VR、IoTからAIまで。デジタルクリエイティブの先端を走るFTの挑戦

FT(株式会社フューチュレック Tokyo Branch)

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2003年の創業以来、堅牢なシステム構築を武器にデジタルソリューションを提供してきたフューチュレック。そのフューチュレックを母体に、より幅広い分野の企画立案から運営までをワンストップで実現すべく、2015年に誕生したのが社内カンパニー「FT(エフティ)」だ。豊富なノウハウを駆使するテクニカルディレクターと柔軟な発想を生むプロデューサー、ディレクターなどがスピーディーにコラボレーションしながら、クライアントのオーダーを期待以上の形に仕上げていく。そんな彼らの技術力や企画力について、ディレクターの三好航一郎さん、アートディレクターの保坂紀明さん、テクニカルディレクターの荒張正一郎さん、テクニカルディレクター兼エンジニアの石園智大さんに聞いた。
  • 取材・文:
  • 撮影:豊島望

強いクリエイティブをつくる「社内カンパニー」という挑戦

フューチュレックが新たに設立した社内カンパニー「FT」は、彼らがこれまで強みにしてきたシステム構築力に、より上位レイヤーであるプロデューサーやディレクターの企画力、発想力を付加し、すべて自社で完結できるワークフローのワンストップ化を実現した。それにより、クライアントとの協業が円滑になっただけでなく、スタッフ自体のキャリアや働き方にも変化が生まれたのだという。

保坂:僕の場合はこれまで11年間、フューチュレックのデザイナーとして活動してきました。今までの仕事はクライアントのイメージを忠実にデザインへ落とし込むこと。FTに合流してからはそれが一変しましたね。ここにいる三好をはじめとしたディレクターチームと一緒に企画段階から打ち合わせに入るので、プロダクト全体が「見える化」され、どんどん視野が広がっていきました。デザイナーもディレクター目線を持てるようになるので、机上の空論ではない、より意図を汲み取ったデザインをつくり上げることができるようになったというか。

アートディレクター 保坂紀明さん

アートディレクター 保坂紀明さん

三好:視野が広がり、いい仕事に繋がるのはディレクターも同じですね。僕はFT以前、広告系の会社でフューチュレックと一緒に仕事をしてきたので、システム構築での実力の高さは知っていました。社内でプロジェクトのほぼすべてを完結できるフローが確立されているからこそ、WEBにこだわらずデジタル領域全般でできること、やってみたいことがどんどん増えています。内製するとスケジュールも可視化されますし、何かあった時も迅速に対応できる。良いこと尽くめですね。

保坂:働き方も変わりましたね。私は今40代ですが、そもそも20代〜30代のような体力もないし、スタッフのみんなもそれぞれ家庭や子どもを持つようになると生活そのものを変えていかなきゃならない。プロデュースやプランニング、ディレクションなどの上位レイヤーから関わることは、意図的に時間をつくれるきっかけになったと思いますね。

企画力を付加することで、より成長スピードが増した技術力

フューチュレック最大の武器であるテクニカルディレクション面も、企画やデザインを支えてきただけでなく、FT設立によってさらに強化されているという。

荒張:僕はシステム開発会社から転職したんですが、FTに合流してまず感じたのは、新しいことをやっていこうという姿勢。チャレンジングなプロジェクトが多数動いているんです。以前は、ECサイトやソーシャルゲーム、ロボットを使った遠隔検証システムのサービス開発など、堅い仕事が中心でした。今ではVRやARといった最新技術を使った開発やコンテンツ事業にも関わらせてもらい、どんどん自分の手がける範囲が広がっている実感を持てます。

石園:僕はフューチュレックに6年間勤めていて、FTに合流したのはつい最近です。今も籍はフューチュレックにありますが、FTでの仕事は今後ますます増えていくと思います。今まではクラウドサービスを活用したWEB制作やインフラ構築などが主でしたが、FTではIoTやリアルイベントなど、これまで個人的に注目していた高度な技術を仕事に活かせるので、刺激的で楽しい。発想も柔軟になりますし、エンジニアとして非常にやりがいを感じています。

