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オフィスでキャンプ?面白法人カヤックが「出社したくなる場所」を作る理由【オフィス図鑑vol.3】

仕事が「面白い」とはどういうことだろう。自分の好きなことができること? 何かを達成すること? 新しい発見があること?

そもそも抽象的で解釈が難しい「面白い」に真摯に向き合ってきたのが面白法人カヤック(以下、カヤック)だ。

ユニークなオフィスを取材する連載「オフィス図鑑」vol.3では、カヤックが4月1日にオープンした新スペース「キャンピングオフィス」にお邪魔した。

1998年の創業時から「面白法人」を自称する彼らが大切にしてきたのは「①面白がってはたらこう②面白いと言われよう③世界を面白くしよう」という三段階の思想。

今回は、その哲学が空間にどう宿るかを探るべく、グループ広報部長の梶陽子さん、面白プロデュース事業部の松田壮さん、総務課長の齊藤大輔さん、そして本プロジェクトを共同開発したスノーピークビジネスソリューションズCAMPING OFFICE事業部長の秋吉直樹さんの4名に話を聞いた。

オフィスのあり方から、「面白い」とは何かの答えが見えてくる——そんな期待を胸に、ドアを開けた。

  • インタビュー・テキスト・編集:吉田薫
  • 撮影:kazuo yoshida
  • 動画撮影:野中愛

「雑談そのものを設計する」。出社率向上を目指して

今回取材した「キャンピングオフィス」は、カヤックのメインオフィス「研究開発棟」(カヤックは鎌倉にいくつかオフィス・拠点を構えている)の中央部にあるフリースペースを活用して誕生したもの。

スノーピークビジネスソリューションズと共同で開発をした本スペースには、同社のチェアや焚火台(消防法の関係で焚き火は発光ダイオード(LED)ライトで表現)、テントなどバラエティ豊かなキャンプギアが取り入れられている。

そもそもなぜ「キャンプ」だったのか? いきつくまでには紆余曲折があったそうだが、その根源にはフリースペースをもっと活用したいという思いにくわえ、「出社率」に対する課題感があったという。

松田「面白プロデュース事業部としては、出社率を上げたいという思いがありました。コロナ禍に1割まで落ちて、そのあといろいろな施策で6割まで出社率が回復したのですが、隣のゲーム事業部は8割なんですよ。出社自由とはいえ、もう少し自分の部署でも数字を上げたかったんです」

齊藤「総務としても『出社率向上』は今年の目標です。ただ単に『出社して』と言うのではなく、自分の意思で出社したいと思える場所や環境を作るほうが僕たちらしいと思っていて、何か施策はできないかと考えていました」

齊藤大輔さん。総務課長。飲食業を経て、縁のあったカヤックへ転職。総務としてオフィス環境の整備や拠点開発に従事。オフィスを構える御成商店街の理事を約8年務め、地域連携イベントの企画等を通じ、会社と街が共に盛り上がるべく奮闘中。

各事業部の課題感と想いが重なり、始動した本プロジェクト。もともとつながりがあったというスノーピークも巻き込み、話し合いがスタートした。

松田「ブレストを重ねるなかでキーワードとして『雑談』がだんだん出てきたんです。他にもデジタルデトックスエリアはどうかとか、AIフリーの空間はどうかとか、いろんなアイデアが出たけど『でも本当に出社したくなるかな?』と。突き詰めると——やっぱり人と話せる場所があることじゃないか、という結論になっていきました」

梶「私は広報目線から『面白い』と思えるかどうかも大事でした。デジタルデトックスもAIフリーも面白かったんですけど、一歩踏み込んで『雑談そのものを設計する』という方向に、みんなの意見が重なっていきました」

松田壮さん。面白法人カヤック面白プロデュース事業部事業部長。大手建設会社を経て、2011年に面白法人カヤックに入社。エンジニアとして新規事業開発チーム、自社サービスに関わったのち、クライアントワーク事業部(現・面白プロデュース事業部)でエンジニアリーダー、ディレクター、プロデューサーと役割を渡り歩き、現職。ビジネスでも結果を出せる「変な会社」としてカヤックをアップデートし続けるため、若きリーダーたちと組織づくりに全力集中。

