Interview 私としごと

プロジェクトの成功を影で支える「光」

株式会社ピクス
加島 貴彦(プロデューサー)

「28歳の若手映像プロデューサー」なんて聞くと、いかにも業界人ぽいイメージを持つものだが、この度、ご登場いただく加島貴彦さんから漂う空気は時に穏やかであり、またある時は人懐こい。一般的に映像業界では”花形”といわれるのがディレクターだが、その仕事を支えているのは、まぎれも無く、プロデューサーであり、プロダクションマネージャーであったりする。「元々制作プロダクションというところがなにをやっているのかあまりわからなかった」というように、加島さんは未経験から、壇を踏んで責任を全うするプロデューサーとなった。世の中の人々を”アッ”といわせる作品の裏には、センスや技術だけではない所で、活躍する人が多くいるのが事実。そんな、ピクスのプロデューサー、加島さんにお話を伺った。

プロフィール

加島貴彦

1984年生まれ。音響技術専門学校(現:音響芸術専門学校)卒業後、映画録音部での録音助手を経て、2005年株式会社ピクス入社。プロダクションマネージャー職などを経て、現職。Perfume MV「Spring of Life」、AXE DRY「HOT ANGLE」、BACARDI PR EVENT 「THE PARTY」「BATNIGHT」、SONY BRAVIA TV-CM「スマート高画質」篇、WEB動画「スマタツ」等を手がける。

インタビュー・テキスト:森オウジ 撮影:すがわらよしみ(2012/6/1)

結局は「段取り」でしかない

―映像のプロデューサーと聞くと、いかにも大御所なイメージがありますが…。

加島 貴彦

加島:たしかに肩書きだけですと、派手なイメージがあるかもしれないですね(笑)。ただしプロデューサーという肩書きもいろんな職種に存在しますし、映像業界に限って言っても人によって様々なので、一概には「こういう仕事だ」ということは言えません。僕自身は案外裏方の仕事なんですよ。

—なるほど。では、実際はどのようなお仕事なのでしょうか?

加島:いろんなプロデューサーがいますので、これはあくまで僕の場合ですが、仕事をとる営業であり、プロジェクトの責任者というのがメインかと思います。もちろん企画の段階からアイディアを求められることもありますが、基本的には、代理店さんやレコード会社さんなど映像コンテンツを企画する方々から仕事をいただいてくるというのが主となります。それに加えてクオリティー管理や予算管理等があります。いわゆるディレクターが行う“映像監督業”的なことはやらないのですが、クライアントや監督が目指すものにどれだけ答えられるか、ということを仕事としています。また、兼任する場合もありますが、アーティスト事務所やスタッフにアポイントをとったり、スケジュール管理や制作の進行管理を行うプロダクションマネージャーという役職があります。そのプロダクションマネージャーの管理もしながら、さらにいくつもの案件を管理していきます。

―実際の現場ではどんなことをしているんですか?

加島:現場では、いかようにでも予期せぬ事が起こりますので、常に臨機応変な対応が重要になります。そして、限られた予算と時間の中でクオリティーを最大限にまで上げないといけない。そんな中で、例えば空調の調節からちょっと美味しいお弁当をお出しするとかの気配りだけでも、実は全然雰囲気が変わってくる。なので、現場ではみんなが気持ちよく進められるようにするのも重要な仕事だったりします。結果的にその現場の空気感が作品に影響を及ぼすこともありますからね。

―そうなんですね。では、案件を進めていくにあたって気にかけていることは何でしょうか?

加島:事前準備と各スタッフとの密なコミュニケーション。どの仕事でも言えることだと思いますが、これはもっとも大切なことだと思います。簡単に言ってしまうと結局は「段取り」でしかないのかもしれませんが、現場ごとに、人数も変われば、撮影する場所も、用意するモノもすべて変わる。それをいかにゴールに向かって滞り無く進められるかシュミレーションすることが、仕事の中で一番大切だと思っています。

プレッシャーの中から生まれる作品

―まさに、縁の下の力持ちですね。では、お仕事をされていて快感を感じる時ってどんな時でしょうか?

加島:事前準備どおりに段取りが進んで、みんなが気持ちよく仕事を進め、終われることですね。これが一番嬉しい。この達成感は関わる人が多ければ多いほどありますね。後は、僕は今でもプロダクションマネージャーとして兼任をして動く場合もありますけど、プロデューサーになれて良かったと思うのは、企画の段階から案件に携われる事でしょうか。

―最近のお仕事でいいますと?

加島 貴彦

加島:『バカルディ― モヒート』『バカルディ― キューバリブレ』が最近発売されましたが、そのローンチイベントでモデルの菜々緒さんを起用したフラッシュモブ(※インターネットを通じて広く呼びかけられた群集が公共の場に終結し、あらかじめ申し合わせた行動を取る即興の集会)を六本木ヒルズアリーナでやりました。ダンサーの数は200名。振り付けはPerfumeを手がけてらっしゃるMIKIKOさんにお願いしました。僕がもともとミュージカルが好きだったというのも一部企画の発端にありまして。

—ミュージカルといいますと?

加島:実は会場では、200人のダンサーが警備員や一般観客にまぎれて配置されていたんです。それまで観客だと思われていたひとたちが踊りだすことで会場に独特の一体感が出るんです。ここがミュージカルっぽい。そしてこのフラッシュモブは一発撮りの撮影でもあったのですが、去年の年末から4ヶ月間以上準備を進めてきたものがいい形で実現できて、ほんと嬉しかったですね。プロデューサーは常に責任がついて回りますし、プレッシャーもありますが、こうして企画段階から参加させていただけることは何よりの楽しさであり、喜びですね。

Next Page
辞めたいと思った事は何度もあった

この業界で人材を募集中の企業