示”する力が求められていたと思うんです。でも今はそれよりも“説明”することが求められるようになった。まずあなたは今こういう状態です、と問題を説明する。その上で、「だからこういう解決策とこういう解決策があって、それぞれのデメリットとメリットはこれです、どうしますか?」と、解決策を提案していくんですよね。お客さんが意思決定をするためのポイントがわかりやすく説明されれば、お客さん自身で決断ができる。デザインも同じで、専門職として、もはや「これが正解です」という単なる“指示”は、もうお客さんから求められていないと思います。

コンサルに必要なのは提案内容よりもヒアリング

彼らがコンサルティングにおいて最も重要だと考えているのは、何よりもヒアリング能力だという。まず初めてクライアント先に赴く際には、顧客から提示されている情報量に関わらず、以下の6点についてヒアリングをする。

・ ターゲットは誰か?
・ どういうシーンで使うものになるのか?
・ 何をゴールとして設定するか?
・ 自社の強みは何か?
・ 競合の強みは何か?
・ 業界の市場の状態=消費者からの印象は?

こう並べると一見「普通」のヒアリングのようにも思える。しかしアートアンドサイエンス流のヒアリングは、この全ての質問を、それぞれ5段階までは掘り下げて聞くのだという。「ターゲットは誰?」「それはどんな嗜好?」「本当にその属性で間違いない?」など、一つの項目を粘り強く、掘り下げて聞いていくことで、クライアント自身が気づいていなかった課題や、担当者だけでは決められない点などが明らかになっていく。2回目以降の打ち合わせでは、役員や社長が登場することも珍しくないそうだ。

アシスタント・ディレクター 森脇菜津美さん

アシスタント・ディレクター 森脇菜津美さん

森脇:クライアントからすればアピールしたいこと、語りたいことをどんどん聞いていきますから、すごくスムーズに話が進むんですよ。ヒアリングというよりはインタビューみたいな感じで、話も弾みます(笑)。あくまで考えながら答えていただきますが、たくさんの質問もそれほど違和感なくスルっと受け入れていただける印象ですね。コンサルティングというスタンスではありますが、上から目線の姿勢になることは一切なく、むしろ純粋な疑問を、真っ白な気持ちで聞きまくる。子供の素朴な質問に対して、大人が案外答えに詰まってしまうことがあるように、そのストレートな質問がすごく鋭いポイントを突いたりする。そんな時はクライアントの目が輝いて、話も、気持ちもどんどん盛り上がっていくのを感じますね。ただ漠然とデザインしたり記事を書いたりするために、「素材を集める」ように聞いているわけじゃないというのはやはり伝わるんだと思います。シンプルな問いを重ねながら、深いところまで、順序立てて掘り下げていく。相手を理解するためのメソッドとして確立されていると感じます。

岡村:このヒアリングメソッドは、実際にヒアリングに出向くディレクターだけではなく、デザイナー、ライターといったクリエイターにも徹底して共有しています。お客さんの要望を引き出し、持ち帰ってくるのはディレクターですが、その要望がディレクターだけで途絶えては意味がありません。プロジェクトメンバー全員で「今回のお客さんの要件定義はこれ!」っていうことを最初から最後まで共有するようにしていますね。現状を理解し、それを分析して課題を明確にする、そこから初めて提案すべき内容に踏み込めますから。

ヒアリング能力というと、属人性の高いものだとも思われる。メソッド化することで、スタッフ全員の平均値を上げられるものなのだろうか。

森脇:ここまで系統立てたメソッドは、他の会社ではなかなか教わることができないと思いますね。私の前職は書籍の編集者でしたが、現場では取材のやり方一つとっても人それぞれで、個人のスキルや向き不向きにクオリティが左右されてしまうところがありました。アートアンドサイエンスでは社員全体に基礎として「とにかく必ずこれは聞く」という意識づけができていますから、そういったことは少ないと思いますね。だからといって、みんな全く同じことをしているというわけではないのが面白いところで、個々人のアレンジ力や、知識量、専門性が反映されていき、案件それぞれに表情が出てくるのを感じますね。名前を伏せていても、これは誰のヒアリング案件だなっていうの、わかりますもん(笑)。

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昭文社がアートアンドサイエンスを頼るワケ