「焚き火」は雑談に効く。コロナ禍の経験が活きたオフィス作り

「雑談」をテーマにすることは決まった。ではあらためて、雑談がなぜ「キャンプ」とつながるのか? その理由の一つには、カヤックがすでに取り組んできたユニークなオフィス作りの経験があった。

齊藤「2020年に会社の中庭的なところに『焚き火会議室』をつくりました。コロナ禍の際も出社率が課題で、『何があったら出社するか』をみんなでブレストをしたとき、社員から『焚き火しながら話せる会議室があったら来るかも』って声が上がって」

梶「それが実際にかたちになったんです。誰も『無理でしょ』とは言わなかった(笑)」

秋吉「そのときの知見が活きていますよね。車座になって、焚き火を見つめながら話すから緊張しにくく、お互いがリラックスしやすい——キャンプならではの空間の効果が、すでに証明されていたわけです」

「焚き火会議室」で焚き火をしたとき

スノーピークの知見を詰め込んだ、こだわりのキャンプギア

「焚き火」は雑談に効く——この成功体験を発展させたのが今回の「キャンピングオフィス」だ。

本プロジェクトを担当した秋吉さんに、セレクトのこだわりを聞いてみた。

秋吉「焚火台・チェア・テーブル・テントなど、高さもデザインも違うバラエティ豊かなギアを持ちこんでいます。少ないスペースで、雑談や社員同士の対話を生むために効果的なレイアウトができるギアをセレクトしました。

『焚き火会議室』で得た知見を活かすことにくわえ、可変性も大事にしたかったんです。目的に応じてレイアウトを自由に変えられる。テーブルを全部つなげて大きなダイニングテーブルにしてもいいし、シェルターで個室をつくってもいい。こうした可変性の高さはキャンピングオフィスの強みのひとつです。

『このレイアウト、自分が考えたんだぜ』って密かにほくそ笑んでいる人が生まれたら、その人はきっとオフィスに愛着をもってくださってますよね。そういう主体性を引き出す仕掛けが、出社率向上に有効だと考えています」

(左)梶陽子さん。グループ広報部長。大学卒業後、ファーストリテイリングに入社。ユニクロ店長を経て、ユニクロの商品広報やCSR、海外出店PRなどを担当。鎌倉移住を機にカヤックへ初転職。職住学近接で、仕事と子育てに邁進中。PRSJ認定PRプランナー取得。
(右)秋吉直樹さん。株式会社スノーピークビジネスソリューションズ CAMPING OFFICE事業部部長行政職員等を経験後、スノーピークへ入社。地方創生コンサルティングのマネージャーを歴任し、現在は「野遊び」の力で人間らしく働く人を増やすCAMPING OFFICE事業の運営を担っている。

実際に焚火台の周りの椅子に座らせてもらうと、開放感のあるオフィス空間(オフィスの天井高は8mもある)と相まって、通常のオフィスではあまり感じることがない、ワクワクが込み上げてくる。

これでプロジェクトとしては完成でも良さそうなところだが、カヤックは一歩踏み込み、「キャンピングオフィス」に合わせたオリジナルコンテンツ「薪コミ」を制作した。

梶「ハードだけじゃなく『雑談を生む装置』、つまりソフトを作るのが、私たちコンテンツ会社の腕の見せどころです。ブレストを重ねていくうちに、『炎を絶やさないように薪をくべる』という行為が『話を絶やさないように会話を続ける』ことのメタファーになるんじゃないかという発想からダジャレが生まれて——『巻き(薪)込み』という言葉が出てきたんです」

松田「『薪をくべるように話に乗っかっていく姿』とコミュニケーションの構造がすごく似ていると気づいたんですよね。それからはもうコンテンツのアイデアがポンポン出てきましたね」