テクニカルディレクター兼エンジニア 石園智大さん

テクニカルディレクター兼エンジニア 石園智大さん

荒張さん、石園さんは口を揃えて、「僕らエンジニアが企画から参加することで、システム面も企画に応じた創意工夫が最初からできる」「実際に何をどうすれば上手く実装できるかが、イメージしやすい」と話す。一方、企画を担う三好さんもテクニカルディレクターと一緒にプランニングすることで、システム的に何が可能で何が不可能なのか判断もつきやすく、実現可能にするにはどうすればいいのかを共に考えられるため、無駄がないワークフローを組むことができると手応えを感じているそうだ。

三好:特にFT専属の荒張は、僕らの企画をどう技術に落とし込むか、プロジェクトごとに実験や検証を行ってくれる。すると今まで知らなかったテクノロジーからの発見が多くあったり、それに関連してアイデアもどんどん浮かんでくるんです。チームが一体となって取り組めると、それぞれのフットワークも軽くなり、ナレッジが増える。今、FTには15名ほどのメンバーが在籍していますが、手が空いていれば肩書きにこだわらずに、いろいろなことに関われます。各セクションの足並みも揃い、コミュニケーションも取りやすい。とても風通しがいいですよ。

ディレクター 三好航一郎さん

ディレクター 三好航一郎さん

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次々に新しいチャレンジを成功に導く、FTの対応力

次々に新しいチャレンジを成功に導く、FTの対応力

全員が幅広い領域に深く関わることができるFTのプロダクトは、柔軟な発想力と強固な技術力が相まって、他にない新しいプロダクトを生み出している。その一例となるのが、山梨県に本社を構える印刷会社とコラボレーションした、スマートフォン専用のフォトブック作成サービス「Citrus(シトラス)」だ。2016年6月にローンチし、現在もユーザーを拡大中。「これからはBtoCにも注力したいため、企画から自由に考えて欲しい」という無茶振りのようなオファーがFTにあったのだとか。

フォトブック作成サービス「Citrus(シトラス)」

フォトブック作成サービス「Citrus(シトラス)」

三好:僕らが考えたのは、今後さらにニーズが増えるであろう、スマートフォンから手軽にフォトブックをつくれるサービスです。とはいえこのサービスは、現状ライバル会社も多い。そこで、競合にはないいくつかのユニークポイントを考えました。まずターゲットは、毎日を忙しく過ごす働くママに設定。そのため、片手で写真セレクトから注文までできる手軽な操作を追求しました。また、高級感溢れるハードカバー仕様で、料金体系には月額制のサブスクリプション方式を採用。できるだけ安価で品質の良いものを届ける仕組みを提案しました。サービスの方向性からネーミング、価格設定にデザインまで、ほぼすべてを担当したため、手応えを得ることができたプロジェクトになりましたね。

保坂:ハードカバーのデザインも、「フォトブックっぽくしたくない」というニーズがあったので、オシャレで豊富なデザインを模索しました。三好と相談しながら、全部で100種類ほどをつくったのですが、それも月額制を意識して、毎月1冊注文すると同系統の12冊のデザインが1シリーズになるように制作。普段のクライアントワークでは、作家性を抑えるオーダーが多いんですが、今回ばかりは三好から「保坂さんのアーティスト性を存分に出してくれ!」と言われて……。苦しくもありましたが、嬉しかったですね(笑)。

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また、UI・UXなど運用面のテクニカルディレクションには荒張さんの創意工夫が込められている。

荒張:三好からのオーダーもあって、まずはデバイスの操作が苦手な女性でも直感的で使いやすいUIを意識しました。また、「Citrus」はフォトブック1冊をつくるのに、35枚の写真を選んでアップロードしてもらうのですが、セレクト画面の段階から時間差で写真をサーバに上げる工夫などを施し、アップロードタイムを意識させない、スピーディーで軽快な操作を心掛けました。クライアントワークではあるものの、まるで自社サービスのようなチャレンジをすることができた案件だったと思います。

