すべてのデザインにエンターテインメントを! 設立15年目を迎えるエンタクルグラフィクスの変化と手応え

株式会社エンタクルグラフィックス

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ゲーム業界をはじめ、エンターテインメント領域を得意とするWEB制作会社エンタクルグラフィックス。2014年に設立10周年を迎えてからは、ゲームの企画やアプリの開発にまで幅を広げたり、得意とするエンターテインメント性溢れるデザインを教育機関や大手通信会社など他業種にも広げるなど、多彩な事業展開を仕掛けている。そんな著しい変化を見せるエンタクルグラフィックスの今について、代表の岩田文人さん、チーフデザイナーの官川泉さん、デザイナーの西木晃生さんに伺った。
  • 取材・文:村上広大
  • 撮影:西槇太一

狭く深くから、広く深くへ。他領域に事業を展開するエンタクル流仕事術

WEB業界は変化が目まぐるしい。数か月単位で新しい技術やトレンドが誕生し、それが一気に主流になっていくことも珍しくはない。この業界は転がる石に苔むさず、というわけだ。そんな時代において、エンタクルグラフィックスは2004年の設立から今日に至るまで、まさに転がる石の如く変化を続けている。同社には2013年にもインタビューを行っているが、それからの4年間で大きく事業を広げてきた。中でも得意としているエンターテインメント領域では、深く入り込んで仕事をする機会が増えているという。

岩田:同じクライアントと長く一緒に仕事をしていくことで信頼関係が生まれてきて、 WEBサイトやアプリのUI・UXデザインだけではなく、グッズやパンフレットなど様々な制作依頼が増えていきました。デザイナーやエンジニアが持っている技術やノウハウを使ってWEBサイト制作以外の提案も頻繁に行っていたら、いつの間にかいろいろな仕事をいただくようになっていって。最近は光栄なことにゲームをゼロから企画する機会もいただきました。

代表取締役 岩田文人さん(画像提供:エンタクルグラフィックス)

代表取締役 岩田文人さん(画像提供:エンタクルグラフィックス)

こうして開発を手がけたのが、2015年に株式会社KADOKAWAから発売された、手軽にオリジナルゲームを作成できる人気ソフト『RPGツクールMV』。ゲームの仕組みそのものを制作するという経験は、新たな学びも多かったという。

岩田:本当に幸運な話でしたね。商品のプロモーションはたくさんやってきましたけれど、商品そのものをつくる経験は今までなかったので。いいチャンスだと思い協力させていただきました。また、自社で開発した商品のプロモーションを自社で行うという経験は新たな発見も多かったです。PR視点だけではなく、メーカー視点からも考えられるという思考の違いを知れたことは大きな収穫だったと思います。

「エンタメ領域で身につけたナレッジや感覚は最大の武器になる」

こうしたエンターテインメント関連の仕事に深く携わるようになったノウハウを活かして、近年では他領域のビジネスにも事業を広げるようになっている。

岩田:設立10年目を迎えた頃を境に、それまで主軸にしていたエンターテインメント領域だけでなく、教育業界や通信業界など、これまで携わってこなかった業界から仕事を請けるようになりました。その中で僕たちの企画力やデザイン力を発揮する場面も日々増えていますね。

スマートフォンゲームの流行やゲーミフィケーションの一般化によってエンターテインメントの要素がより世の中に受け入れられるようになったと岩田さんは語る。多くの企業が自社のコンテンツにエンターテインメント性を求めるようになっているそうだ。その影響によって他業界から声がかかる機会も増えているという。

岩田:やはりどんなサイトでも楽しく見せたいじゃないですか? 情報の羅列だけじゃつまらない。そうなれば表現にエンターテインメント性をもたせることも必要になってきます。かつてはFlashで表現していましたが、WEBサイトをすべてFlashで構築することが一般的なサイト制作の障壁となり、どこか静的なものになってしまうケースが多かったんですね。しかしFlashでWEBサイトをつくる時代が終わり、HTML5などが世に浸透するに連れて、デザインがフラットになりシームレスに動きや表現などを追加できるようになりました。そうした流れの中でエンターテインメント的な要素をWEBサイトに盛り込みたいという声が増えたのだと思います。

