新しい視点でクリエイティブを。IN FOCUS独自の「チーム編成」とは?

IN FOCUS株式会社

気になる

Share :

TOGA、New Balance、GINZA SIXなど国内外のナショナルクライアントのWEBサイト制作を担ってきたIN FOCUS。海外のアワードで評価されるなど、実力は世界的に認められている。同社で働く4名のクリエイターの言葉から、世界が認める彼らのクリエイティブ論に迫る。
    • Profile

      IN FOCUS株式会社

      IN FOCUSはWEB、映像、グラフィック、写真といったデジタルコンテンツに求められる分野を中心としたデザインスタジオです。 各分野を多面的に横断し、クライアントの目的に焦点を合わせた制作を行います。

      2017年:Awwwards 『Agency Of The Year』にノミネート
      2018年:NY支社を設立。CSS Design Awards 『Designer of the Year - Top 10 Studios』に選出
      2019年:The Webby Awardsにて『Webby Honoree』を受賞

    取材・文:村上広大 撮影:豊島望 編集:吉田真也(CINRA)

    WEB、映像、グラフィック、写真を一気通貫。IN FOCUSが多様な案件を受注できるワケ

    CINRA.JOBでは、2014年にIN FOCUS代表の井口忠正氏にインタビューをしている。それから約5年が経ち、現在では20名を超えるスタッフが在籍。多様な案件にも対応できる体制が整ってきたという。また、WEB、映像、グラフィック、写真を一気通貫で依頼される機会もさらに増えているそうだ。

    仲山:さまざまなクリエイティブを社内で制作できるのは、IN FOCUSの強みだと思います。たとえば、WEBのコンペ案件でも、提案段階で映像やグラフィックを盛り込むことができる。その結果、WEBをきっかけにトータルでの制作をご相談いただくこともあるんです。

    アートディレクターの仲山慎哉さん

    アートディレクターの仲山慎哉さん

    仲山:それが実現できるのも、社内にさまざまなスキルを持つクリエイターがいるからこそ。各職種がそれぞれの領域からクライアントの特徴を見つめ直し、社内ですり合わせます。そうすることで、クライアント自身もいままで気づかなかったような「新しい視点」を見出すことができるんです。

    最近では、クライアントに「アイデア段階から一緒に考えてほしい」と言われることも多くなってきました。これからますますIN FOCUSの強みを活かせる場面が増えるだろうなと感じています。

    関山:WEBサイトの立ち上げで、グラフィックや映像を盛り込む場合、それぞれの外部の制作会社と提携しながらやっていくのが一般的。ただ、企業文化や進め方も異なるので、全体的な統率を取ることが難しかったりするんですよね。

    そういった意味でも、IN FOCUSのように一気通貫で制作できるチームはより求められていくと思っています。

    クリエイティブプロデューサーの関山カヅキさん

    クリエイティブプロデューサーの関山カヅキさん

    世界を意識した表現方法。メガブランドならではのサイトのつくり方とは

    水口:最近の事例でいうと、横浜駅直通の複合型体験エンターテインメントビル「アソビル」のWEBサイトが良い例ですね。弊社でWEB、映像、グラフィック、写真まで担当しています。ビジュアルイメージなどが何もないところからスタートし、メンバー間で情報設計していきながら推し進めました。

    WEBディレクターの水口達也さん

    WEBディレクターの水口達也さん

    水口:なかでも6つのフロアの雰囲気をWEB上でどうやって伝えるかが肝だったのですが、話し合いの末、イラストで表現することに。結果的に、クライアントにもとてもご満足いただけました。

    関山:また、イラストだけにとどまらず、6つのフロアをイメージしたコンセプトムービーも弊社で制作しました。映像はCGアニメーション作家のでんすけ28号さんと一緒に制作しました。


    「アソビル」の6つのフロアをキャラクター化したコンセプトムービー

    関山:ただの施設紹介ではなく、遊び心のあるものをつくろうとしていたんです。そこで、各フロアのコンテンツをゲームの世界観に落とし込んで表現しました。その結果、コアターゲットとなるファミリー層だけでなく、クリエイティブに対する感度が高い人たちにも「アソビル」の存在をアプローチできたと思います。

    また、ファッションブランド「TOGA」のプロジェクトでは、ホームページのリニューアルだけでなく、ECサイトもゼロから制作したという。ブランド初となる公式オンラインストアだが、そこにもIN FOCUSならではのこだわりがあるそうだ。

    兼石:「TOGA」は世界に向けて発信しているブランド。海外の方たちにも魅力を伝えるためには、国内向けのECサイトとは違う性質を構築していく必要があります。TOGAに限らずこういった案件は多いので、海外に通用するクリエイティブの表現はつねに意識しています。

    TOGAのECサイト(画像提供:IN FOCUS)

    TOGAのECサイト(画像提供:IN FOCUS)

    兼石:一定数のフォロワーがいるメガブランドの場合、多くを語らなくてもすでにどんなブランドなのかをわかってくれていることが多い。その説明を省けるので「シンプルだけどカッコいい」という表現を突き詰めることができます。簡単に見えて難しく、なおかつ責任のある仕事。クリエイターとしては、やりがいを感じますね。

    WEBディレクターの兼石淳さん

    WEBディレクターの兼石淳さん

    専門外の知見を得られる。IN FOCUSに所属するメリットとは

    ここで紹介した事例以外にも、IN FOCUSが手掛ける多くの制作物が国内外で高い評価を得ている。そのクリエイティビティーの高さの秘訣は、案件や職種などさまざまな領域を横断して仕事をする体制にあるという。

