Interview 私としごと

34歳でウェブ業界へ転職し、4年で支社長になったその『しごと観』

株式会社 ワン・トゥー・テン・デザイン
中西 圭吾(最高制作責任者 チーフディレクター)

34歳で業界未経験という立場から、中西さんは東京支社長となった。それも日本では名の知れた制作会社で。インターネットは、エンターテインメント・コミュニケーション・情報収集・報道などあらゆる分野の中心になりつつある。右も左も分からない世界に飛び込んでから5年経った今、中西さんにとって「ウェブ」はどのように見えているのか。そして、日々どんな想いで仕事に向かっているのかだろうか。

プロフィール

中西圭吾

1972年生まれ。京都府出身。流通科学大学を卒業後、他業種での営業やグラフィックデザイナーとして従事した後、2006年11月に1-10designに入社。2007年より東京支店立ち上げに参加し、現在、最高制作責任者兼チーフディレクターとして1-10designTOKYOの支社長を務める。

インタビュー・テキスト:田島太陽 撮影:丸田武史(2011/10/3)

未経験から、支社長へ。どんな仕事でも「基本」は同じ。

―ワン・トゥー・テン・デザインに入られる前はどんな仕事をしていたんですか?

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中西:最初に就職したのは商社の営業職だったんです。でも仕事に充実感を感じられなくて、父親に「3年は頑張れ」と言われていたこともあり、丸3年経った3月31日に退社しました。それからはアルバイトの期間があったり、ハンコ屋さんで働いたり、温泉リゾートの立ち上げメンバーとしてグラフィックデザインや広報をしたりと、いろいろな仕事を経て今に至っています。
 
 
―ウェブ業界は未経験だったんですか?

中西:そうなんです、ほぼ完全な未経験(笑)。でもお客様の要望を聞いて何かを作る、という基本はほとんどの仕事で共通すると思うんです。僕は転職を重ねていたから新しい業界に飛び込むことにも抵抗がなかったし、インターネットも好きだったから思い切って入社試験を受けてみたら、なんと入れちゃったんです。

―京都本社に入社してすぐに、東京支社立ち上げに参加されたんですよね。

中西:ウェブ業界のことはほぼなにも知らなかったのにまず一つサイトをディレクションして。東京支社を作るから、との話があった時に自分で手をあげました。そこからはもう、毎日必死。東京支社をひとりで回さないといけない。営業に行って仕事を取って、ヒアリングをして自分で作る。今振り返ると、そのおかげで責任感もより強くなったし、鍛えられたんだと思います。支社をひとりで切り盛りするなんて、普通の社会人をやっていたらなかなか経験できないことですから。

肩書きは、チーフディレクター

―今の、主な業務は?

中西:ウェブディレクターが主ですが、その他の仕事も全部やります。クライアントへのヒアリングはもちろん、絵コンテを書いたり、企画のストーリーやキャッチコピーをつくったりもしますし、忙しいときは自分で手を動かすこともあります。

―かなり幅広くやっていらっしゃるんですね。ウェブ業界は専門知識が多くて、未経験だと難しいイメージもありますが、実際はいかがでしょうか?

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中西:確かにデザインやシステムの制作者には専門知識が求められますが、ウェブディレクターは専門的な知識が必ずしも必要になるわけではありません。それに、たとえ専門的な知識が必要な制作者になりたいとしても、興味と基礎知識さえ身につければ必ず仕事に慣れると思います。ただ重要なのは、そういった知識より、「どうしたらクライアントの要望に沿ったウェブサイトが作れるか」を考えられるかどうかだと思うんです。つまり、アプリケーションが使える人=クリエイターではないんです。アプリはツールでしかない。どうしたら人が喜ぶのか考えることが重要で、アプリを覚えて手順を踏まえるだけなら誰にでもできてしまいますよね。

―でも社内のデザイナーたちには、「自分はこんな作品を作りたい」というクリエイター意識もあるわけですよね。チームをまとめるディレクターとして、どのようなことに気をつかっているのでしょうか?

中西:デザイナーのクリエイター志向が悪いわけではないんです。それぞれのスタッフにクリエイターとしての特色があるのは大切なことなので、僕はチーム編成をするディレクターの立場として、その特色に応じた適材適所に気をつかっています。

―ディレクターはクライアントの要望に沿ったウェブサイトを考え、それを作り上げるための適任者を配置し、各セクションでそれぞれの個性を発揮してもらうということですね。

中西:僕はそういうタイプのディレクターですね。逆に、自分が作りたいサイトを作るために、ぐいぐいプロジェクトを引っ張るクリエイター気質なディレクターもたくさんいると思います。僕の場合はありがたいことに、社内には個性を持ったデザイナーがたくさんいるし、もしそれで足りなければ外注すればいい。そうやってチームを組んだあと、それぞれのポテンシャルを最大限発揮させる事が僕の仕事だと思ってます。

目の前に人が見えるのがウェブの醍醐味

―いい仕事をする上で、ディレクターとしてチームとのコミュニケーションで気をつけているのはどんなことですか?

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中西:同じフロアにデザイナーもフラッシャーもいるので、よく話をするようにはしています。やっぱりプレイヤーが一番フレッシュな情報を持っていますから。あとは、ウェブ以外にも面白いものは沢山あるので、それを活かしてもらうように心掛けてます。たとえばこの業界はアニメや映画好きな人が多いのに、フラッシュでアニメーションを作ってもらうと、せっかくの趣味が活かせていないと感じることが多いんです。「アニメだから」「映画だから」という意識の壁をなくせば、その良さや面白さをもっとウェブにフィードバックできるはずじゃないかと。

―なるほど。

中西:どうしても同業他社の活躍や繋がりを気にしがちですけど、ライバルは他のウェブ制作会社ではなくて、他のすべてだと思っているんです。休憩時間の10分にタバコを吸ったりテレビを見るのではなく、ウェブサイトを見てもらうにはどうすればいいか、どうしたらその時間を楽しんでもらえるか。それを考えないといけないと思っています。

―ではウェブ業界特有の面白さはなんでしょうか?

中西:ウェブの良さは、インタラクティブということに尽きます。特にSNSが盛んになってからはすぐにダイレクトで反響が見えるのが面白い。

―そのインタラクティブさを特に感じた出来事はありましたか?

中西:おととしの年末年始に作った、テレビ番組とTwitterの連動企画ですね。サイトのオープン日を事前に告知していたら、数日前からTwitterで「オープンまだ?」「早く見たいんだけど」ってつぶやきがたくさん出てきて、デパートの開店前にお客さんが並んでるのを眺めているような感覚でワクワクしたんです。自分が作っているものの先に「人」がいるんだなと実感して、今でも印象に残っていますね。

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凄く高次元な事をやっているのに、サイトとして無駄がなくシンプル。音楽とグラフィックの良さをストレスなく見せてくれるし、何よりミュージシャンが引き立っている! 日本でこのクリエイティブができるのは凄いなあと思うし、刺激になります。 岡村靖幸 OFFICIAL WEBSITE

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