伸ばしたいのは「人間力」。ティー・ワイ・オーの若手が語る、プロダクションマネージャーのやりがい
- 2017/07/28
- FEATURE
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- 取材・文:加藤将太
- 撮影:豊島望
実践あるのみ! 仕事のスキルは現場で磨く
4大マスメディア、俗に言う「4マス」とはテレビ、新聞、雑誌、ラジオのことを指す。これらのメディアが主に企業プロモーションとして活用されてきたが、このところのインターネット広告市場の拡大により状況は日々シフトしている。たとえば、ティー・ワイ・オーのような大手プロダクションにも、従来のTV-CMだけでなくWEB-CMの制作依頼が増えてきている。しかし、WEB-CMの比重が増す現代だからこそ、TV-CMの醍醐味も際立ってきているのだという。
佐藤:WEB-CMは特定のユーザーにしか届きにくいジャンルなので、そういう意味ではTV-CMの方が影響力は大きいと感じています。WEBは特定少数、テレビは不特定多数という住み分けですね。「あの商品のCM見たことあるよ」と言われるのは圧倒的にTV-CMの方が多いですし、周りのリアクションを通して実感を得られることも嬉しいですね。
町田:TV-CMの方がタレントさんをはじめ、監督やカメラマンも大御所が多いので、大変だなと思いつつも、表現の幅は圧倒的に広いです。WEB-CMはTV-CMに比べて予算が低いケースが多く、カメラマンが一人だったり、照明がないこともよくあります。
彼らプロダクションマネージャーの仕事内容は、制作チームの進行管理、資料作成、制作予算管理など各種調整が主な業務だ。言い換えると、制作をスムーズに進行させるために必要不可欠なポジション。また、出演者と制作スタッフ合わせて10人規模の案件でも、100人規模の案件でも、ティー・ワイ・オーではひとつのプロジェクトに対してプロダクションマネージャーは基本的に一人がメインで担当するのだという。社会への影響力が大きい仕事なだけに、一筋縄ではいかない大変なイメージを抱いてしまうが、仕事のやりがいはどんなところにあるのだろうか。
鈴木:関係者とのコミュニケーションやスケジュールの管理など、本当に基本的なことですが、それこそが仕事の魅力じゃないかと。他の仕事とは比べものにならないくらい、いわゆる「人間力」のようなものが学べると思うんです。立場も年齢も職種もバラバラな人たちと関われるので自分磨きになりますし、その分刺激もたくさん受けますね。
佐藤:私は入社して6年が経ちますが、いまだに撮影の前日はプレッシャーを感じて、正直「明日の現場、なくならないかな」って逃げたくなることがあります(苦笑)。でも、終わってみれば楽しかったなって思うんですよね。大変な案件であればあるほど、達成感を得ることができます。撮影の打ち上げで、プロデューサーから「また一緒に仕事しような!」って言われたら、もう嬉しくて泣きたくなるくらい。その度に、次も頑張ろうと思えるんです。
鈴木:あと、大御所のスタッフが勢ぞろいの現場だと、皆さんがやりたいことを主張し合うので、それぞれの間に入って予算やスケジュールを調整しなければなりません。本来は円滑に進めていくためのクッションにならなきゃいけないのですが、板ばさみになってしまうこともあります。それと、「このプロジェクトが本当にクライアントに喜ばれるものになっているか」という判断をしたり、できることとできないことを見極めて作品のクオリティの管理をしたり、客観的な視点やバランス感覚も重要です。経験を積んで得た知識が、現場で揉まれながらスキルとして高められていくというか。まさに実践あるのみなので、毎回が勉強です。
西岡:僕がもっとも醍醐味と感じるのは、日常生活では絶対に管理できない金額を扱えるということですね。20代前半で数千万円という大きな金額をやりくりするなんて滅多にないと思いますし、それを管理する裁量が与えられているのは大きなやりがいを感じますね。それこそ予算が1億を超えるような大きな案件もあるので、いつか自分の手で動かしてみたいという野望はあります。
デスクワークと現場、その割合は?