「薪コミ」施策の一つである、お題が書かれた薪「雑談薪」。薪に書かれたお題でブレストをしたり、安全に行える薪割り体験を取り入れたりすることで、対面ならではの共同作業や、話すきっかけを作ることを目的としたカヤックオリジナルコンテンツ

雑談から主力事業が生まれた。

カヤックがリアルなコミュニケーションを重視する背景には、創業時から変わらない哲学がある。

カヤックの代表3人は大学の同級生。事業内容より先に、3人で起業することが決まっていたという。発足の経緯が象徴するように、「何をするかより、誰とするか」を大切にしてきた会社なのだ。

くわえて、カヤックには気軽なコミュニケーションから誕生した事業や取り組みが多数ある。

梶「いま、ゲーム事業部がカヤック全体の売り上げの約6割を占めているのですが、その中心にある『ハイパーカジュアルゲーム』という事業は、社員が『勝手にやってみた』から誕生した事業なんですよ。

起案してトップダウンではじまったわけじゃなくて、社員の間で『やってみようか』という会話があり、少人数で試しにはじめてみたことがいまの主力事業になった。非常にエポックメイキングな出来事でもあり、カヤックらしさ全開とも思っています」

齊藤「『人と人が出会えば何かにつながる可能性が高い』と信じているんです。リモートだとその『熱の伝達』が遅くなってしまう。情報の伝達だけならオンラインでもできるけど、何かが生まれる瞬間の熱量は、対面じゃないと届かないんですよね」

対面でのコミュニケーションから面白いアイデアが生まれ、熱量を共有することでアイデアがかたちになる。この理想的な循環には、もちろんコミュニケーションの質もあるが、「発言したら誰かに届く」「トップダウンじゃない」「否定されない」——そう一人ひとりが思える土壌があるからだと思う。

そういった会社の空気はすぐに醸成できるものではないはずだ。どのように育んできたのか聞いたところ、次のように話してくれた。

梶「細かい積み重ねなんですけど、ブレストをしたときにどんな意見でも「いいね!」って周りがリアクションするから『普通のことを言ってもいいんだ』って思えたり、お互いがお互いの話を面白がったり。そうやって心理的安全性が生まれていく。その環境を作るために、今回みたいな企画もするし、社内制度も考えていますね」

松田「先輩たちがいろいろやっているのをみて、『こういうこともやっていいんだ』って思えるんじゃないですかね。『ダメ』って言われない安心感があるみたいな」

齊藤「そうですね。総務としては社内の風紀を一定保つためにルールは定めますけど(笑)、守ってほしいと思って定めているわけじゃない。『そのルールをどう超えてくるか』を楽しみにしているんです。たとえば、この後ろにあるミニマートも、ある日突然、社員がはじめてたんですよ」

社員がオフィスの一角ではじめたミニマート。売上は仕入れや会社のアメニティ購入に使われるとのこと

「面白がる」ことが、次の面白いを生む

取材の最後、梶さんはこんな話をしてくれた。

梶「『面白法人』と名乗っていますが、私たちの何よりの強みは『面白がる』ことです。一人ひとりが好奇心を持って、なんでも面白がれる。それをまず自分たちがやってみる。そうするとだんだん周りも巻き込まれていく。それが私たちの目指す『面白さ』なんです」

今回の「キャンピングオフィス」も、焚き火会議室のアイデアを出した現場の声も——全部、その連鎖のなかにある。そして一人ひとりのトライを受け入れる「器」が会社としてあるから、面白いことが育ち続けている。

松田「僕らは合理的に正しいものを素早く作る会社ではなくて、面白いものを作る会社なんです。面白いものを作るためにはどうすればいいかを突き詰めると、やっぱりコミュニケーションのなかで生まれている。そのコミュニケーションが生まれるためには何が必要か——それをオフィスで実験しているんだと思います。

面白がって作った『薪コミ』もキャンピングオフィスも、何かにつながるはず。カヤックはこうやって次の『面白い』を誕生させているのかもしれないですね」

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