    仲山:会社によってはジャンルや業界を絞って制作するところもあると思いますが、IN FOCUSでは商業施設からファッションのハイブランドまで幅広いプロジェクトが動いています。それぞれのチームで実践していることを情報交換することもあるので、新しい知見を得られるんです。

    水口:その機会が、月1回のペースで行う社内の成果報告会。そこでは、どのようなプロセスで案件を動かしたのかというノウハウを共有します。「そんな手法もあるのか」という気づきの場になっていますね。

    関山:ぼくが10年ぐらい前に勤めていた映像制作会社では、「これからは映像のことだけやっていてもダメだ。WEBのこともきちんと勉強しないと!」なんて言われていました。でも、「そもそも社内にWEBに詳しい人もいないし、どうやって勉強するの?」という環境でした(笑)。

    一方、IN FOCUSでは、WEBやグラフィックの案件も同時に動くので、自然といろんな知識が身につく。それぞれのスペシャリストの考え方やスキルを間近で知れるので、とても勉強になります。

    Next Page
    プロジェクトはスタート時が肝心。ナショナルクライアントの期待に応える工夫とは

    プロジェクトはスタート時が肝心。ナショナルクライアントの期待に応える工夫とは

    携わる案件も幅広く、そのうえで高いクリエイティビティーを発揮している彼ら。どんな瞬間にやりがいを感じるのだろうか。

    水口:ありがたいことに、新たな挑戦を続けるナショナルクライアントが多いこともあって、ただ言われたものをつくる環境ではありません。それがIN FOCUSの独自性につながっている気がします。自分たちとしても「じゃあ、次はこういうことを試そう」と新しいチャレンジができるので。

    New Balanceがダンスシーンにフォーカスした新プロジェクト「Runs in the Family」。そのスペシャルサイトも手がけた(画像提供:IN FOCUS)

    New Balanceがダンスシーンにフォーカスした新プロジェクト「Runs in the Family」。そのスペシャルサイトも手がけた(画像提供:IN FOCUS)

    関山:それで満足のいくものがつくれて、クライアントからも高評価をいただけるとすごく嬉しいですね。感謝のメールの文面でビックリマークがたくさん使われていたりするとテンションが上がります(笑)。

    仲山:ぼくはアウトプットとして世に出ていくときも嬉しいんですけど、その前提となるプロジェクトのスタートをいかに気持ち良く切れるかを大切にしています。アイデアを提案するときにはすごくいろんな角度から考えて臨むんですよ。

    最初に話しましたが、ビデオコンテをつくって、それをWEBサイトに落とし込むところまでやることもあるので。そうした努力がクライアントに認められてすべて受注につながったときは、「よっしゃー!」という気持ちになりますね。

    「本当に面白いもの」はSNS発じゃない。人との出会いのなかで起こるもの

    ちなみに、今年の12月からは新たに編集者もジョインするという。これまでの4つの軸に編集・ライティング領域も加わるかたちになるが、どのような効果を期待しているのだろうか。

    水口:これまでは、ライティング領域を外部のライターさんにお願いしていました。ですが、WEBサイトの中身となるコンテンツそのものをIN FOCUSらしくさらに面白いものにしていくことを考えたときに社内に迎え入れるべきじゃないかなと考えたんです。

    さまざまな職種からの視点を活かして、トータルでブランディングしていくことがIN FOCUSの強み。ならば、既存の4つの軸にこだわりすぎず、いろんな職種をこれから増やすべきだろうと。チームとしてできることが増えれば、いままでやれなかったことも実現するようになると思います。

    仲山:また、弊社には、仕事とは別に個人で活動している人も多い。ここにいる関山も「PLAYBACKBOYS」というVJチームを主宰しつつ、自らもVJやDJとして活動しています。

    ほかにも、プログラマーだけどトラックメイカーをやっているスタッフもいる。彼には、IN FOCUSの案件でトラックをつくってもらったこともあります。そうやって個人活動している人たちが増えたら、IN FOCUSのやれることも広がりますよね。

    関山:実際にVJやDJをやっていると、社外でいろんな人脈ができるんですよ。そのご縁で仕事につながることもありますしね。やっぱり「本当に面白いもの」は、人との出会いのなかで起こったり、知ったりするものだと思っています。SNSだけで生まれることはないんですよね。

    それを感覚として身についているメンバーが多いから、個人活動や趣味のなかで、クリエイティブの感度を高めているのだと思います。

    現状には、まだまだ満足していない。IN FOCUSが目指すチームづくり

    個性的なメンバーが多く、クリエイターにとっては刺激的な環境だ。今後も新たな仲間を加えていきたいと語るIN FOCUSのビジョンを、最後に聞いてみた。

    兼石:これまでいろいろな案件を手がけましたが、現状に満足しているわけではありません。まだまだ貪欲に、いろんなことにトライしたいです。そのためのチームづくりをしていきたいですね。

    仲山:会社の規模が大きくなったり、新しい人が増えたりしても、「良いものをつくっていきたい」というスタンスはずっと変わりません。求人募集もしていますが、ただ人手が足りないからというわけではなく、新しい可能性に出会うことが目的です。

    水口:今後も既存の4つの軸の強化はもちろん、いろんな人を仲間に迎え入れて、もっと面白いことができると良いですね。