新卒で入社した4人はもともとCM制作会社への入社を学生の頃から希望していた。他の業界と比べ多忙であることは十分に理解していた彼らが、入社してもっとも驚いたのがデスクワークの多さだったという。
町田:忙しい業界であることは覚悟の上で入社していましたけど、こんなに資料をつくっている時間が長いとは思わなかったですね。プロダクションマネージャーはもっと外で動き回っているイメージでした。でも実際、私たちが現場に出ている割合は全体の2割程度なんですよ。
佐藤:パソコンのスキルは必須ですね。はじめ私はMacの電源のつけ方もわからなければ、DVDの出し方もわからなくて(笑)。そのレベルだったから、いかに読みやすい資料をつくれるかなんてもっての他でした。先輩から教えてもらいつつ、実践を通して習得していきましたが、逆に自分が後輩に教えるポジションになると、いろいろと難しい問題に直面しましたね。今、社内には「メンター研修」という、人を育成・指導する方法を学ぶ研修があるんです。なかなか独学で得られる知識ではないので、本当に役立っていますね。
プロダクションマネージャーがつくらなければいけない資料とは一体どのようなものなのだろうか。
西岡:内容は香盤表や衣装、ロケーションに関わるものなど、本当に様々です。それぞれをクライアント用、スタッフ用に分けて作成することもあります。僕らがつくる資料ひとつで、監督やディレクターが想い描いていることを表現することができるので、とても重要な作業なんです。誰が、何を求めているのかを常に考えていますね。
鈴木:僕らの仕事って社外に発注するときは、必ず資料が必要なんですよ。CM1本つくるにしても、1社だけで完結することはそれほど多くありません。なので、きちんと資料をつくってある程度の発注を終わらせると撮影までスムーズに進んでいくというか。制作の準備段階に忙しさのピークを迎えて、撮影本番に向けて落ち着いていくというのが理想の進め方ですね。
佐藤:資料づくりもそうですけど、撮影直前の段階でここまで資料集め(リサーチ)をしているとは思わなかったです。ある意味、資料づくりの集大成が撮影という感じですね。
町田:私たちはCMの企画からテレビ局への納品までが仕事なので、もちろん撮影後の編集にも立ち会います。全行程に深く関わるので、プロダクションマネージャーの仕事って本当に多岐にわたるんですよ。
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- 「自分がプロジェクトの中心にいるんだという実感が強い仕事です」
「自分がプロジェクトの中心にいるんだという実感が強い仕事です」
4人が語ってくれた通り、プロダクションマネージャーという仕事は、とにかくコミュニケーションや調整する能力が問われる。逆に、デザインやムービー、スチール撮影という専門的な知識や技術が求められることは少ないそうだ。もちろん知識があるに越したことはないが、そういう意味では基本的な社会人スキルさえ満たしていれば、ハードルが低い職種のように感じられる。
鈴木:先ほども話しましたが、やはり人間力を育てるにはうってつけの職種だと思います。人と話すのが好き、人と人の間に立つ役割になりたいとか、自発的にコミュニケーションを取ることが得意な人に向いていると思いますね。
佐藤:私もそう思います。たとえば、専門職じゃないのに美術部の担当者と話をしなければならない場面でも、コミュニケーション能力さえあれば大丈夫。いざとなれば、スタッフやカメラマンに聞いて解決できますしね。大事なのは、一人で何もかも抱え込むのではく、周りと協力しながら前に進める力だと思います。
町田:周りとの協力には、「人」を頼るだけではなくて「会社の制度」をうまく使うということも含まれると思います。最近だとデジタル・プロモーションを学ぶ研修があって。自分たちの専門分野以外の知識を身につけられるチャンスが多くあるので、これからCM制作の道を志したいと考える人にとっては貴重な環境だと思いますね。
西岡:クリエイティブに関係ない業界で働いていた人でもできる仕事だと思います。意外と合っているのは経理の経験がある人かも。お金あっての仕事という意味では、制作予算の管理は重要ですからね。
町田:あとプロダクションスタッフの性格的に、全員が明るくてもダメというか。たとえば、明るい性格のプロデューサーはしっかりした雰囲気のプロダクションマネージャーと組みたがりますし、逆に緻密で内向的なプロデューサーはムードメーカー的なプロダクションマネージャーと組みたがるんです。明確な適性があるわけではなく、チームとしてのバランスや相性が大切なんですよね。
プロダクションマネージャーにはルーティンワークが存在しない。毎日関わる人が違えば、状況次第でやるべき仕事も変化していく。たしかに人と人の間に挟まるストレスはあるかもしれないが、プロダクションマネージャーが案件からいなくなると、制作の進行が止まってしまう。それほどに重要なポジションなのだ。
鈴木:自分がプロジェクトの中心にいるんだという実感は強いですね。仕事を動かさなければいけないという使命感が欲しい人にも向いているだろうし、刺激もあるはず。プロジェクト全体を見ているからこそ、当然責任も伴いますが、楽しい仕事であることは間違いないです。
人間力を高め、これからの働き方を考える
CM制作の花形といえば、案件の総指揮を執るプロデューサーだ。一般的には、プロダクションマネージャーを経験した後にプロデューサーへ昇格していくが、4人は今後のキャリアをどのように描いているのだろうか。
町田:ステップアップとしてプロデューサーを目指す人もいれば、実務的なプロダクションマネージャーを続けたいという人もいます。そもそも、両者は一直線上にいますが、業務内容はまったく違うんですよ。私は制作の現場が好きなので、プロダクションマネージャーを今後も続けたいと考えています。
西岡:僕はプロデューサーになりたいですね。今は若手クリエイターにもマルチタスクをこなせる人が増えているので、ゆくゆくはプロデューサーとプランニングの両方をやっていきたいと考えています。そのためには自らのできる範囲を広げていかなければなりません。また、仕事の流れも変えていきたいですね。今はクライアントが監督に直接依頼して、監督から制作会社に仕事が降りてくるという流れができつつある。そうなると僕たちの裁量も増え、チャレンジできる幅も広がるかもしれません。
佐藤:この業界は、女性のプロデューサーが少ないんですよ。でも、それは仕方ないことだと思うんです。仕事が辛いというよりも女性としてどう生きるかという問題が関わっているというか。「佐藤らしいプロデューサー像をつくればいいよ!」と周りからは言われるんですけど(苦笑)、前例がないから諦めるというよりは実際に自分がどこまでできるのかを探りながらやっているのが現状ですね。もちろん目指すとなったら、プロフェッショナルになりたいと思っています。
働き方をさらに広義に捉えると、それはプロダクションマネージャーという職種、ひいてはCMプロダクションにおける働き方にも及んでくる。
鈴木:僕はプロデューサーになりたいかどうかをまだ考えている段階ですが、それとは別に解決しなければならない問題があると思っています。プロダクションマネージャーという仕事には昔ながらの泥臭いイメージがあって。それを一つひとつ改善していきたいんです。僕らから健全に働ける環境をつくらなきゃいけないし、そうしないとCM制作を目指す人たちが減ってしまい、業界自体も活性化しない。まずは目の前の環境を少しずつ変えて、一人ひとりが楽しく働ければいいなと思っています。
Profile
ティー・ワイ・オーはあらゆる広告コンテンツの戦略立案・企画・制作を行っている日本トップクラスの広告映像制作会社です。
自動車、ビール、化粧品をはじめとした国内有数の大手クライアントの広告映像を手がけており、カンヌライオンズなど国内外の広告賞も多数受賞しています。
今回募集するプロダクションコーディネーターは、これらの広告映像を制作しているスタッフを、会社の根幹から支える重要なポジションです。まずは制作スタッフをサポートする庶務業務から仕事を覚えていただき、ゆくゆくは所属部門に留まらず、社内の環境やシステムなどの改善業務にも、部門横断的に取り組んでいただきます。
制作スタッフと会社の成長および変化を楽しめる方、お待ちしています!