CINRA

SHIBUYA TSUTAYAを、より面白く。「いま」を拡張する企画力とは

「100年に一度」ともいわれる再開発が進んでいる渋谷では、渋谷ストリーム、渋谷スクランブルスクエア、新生・渋谷PARCOなど新しい商業施設が次々にオープンし、都市の再構築が進んでいる。

そうした渦中で、スクランブル交差点前の「SHIBUYA TSUTAYA」でも、2019年12月のオープン20周年を機に、音楽、アート、ファッション、ジェンダーなどさまざまな視点で切り取り、次世代に向けて文化を発信できる場所へと変えていくというのだ。

実際、クリエイターとのコラボイベントや作品の出版などのプロジェクトが実現された。こうした取り組みを通じて、SHIBUYA TSUTAYAはどのような未来を目指しているのだろうか。プロジェクトにアドバイザーとして携わる山田 APACHE 悠大さんと、「SHIBUYA TSUTAYA」専任広報の塘さんにうかがった。
  • 取材・文:村上広大
  • 撮影:玉村敬太
  • 編集:服部桃子(CINRA)

開業から20年目。SHIBUYA TSUTAYAが行ってきた変革

「SHIBUYA TSUTAYA」が誕生したのは、いまから約20年前の1999年。時代に沿ったコンテンツの楽しみ方を提案し、発信していく場として生まれたという。

塘:たとえば、1999年のオープンから1年後にDVD視聴機能がついたプレイステーション2が発売されたことで、世の中に映画を「DVDで観る」という新しいスタイルが浸透しはじめました。そのタイミングでSHIBUYA TSUTAYAでも地下フロアにあったDVDの販売フロアを1階へ移し、「これからはビデオではなくDVDで映画を楽しむ時代」という提案を行ってきました。

一方で、ここ数年でコンテンツの楽しみ方は大きく変化しました。サブスクリプションモデルのストリーミングサービスが一般的になり、SNSの普及によって個々の発信力も強くなりました。私たちはその流れを感じ取り、ともに変化していかなければならないと思ったのです。

「SHIBUYA TSUTAYA」専任広報 塘慶太さん

「SHIBUYA TSUTAYA」専任広報 塘慶太さん

時代の流れにあわせて、2015年には、6階・7階フロアを吹き抜けの「BOOK & CAFE」に改築。2017年にはユニフォームも新調した。このときからSHIBUYA TSUTAYAのアドバイザーとして関わっているのが、APACHE株式会社のデザイナー山田 APACHE 悠大さんだ。

山田:当時のSHIBUYA TSUTAYA は、6階7階の改築と、フロア構成の変更を計画していました。それに合わせてユニフォームも変えたいので、一緒に考えたいと、話がきたんです。「これからは、スタッフが裏方でなく、一歩前に出てお客さまとつながりコミュニケーションを取りながらTSUTAYAでやりたいことを実現できるようにしたい。そのために力を貸してほしい」。そんな意向をうかがいました。

ただ、スクランブル交差点の目の前に建つ、「渋谷を代表する存在」にふさわしいアイデンティティーをより確固たるものにするのがよいのではないかとも考えました。それをSHIBUYA TSUTAYAさんにお話したところ、ぜひそうしていきたい、と仰っていただいて。

そこで、ユニフォームデザインだけじゃなく、もう一歩踏み込んで、コンセプトの部分から参加させていただき、ともに話し合いを重ねていきました。皆さんと導き出した結論として、まずは率先してお客さまとコミュニケーションを取れる店舗づくりへと舵を切ることになりました。

APACHE株式会社 代表取締役 / デザイナー / 京都精華大学非常勤講師 山田APACHE悠大さん。「ぼくの役割は、企画をスケールさせるブレスト相手。いわばアイデアの壁打ち要員だと考えています」

APACHE株式会社 代表取締役 / デザイナー / 京都精華大学非常勤講師 山田APACHE悠大さん。「ぼくの役割は、企画をスケールさせるブレスト相手。いわばアイデアの壁打ち要員だと考えています」

現在のSHIBUYA TSUTAYA7階。中央にカフェスペースがある

現在のSHIBUYA TSUTAYA7階。中央にカフェスペースがある

塘:実現するための取り組みのひとつとしては、これまでのSHIBUYA TSUTAYAにない要素を取り入れようということで、いままでおつき合いのなかった企業や団体さんにお声がけしてイベントを企画するようになりました。

山田:その最初の事例として、街と、街に関わる人との関係性を深め、若手クリエイターの皆さんが、お店を起点にもう少し気軽に情報発信できるようになることを目的に、スタイリストの伏見京子さんが主宰するパフォーマンス集団「The HAPPENING(ハプニング)」と一緒にSHIBUYA TSUTAYA館内とセンター街を利用したストリートファッションショーを開催。ほかにも、クリエイターの作品を飾るパネル展なども開催しました。

塘:これをきっかけに、クリエイターさんなどのお客さまが増えたり、ファッション誌の売上が伸びたりと、今後の街との取り組みや、お店の目指すコミュニケーションの原型を見出すことができましたね。

「The HAPPENING」によるファッションショー

The HAPPENING」によるファッションショー

山田:ほかにも、訪日外国人客の数を伸ばすための施策を練るために、SHIBUYA TSUTAYAのスタッフと一緒に街に繰り出し、外国人が集まる居酒屋に足を運んでヒアリングをしたこともありましたね。

コミュニケーション方法の転換。クリエイターと顧客、双方向で盛り上げていく

顧客やクリエイターとの双方向的なコミュニケーションを目指し、さまざまな施策を打ったSHIBUYA TSUTAYA。だが、思わぬ壁にぶち当たることもあった。

塘:「SHIBUYA TSUTAYAは、気軽にイベント企画を持ち込める場所ではない」と考えているクリエイターの方々もいらっしゃいました。

そこで、2019年2月から多くのクリエイターと協力し、作品を写真集にまとめて出版したり、映画に関するトークイベントを開催したりしました。SHIBUYA TSUTAYAを発信地に、多くの才能がこの場所から巣立ってほしいという思いがありました。

また、6月と11月には『ニューシブヤパラダイス』と題したトークイベントを開催し、渋谷区副区長の澤田伸さんや、働き方の祭典『Tokyo Work Design Week』オーガナイザー横石崇さん、Paper Parade守田篤史さんをお招きして、「いまの渋谷に足りないもの、あってほしいもの」「いまのSHIBUYA TSUTAYAに足りないもの、SHIBUYA TSUTAYAにあってほしいもの」を一緒に考えましたね。

『ニューシブヤパラダイス』の様子

『ニューシブヤパラダイス』の様子

塘:こうした取り組みを通じて、これまでのSHIBUYA TSUTAYAだったら絶対に会えない人たちと出会い、つながり、コミュニケーションできるようになった実感があります。また、クリエイターの方々やお客さまからも「TSUTAYAがこんなことしてくれると思わなかった」、「こういうことしてくれるんだったら渋谷に行こうと思う」といった声をいただくようになりました。お店の新しい顧客価値とは何か考えながら、お客さまとスタッフがつながる新しい企画を数多く挑んだ1年でしたね。

山田:あらためて振り返ると、塘さんはじめスタッフの方々の活躍により、この1年間であらゆるカルチャーを取り込んで内外の活動に取り組めたと感じます。

そのなかでより強く感じるようになったのは、インターネットが主流になっているいま、どこの書店にもあるものを置いているだけでは、誰も魅力を感じてくれないということ。だからこそ、SHIBUYA TSUTAYAでしか買えないもの、体験できないことは何かを、スタッフの方々とともにいままで以上に考えていきたいと思っています。

渋谷らしさとは何か? 再び「0から100をつくる街」を目指して

近年は都市の均一化が問題視されることも多く、渋谷も例外ではない。そうしたなかでSHIBUYA TSUTAYAは、これまで積み上げてきた価値を拡張し、渋谷という街であらためてカルチャーを生み出そうとしているわけだ。

塘:近頃は、渋谷から流行が発信されるケースが少なくなってきたなと感じています。かつての渋谷にはオリジナルなものが溢れていました。

だからこそ、「渋谷らしさとは何か?」をあらためて考えていきたいなと。そして、見つけた小さなタネをいろんな人と一緒に育てていきたい。最終的には、SHIBUYA TSUTAYAがハブとなり、街ぐるみで変わればいいなと思っています。

山田:渋谷区副区長の澤田伸さんは、「渋谷は世界に誇るエンタテインメント・シティになることを目指している」と仰っていました。私も、SHIBUYA TSUTAYAが渋谷の地でオンリーワンかつナンバーワンの存在として、全世界に価値を感じてもらえるように、お店づくりに取り組んでいきたいと思っています。

塘:これからのSHIBUYA TSUTAYAは、これまでの活動で得た知見やスキルをもとに、企画の充実を図りながら、各フロアでさまざまな企画が日常的に実施されているのが理想です。

また、もっといろんなコミュニティをつくっていきたいという気持ちもあります。SHIBUYA TSUTAYAで出会った人たちが、ここを拠点に、ここにしかない価値を創造していく。それを実現する仕組みを、より強固なものにしたい。そのために、もっと多くの人やアイデアが必要な状況です。

求めるのは、SHIBUYA TSUTAYAの価値を「企画力」で拡張してくれる人

さて、今回の募集では、これからのSHIBUYA TSUTAYAを担う企画ディレクターを求めているという。どういった人物を理想としているのだろうか。

塘:企画づくりが得意な、即戦力になる人にきていただきたいと思っています。いまあるSHIBUYA TSUTAYAの価値や積み上げてきたものを、より面白い方向へ拡張できる人。世の中の面白いことに対する感度が高く、それを編集して、新たな価値を生み出し、ゴールまでたどり着ける人だと嬉しいです。

これまでつき合いのなかった未知の業界の門戸を叩くことも多く、当然ながら門前払いにあうことも少なくありません。そういう意味では、旺盛なチャレンジ精神と、どんなことにもくじけないバイタリティーも必要になると思います。

山田:塘さんは本当にいろんなことに挑戦していますよね。たとえば、とある雑誌の編集長とお互いの立場を交換しようという企画では、塘さんがライターとして記事を書き、編集長は売場づくりを行いました。また館内で実施したトークイベントでは、いろんな企業から協賛を募ったり、さまざまなことに取り組んでいるので、大きな自信にもなっているのではないでしょうか。

塘:そうですね。でも、SHIBUYA TSUTAYAを軸にここにしかない価値を生み出すことがミッションなので、本当にわからないことばかりです。そのためにリサーチしたり、体当たりで連絡してみたりするのは当たり前とも思います。

山田:塘さんがSHIBUYA TSUTAYAの専任広報になられたときに、「どういう広報になりたいか?」という話を2時間くらい話し込んだことがあって。そこで塘さんの口から出てきたのは「ぼくはSHIBUYA TSUTAYAの仲人になりたい」という言葉でした。

お客さまと作品が出会う機会は、一瞬です。でも、その特別な一瞬をつくることができたら、と。塘さん自身、能力はもちろんのこと、ものすごい情熱とガッツを持っていて、しかも成し遂げる努力を惜しまない人なので、同じような人だと噛み合うし、そういった人にぶつかってきてほしいと思っています。

山田:しかも、塘さんが所属するチームは、全体のモチベーションや意識がすごく高い。メンバーそれぞれに興味の分野が異なり、知識も深いので、いい意味でバラバラな感じも面白いです。企画書も数字から入る人もいれば、絵から入る人もいるし、テキストベースの人もいる。すごく個性的なチームだと思います。そして何より、みんな楽しそうに仕事に取り組んでいるのがいいですよね。

塘:SHIBUYA TSUTAYA館長は、ワクワク感を大切にしている人なんです。だから、ぼくたちも楽しく走ることができる。それが雰囲気に出ているのかなと。そして、メンバーそれぞれにカルチャーが好きな人が多いので、趣味の話で盛り上がることも多いですね。

山田:渋谷という街が多様性を大事にしているように、SHIBUYA TSUTAYAでもスタッフ一人ひとりが自分の好きなことについて情熱を持って発信できる場にしていけるといいですよね。それが叶うことで、自分の好きを表明できる場として、多くの人に利用してもらえるようになると思うので。

塘:そのためには、これまでの20年間で培ってきたものを拡張していくと同時に、既定路線に捕らわれないような人やアイデアも必要。SHIBUYA TSUTAYAを、企画力と、面白さへの情熱で盛り上げてくれるような人と一緒に働けると嬉しいです。

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Profile

SHIBUYA TSUTAYA(株式会社TSUTAYA)

SHIBUYA TSUTAYAは、『TSUTAYA』のフラッグシップとして、2019年12月17日に20周年を迎えます。

「100年に1度」と言われる渋谷駅周辺の再開発。渋谷の街が大きく様変わりする中、渋谷の街とともにSHIBUYA TSUTAYAも変化していきます。

様々なカルチャーが交差し街が大きく様変わりする中、SHIBUYA TSUTAYAはアート、エンタテインメント、ファッションなどの様々なカルチャーシーンを切り取り、発信力をさらに高めながら、次世代に向けて進化してまいります。

私たちと一緒にワクワクするモノやコトとの出会いをカタチにし、新しいライフスタイル提案にチャレンジしてみませんか。

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株式会社TSUTAYAは「カルチュア・インフラを、つくっていくカンパニー。」をミッションに掲げるCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)グループとして、『TSUTAYA』『TSUTAYA BOOKSTORE』『蔦屋書店』のフランチャイズ展開と直営出店・運営などのプラットフォーム事業を行っております。

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