「好きを仕事に」は可能か?CINRAが追求するオーナーシップのあり方

株式会社CINRA

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クリエティブ業界の働き方がより自由になったことで、趣味と仕事の両立や、職域を超えたキャリアアップなどを考える人も増えている。CINRAのOwnership Company事業部では、副業やフリー出社が認められているが、社員たちはどのようにして「自分らしい働き方」を見つけているのだろう? 現場メンバーの本音を聞いた。
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      株式会社CINRA

      株式会社CINRAは「人に変化を、世界に想像力を」をミッションに掲げ事業を行うクリエイティブカンパニー。インターネットを軸に自社メディアの企画運営、WEBサイトや広告の企画・制作、イベント企画など多岐にわたる事業を行っています。

      現在は「International Company」「Arts & Culture Company」「Ownership Company」の3事業部に分かれて事業を展開。事業部内にはWEB制作を始めとするデジタルプロモーションを行うクリエイティブチーム、自社メデイアを企画運営するチームが同居し、企画からローンチまで一気通貫で行える体制が整っています。

      ▼International Company

      「国境を超えた異文化交流により、人に新たな変化をもたらす」
      世界中のクリエイターネットワークを活かし、カルチャーシティガイド『HereNow』の運営や、シティブランディング、インバウンド&アウトバウンドなどの観光プロモーションなど、異文化交流促進を軸に事業展開しています。

      ▼Arts & Culture Company

      「芸術文化の力で、人に新たな変化を提供する」
      カルチャーメディア『CINRA.NET』や、女性のためのコミュニティ『She is』の運営を軸に、音楽やアートなどのカルチャーの力を駆使したプロモーションやイベント企画運営など、行政や企業のマーケティング課題を解決しています。

      ▼Ownership Company

      「人に人生のオーナーシップ(当事者意識)を提供する」
      クリエイティブ業界に特化した求人サービス『CINRA.JOB』の運営や、サービスのブランディングや組織のインナーブランディングを実施。地方自治体の移住促進や企業誘致なども行い、「はたらく」をよりポジティブにするためのクリエイティブソリューションを提供しています。

    取材・文:市場早紀子、小河原万里花[撮影]、四位拓郎(以上CINRA) 編集:山本梨央、青柳麗野(以上CINRA)

    CINRAのOwnership Company事業部とは?

    CINRAの事業部はOwnership Companyのほかに、カルチャーメディア「CINRA.NET」を運営するArts&Culture Companyと、インバウンド案件を担うInternational Companyがある。

    そのなかでOwnership Companyは、求人メディア「CINRA.JOB」の運営とクライアントワークを軸に、幅広い案件に従事。たとえば、オウンドメディアの制作、企業や大学のブランディング、地方自治体の移住促進など多岐に渡る。

    今回は同事業部に所属する社員に「働き方」「キャリアアップ」「クライアントワーク」についてインタビュー。それぞれが思う、自分らしい働き方とは?

    働くパパに、アクセサリー作家の社員。フリー出社制度と副業をどのように利用している?

    2017年から時間や場所に縛られずに働く「フリー出社制度」が始まった。そのほかにもCINRAにはさまざまなかたちで、自分に合ったワークスタイルを叶えることができる。そこで、副業を持つクリエティブプランナーの矢島菜摘と、フリー出社を活用するエンジニアの濱田智に話を聞いた。

    ―矢島さんは2017年に中途入社し、現在は契約社員として働きながら、副業もされているとか。なぜCINRAに転職を決めたのでしょうか?

    矢島:私はアクセサリー作家の活動もしているのですが、前職では副業自体が認められておらず、「作家」というよりは「趣味の一環」としての活動でした。でも、理想のライフバランスは、作家としても実績を積み、本職と「兼業」することだったので、自分のステップアップのために副業が認められている会社を探していたんです。

    じつは、入社前にCINRAのECサイト「CINRA.STORE」で作品を扱ってもらっていて。私の活動への理解が深いCINRAなら、理想の方向にキャリアを進められると思い転職しました。

    クリエティブプランナーの矢島菜摘

    クリエティブプランナーの矢島菜摘

    ―契約社員はフリー出社とは異なり、基本的に10時から19時の定時出社ですよね。ワークライフバランスの観点で、よかったと感じる点はありますか?

