CGと会社の「らしさ」をつくる。設立1年半のサザビーで一人前になれる理由

株式会社サザビー

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現実世界にない「驚き」を生み出すCGやVFXは、映像作品の可能性を広げる表現方法のひとつ。そんなCGやVFXの制作から編集、納品までをワンストップで行うのが株式会社サザビーだ。設立1年半、社員5名の少数精鋭ながら、手がける作品はテレビCM、WEB動画からMVまでじつにバラエティー豊か。同社の制作スタイルについて、代表取締役の小島伸夫さんは「出せる力の半歩先」を意識することを大切にしていると話す。そのモットーは、実際の仕事にどう活かされているのだろうか?
5名のデザイナー&アーティストに、会社やCG制作の魅力を語ってもらった。
  • 取材・文:榎並紀行(やじろべえ)
  • 撮影:朝山啓司
  • 編集:立花桂子(CINRA)

会社を、「アーティストが技術を探求する場所」にしたい

—サザビーのデザイナー、アーティストが、制作において大切にしていることは何ですか?

小島:とくに言葉にして掲げているわけではないのですが、仕事のなかで「出せる力の半歩先」を意識することは、全員が大切にしていると思います。

株式会社サザビー 代表取締役の小島伸夫さん。大手映像制作プロダクションを経て、2018年3月に会社を設立。「オフライン編集にとどまらず、もっとCG制作に力を入れたくて独立しました」

株式会社サザビー 代表取締役の小島伸夫さん。大手映像制作プロダクションを経て、2018年3月に会社を設立。「オフライン編集にとどまらず、もっとCG制作に力を入れたくて独立しました」

—なぜ「半歩先」を意識することが大切なのですか?

小島:それぞれがいま持っている力だけで取り組むと、仕事がせっかくのスキルを消費するだけの時間になってしまうからです。それではもったいないですし、CG業界ではつぎつぎと新しい技術や表現が生まれている。楽な業界でもありません。だからこそ社員には自身の「半歩先」を意識しながら、実際の仕事のなかで自分のできることや表現力を伸ばしてほしいと考えています。

理想は「早くこの続きをつくりたい!」とワクワクする瞬間が少しでもあるような環境ですね。サザビーという会社を、「アーティストが技術を探求する場所」にしたいんです。設立してから1年半のあいだに少しずつできることを増やしていった結果、全員が「半歩先」を意識するようになりました。

—1年半のあいだに培われた、サザビーの強みとは何ですか?

小島:大きく2つあります。まず1つは、編集から納品までワンストップで行うので、仕事の守備範囲が広く、個人の裁量も大きいこと。サザビーでは企画や映像編集、2DCG / 3DCGの制作まで、ひとりが複数の分野に携わります。さまざまな手法を知ることで、スキルや表現の引き出しの幅が広がっていくと思います。

少数精鋭だからこそ「できること」は広く、フットワークは軽く

—個々がスキルの幅を広げることにより、ワンストップで制作が完結するというのは、会社としても武器になりますね。

小島:そうですね。一般的なCGプロダクションの場合、映像作品で使うCGのパーツだけを納品し、完パケ映像は数か月後にようやくもらえる、というケースも多い。これでは、自分たちのつくるものがどう使われるのか、完成図が見えないまま制作することになります。それよりは企画や編集段階から携わり、CG制作や音調整を経て完パケまでつくれたほうが、楽しさや達成感を感じられるのではないでしょうか。

小島:もちろん、一点集中のスキルを磨き、エキスパートを目指すのも悪いことではありません。ですが、ぼくたちは一人ひとりのスキルの幅を広げていくことで多彩な案件に関わっていきたいですし、表現の引き出しも広げていきたい。編集とCG制作の相乗効果によって、作品のクオリティーが上がることも多いです。

広浦:確かに、ここでは自分の「できること」が広がっている実感があります。

いままさに取り組んでいる案件では、CGデザインや編集だけでなく、企画やディレクションも初めてトータルで任されました。ディレクターの要望をかたちにするやり方ではなく、クライアントの意図を直接聞いて解釈し、自分自身でデザインに起こす仕事はとても刺激的です。

株式会社サザビー CGデザイナー / エディターの広浦直人さん。前職の先輩である小島さんに誘われ、設立メンバーとしてジョインしたそう

株式会社サザビー CGデザイナー / エディターの広浦直人さん。前職の先輩である小島さんに誘われ、設立メンバーとしてジョインしたそう

広浦:じつは、もともと知り合いから相談された仕事なのですが、大規模な制作会社ではこのような仕事は受けづらかった。細々とした案件にも取り組めるフットワークの軽さも、小規模なプロダクションならではの魅力だと思います。

「サザビーらしさ」はこれからつくる。文化や制度も人に合わせて変えていく

—2つ目の強みとは何ですか?