「Citrus」のようなアプリ開発は、これまでのフューチュレックが手がけてきたジャンルと遠くない。だが、まったく未知の領域に踏み出すプロジェクトが多数進行しているのもFTの魅力だ。

石園:僕がもっとも苦労したプロジェクトは、データ分析をリアルタイム映像と連動させたテーマパークのアトラクション開発ですね。テクニカル面でも今まで経験してきたWEBサイトとはまったく異なる考え方が必要でしたし、当初、クライアントからの要望を聞いた時、絶対に実現不可能だと全員が思っていました。しかも、2か月という短期間での開発。プロデューサーもディレクターもエンジニアも関係なく、全員が一丸となって面白いアイデアを持ち寄っては膨らませてを繰り返して……。なんとか最終的に実現までこぎつけることができ、クライアントからも好評をいただくことができました。精鋭が集まったFTならではのチームワークが発揮されたプロジェクトでしたね。

唯一無二の個人同士が巻き起す、FTの化学反応

FTでは新規プロジェクトが立ち上がると、社内ブレストの状況を全員が共有し、直接プロジェクトに関わらないメンバーも自由にコメントを書き込めるシステムを構築。全員がアイデア出しから参加できるスタイルは達成感もひとしお。目指したいことが明確となり、やりたいこともますます増えていると4人は話す。

三好:FTが手がけるプロジェクトは、いつもチャレンジングで新鮮。僕自身、ディレクターではありますが最新のテクノロジーには常に注目して、新しいことをどんどん取り入れたいと思っています。また、当たり前のことですが「自分が心から使いたいと思えるもの」をつくっていきたいですね。自社サービスやクライアントワークなど関係なく、すべてにおいて自分ごととして取り組んでいきたいと考えています。

石園:今話題のVRやIoTのその先として僕が注目しているのは、ディープラーニングと音声認識、言語認識などのAIですね。技術そのものにも関心があるのですが、個人的には生活者にどう活かされるかというところが勝負どころではないかと感じています。テクノロジーが発展するのは当然のこと。それを実社会で受け入れてもらえる方法を常に考えていきたいですね。そのためにも、まずは基礎をしっかりと学び、FTの仕事に活かしていきたいと思います。

荒張:もちろん、今の僕らの発想には限界がある。そこで必要なのは外からの刺激だと思っていて。僕としては、自分の隣を走ってくれる人というか、新しい価値観や視点を与えてくれる人と一緒に何かをつくっていきたいですね。この約2年間、僕らが積み重ねてきたものを分け合え、より展開してくれるような人に出会いたいです。

テクニカルディレクター 荒張正一郎さん

テクニカルディレクター 荒張正一郎さん

保坂:最近、僕も後進の育成について考えています。これから会社を大きくするために必要なのは、今の僕らにはないエッジの効いた個性だと思うんですよ。強固で柔軟なFTで技術を磨き、より面白いものをどんどん世の中に送り出していきたいですね。

今後はノンデジタルな仕事や海外のプロジェクトにも積極的に取り組み、これまで培われたナレッジを活かしていきたいというFT。新しいメンバーが加わり、さらにパワーアップする彼らの活躍から目が離せない。

  • Profile

    FT(株式会社フューチュレック Tokyo  Branch)

    フューチュレックは2003年の設立から、企業の基幹を支えるシステム構築を強みとしてきた制作会社です。
    しかし、2015年に社内カンパニー「FT」を東京で立ち上げたことをきっかけに、システムだけでなくより幅の広いクリエイティブを実現する体制を整えてきました。

    「システム」というと技術力に注目されることが多いですが、私たちは技術に基づいた企画力にも自信を持っています。

    扱うものもWEBサイトだけではありません。
    たとえば、イベント会場で用いられるインタラクティブな仕掛け。
    たとえば、世の中にひとつだけのオリジナルグッズをみなさんの手で作れるオンラインの仕組み。

    私たちもまだ見たことがないものでも「どうやったら実現できるか?」を常に考えて、カタチにしていく会社です。

    FT(株式会社フューチュレック Tokyo Branch)