Interview 私としごと

バスキュールの電脳女子。

株式会社バスキュール
荒木 千穂(ディレクター)

既存の枠組みを越えたWEBクリエイションを世に送り出し、国内外で数多くの賞を獲得してきたバスキュール。そんなプロフェッショナルな制作集団に経験ゼロの状態からインターンとして関わり、現在はディレクターとして活躍しているのが荒木千穂さんだ。派手な外見とは裏腹に、幼少時代は人と話すことが大の苦手。武蔵野美術大学に進学して現在に至るまで、コンプレックスを克服する「プチ改革」を繰り返してきたという。そんな荒木さんが辿ってきたいままでの道程、そして彼女「らしさ」とは?

プロフィール

荒木 千穂

1983年生まれ。埼玉県深谷市出身。2009年に武蔵野美術大学映像科卒業後、バスキュールに入社。在学中には進級制作で作った映像作品『ARAKIEFFECT』で『アジアデジタルアート大賞』B部門で大賞を受賞した。現在はディレクションを中心に企画、制作進行に従事している。

バスキュールとの出会いが、インターネットとの出会いだった

—その後、現在のバスキュールでインターンをはじめたとのことですが、そもそも出会いのきっかけは?

荒木:インターン先だった映像制作会社のプロデューサーの方から、バスキュールを勧められたのがきっかけです。実は私、それまでは検索エンジンで調べものをする以外、ほとんどインターネットを利用していなかったんです。当然、「バスキュール」という社名を聞いてもはじめは「変な名前だな」としか思わなかったのですが、実際にバスキュールが手掛けた男性用化粧品ブランド「AXE」のキャンペーンサイトを見たときに、度肝を抜かれてしまいました。

—それはどういったところに?

荒木千穂

荒木:とにかく、ふんだんに動画を取り入れたサイトだったんです。ウェブでもここまで表現することができるんだと、衝撃が走りましたね。それでウェブというものに可能性を感じたんです。私は周りより3年社会に出るのが遅くなってしまうので、映画やCMのように下積みが長い業界よりは、まだ前例の少ない新しい業界で頑張った方が、「早く一人前になれる!」っていう想いもありました。

—それで、ウェブ業界への就職を考えたんですね。

荒木:はい。だからバスキュールとの出会いが、インターネットとの出会いといっても過言ではありません。本来、初めは2週間ほどのインターンだったんですけど、「もう少し、居させてください」と粘って、結局1年間、居座り続けました(笑)。当時は、見るもの全てが新鮮でしたね。でも、特にウェブのスキルとか経験があるわけではなかったので、実際の制作業務を手伝うことは少なかったです。ただ私の席があって、社員が働いている姿を観察しているだけ。大学の卒業制作も会社のデスクで作っていました。

—卒制まで(笑)。でもそんなバスキュールとの出会いが、第三の「プチ改革」だったと。

荒木:そうですね。私は自分を変えようと思ったときに、新しい環境に飛び込もうとする癖があるみたいで。この改革で大きかったのは、やっぱりインターネットとの出会いだったと思います。それまでほとんどネットに触れないデジタル音痴だったので、一気に趣味や興味の幅が広がりました。

—「アッパーなオタク気質」がさらに開花していったんでしょうか……。それで、実際に入社してからは?

荒木:始めはアルバイトでしたが、劣等感のカタマリでしたよ。周りは才能と経験がある人ばっかりなので。こうやって仕事が進んでいくんだとか、こんなに頻繁にミーティングするんだとか、企画書ってこうやって書くんだとか、とにかく見よう見まねでやるしかなかったので、ひたすら観察していました。「これを突破すれば、私は成長できる!」って、ほんとにモチベーションといえばそれだけですよ。だから、バスキュールに入って凄い人に少しでも追いつく。がむしゃらにやっていけば、未来は少しでも見えてくると思って今までやってきました。

自分らしさを仕事で表現したい

—ハングリーですね。そんな中で、一番印象に残っているお仕事はなんでしょうか?

荒木:去年の3月に放送された『MAKE TV』(TBS)に関わった事ですね。画面に向かって操作すると、スクリーンの向こう側に映っている様々なモノをコントロールできる「DOT SWITCH」というAndroidアプリを作りました。放送当日は、アメリカの歌手KARMIN(カーミン)のPV撮影とも連動していて、アプリの反響で番組内のセットがクラッシュしていくという、ソーシャルライブミュージックビデオを作る体験を生み出しました。

—面白そうですね。その中で、荒木さんはどのような立ち位置だったんですか?

荒木:私は主にウェブの制作進行と、現場のオペレーションをしていました。関わる人数も多かったし、サイトからアプリ、TVのテロップ等作るものもすごく多かったので、手がまわりきらない程大変でしたね。でも、たくさんやる事があったおかげでメンタルがめちゃくちゃ鍛えられたプロジェクトでした。TVの人達と一緒になるのも初めてで新鮮でしたし。今は6月に向けて自社コンテンツを進めている最中なのですが、今年はそれが最も印象に残る仕事になると思います。今はまだ詳細は秘密なので……お楽しみに!

—はい(笑)。でも経験ゼロの状態から、徐々に成長していったんですね。

荒木千穂

荒木:と、言いたい所ですが、まだまだです。入社したころに比べると、色々経験値がたまった分、多少は自分に自信が持ててきましたけど、堂々と「ディレクターです!」と言えないというか……。アシスタントからディレクターになって1年くらいですが、自分自身のやり方というか、自分の色をもっと出して、仕事をしていきたいです。それが、無能な私を拾ってくれた会社への恩返しだと思っています。20代最後の歳なので、それが第4のプチ革命になるのかなぁ……って。

—「恩返し」って、なんかすごく謙虚ですね。

荒木:いえいえ。後は、2013年の東京インタラクティブ・アド・アワードがお休みなので、個人的に外部の人と、女性だけの審査員を集めて、女性目線で作品を審査しようという活動を立ち上げたんですよ。今、企画中なんですが、これを形にしていきたいですね。Tokyo Interactive Women AWArds、通称TIWAWA(チワワ)っていいます。例えば、女性の生理用品のアプリとかあったとしても、絶対男性には評価できないと思いますし。

—面白い試みですね。では最後に、今後の目標など聞かせていただけますか?

荒木:そうですね……。私は今まで、どんなにキツいと思ったことがあっても、一度もそこから逃げ出したいと思ったことはないんです。それはやっぱり、そこで耐え抜けば「新しい自分になれる!」って思っているから。意外と体育会系なんですね、きっと。これからは私が関わった仕事を「これ、荒木さんらしいね」と言われるよう、自分らしさの出せる、一人前のディレクターを目指して頑張っていきたいと思います。

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荒木 千穂
ももいろクローバーZ
もともとAKB48のファンだったんですけど、同僚に誘われてライブに行って以来、モモクロにどっぷり。こんなに汗だくでアクロバティックに動き回るアイドルっているんだ、と感動しました。自分の夢に向かって頑張っているだけなのに、その姿を見て周りの人にも勇気を与えられるって、本当にすごいですよね。昨年の紅白歌合戦に出演したときは、「夢が叶ってよかったね」とジーンときました。ちなみに、私はあーりん(佐々木彩夏)押し。そこまで運動が得意じゃないのに、髪の毛を歌舞伎役者みたいに振り乱して、踊り狂っている姿が芸術的です。

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