小島:社員一人ひとりが「会社づくり」に携われることです。設立から1年半しか経っていない小さな会社なので、いままさに会社の文化やカラーをつくっているところ。これから入社するメンバーにも、その一員になっていただきたいと考えています。新しい制度や働き方も、どんどん提案してほしいですね。

一例として、知見を広げるための映画代や美術館代などを、経費精算できるようにしました。ほかにもいい意見があれば吸い上げて制度化し、働き方も変えていきたい。「人」に合わせて臨機応変に会社の仕組みを変えていけるのも、いまの規模感、タイミングだからできることだと思います。

藤田:いまはまだ、「サザビーらしさ」というものはありません。これから「らしさ」をつくっていけるのが、おもしろさなのではないでしょうか。

株式会社サザビー ディレクターの藤田剛さん。「大規模なチームでは、メンバーの個性を把握する前に制作に入らなければいけないことも多い。サザビーのように、慣れた人たちとひとつの居場所で制作できる環境に前から魅力を感じていました」

株式会社サザビー ディレクターの藤田剛さん。「大規模なチームでは、メンバーの個性を把握する前に制作に入らなければいけないことも多い。サザビーのように、慣れた人たちとひとつの居場所で制作できる環境に前から魅力を感じていました」

中村:ぼくは入社してまだ半年くらいなのですが、「会社づくりから関われる」という部分に大きな魅力を感じています。自分から会社への提案や取り組んでいる仕事の一つひとつが、そのまま会社のカラーになっていく。そう意識して、サザビーに少しでもいい色をつけていきたいと考えながら働いています。

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株式会社サザビー CGデザイナーの中村健太郎さん。5人のなかではもっとも社歴が浅く、3月に入社。「サザビーの手がけるCMや映像作品を見て『カッコイイ』と感じ、ここで働きたいと思うようになりました」

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「驚き」をつくり出すのがCG制作。アーティストたちが語る、仕事の楽しさとは?

使ってみたいソフトも即導入。実際の業務のなかで「チャレンジ」できる

—これまでに、提案して実際に採用されたアイデアはありますか?

中村:仕事で使いたいソフトの希望を出すと、すぐに導入してくれますね。前の会社では、使うソフトやつくり方があらかじめ決まっていて、新しいチャレンジもなかなかできませんでした。でも、サザビーではしっかり完成させられるのであれば、つくり方や表現方法は問われず、自由につくることができます。

中村:前職では「あのソフトを使ってみたいな」と思っていても、「この案件では無理だな」と諦めてしまうことがありました。自分でソフトを買って勉強しようにも、制作に追われているとなかなか難しい。でも、サザビーでは実際の仕事のなかでチャレンジさせてもらえる。自分自身の可能性も広がりますし、モチベーションにもつながります。

最近では、新しいソフトを導入したことで、ハリウッドで活躍されているアーティストの携わる作品を引き継ぐことができました。「こんな風につくっているんだ!」と、思いがけず裏側を知ることができました(笑)。

小島:大きな組織だと、ソフトをひとつ導入するにも煩雑な稟議が必要ですが、うちは要望があって、会社にとってメリットがあると判断すれば、すぐに承認できます。

藤田:さまざまなツールを使えることは、表現の引き出しが増えるということ。クライアントに提案できる企画の幅も広がり、ディレクターとしても助かります。

小島:もちろん、案件によっては予算や納期の都合でチャレンジがしづらいこともあります。そこでサザビーでは、いま請け負っているすべての案件の予算感やスケジュール感を社員全員が把握できるように可視化しています。そうすることで、それぞれが予算とスケジュールのバランスを見て「今回はこんなチャレンジができそうだ」と判断できる。手持ちの武器だけに頼らず、「半歩先」を意識することにつながっています。

—全員が予算を把握することで、ほかにはどんなメリットがありますか?

小島:どんな会社でも、年齢や経験を重ねてポジションが上がれば、いずれ予算やスケジュールを考慮して仕事をする必要が生まれます。そのとき、制作の予算感やスケジュール感を知っていることは必ず役に立つ。いまはピンとこないかもしれませんが、若い社員にも少しずつ慣れてもらいたいと考えています。

ゼロから何かを生み出すCG制作。アーティストたちが語る、仕事の魅力とは?

—スキルの向上は、仕事の楽しさにもつながるかと思います。あらためて、CG制作の魅力、おもしろさとは何でしょう?

小島:「驚き」をつくり出せることだと思います。たとえば3つの映像素材があったとして、編集でその順番を入れ替えるだけでもまったく違う印象になる。それも驚きですし、何もないところにCGでモンスターを登場させるのも驚き。そういう意味でも、さまざまな手法を持っていたほうが、より多くの驚きを生み出せるのではないでしょうか。

サザビーが背景の制作を担当した、テレビ番組『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』

中村:CGをつくりたい人は、もともと映画やゲームが好きな人が多いと思います。ぼくもそうなので、かつて憧れていた映像を自分でつくれるのはおもしろいですね。制作側に回り裏側を知ると、「あの映像ってこういう風につくられていたのか!」と、種明かし的な楽しさも感じられます(笑)。

—藤田さんはいかがですか?

