「映像業界は大変」って本当?ピクスの若手プロデューサーが本音で語る
- 2020/01/24
- FEATURE
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お酒を飲みながら語られたのは、PMの苦しい時期をどうやって乗り越えてきたのか、それぞれどんなプロデューサーになりたいのか。さらに終盤では、ピクスの敏腕プロデューサー 加島貴彦さんも合流し、プロデューサーのやりがいを4人で熱く語った。
- 取材・文:宇治田エリ
- 撮影:豊島望
- 編集:吉田真也(CINRA)
映画からMV制作まで。ピクス期待の若手がプロデュースした作品の数々
ピクスの若手3名が、お酒片手に本音で語り合う今回の企画。その期待のホープが、西村大気さん(2014年入社)、松竹奈央さん(2015年入社)、丹治遥さん(2017年入社)だ。PMをこなしつつ、案件によってはプロデューサーを任されるようになってきた同世代の仲間だが、普段は飲みに行く間柄ではないという。
丹治:この3人で飲むの、初めてですよね。
松竹:たしかに。あんまりPM同士で仕事の悩みとかを相談することもないしね。
西村:基本的にPMの仕事って案件ごとに振り分けられるから、仕事の終わり時間もまちまちだし、同世代だけで飲むのは珍しいかもね。みんなお酒は好きだけど(笑)。
丹治:なかなかこんな機会ないですよね。今日は本音で皆さんと仕事のお話できるのが楽しみですし、嬉しいです。最近は、それぞれプロデューサーの案件を担当されていますよね。松竹さんは、HIP HOPアーティストのSEEDAさんの半生をテーマにした映画を担当していましたね。
松竹:そうそう。私はもともと音楽が好きで普段はMV案件が多いんだけど、ピクスで映画をやること自体が珍しいから良い経験になった。
※松竹さんがプロデューサーを務めた、映画『花と雨』。(2020年1月17日より全国公開)
松竹:ピクスって「自分はこのジャンルが好き」「こういう案件やりたい」っていうのをアピールすると、結構尊重してくれるよね。映像で表現したいことがある人にとっては良い環境だと思う。
丹治:たしかにそうですね。私は、グラフィックと映像を両方やる広告案件が多いかも。前職ではグラフィック広告のPMをしていたので、その経験を活かして映像班とグラフィック班の両方が、ストレスなく制作に打ち込める環境をつくることにやりがいを感じています。
たとえば、2018年にPMとして参加したLUMINEのクリスマスキャンペーンでは、グラフィック、映像、館内装飾とさまざまな媒体で展開しました。特定の媒体に偏らないことで得た経験が、プロデューサーをやらせていただくうえでも活きていると感じますね。
西村:ぼくは、案件としてはMVが多いけど、特定のジャンルや媒体にこだわらずになんでもやるタイプ。「良い制作物をつくるために、自分がどう貢献できるか」ってことしか考えてないから、好きなジャンルとかが本当にない。みんなに比べて音楽も映画もそこまで詳しくないし。多分、映像業界では珍しいタイプだと思う(笑)。
松竹:うん。だいぶ変わってますよね(笑)。
※西村さんがプロデューサーを務めた、赤い公園『凛々爛々』のMV
いろんな媒体で映像をつくりたかった。ピクスに入社した決め手を訊く
お話をうかがうと、PMの仕事とは、制作の進行管理やスタッフが仕事しやすい環境づくりを担う重要なポジションのうようだ。そんなPMの仕事を経て、現在はプロデューサーとして携わる案件も徐々に増えてきた3人。それぞれの近況や最近携わった案件を話し終えたところで、話題はピクスに入社した経緯へ。
丹治:お二人って、どういう経緯でピクスに入社したんですか?
