
全員がお店のプロデューサー。日々の暮らしにアートを注入する、スパイラルマーケットの「心」
- 2015.10.20
- FEATURE
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- 取材・文:阿部美香
- 撮影:豊島望
ディスプレイも、お店の個性を活かしながら自分で考える
「スパイラルマーケット」は30年前、青山「スパイラル」オープンに伴って開店したライフスタイルショップ。80年代より、アートとカルチャーを愛する高感度な人々から高い支持を集めている。
石山:複合文化施設であるスパイラルはその言葉の通り、コンテンポラリーアートの展覧会をはじめ生活雑貨、飲食、美容などアートとカルチャーを様々な形でご紹介しています。施設の中でも、スパイラルマーケットが掲げるのは「エターナルデザイン」というコンセプト。時代の移ろいに左右されないことはもちろん、独立や結婚など、ライフステージや生活環境が変化しても、永く愛用できるアイテムが揃っていることが大きな魅力だと思います。生活雑貨を新調するときに、スパイラルマーケットを思い出していただけたら嬉しいですね。
ショップ内のコーナーディスプレイに、ショップスタッフのクリエイティビティが発揮されるのもスパイラルマーケットらしさ。勤続年数の少ないスタッフもそれぞれ担当を持ち、商品管理とコーナーディスプレイを手がけている。
久世:ディスプレイする時は、ただ商品を並べるのではなく、作り手の魅力、商品の最も魅力的な部分がいちばん伝わるディスプレイを心掛けています。同じ商品でも、他のアイテムと組み合わせることで使用シーンが想像できるようになる。商品を身近に感じていただける工夫は、常に意識しています。
石山:私は入社してもう少しで1年くらいなのですが、キッチン・テーブルウェアのコーナーを担当しています。商品数も多く、扱っている作家さんやメーカーさんの数も多い。個別の商品の魅力を引き出しながら、コーナー全体のバランスを失わないディスプレイを考えるのが楽しいです。
「+S」Spiral Market二子玉川では、店舗の特徴を意識した取り組みをしている。
田中:二子玉川店では、黒板を使っておすすめの商品をご紹介するなど、お客様の気持ちにより訴えかけるディスプレイを心掛けています。家族連れのお客様も多い土地柄なので、クールで整理整頓され過ぎている店構えでは、商品を手にとっていただきにくい。温かみのあるアイテムの見せ方は意識しています。
久世:ディスプレイ作りは、お客様の反応をダイレクトに感じられることが、いちばんの醍醐味です。朝、ディスプレイや並べる場所を変えた商品がいきなり売れたりすると、「やった!」と嬉しくなります。
「商品を売る」だけがショップスタッフの仕事ではない
スパイラルマーケットは、店舗の立地によって客層が少しずつ異なる。たとえば青山店のメイン顧客層はものづくりやアートに興味のある方が中心。他店に比べて男性客も多いという。田中さんが店長を務める「+S」Spiral Market 二子玉川は、近隣にお住まいのファミリー層。丸の内は東京駅に直結しているので、観光客やビジネスワーカーが中心だそうだ。いずれも生活にゆとりとこだわりを持った、目の肥えたお客様が多い。それゆえ、商品のセレクトには大変気を使っているという。
池川:基本的に新しい商品はバイヤーが推薦しますが、どんなに小さな商品でも必ず会議にかけて選びます。その会議にはバイヤー、各ショップの店長と販促・ディスプレイ担当が顔を揃えて、全員で話し合って仕入れるか仕入れないかを決めていきます。バイヤーひとりの目線でなく、お客様の好みをよく知るショップスタッフの視点も大切にするのが、スパイラルマーケット流。いくらバイヤーがいい品だと推しても、ショップスタッフがダメと言えば、あっさり却下されるんですよ(笑)。
ショップのイメージに合うか、使い心地はいいか、価格と品質が見合っているかなど、厳しい基準をクリアしたものだけが店頭に並ぶのだ。