藤田:ぼくの場合は単純に、モヤッとしたイメージを具現化し、ゼロから何かを生み出すことが楽しいです。CGの世界は、新しい表現方法や技術、ツールが次から次へと出てきます。それらを使い、自分ひとりの力ではつくれなかったものが生まれた瞬間、つくっている自分自身も大きな刺激をもらえるのが嬉しいですね。携わった作品が、CM、映画やゲームなど、さまざまなメディアを通じて広がっていくことも刺激的です。

広浦:そうですね。何もないところにCGで何かを生み出すと、自分が神になったような気分になれます(笑)。ぼくは絵があまり得意ではないのですが、CGならPCやソフトの使い方を覚えれば何でもかたちにできる。そこが大きな魅力だと感じます。

藤田:ぼくらにとって、ソフトは何でもつくれるプラモデルみたいなものですよね。特に、CGを覚えたての頃は、操作を覚えるたびに「こんなことも、あんなこともできるのか!」と、どんどん楽しくなっていく。新しい力を身に着けたような感覚になります(笑)。

笠井:ツールの進化はもちろん、最近は映像とテクノロジーの掛け合わせで新たな表現が生まれていますよね。学生時代、ある人に「映像は直接さわれない。それが唯一の欠点だ」と言われたのですが、いまはVRや3Dプリンターといった技術もある。いずれは「さわれるCG」がつくれるかもしれないと考えると、楽しみです。

株式会社サザビー CGデザイナーの笠井繁さん。「企画から納品までワンストップでできるCG制作会社は少ないと思います」

株式会社サザビー CGデザイナーの笠井繁さん。「企画から納品までワンストップでできるCG制作会社は少ないと思います」

目指すは「20年後も気持ちよく働ける会社」。6人目のメンバーを募集中

—現在は新しいメンバーを募集中とのことですが、どんな人と働きたいですか?

小島:素直な人、情熱を持っている人と働きたいですね。もちろん、ベーシックなスキルは必要ですが、実務経験は問いません。いまいる社員はみな経験豊富なので、新しい技術、表現を吸収できる素直さと情熱があれば、成長していける環境だと思います。

—基本的なスキルと素直さ、情熱があれば、業界未経験の若手や新卒でも入社できますか?

小島:はい、大歓迎です。長く業界にいると、どうしても頭が固くなりがちなので、若手のナナメ上の発想や働き方もとり入れていきたい。会社としての幅も広がりますし、さらにフットワークを軽くするという意味でも、次世代の力が必要だと感じています。

—今後はサザビーをどのような会社にしていきたいですか?

小島:20年後も全員が気持ちよく働ける、そんな会社でありたいです。もっと規模の大きな案件を手がけるとか、全員がモチベーションを保てる体制にするといった具体的な展望もありますが、すべては「気持ちよく働ける会社」に集約されるのかな、と。

もう少し具体的な部分では、自分たちの得意な表現や、個性が出せる映像をつくっていきたいという想いもあります。クライアントワークが中心なので難しい部分もありますが、企画から関わることで、ぼくたちがイニシアチブを握れるようなつくり方もしてみたい。そういったことも含め、日々楽しく、前向きに制作と向き合っていきたいと思っています。

  • Profile

    株式会社サザビー

    私たちは、編集からCG / VFX制作までをすべて一貫して行う映像制作会社です。エディターとCGデザイナーが社内にいるため、編集から完パケの納品まで、すべて制作することが可能です。

    現在手がけるジャンルは、広告映像(テレビCMやWEB動画)からテレビ番組のオープニング映像、MVまで多彩。社内外でのコミュニケーションも多く、ときにはクライアントと一緒に集まり、賑やかに意見を交わしながら編集作業を行います。

    社員全員に共通しているのは、「出せる力の半歩先」を意識し、新しい技術や表現を積極的に取り入れることです。CGデザイナーやエディター、プロダクションマネージャーも映像をつくりあげる演出家のひとり。「もっとこうしたほうがいいのでは?」というアイデアを自主的に提案することが、作品の完成度やクライアントの満足度を上げるのです。

    それぞれの熱意を大切にするために、制作手法を限定せず、希望に応じて新しいソフトも導入します。言われた通りにつくるだけの仕事は、せっかくのスキルを消耗してしまうだけ。自分なりのアプローチを加えることが、仕事を楽しむきっかけにもなるはずです。

    「半歩先」を意識することは、デザイナー、アーティストとしての成長にもつながるはず。決して楽な業界ではないから、自分で考え、行動できる人が必要です。向上心を持ち、新しい表現に対するアンテナを張っている人は大歓迎! 経験豊富なクリエイター陣から、たくさんのスキルを学べる環境があります。

    設立から1年強、これからは会社としての色をつくっていく時期。少数精鋭だからこそ個人の裁量は大きく、手がけた作品がそのまま「サザビーらしさ」につながります。実制作のなかで技術や表現を育てていきたい、積極的なクリエイターのご応募をお待ちしています。

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