愛してやまないスポーツ・アウトドアを盛り上げるために。「好き」を生業にする、あそぶの挑戦。

あそぶ株式会社

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「好きこそものの上手なれ」という言葉のとおり、好きなものごとへの愛情や熱量が高いほど、人は努力し上達も早くなる。スポーツ・アウトドアをこよなく愛するあそぶは、まさにその言葉を体現している会社だ。あそぶが手掛けるクリエイティブワークはスポーツ・アウトドア関連のプロモーションがほとんどを占める。好きなことを仕事にした背景や想いを、共同代表の酒井智啓さんと高橋靖幸さん、ディレクターの矢代蔵人さん、吉原圭太さんに訊いた。
  • 取材・文:加藤将太
  • 撮影:中村ナリコ

本気で好きだから変えたい、日本のスポーツ・アウトドア業界

スポーツ・アウトドアメーカーのクリエイティブ面を中心にサポートする会社、あそぶ。社名からすると「遊んでいる」イメージも強いが、実際はどんな仕事をする会社なのだろうか。また、旗揚げした背景には、どんな想いがあったのだろう。

矢代:僕らのアウトプットはWEBサイト、映像、グラフィックなど多岐にわたります。共通して意識しているのは、コアな層に届くようなブランディング。ターゲットを明確にしてアプローチすれば予算も絞れますし、クリエイティブの方向性としても迷うことがありません。

酒井:3年ほど前、あるスポーツシューズメーカーとお仕事をさせていただきましたが、その頃はまったく映像コンテンツがなかったんですよ。そもそも、社内に「映像を作る」という発想がほぼなかった。それはなