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大阪クリエイターが注目する「うつぼ」エリア。注目の6社が語る、街の魅力

西日本最大の都市、大阪。以前から都心部には数多くのデザイン関連企業が存在するが、近年は大阪内外の若手クリエイターたちが続々と集まるエリアが別にあるという。それはキタでもなければ、ミナミでもない。両者の中間に位置する、靭(以下、うつぼ)である。

なぜうつぼエリアにクリエイティブ企業が集まっているのだろうか。街の魅力や各企業の特徴を、うつぼを代表する6社のクリエイターにうかがった。
  • 文:宇治田えり
  • 編集:吉田真也(CINRA)

クリエイティブ業界では大阪・靭(うつぼ)がいまアツい!

うつぼの象徴ともいえる「うつぼ公園」。かつて海産物を扱う市場として栄えていましたが、現在は緑豊かな憩いの場として近隣の人々に愛されています。うつぼ公園の周辺にはおしゃれなカフェや雑貨店がたくさんあるだけでなく、オフィス、住宅地が共存し、職住近接で暮らす人も多いです。

東西に細長い敷地を有するうつぼ公園(写真提供:photo AC)

東西に細長い敷地を有するうつぼ公園(写真提供:photo AC)

さらに近隣には大手企業や広告代理店があることから、気鋭のクリエイティブ企業が集結しています。高い文化レベルとコミュニティー、息抜きできる環境を求めるクリエイターたちにとって、うつぼはまさに理想の地。各社のクリエイター同士が垣根なくつながり、助け合いながら仕事の質を高めているといいます。

うつぼのクリエイティブ企業が主催となり、うつぼ公園で映画を見るイベントも開催(画像提供:株式会社人間)

うつぼのクリエイティブ企業が主催となり、うつぼ公園で映画を見るイベントも開催(画像提供:株式会社人間)

はたして、どのような会社が集まっているのでしょうか? 今回はうつぼ周辺にオフィスを構える6社に注目。じつは、この6社は2019年1月30日(木)に東京で合同イベントを控えているそう。イベントに先立ち、それぞれのクリエイターがうつぼの魅力や自社での仕事のやりがいを教えてくれました。

個人の成長が、会社の成長に。多様性や個性を大事にするZIZOとドリッパーズ

1.株式会社ZIZO

大阪と東京にオフィスを構えるZIZO。「ワクワクする事を、ひとつでも多く」というビジョンを掲げる、企画・デザイン・エンジニアリングの会社です。真面目なものからユーモアのあるものまで、幅広く企画・制作。個人の裁量と自由を重視した社内制度も整っています。海外出身者やバイリンガルも多数所属しており、海外案件にも手を広げています。
[ホームページ]https://zizo.ne.jp

(左)立命館大学・食マネジメント学部のブランディング (右)鼻毛通知代理サービス「チョロリ」

(左)立命館大学・食マネジメント学部のブランディング (右)鼻毛通知代理サービス「チョロリ

ZIZOを紹介してくれるのはこの人!

株式会社ZIZO 代表取締役の川口智士さん。1977年生まれ、京都府出身。同志社大学を卒業後、リクルートメディアコミュニケーションを経て、2010年にZIZOを設立。キャンペーン、WEBサイト構築、WEBマーケティング、コミュニケーションデザインなどを幅広く手がけている(画像提供:ZIZO)

株式会社ZIZO 代表取締役の川口智士さん。1977年生まれ、京都府出身。同志社大学を卒業後、リクルートメディアコミュニケーションを経て、2010年にZIZOを設立。キャンペーン、WEBサイト構築、WEBマーケティング、コミュニケーションデザインなどを幅広く手がけている(画像提供:ZIZO)

Q. うつぼの好きなところは?

「モラトリアムな漫画に出てくる街」みたいだなと思います。夕方にその辺を歩いていたら、知り合いのデザイナーさんにばったり会って店に連れ込まれ、そのまま深夜まで8時間くらい飲んだこともあります(笑)。

Q. 普段の仕事内容を教えてください。

プロモーション企画・サイト構築・ブランディングの大筋の流れを決めることが多いです。

Q. どんなときに仕事のやりがいを感じますか?

ややこしい課題をアイデアで解決したとき。一応、代表なので働き方や社内制度なども含めて、社員が働きやすくなるような環境づくりをするのが好きですね。

Q. 自社のいちばんの魅力は?

自主性と多様性を尊重していること。非生産的なことや不合理なことを徹底的に排除しています。あと、毎年みんなで海外旅行に行けるのも魅力のひとつかも。

ZIZOの社内の様子。ゆったりとしたフリースペースでは作業もはかどる(画像提供:ZIZO)

ZIZOの社内の様子。ゆったりとしたフリースペースでは作業もはかどる(画像提供:ZIZO)

Q. 職場はどんな環境ですか?

ある一定のグレード以上の社員は、裁量労働制でリモートワークOKです。制作会社にしては労働時間が短く、有休取得率は100%に近いと思います。

評価の基準や方法をガッチリ決めていて、給与もすべてオープン。誰がいくらもらっているのかがわかるので、納得感を持ちながら働ける環境だと思います。また、約50人のメンバーのうち、スペイン・フランス・ベルギー・台湾などの外国出身者もいて、グローバルな雰囲気があります。

Q. 新たにメンバーを迎え入れるとしたら、どんな人が合いそう?

仕事ができるのはもちろん、性格良い人が理想です!

ZIZOが募集中の職種

[募集職種]プランナー、ディレクター、デザイナー、エンジニア

2. 株式会社ドリッパーズ

「世の中にとって有意義なものづくりとは何か」を考え、本質的なクリエイティブを提供するドリッパーズ。WEBやグラフィックなどのクリエティブ施策を中心に、映像・プロダクト・コンテンツなどのコンセプト策定から企画・制作・運営まで幅広く手がけています。自社ツールでは、ロンドンのデザインアワード『D&AD』や優れたDMを表彰する『全日本DM大賞』などで賞を獲得しています。
[ホームページ]https://drippers.co.jp

(左)ワコール新ライン「Lucest」(画像左)の立ち上げのクリエイティブ (右)カワサキモータースの販促物、広報サポートなどを手がける

(左)ワコール新ライン「Lucest」(画像左)の立ち上げのクリエイティブ (右)カワサキモータースの販促物、広報サポートなどを手がける

ドリッパーズを紹介してくれるのはこの人!

株式会社ドリッパーズ アートディレクター・デザイナー・フォトレタッチャーの田村 緒里絵さん。1984年生まれ、兵庫県神戸市出身。服飾専門学校でグラフィックデザインに興味を持ち、複数のデザイン会社でビジュアル制作に従事。2016年にドリッパーズの立ち上げに参画し現在に至る(画像提供:ドリッパーズ)

株式会社ドリッパーズ アートディレクター・デザイナー・フォトレタッチャーの田村 緒里絵さん。1984年生まれ、兵庫県神戸市出身。服飾専門学校でグラフィックデザインに興味を持ち、複数のデザイン会社でビジュアル制作に従事。2016年にドリッパーズの立ち上げに参画し現在に至る(画像提供:ドリッパーズ)

Q. うつぼの好きなところは?

自転車だと10分圏内にミナミもキタもある好立地なのに、意外とお手頃な物件が多いところ。また、性別や年齢問わず同業種の方と交流できる風土があり、山登りやキャンプ、ライブやフェスにも一緒に行きます。遊びも楽しみますが、結局いつも最後はものづくりの話になり、それがまた楽しいですね。

Q. 普段の仕事内容を教えてください。

最近では、ワコールの新ブランド「Lucest(ルーチェスト)」のクリエイティブワークを担当しています。グラフィック、WEB、プロダクトのデザインをはじめ、フォトディレクションやフォトレタッチも行います。得意領域は、ブランドイメージを表現するビジュアルデザインです。

Q. どんなときに仕事のやりがいを感じますか?

イメージしたビジュアルをかたちにしていくことに、とてもやりがいを感じます。苦しいときもありますが、制作スタッフが同じ方向を目指し、自分一人の力を超えるものをつくり上げていく工程は、冒険そのものです。

Q. 職場はどんな環境ですか?

「個人の成長が、会社の成長になる」という考えを持った会社なので、プライベートワークにも寛容です。外部の勉強会やセミナーは業務時間内であっても参加できます。あと、ハンドドリップのおいしいコーヒーがいつでも淹れられるのは、うちの会社ならではの贅沢です。

ペーパードリップやサイフォンなど、仕事の合間に好きなコーヒーを淹れられる(画像提供:ドリッパーズ)

ペーパードリップやサイフォンなど、仕事の合間に好きなコーヒーを淹れられる(画像提供:ドリッパーズ)

