CINRA

どんな人でも居場所を見つけられる。ZAIKOが目指す、多様性の息づく風土

電子チケットの販売プラットフォームとして2019年にスタートしたZAIKOは、その翌年の2020年からライブ配信事業にも着手。これをきっかけに大きく飛躍することになった。この1年で社員数は15名から76名へ一気に増え、新たなサービスも次々に誕生している。そうした成長の過渡期にあるZAIKOでは、「100%インハウスにこだわる」「多様性を失わない」を大切にしているという。その理由について、人事総務課長・米原ソニヤさんに訊いた。
  • 取材・文:村上広大
  • 撮影:大畑陽子
  • 編集:久野剛士(CINRA)

海外のスタートアップのように働ける日本企業。優れた人材が集まる背景

―そもそもZAIKOはどのようにして誕生したのでしょうか?

米原:はじまりは、共同創業者のマレックとローレンがアーティストに寄り添ったチケット販売を実現しようとしたことでした。既存のプレイガイドは、アーティストにある程度の実績がないとチケットの取り扱いができないんですね。でも、いまの時代はインディーズや個人の活動でもいろんなことができるようになっているので、もはや「デビュー」という言葉自体が古くなっています。だからZAIKOでは、チケットを取り扱いたいと考えた人がその瞬間から利用できるサービスにしています。

特徴的なのは、アーティスト側でチケット購買のデータを取得できる点です。いままで、アーティスト側はチケットの販売を委託するだけで、どんな人が購入していたのかがブラックボックス状態になっていたんですね。それを見える化することで、チケットを自分たちで売って収益化するまでの流れを把握できるようにしました。そういう価値も音楽業界に浸透させていきたいと考えています。

人事の米原ソニヤさん

―ZAIKOではシステム構築などを外部に発注するのではなく、すべてインハウスでまかなっていると伺いました。リソースが限られるスタートアップ企業では、外部の力を借りることも多いと思うのですが、どうしてZAIKOはインハウスにこだわっているのでしょうか。

米原:ひとつはチームの一員でやるからこそ、質の高い仕事ができるという意識があるからです。ZAIKOの強みはプロダクトに対する改善の速さだと考えているのですが、そのスピード感を担保するためには、それ相応のコミュニケーション量が必要で。それを外部にお願いすると、スピードが遅くなりますし、多くの負担をかけてしまう可能性もあります。インハウスなら、意思決定をする必要があるときに素早くビジョンを共有できて、しかもクオリティーの高いものがつくれると考えています。

―チームワークをなによりも大切にしていると。

米原:これまで何百人という応募がありましたが、ただ優秀なだけでなく、ZAIKOのカルチャーにフィットして、なおかつ東京のオフィスに足を運べる人しか採用していません。だから、海外からオンラインで参加してもらう、みたいなこともしていないんです。入社のハードルは高いと思いますが、それでも入社してくれた社員で構成された組織だからこそ、現在の成長につながっていると感じています。

―それだけ難易度の高いことをやっているってことですよね。

米原:そうですね。なかでもエンジニアは特に難易度の高いことをしていると思います。CTOはFacebookでInstagramの開発に携わっていた人間ですごく能力が高いのですが、その彼が「唯一敵わない」と思ったというエンジニアを一緒に連れてZAIKOに参画していて。彼らを筆頭に、優秀な人材がそろっています。

―そうした優秀な人材が集まっている要因としては、なにが大きいと思いますか?

米原:日本にいながら海外のスタートアップのような環境で働けることにあると思います。東京で働きたいと考えているエンジニアは世界中にいると思いますが、いかにも日本企業らしい働き方を求められることに対して難色を示す人が多いんですね。彼らは自分の興味・関心に忠実なので、いくら条件がよくても納得のいかない場所では働きません。そういう意味では、ZAIKOはまだ離職者がいないので、この定着率は誇れることのひとつだと思います。

コロナ禍で倒産の危機も? 会社を救ったceroのライブ配信サービスの裏話

―ZAIKOのチーム力が発揮されたプロジェクトがあれば教えてください。

米原:2020年3月に開催したceroさんのイベント『Contemporary http Cruise』ですね。この頃はコロナウイルスの影響で予定されていたライブが軒並み中止になり、ZAIKOでもチケット販売が停止になりました。そのときは、倒産の危機を感じるほどのピンチでした。でも、CEOのマレックを中心にライブ配信サービスをやると決めて、2週間ほどでベースとなるシステムを完成させてしまったんです。

そのタイミングでceroさんが興味を持ってくれて、ライブ配信が決定しました。しかも実装の部分では、ceroさんたちもアイデアをくださって。ライブ配信サービスの構築が1か月くらい遅かったら、経営的にも手遅れになっていたかもしれない。それくらいの危機感だったので、いま考えるとceroさんとの出会いはすごく運命的でしたね。

ZAIKOで配信を担当した、cero『Contemporary http Cruise』の様子(撮影:廣田達也)

―ceroさんからは、どんなアイデアが出たのでしょうか?

米原:もともとはチケット購入者だけがライブ配信を見られるというミニマムな機能しかなかったんです。それに対してceroさんから「コメントや投げ銭の機能があったらいいね」など様々なアイディアをいただき、結果ceroさんのライブには間に合わなかったのですが、その後早い段階で実装することができました。

―ものすごい短時間でさまざまなことが決まっていったんですね。

米原:ceroさんの所属事務所であるカクバリズムの方が、「本当に配信やっちゃうんですか? じゃあぼくらもライブをやっちゃいます!」とすごいスピードでライブに向けて準備をしてくれたのも大きかったです。私たちも彼らもインディペンデントな存在だからこそ、共鳴する部分があったんじゃないかなと思います。

多様な考え方が存在するZAIKO。どんな人でも居場所が見つけられる会社にしたい

―ZAIKOは企業文化として多様性を大切にしているそうですね。

米原:はい。現在は半数が外国籍で、女性社員は60%を超えていますし、LGBTQのメンバーも在籍しています。共通点があるとすれば、みんな個性的で、音楽が大好きです。

―コミュニケーションは英語が基本ですか?

米原:現在は日本語と英語で情報をシェアしていて、会議などは英語と日本語が入り混じったかたちで進むことが多いですね。言語によって微妙にニュアンスが異なる言葉があるので、それを伝えようとすると、そういう混在したスタイルがしっくりくるんです。ただ、日本語しか話せないメンバーもいるので、バイリンガルのメンバーが通訳して対応することもあります。

―バックグラウンドが異なる人が集うことでコミュニケーションが煩雑になることがあります。ZAIKOではどのように担保しているのでしょうか?

米原:前提として、言語の壁はコミュニケーションの妨げにはならないと考えています。むしろ、共通言語があることで、コミュニケーションが蔑ろになることもありますよね。

―お互いにわかったつもりで話を進めていて、じつは誤解していたというケースですよね。

米原:そうした言葉のコミュニケーションよりも大切なのは、会社の理念や目指すべき姿に納得できるかどうかです。その大きな部分でお互いに共通認識を構築していくことで、言語の壁を越えるコミュニケーションができると思います。

それによってなにが起こるかというと、いい意味で全員に共通する「普通」というものが存在しなくなるんですね。だから、「これは知っていて当然だよね」と思うこともないし、その前提を無視して会話をしないように、お互いが心がけています。

―相手を理解しようする状況が、自然と生まれているということですよね。

米原:そうですね。それに会社としても相互理解を深める場を積極的に設けるようにしています。ピザパーティーをしたり、月1で誕生日会を開いたり。友だちとまではいかないまでも、メンバー同志でフランクに意見交換できる環境をつくることが、仕事をするうえでは大切なので。

あと、メンバー全員が役職関係なくフラットな関係を築けるようにしています。会議になるといろんなアイデアが飛び交うんですよ。そのなかで違うと思う意見があったら、相手が役員でも、自分の考えをぶつけて議論を深めるようにしています。

―話を聞いていてZAIKOにはマイノリティーもマジョリティーもないんだろうなと思いました。

米原:ほかの会社に馴染めなかったような人にとって、居心地のいい会社にしたいんですよね。どんな人でも受け入れる場所というか。それには、普通じゃないことを当たり前のように考えることが大事なのかなと思います。そうした、ZAIKOが創業当時から大切にしている価値観は、人数が増え、会社のフェーズが変わっても忘れずにいたいと思います。

会社の歯車ではなく、自立した働きを。3年目のスタートアップを共に成長させたい

―この1年で会社は大きく飛躍し、それによってメンバーも一気に増えたと聞きました。それによる変化はありますか?

米原:創業時は、会議室に全メンバーが入るくらいの規模だったので、大切なことは直接伝えるようにしていました。しかし76名までメンバーが増えた現状では、それは難しくなっているので、チームごとにマネージャーを通して重要事項は伝えるようになっています。

あとは上長や人事との1on1を定期的に実施しているほか、「仕事をする以前に会社に馴染めないとパフォーマンスを発揮できない」という考えのもと、エンジニアチーム限定でメンター制度を採用しています。入社してから最低2週間は先輩となるメンバーがつきっきりになり、あらゆる面からサポートするようにしています。この制度は個人的にすごくよいと思っているので、エンジニアにとどまらず、会社全体での実施を検討している最中です。

―最後に、米原さんが今後さらに注力したいことがあれば教えてください。

米原:いま以上に多様性のある組織にしていきたいと考えています。現在はアジア圏とアメリカ圏にルーツを持つメンバーが多いので、それ以外の地域のメンバーも増やしていきたいですね。そのためには組織として整備しなければいけないことがたくさんあるので、勉強会を開いたり、メンター制度を拡充させたりといった、体制づくりに励んでいきたいです。

―まだ社内の体制が十分に整っていないということは、ボードメンバーに近い感覚で働くこともできるのでしょうか。

米原:そうですね。起業してまだ2年のスタートアップなので、会社が成長していく過程を間近で体験できると思います。それにZAIKOの社員には歯車感がなく、みんな自立して働いているので、一気通貫で仕事がしたい人にとってはすごく面白い職場なんじゃないかなと思います。

―いま求めている職種は多岐にわたるそうですね?

米原:はい。デジタルマーケティングの中核を担うデジタルマーケティングディレクター、ZAIKOの品質担保を担当する品質保証チームリーダー、パートナーセールス部門のアシスタントマネージャー、社員の業務サポートを行うアルバイト・インターンなど、さまざまな職種の募集を行っています。いろんなバックグラウンドを持っている人に来てほしいですね。

左から、COOのローレン・ローズ・コーカーさんと、米原ソニヤさん

ZAIKOの求人情報

デジタルマーケティングディレクター:
https://zaiko.applytojob.com/apply/zs8Ef4g3oD/

品質保証チームリーダー:
https://zaiko.applytojob.com/apply/UG2nzKn006/

パートナーセールス・アシスタントマネージャー:
https://zaiko.applytojob.com/apply/nRSxwTqJTc/

業務支援アルバイト / インターン:
https://zaiko.applytojob.com/apply/Aj6D7vqcTf/ZAIKO-

Profile

ZAIKO株式会社

ZAIKO」は2019年1月に設立した、電子チケットの販売プラットフォームです。最近ではサブスクリプションサービス「ZAIKOアンコール」をローンチするなど、電子チケット制のライブ配信分野では、日本国内のパイオニア的存在となっています。

ライブ配信事業は、コロナ禍で急成長している分野です。ZAIKOは、今年の3月に電子チケットとライブ配信を組み合わせた有料配信サービスを開始し、その後わずか半年で3,500本以上の配信を実施。配信チケットの販売枚数も100万枚を超えるなど、日々、企業として着実に成長しています。

初回の配信は、3月13日に行われたceroのライブ。システム開発から本番まで約1週間という短いスケジュールにもかかわらず、チケット購入者が5,000人以上と大きな成功を納めました。理由の一つに、開発やデザイン、PRまで、すべて内製化していることがあります。アーティスト側の思いを直接社内に共有できるため、彼らの要望をスピーディーにサービスへ反映でき、スムーズに運用することができるのです。

そんな私たちのミッションは、「アーティスト・イベントの成功=ZAIKOの成功」。それを叶えるために、3つの価値観を大切にしています。

1、革新
会社の立ち上げメンバーである現・CEOは、もともと紙チケットの不便さなど、エンタメ業界のアナログで非効率的な部分に問題意識を抱いていました。効率的なマーケティングができ、アーティストの活動支援や、業界全体の活性化につなげるには、デジタル化を促進するに限ると考え、現在の電子チケット事業をスタート。現在は、経済的に活動することが厳しいインディーズアーティストなどを支援するサービス「ZAIKO Seed」も立ち上げました。このように、新たなものを生み出すために、「つねに考え、挑戦する姿勢」を大切にしています。

2、責任
私たちは、何事にも責任を持って全力を尽くします。それは、若手やベテランなど、年次に関係なくすべての社員が同様です。社内は年次に関わらず積極的に意見が飛び交い、それぞれが自由に働いています。また、他業界から入社後、スキルを磨き、社内トップクラスの活躍を見せている社員も。頑張った分だけ成長を実感できますし、たとえ失敗しても、万全の体制でサポートします。

3、多様性
私たちは、国籍や立場などに関係なく、あらゆる意見や才能を受け入れることが重要だと考えています。それは社内メンバーとの会話から、自分だけでは思いつかないようなアイデアが生まれるから。実際、ZAIKOでは、アメリカや韓国、ペルーなど、国際色豊かなメンバーが精力的に働いています。異なる文化が混ざり合うことで、互いにインスピレーションを得ています。

現在は、配信を通して、海外ユーザーが日本のイベントを楽しめるようにするなど、海外展開も積極的に行っています。世の中の変化を楽しみながら、私たちと一緒にデジタルイベントの未来をつくり上げませんか?

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