池川:僕自身もそうだったんですが、スパイラルマーケットでは入社すると、全員がショップスタッフからスタートします。センスの良い人でも、実際にお客様と接することでしか生の声や感覚は掴むことができません。まずはショップスタッフとして、たくさんのお客様を接客し、たくさんの商品に触れることで「スパイラルマーケットらしさ」を理解し、商品をセレクトしています。
田中:もうひとつ、スパイラルマーケットで大切にしているのは、商品が作られた背景です。スパイラルマーケットは“生活とアートの融合”を謳ったスパイラルのコンセプトを受け継いで、開店初期はミュージアムショップ的な尖った品揃えを中心にしてきました。現在は、より日々の生活に寄り添うアイテムを提案していますが、その心は変わっていません。デザイナー、クリエイターの想いが強く、こだわりのあるものを選びます。
池川:同時に、そういう想いがあふれたスパイラルマーケット独自のオリジナル商品開発にも、近年は力を入れています。海外で人気が出てきているデザイナーグループ、服飾デザイナーの方々とコラボレートしたものづくりは、生まれてくるものもすごく面白いです。そんなオリジナル商品も、開発途中ではショップスタッフの意見を参考にする。企画開発担当者だけでなく全員で商品をつくっているからこそ、自信と愛情を持ってお客様におすすめできます。
青山は、ビル1階の歩道に面したガラス張りのイベントショップ「ショウケース」もスパイラルマーケットが担当。扱う作家やメーカーのセレクト、ディスプレイ企画を池川さんが取り仕切っている。
池川:「ショウケース」はスパイラル全体の顔となる場所でもあるので、話題性のある商品、個性あるデザイナーさんをセレクトします。ディスプレイも、スパイラルマーケット店内とは異なり、毎イベントひとつのお店を作るように、飾り方を工夫し、商品展開も多めにしています。ときには2階ショップとも連動し、作り手の魅力がより伝わる工夫をできるのが醍醐味です。
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- 他店の商品でもラッピング? スタッフの創造性を活かしたサービス
他店の商品でもラッピング? スタッフの創造性を活かしたサービス
接客にもスパイラルマーケットならではのポリシーがある。その心掛けとは、“思いやり”と“ほどよい距離感”だ。
石山:常に心掛けているのは、こちらから積極的にお声がけするよりも、お客様が迷われているとき、悩まれているときに親身になって対応させていただくこと。お望みの際は、それをひとつひとつ手に取ってご説明し、納得のいくまでじっくりと選んでいただいています。
池川:ギフトを選ばれるお客様も多いので、贈るお相手のことも丁寧に伺って、一緒に選ばせていただきますね。他店で購入された商品でも、当店のラッピングアイテムをお求めいただければ、有料でお相手に合わせたラッピングをさせていただきます。
久世:スパイラルマーケットは、全スタッフがこだわって作り上げたお店の空間そのものが魅力です。お客様に、私たちの“楽しい気持ち”が伝わるディスプレイづくりや接客をして、さらに幅広い仕事を任せてもらえるよう頑張りたいと思っています。
お店の魅力を作り出しているのがそれぞれのスタッフ。いわば、ショップスタッフ全員がお店のプロデューサーだ。そこには、全員が「スパイラルマーケットが好き」という強い気持ちを抱いて、ここで働くようになったという経緯があった。
石山:私は新卒で筆記具のメーカーに入社して営業をしていたんですが、販売店頼みの営業職では、いくらいい商品でも直接お客様にオススメできないことに、ジレンマを感じて。そこで、ショップスタッフとしてお客様に対して、直に商品の橋渡しをしたいと考え、スパイラルマーケットの契約社員の募集に応募したんです。
田中さんも、美大生だった学生時代から青山スパイラルのギャラリーに通っていたスパイラルファン。
田中:憧れのスパイラルで働きたくて、納品業務の学生アルバイトを始めたのが、スパイラルマーケット勤務のスタート。そのまま、大学卒業後に社員採用試験を受けて、ショップスタッフ、バイヤーなど幅広く経験し、2012年からは「+S」Spiral Market二子玉川の店長をしています。
田中さんは勤続10年以上。これまでの勤務経験のなかで、様々なポジションを経験してきた。
田中:例えば、裏方の納品作業は、ひとつひとつのアイテムにとても愛着が湧きます。それがショップ店頭に出ると、その商品への愛情がより深まり、「ぜひ、この商品を手にとってほしい、使ってみてほしい」と思うようになる。さらに仕入れや新規店舗の立ち上げを担当すると、お客様が求める“スパイラルマーケットらしさ”というものを改めて考える。店長になると、地域に対してスパイラルマーケットがどうアプローチできるかという意識が高まります。それぞれのポジションでそれぞれのやりがいと成長があります。
スパイラルマーケットが目指すこれからの姿
そして今年、スパイラルは30周年を迎えた。スパイラルマーケットでもショップの現場にいるスタッフはこれからをどう考え、どう働いていきたいと感じているのだろう。
池川:直接携わっているスパイラルマーケットはもちろんですが、その背景にある「スパイラル」という存在、“生活とアートの融合”というコンセプトを、広くみなさんに知っていただきたい。それが私たちの大きな願いになると思います。そのためには、販売促進やPRも積極的に行なっていきたいですし、二子玉川店、丸の内店のような多店舗化も目指すべき方向だと思います。
田中:実際、二子玉川店は青山店とは違った地域密着のお店作りをしていますが、青山のスパイラルマーケットの仲間であることが、商品に対する信頼感にも繋がり、安心してお買い物をしていただける気持ちにも繋がる。私たちが“スパイラルマーケットらしさ”を大切にして、より多くのお店で楽しく働くことが、いちばん大切なのではないかと感じています。
久世:スパイラルマーケットのスタッフは、幅広く仕事を任されるマルチプレイヤー。数字の管理や企画もすれば、脚立にも登るし段ボールも運びます。タフさも要求される、大変な仕事ではありますが……。お客様への思いやりと共に、商品の良さを伝えたいという情熱、明るさが売り上げにも繋がるというのは、この仕事の楽しいところだと感じています。
池川:今後は、オリジナル商品企画開発にももっと注力していくので、雑貨に興味のある方、“生活”にこだわりのある方、接客を通して、商品や作り手の想いをお客様へ伝えていただける方に仲間になってもらいたいです。
Profile

Spiral Marketは、生活に溶け込み、永く愛用できる雑貨を扱うセレクトショップ。「エターナルデザイン」をコンセプトに、ファッションからインテリア、食器、ステーショナリーまで、さまざまなプロダクトが集まっています。
暮らしのなかで実際に手に取るアイテムだからこそ、使う方のライフスタイルに合うものをご紹介したい。そんな気持ちから、私たちはお客さまのご要望に合わせて一緒に商品を選ぶ過程を大事にしています。大切な方へのギフトのご相談を受けることも多く、期待を超える提案ができたときの嬉しさはSpiral Marketで働く醍醐味です。
アート性の高い雑貨を多く取り扱っているため、作品にこめられたストーリーや作り手の想いを知ることも販売スタッフの仕事。商品の勉強会も定期的に開催されているので、お客さまにどんなことを聞かれても答えられる「雑貨のプロ」を目指せます。
さらに、季節ごとに変更するディスプレイづくりや、店内で開催されるイベントの運営に携わっていただいたり、接客に留まらない仕事の幅も魅力のひとつ。商品を華やかに演出するラッピング技術も身につきます。
国内外からセレクトした素晴らしいプロダクトに囲まれ、感度の高いお客さまと接することで、自らのセンスも養われる。気づけば普段の生活でも「丁寧な暮らし」を心がけたくなるかも! 接客以上の仕事にもチャレンジもしやすい環境で、アートを身近に感じる豊かなライフスタイルを実現しませんか?