Q. 自社のいちばんの魅力は?

クライアント案件だけでなく、自社プロジェクトでの年賀状や周年ツールの制作を通して、新しい表現やプロトタイプにも挑戦できます。また、業務範囲も多岐にわたる分、こだわりを制作物に反映しやすい。デザイナーが高いパフォーマンスを発揮できる環境だと思います。

Q. 新たにメンバーを迎え入れるとしたら、どんな人が合いそうですか?

ドリッパーズの一員であることに自覚を持ち、こだわりやプライドを持って、チームプレーを楽しめる人がいいと思います。ひとつの仕事の終わりにうまいビールで乾杯できる、竹を割ったような性格の人求む!

ドリッパーズが募集中の職種

[募集職種]アートディレクター、デザイナー、ディレクター、フロントエンドエンジニア(すべて中途)

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「面白さ」を追求するのも大阪ならでは。枠にとらわれない仕事が得意なDADANと人間

「面白さ」にこだわるのも大阪ならでは。枠にとらわれない仕事が得意なDADANと人間

3.DADAN

いま大阪でいちばん面白い映像をつくっている会社と自負するDADAN。アイドルのプロデュースや、千鳥・大悟さんが出演するET-KING × IndeedのPV制作のほか、CMや動画の企画や演出、新VI開発のコンセプトメイクなどを行っています。映像制作が好きで好きでたまらないメンバーが集まり、傑作を生み出しています。
[ホームページ]https://dadaninc.com

大阪の恒例アイドル「オバチャーン」(画像左)や生野銀山マネキン地下アイドル「GINZAN BOYZ」(画像右)のプロデュースを手がける

大阪の恒例アイドル「オバチャーン」(画像左)や生野銀山マネキン地下アイドル「GINZAN BOYZ」(画像右)のプロデュースを手がける

DADANを紹介してくれるのはこの人!

株式会社DADAN 代表取締役兼クリエーティブディレクターの日座裕介さん。早稲田大学を卒業後、TYO、電通関西を経て、クリエイティブカンパニーDADAN設立。CMや動画の企画演出をメインに、アイドルプロデュースも手がける。世の中を楽しくする仕掛けを生み出すクリエイティブディレクター(画像提供:DADAN)

株式会社DADAN 代表取締役兼クリエーティブディレクターの日座裕介さん。早稲田大学を卒業後、TYO、電通関西を経て、クリエイティブカンパニーDADAN設立。CMや動画の企画演出をメインに、アイドルプロデュースも手がける。世の中を楽しくする仕掛けを生み出すクリエイティブディレクター(画像提供:DADAN)

Q. うつぼの好きなところは?

うつぼ公園です。発想がわかないときに公園を歩くとかなりリフレッシュできて、斬新なアイデアを思いつくことがよくあります。個人的には、家から職場まで歩いて通えるのも魅力。通勤で満員電車に乗らなくて良いのは、かなりのストレスフリーですね。まあ、そもそも大阪の電車は東京に比べると、そこまで混まないですけどね。

Q. どんなときに仕事のやりがいを感じますか?

自分の面白いと思うものをつくり、人を喜ばせることです。

Q. 自社のいちばんの魅力は?

映像ディレクターやカメラマン、モーショングラフィッカーなどさまざまなクリエイターが集まって、日々刺激し合いながら面白い映像をつくっています。従来のプロダクションとは違うクリエイターファーストの仕事場です。

多種多様なクリエイターが集まるDADANのオフィス(画像提供:DADAN)

多種多様なクリエイターが集まるDADANのオフィス(画像提供:DADAN)

Q. 職場はどんな環境ですか?

正直ブラックです。みんな夜遅くまで仕事しますし、土日も関係ありません。なぜなら、諦めて中途半端なものをつくりたくないからです。

面白いものは死にものぐるいで追及しなければ生まれません。傑作を生み出すために、寝るとき、食うとき、飲むとき以外はすべて仕事に費やすぐらいの気合いでみんな働いています。

Q. 新たにメンバーを迎え入れるとしたら、どんな人が合いそう?

とにかく映像が大好きで、大阪で活躍したいと考えている若き映像クリエイターですね。もしくは、クリエイターの情熱や働き方に理解があり、マネージメントしたい方を求めています!