松竹:私は学生の頃から映像が好きだったので、テレビCMだけじゃなく、MV、映画など特定の媒体に偏らない映像をつくれる会社に興味があって。学生時代の夏休みにピクスで1か月くらいアルバイトさせてもらったんだよね。大きいCM制作会社と違って、全体を見渡しながらスピード感を持って仕事を進められるところが自分に合っていると思って、新卒でピクスに入社した。
西村:ぼくは、バイトしていた中目黒のバーが加島さん(※このあと登場する先輩プロデューサー)の行きつけで、そこで声をかけられたのがきっかけ。
松竹:それもすごいですよね(笑)。なんで入ろうと思ったんですか?
西村:もともと経済学部だし、映像に興味があったわけでもなかったんだけど……。「私服で仕事して良い」って聞いてテンション上がったよね。
松竹:え、そこ(笑)?
西村:まあ、いま考えればクリエイティブ業界はだいたい私服なんだけど、当時は「働く=スーツ」のイメージしかなくて(笑)。で、実際、会社に遊びに行ってみたら、会社の雰囲気も働いている人も楽しそうだったんだよね。「人」に魅力を感じたのがピクスに入社した決め手かな。丹治は?
丹治:私はお二人と違って中途入社です。さっき少し話しましたが、前はグラフィック系の会社でPMをやっていました。でも、もともとグラフィックに限らず、いろいろな広告制作をやってみたいという気持ちが強かった。それで体力がある20代のうちに映像にも挑戦してみようと思って、ピクスに転職しました。
涙が止まらないときもあった。入社後に感じた映像業界で働くことの大変さ
松竹:実際に働いてみて映像のほうが大変だった?
丹治:そうですね。ただ、「映像制作はグラフィックよりもやることが多そう」というイメージは持っていたので、ギャップは感じなかったです。そういう意味では想定内の大変さでした。
松竹:私も学生時代のアルバイト期間にいろいろ挑戦させてもらえたから、入社してからのギャップはなかったな。
西村:松竹はアルバイトを経ているから、スタートの位置が同期と比べても全然違ったよね。ぼくの場合は、映像のことをまったく知らずに入ったから「新人でもこんなに仕事を任されるんだ」ってことに驚いた。
松竹:たしかにピクスは、新人でも任せてもらえる仕事の範囲が広いよね。
西村:最初の2、3年は慣れなくて大変だった。
丹治:そういえば前に、涙が止まらないときがあったと言ってましたよね(笑)。
西村:そうそう。カメラマンさんに本気で怒られたときとかね。正論だったから自分が情けなくて、ただただ悔しかった。気づいたら涙が止まらなくて……。
松竹:そんなこともあったんだ……!
西村:映像の仕事って本当にいろんな人が関わっているから、PMの進行管理がちゃんとしてないと、ほかのスタッフにも迷惑をかけちゃう。どうしたら無駄のない段取りになるかとか、ずっと考えないといけない。新人の頃はそれがきつかったし、「自分との戦い」の期間だったかも。いまはクオリティーにも言及できるようになったし、仕事をコントロールできる立ち位置になってきたから楽しいけどね。
「ただの補佐」から一人前のPMに。成長の過程で得られたやりがい
丹治:最初はプロデューサーの下についている「ただの補佐」みたいに周りから思われていても、だんだん仕事ができるようになるとPMも戦力として認めてくれているなって感じますよね。
西村:そうだね。チームのスタッフから認められたときは、すごく達成感を得られる。「あいつがPMの案件はクオリティーが上がる」と思ってもらえたら嬉しい。
松竹:意外とPMは決断を任されることも多いから、クオリティーにもかかわるよね。ディレクターと直接やりとりしながらアイデアを提案することもあるし。業務範囲が広いから大変だけど、その分やりがいも大きい。
西村:そう。仕事の要領がわかってくると、ある程度自分の裁量で動けるからね。自分が頑張った分だけ作品のクオリティーにもちゃんと反映される。実力主義を楽しめる人は、この仕事にめちゃくちゃ向いていると思う。
丹治:それに、ピクスは良い意味で自由にやらせてくれるから、PMでもいろんなことに挑戦できますよね。私自身、飽きっぽい性格だから、プロジェクトがコロコロ変わるのも楽しめています。
下積みがあったから、いまがある。プロデューサーのときに活きるPMの経験
PMで経験した多くの困難も、やりがいをもって乗り越えてきたと話す3人。さらに語られたのは、最近プロデューサーとして作品に携わるようになったからこそ思う、「PMを経験して良かったこと」だった。
丹治:プロデューサーの仕事も任せられるようになってくるとPMの経験が本当に活きる。PMで培った視点があるから現場の空気も読めるし、気づいたことを先回りして対応できますよね。
松竹:わかる。あと、PM時代に関わってきた制作スタッフとのつながりは活かされているなって思う。各分野のスタッフをアサインするのもプロデューサーの大事な仕事だからね。この前担当した映画『花と雨』でも、PM時代の人脈や経験がすごく役立った。
西村:クライアントを待たせることなく、予算感やスケジュール感を説明できたときもPMの経験が活きるよね。
松竹:たとえばどういうシチュエーションで?