こうした多領域に及ぶ事業を展開していく上で中軸を担っているのが、チーフデザイナーの官川さんだ。彼女の本職はWEBデザイナーだが、そのスキルは幅広い。

官川:技術が進歩するに連れて、学ぶ機会が増えていきました。昔はもっと「このアプリケーションって何だろう?」って悩んだりする時間が多かったんですけれど、段々と技術を覚えるスパンも短くなっていって。新しい技術を扱うことへの耐性ができたんだと思います。結果としていろいろなことができるようになって、最近はWEBサイトのデザインだけでなく、PVやパンフレットの制作なども増えていきました。

チーフデザイナー 官川泉さん(画像提供:エンタクルグラフィックス)

チーフデザイナー 官川泉さん(画像提供:エンタクルグラフィックス)

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デザイナーからディレクターへ転身も可能!?
個性を見極めたキャリアパス

デザイナーからディレクターへ転身も可能!? 個性を見極めたキャリアパス

官川さんのようなベテラン勢の活躍はもちろんだが、同社では若手社員の奮闘も著しい。デザイナーの西木さんは、入社1年目ながらゲームの企画立案やコンテンツ制作に携わっている注目株。そもそも数ある制作会社の中で、どうしてエンタクルグラフィックスを選んだのだろうか。

西木:「デザインの仕事」と一口に言ってもいろいろなものがあるんですよね。たとえば化粧品のパッケージを制作するのもデザインだったりするじゃないですか。僕はもともとゲームやアニメが好きで、いわゆるオタクと呼ばれる部類に入ると思うんですけれど、そういったジャンルに関わることができる制作会社はないかと探していたんです。そんなときにエンタクルの存在を知りました。エンターテインメント領域に強いことはもちろん、少人数の精鋭部隊のような雰囲気にも魅力を感じましたね。

とはいえ西木さん、大学在学中はグラフィックデザインを専攻し、WEBデザインに関する知識は独学で身につけた程度だったという。入社して数か月はコーディングの知識を改めて先輩社員から教え込まれ、いわゆる「WEBの作法」のようなものを身につけることを勤しんだそう。

西木:最近になってデザインの企画出しやページ制作に携わるようになったのですが、自分がもともとプレイしていたゲームの案件に携わる機会があって、そのときは感無量でしたね。また最近は、プライベートで『COMITIA』という自主出版した本を発表・販売するイベントに参加しました。会社で身につけたノウハウがプライベートでも活かされるので、つくづく幸せだなと感じています。

デザイナー 西木晃生さん

デザイナー 西木晃生さん

事業領域が広がっている今、西木さんのような若い社員は、これから幅広い業務をこなすことも増えていくはず。ある意味で会社の過渡期を迎えた今、スタッフのキャリアパスについて、岩田さんはどのように考えているのだろうか。

岩田:弊社のクリエイティブチームの場合、デザイナー、プランナー、ディレクターという分かれ道がありますが、あまり気にする必要もないかなと思っています。デザイナーになったからといってディレクションをやらないかと言ったらそういうわけでもないですし、ディレクターがデザインをやったらダメというルールもあるわけではありません。デザインを極めていく方向に進むのも良いし、ディレクションが得意なデザイナーになるのも良い。それぞれの適性やそのときのステージに合わせて働ける環境を用意できればと考えています。

官川:そういう意味では、私はどちらかというとデザインを極めるタイプだと思います。もちろん、ディレクションやマネジメントをまったくやらないかと言われると全然そういうことではないんですけど、やはりデザインをしている方が性に合ってますね(笑)。