DADANが募集中の職種

[募集職種]映像クリエーター(案件ごと契約)、マネージャー(契約)、アシスタント(アルバイト)

4. 人間

「面白くて変なことを考えている」をモットーに、ジャンルの枠にとらわれない企画を手がけるデザイン会社、人間。大手企業の広告、ブランディング、WEBメディアの運営や制作なども手がけています。「やりたいことはやってみる」というやる気を大切にしている会社です。
[ホームページ]https://2ngen.jp

(左)昨年の勤労感謝の日に行ったブラック企業体験イベントの『THE BLACK HOLIDAY』 (右)m-floの☆Taku Takahashi氏とコラボしたアンダーヘアの音楽プロジェクト「PUBIC HAIR GROOVING」

(左)昨年の勤労感謝の日に行ったブラック企業体験イベントの『THE BLACK HOLIDAY』 (右)m-floの☆Taku Takahashi氏とコラボしたアンダーヘアの音楽プロジェクト「PUBIC HAIR GROOVING

株式会社人間を紹介してくれるのはこの人!

株式会社人間 デストロイヤー兼人間編集部編集長のトミモトリエさん。1976年生まれ、東京都出身。ファッションデザイナーからWEB業界に転身。自分を生中継し続けるブログや人間レンタルサービスを立ち上げ、「ダダ漏れ女子」として話題に。2014年大阪へ活動の拠点を移し、人間に入社(画像提供:人間)

株式会社人間 デストロイヤー兼人間編集部編集長のトミモトリエさん。1976年生まれ、東京都出身。ファッションデザイナーからWEB業界に転身。自分を生中継し続けるブログや人間レンタルサービスを立ち上げ、「ダダ漏れ女子」として話題に。2014年大阪へ活動の拠点を移し、人間に入社(画像提供:人間)

Q. うつぼの好きなところは?

うつぼ公園を中心に、自宅から自転車10分圏内に会社・クライアント・行きつけのお店などが密集しているので、仲の良い人たちと気軽に会えるところです。ランチで入ったお店に誰かしら知り合いがいたり、近所の会社にフラっと遊びに行ったり。

業界の集まりという気取った感じではなく、ごく普通の近所付き合いができるのが良いですね。あと、私はカレーが好きなので、大阪で人気のスパイスカレー屋さんが集中しているのも好きなところのひとつです(笑)。

Q. 普段の仕事内容を教えてください。

メインで担当させていただいているのは、近畿大学です。入試情報サイトやオープンキャンパス、ニュースサイトの運営など、真面目な仕事から大学の枠を超えたぶっ飛んだ企画まで、作業域は多岐にわたります。

そのほかにも、商業施設などで体験型イベントの企画・脚本・演出などを担当しています。あと、大阪のWEB業界全体を盛り上げるべく社内で「人間編集部」を立ち上げ、記事の企画と編集をとおして、面白い人が集まる場所づくりをしています。

Q. どんなときに仕事のやりがいを感じますか?

自分がつくったもので、誰かの人生に変化や影響を与えることができたときですね。特にイベントの仕事は、お客さんの「心が動く瞬間」を目の前で見ることができるのでやりがいを感じます。

トミモトリエさんが手がけた、近畿大学の斬新なオープンキャンパス『ゾンビだらけのサイエンスパニック』(画像提供:人間)

トミモトリエさんが手がけた、近畿大学の斬新なオープンキャンパス『ゾンビだらけのサイエンスパニック』(画像提供:人間)

Q. 職場の魅力は?

凸凹で、歪んだまま成り立っているところですね。優れた才能はあるけど、どこか欠落している人が多い。でも、欠落している部分はほかの誰かが自然と補足しています。

株式会社人間にやってくる人たちは、過去に大きな挫折を経験したり、社会に適合できなくて悩んでいたり、何かしらの「生きづらさ」を抱えている人が多いんですが、そういう人たちが水を得た魚のように生き生きして仕事をしていますね(笑)。とにかく自由で、開放される環境が良いところかなと。とはいえ、全員仕事に対しては真面目です。

Q. 新たにメンバーを迎え入れるとしたら、どんな人が合いそうですか?

いろんな意味で「予想外」「規格外」な人に来てほしいです。面白くて魅力的な人が来たら「その人のために場所も仕事もつくる」というくらい柔軟な会社。東京のみならず、いまいる環境で自分を出せずにくすぶっている方はぜひ。大阪に来たら一緒に飲みましょう!

人間が募集中の職種

[募集職種]デザイナー、プログラマー、ディレクター、コピーライター(すべて中途)

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