    矢島:基本的に定時で帰れているので、帰宅したあとや土日などの時間はアクセサリーの制作に当てています。社内には副業に対して前向きな文化があるので、上司や同僚に勤務時間などの相談がしやすく、気持ちの面でもすごくやりやすいです。

    メリットは時間だけでなく、普段の業務で得られたPRやマーケティングの知識が、ふとしたときに作家活動で役に立つことも。私のメイン業務はサイト制作のディレクションなのですが、Ownership Companyで請負うクライアントの業種は幅広く、お客様からさまざまなお話を伺えるので、ビジネスの勉強にもなっています。

    ―アクセサリー作家としてはどんな場所で活動をされていますか?

    矢島:CINRA主催のカルチャーフェス「NEWTOWN」に、社員としてではなく、作家として参加しています。これは会社のメンバーが、私の活動を知ってくれているからこそのチャンスですね。

    ほかには、ヒカリエで行うポップアップに参加したり、「太陽と星空のサーカス」「GOOD VIBES NEIGHBORS」などへのマーケット出店や、アーティストの新曲プロモーションにグッズ作家として参加させていただくなど、作家としての活動も増えてきました。もともとオンラインストアで販売を始めたので、インターネット以外のコミュニティーにも露出できるのはとても嬉しいこと。今後は大型フェスのマーケットにも出店できたらいいなと思っています。

    カルチャーフェス「NEWTOWN」での出店の様子(撮影:垂水佳菜)

    カルチャーフェス「NEWTOWN」での出店の様子(撮影:垂水佳菜)

    ―続いて、濱田さんはCINRAにフリー出社制度ができる前から在籍されていて、趣味も多く、お子さんもいらっしゃいますよね。これまでの働き方からどのような変化があり、いまはどんなワークスタイルを取られていますか?

    濱田:私は学生の頃から音楽活動もしていて、数年前にアルバムを1枚制作したんです。CDをタワーレコードさんに置いてもらったりしていたのですが、そのときはエンジニアとしての仕事が忙しく、まだフリー出社制度も始まる前だったため、より多くの人に聞いてもらうためのPR活動などが十分にできませんでした。それはいまでも後悔していますね。

    いまは出社時間も勤務場所も自由なので、仕事・趣味・子育ての時間を、自分の体調や仕事量、やりたいことに合わせて生活できるようになりました。

    エンジニアの濱田智

    エンジニアの濱田智

    ―忙しい会社員だと、なかなかお子さんとの時間をつくりにくいという話はよく聞きます。現在の働き方は、お子さんにも影響を与えていると思いますが、いかがでしょうか?

    濱田:家で仕事ができると、たとえ一緒に遊んであげられなくても「傍で働く父の背中」は見せてやれるし、仕事で家族以外の社会と関わっていることを、よく理解してくれている気がします。リモートで会議に参加している姿なども、家にいながら見せられますし。

    たとえば先日、開発しているアプリの動画撮影に同席することになった際も、撮影スタジオに息子を連れて行ったんです。普段は見られない仕事現場や自分の働く姿を社会科見学のように見てもらえたことは、息子にとってきっと良い経験になっていると思います。「子どもだけに集中する時間」でなくても一緒に過ごすことはできるし、自分の仕事が息子の成長に刺激を与えていると信じています。

    ―お話をお伺いしていると、「仕事」と「プライベート」をはっきりと分けないワークスタイルを取られている印象を受けました。ご自身のなかに「これ」という理想のワークスタイルや考え方があるのでしょうか?

    濱田:自分の頭のなかにずっとあるのは、「仕事とプライベートのシナジーを生み出す」ということ。仕事優先で家庭を顧みないとか、趣味のために仕事をないがしろにするというのは、自分の理想から遠いと思っています。「仕事」や「私生活」のなかにもいろいろな出来事が起きて、それぞれが影響しあってシナジーが生まれていると感じます。

    そのためにも、たとえば朝起きてすぐの集中力が高い時間は家で仕事をして、集中力の下がる頃を通勤時間に当てるなど、時間を最大限に使えるようにコントロールしています。「仕事として依頼されたものをつくるならエンジニア」「自分の意志でつくりたいものをつくるなら音楽制作」「未来をつくる我が子と向き合う子育て」など、そのなかで相互に経験やスキルを活かせるような設計や選択をしていく感覚を持って過ごしています。

    お子さんは現在、7歳

    お子さんは現在、7歳

    初めてのことも「とりあえずやってみる」ができる環境

    Ownership Companyは、職種ごとに仕事が限られているのではなく、その人らしく幅広い業務にチャレンジができる。そこで、クリエイティブ業界に特化した求人サービス「CINRA.JOB」のブランドマネージャー萬崎友子と、WEBサイトの制作を行うクリエイティブプランナーの西谷翔に話を聞いた。

    ―萬崎さんは、学生時代からものづくりが好きで、前職もクリエイティブ系の人材紹介の会社で営業をされていたそうですね。CINRAに転職したきっかけは何だったのでしょう?

    萬崎:前の会社は営業にめちゃくちゃ特化しているところでした。その環境で4年間働いて今後のキャリアを考えたときに、営業だけでなくほかの力も伸ばしたいと考えるようになったんです。もとからCINRA.NETが好きで、CINRA.JOBは競合リサーチとして見ていたのですが、CINRA.JOBは「メディア」としての面もあって、そこが印象的でした。ここなら、営業だけでなく企画など幅広いことができそうだと思い、入社しました。

    CINRA.JOBブランドマネージャーの萬崎友子

    CINRA.JOBブランドマネージャーの萬崎友子

    ―現在は、メイン業務の求人サービス以外にイベント企画などもされていますよね。

    萬崎:CINRA.JOBは求人サービスとしてだけでなく、働き方について考えるきっかけを提供したいと思っているので、ユーザーのニーズに合わせてイベントの主催やグッズの制作など、さまざまなアウトプットのかたちを考えています。社内にはクリエイティブの情報感度が高いメンバーが集まっているので、ひとつ相談すると自分だけでは出ないようなたくさんのアイデアがもらえるんです。

    CINRA主催のNEWTOWNではトークイベントを企画できたり、最近もイラストレーターさんとコラボしてイベントグッズをつくったりしました。こういうことができるのも、職種を横断できる醍醐味かなと思います。

    ―エンタメ性に富んだアウトプットができるのがCINRAらしいですね。

    萬崎:初めてのことにも本人のやる気次第でとりあえずチャレンジできるのがCINRA、Ownership Companyの良さだと思いますね。

    CINRA.JOBのメンバーのなかには、リモートワークを試してみたくて自ら福岡でお試し移住に参加したメンバーも。とにかく、まずは「やってみる」という姿勢に肯定的なので、チャレンジしたいことが多い人にはより楽しめる環境なのかもしれないですね。

    2019年3月に行われたCINRA.JOB主催のイベント『その仕事、やめる?やめない?』の様子

    2019年3月に行われたCINRA.JOB主催のイベント『その仕事、やめる?やめない?』の様子

    ―では続いて、西谷さんは制作会社やフリーランスでのWEB制作経験を経て、Ownership Companyのクリエイティブプランナーとなりましたが、メインのサイト制作や提案営業以外にも、グッズやアート作品の発注など、多岐にわたる業務を担当されていますね。何かきっかけはあったのでしょうか?

    西谷:自分から「やります!」と言ったわけではなく、流れで任されることが多いです。最近だと、ブルーボトルコーヒーさんの受託案件で刺繍のイベントを開催したのですが、そこで使用する刺繍の下絵入りのトートバッグを刺繍作家さんと話し合いながら制作しました。発注は未経験ながら気軽に受けたのですが、入稿や印刷で手こずることもあって、モノをつくる過程にはいろんなことがあるんだなとわかりました(笑)。

    ブルーボトルで制作したトートバッグ。イラストは、エヒラナナエさんが手がけた

    ブルーボトルで制作したトートバッグ。イラストは、エヒラナナエさんが手がけた

    ―入社後、数か月で抜擢されて大変だったのでは……?

    西谷:そもそも任されたのも、周りからできそうだと評価してもらえているからだろうし、「なんとかなるか」と思ってやっていました。前職は、職域ごとに業務がきっちり分けられて管理されていたので、学ぶ身としては良かったけど、コミュニケーションを取りながら柔軟に業務ができたら良いなと考えることもあって。いまは、「これをやりたい」っていうのが社内で自発的に飛び交っていて、職種を越えて広く動ける環境。客観的に見てもすごく良いと思います。

    ―ご自身でも「これをやりたい!」というものはありますか?

    西谷:自分自身はあまり前に出たいタイプではないのですが、職種軸ではなく個人の適性を見て業務を任せてもらえるので、それを「やってみた」という経験を通して、やってみたいことが見えてくるようになりました。

    クリエティブプランナーの西谷翔

    クリエティブプランナーの西谷翔

    Ownership Companyは自身でやりたいことが明確なメンバーばかりでは決してない。周囲の「やりたい」をサポートするのが得意なメンバーもいる。職種を越えたアウトプットの選択肢があるということは、自身でも気がつかなかった、「隠されたポテンシャル」を知るきっかけになるのではないだろうか。

    憧れの漫画編集者に。「好きなこと」を仕事にするためには、何が必要?

    「仕事」を通じて自分の好きなことや得意なことを活かしたいーーOwnership Companyでは、そう考える企業や個人を支援する事業部だ。では、支援する側の社員は「好きを仕事に」できているのだろうか? 実際に、漫画好きが高じてかねてからの希望であった、漫画編集を担当するに至った編集者の服部桃子に話を聞いた。

    ―どういう経緯で漫画制作の案件を担当することになったのでしょうか?

    服部:カンパニー全体で「自分たちのやりたいことを大事にしよう」という風潮があるので、チームのミーティングでも自分の好きなことについて話をする場があって、そこで、「漫画が好きだ!」ということを積極的にアピールしていました。その甲斐あって、CINRAで漫画制作の案件が決まったときに、「服部しかいないよね!」ということでアサインにつながりました。

    編集者の服部桃子

    編集者の服部桃子

    ―実際に担当してみていかがですか?

    服部:ずっとやりたい仕事だったので、純粋に嬉しいです。自分が編集者として漫画に関わることで、いち読者とは違う観点で漫画を見られるようになりました。CINRAとしても、今回の案件がひとつの実績になると思うので、これをきっかけに漫画制作が増えていったらいいですね。

    ―ほかにやりがいのある仕事はありますか?

    服部:CINRA.JOBで連載をもっています。記事の目的は、メディアの認知拡大なので、それを達成する企画を自分たちで考えて、取材、ライティング、編集をします。私は食べることやお酒が好きなので、クリエイターの人たちの「ものづくりと食の関係」をテーマに取材をしています。ここでも、憧れの編集者や漫画家に会いにいきました。

    ―まさに「好き」を仕事につなげていますね。

    服部:とはいえ、好きなことだけをしているわけでもなくて(笑)。ほかにも複数の業務を持っているので、どれもがちゃんと進行するようにタスク管理をしなくてはいけません。漫画の仕事もクライアントワークなので、お客さまが求めているイメージをかたちにしなくてはいけないんです。初めての漫画編集ゆえの学びもたくさんありました。

    ―今後、どういうことに挑戦していきたいですか?

    服部:場づくりにも興味があって、ヒカリエにMADO(CINRAが運営するカルチャースペース)も出来たし、そこでも自分の好きなことをアウトプット出来たら楽しそうだなって思っています。

    服部が担当しているCINRA.JOBの連載「つくる人のごはん」。第2回は、漫画家のコナリミサトさんを取材

    服部が担当しているCINRA.JOBの連載「つくる人のごはん」。第2回は、漫画家のコナリミサトさんを取材

    「好き」を仕事にすることは簡単なことではありません。それでも、私たちOwnership Companyは、一人でも多くの人が「働くこと」にポジティブになれる社会にしたいと思っています。同事業部には現在、約30人のメンバーが在籍し、それぞれが自分らしいスタイルで働いています。そして、一緒に働くメンバーを募集中です! 詳しくは、こちらから。