岩田:僕としては、スタッフ全員がクライアントから直接指名を受けて一緒に面白いものをつくっていけるようになって欲しいと思っています。そのときに自分のポジションや特性がはっきりとわかるようになっていればいいですよね。

「送り手」と「受け手」との間にあるギャップを埋めたい

これからのエンタクルグラフィックスは設立15年、20年という節目を目指して事業を行っていくわけだが、今後どのようなビジョンを描いているのだろうか。

岩田:情報の送り手と受け手との間にギャップやズレがあると思っています。たとえば、現在携わっている教育系の案件にしても、メインとなるターゲットは感受性の高い若い子たちなんですが、多くの学校では難しい話を難しいまま伝えようとしています。いわば、目的に対して手段が合っていない状態なんです。そこにちょっとでも楽しい要素というか、エンターテインメント性を持たせるだけで、見え方や伝わり方が変わって、より若い子たちに届くようになると思うんですよ。そういう伝わりにくいものをわかりやすく伝えるという取り組みはもっとやっていきたいですね。

(画像提供:エンタクルグラフィックス)

(画像提供:エンタクルグラフィックス)

官川:デザイナーとしては、常に新しいことへ挑戦して、どんな商材や案件でも良いアウトプットを出せるようにスキルを高めていきたいですね。それはプライベートワークでも同様です。実は今、音楽ユニットのセルフプロデュースを行っていて、近く音楽レーベルを立ち上げようと考えています。そこでは楽曲制作はもちろん、WEBサイトやMVなども自分たちで制作する予定です。個人的なプロジェクトを手がけることで、結果的にクライアントワークにも良い影響を与えられたらと思っています。

岩田:そうやって自分たちの興味があることをビジネスに結びつけていくというのは、クライアントワークに加えプライベートワークもやっているからだと思うんです。「どうせやるなら、どちらも本気でやろう!」みたいなマインドでチャレンジしていますね。

西木:クライアントワークもプライベートワークも両方やる。そして、それぞれを行き来する中で技術や知識を培っていける。そういう欲張りな人がたくさんいるのがエンタクルの魅力だと思います。

岩田:僕たちが目指しているのは、「社交的なオタクの集まり」になること。そういう意味では、理想的な環境が整ってきていると思います。もちろんプライベートワークに関しては、それぞれの自主性に任せていますが、何かあれば協力してくれる人もたくさんいますし、それが自然と会社の文化になっているんですよね。僕自身、この仕事を始めたのも、ものづくりが好きという純粋な気持ちからでした。スタッフ全員が、ジャンルに拘らず好奇心の赴くままに突っ走って欲しいし、そんな彼らを常にサポートしていきたいと思っています。

  • Profile

    株式会社エンタクルグラフィックス

    ENTACL GRAPHICXXXは、ゲーム系サイトをはじめ、アニメ・音楽・アパレルなどのWEBサイト制作を中心としたBtoCのエンターテインメント系コンテンツを多く手がける制作会社です。また、2019年秋にはマレーシアにクリエイティブスタジオを立ち上げ、日本と東南アジアのゲーム開発やプロモーションの橋渡しにも力を注いでいます。

    WEB制作以外には、各種ゲームのUIデザインやプロモーション映像の制作も数多く手がけています。その他にも、グッズや印刷物・ロゴ・イラスト・音楽制作など、幅広いクリエイティブワークを行っております。

    クライアントはゲーム・アパレル・音楽・テレビ番組関連などを中心としたエンターテイメント系が6〜7割を占め、その他は、学校や通信関連、広告代理店、などの大手企業になります。業務を評価いただいたクライアントからのリピートや紹介による受注が大半で、どんな案件にも120%の成果を追求する会社です。

    また、通常の案件のほかに『本当によくわかるJavaScriptの教科書』の著書や、ENTENTSという社員発信の自社コンテンツ企画にも取り組み、『かおBINGO』というアナログポケッタブルゲームも、そういった企画の中から生まれました。

    株式会社エンタクルグラフィックス