西村:クライアントから「フィルムの映像をやりたい」「CGでマッピングをしたい」と要望があったときに、どれくらいのコストや時間がかかるか、パッと予測できる。PMで予算管理をやっていたからこそ、各クライアントの希望に沿った提案ができるようになったと思う。
松竹:たしかに。予測がついていないのに安請け合いして、後からできませんでしたというのは信頼関係にもヒビが入っちゃうもんね。なにより、プロデューサーとしての信用がなくなる。やっぱり、PMの経験って大事だな。
先輩プロデューサーが合流。業界のキャリアを左右する「人間力」とは?
同世代3人での本音トークも盛り上がってきたところで、先輩プロデューサーの加島貴彦さんも合流。ピクスに在籍して15年目になる加島さんは、タイガー魔法瓶『LOVE TIGER COLLECTION 2019』の映像、グラフィック制作、Netflix 全裸監督CMキャンペーン『人間まるだし。』映像制作など数々の案件を手がけている。過去にはCINRA.JOBの連載「私としごと」でも取材させていただいた。そんなピクスの看板プロデューサーが、若手に期待していることとは?
西村:ぶっちゃけ、ぼくらのことどう思ってます(笑)?
加島:すごくざっくりまとめると、みんな愛嬌があって元気があるよね。まず、丹治は良い意味で計算高く仕事をこなす印象。
丹治:「計算高い」って、だいたい悪い意味で使いません(笑)?
加島:いや、本当に「良い意味で」(笑)。案件がスムーズに進むようにしっかり計算して、先々のことを考えて行動してくれるよね。一方で、松竹は映像に対する愛情とセンスがある。
松竹:面と向かって言われると照れますね……。
加島:そして、全体的にバランスが良いのが西村。みんなそれぞれの個性を活かしながら仕事をしてくれているなと思ってます。ピクスの仕事って、型にはまった仕事は一個もない。だから、結局は「人間力」が試されるんだけど、ひとつの案件が終わったあとに「この人だったから乗り越えられた」ってどれだけ多くのスタッフに思われるかどうかで、業界でのキャリアも変わってくると思う。
「できない」と言える現場の環境をつくる。目指すべきプロデューサーの姿とは
加島:みんなはプロデューサーとして案件に携わるとき、心がけていることとかあるの?
松竹:私は、できないことは「できない」と言える環境をつくること。それは自分も、ほかのスタッフも含めて。PMでは自分で全部背負って、「なんとか頑張る」でやってきたけど、結局できなかったときに頑張ることになるのは、ほかのスタッフなんですよね。
丹治:たしかに。一人ひとりの負担が大きすぎてもいけないし、少なすぎてもいけない。それぞれが抱える仕事量についても、プロデューサーがある程度、把握しておくべきことですよね。
松竹:だから、後輩が「できないことはできない」「こうだったらできる」って、見栄を張らずに言えるようにしたいなと。そのためにも、みんなのリーダーであるプロデューサーが「嘘をつかない姿勢を示す」ことが大事だと思うんです。それがクライアントの信用にもつながると思います。
西村:松竹の言うとおり、制作チームに無茶をさせるのは、たしかに良くない。一方で、クライアントの無茶なお願いはできるだけ可能にしてあげるのがプロデューサーの仕事かなと思う。
加島:そうだね。クオリティーかお金か、どこで頑張ってどこで守るか、取捨選択によってクライアントの満足度が変わるから、そのコントロールもプロデューサーの役目。細かいところも含めて、そういう攻守のバランスの取り方にプロデューサーの個性が出てくるよね。
若手の活躍で、会社は変わる。創業20周年のピクスが描く展望とは
お互いの実力を認め合い、それぞれが目指すプロデューサー像を共有し合った。そして、この会の終盤には、来年で創業20周年を迎えるピクスのビジョンが語られた。
加島:ぼくは創業5年目からピクスで働いているけれど、これまでを振り返ってみても、いまは過渡期の最中かなと。もっと尖った会社にするのか、堅実な会社にしていくのか。方向性を決めるのは若手の子たちに掛かっている。ということで、頼んだわ(笑)。
松竹:急ですね(笑)。でも、堅実さがありながらも、攻められるのがピクスの良いところなのは事実。それは会社が映画『花と雨』に出資してくれたときに思いましたね。仕事をただ受けるだけじゃなく、自分たちのカラーを制作物ごとに出していける点が、稀有な会社だと思うし、これからもその良さを活かしながら実績を積み上げていきたいですね。
丹治:「これ、ピクスがやったんだ」って世の中を驚かせるような制作物を増やして、会社の個性を認めてもらえるようになったら嬉しいですよね。
西村:そうだね。20年も続いている会社の未来を、若手の自分たち主導で変えられるかもしれないって、ぼくらの年代だとなかなかないチャンスだと思う。
加島:ピクスの規模だと、たった一人の仕事で大なり小なり会社は変わっていくから、若手の活躍次第では会社だけでなく世の中の価値観だって変えられるかもしれない。そういったチャレンジも楽しめる仲間を、これからもっと増やしていきたいね。
Profile
■「独創性と革新性」を常に心がけ、新しい感受性を持った映像を通し、人の心に「楽しい驚き」を提供します。
CM、MVをはじめ、商業施設や各種展示会におけるVR、AR、サイネージなどの最新技術を駆使した空間映像演出なども数多く手がけ、よりフレームレスな映像体験を発信しています。近年では自社IPの企画、開発にも取り組んでおり、2021年に放送されたテレビアニメ『オッドタクシー』は大きな話題を呼びました。
国内最大規模の映像バリューチェーンを持つIMAGICA GROUP(東証プライム市場上場)の一員です。
■特色
私たちピクスは2000年の創業時より、常に新しい映像、他とは異なる映像制作にチャレンジしてまいりました。おかげさまで現在その領域はエンターテイメント・コンテンツ全般に広がっております。今後も映像の持つ限りない可能性を追求し、求められる多様なニーズにお応えしていきたいと考えております。
弊社では「MV部」「CM部」のようなカテゴリごとの制作部門を設けず、ジャンルを超えた知見を活かしながら独自の視点を持って映像をプロデュースしています。社内には【P.I.C.S. TECH】【P.I.C.S. LIVE】といったジャンルに特化したテクニカルチームに加え、多彩な才能が揃うクリエイティブマネジメントチームがあり、制作部と連携しながら新しい表現を常に追求しています。
■社風
平均年齢35歳。20代の若手が半数近くを占めています。幅広い領域のクリエイティブを手がけるため、常に新しいことにアンテナを立て、自らで発信していける実行力のある方に活躍いただける環境です。2020年10月にテレワーク規定の運用を開始しました。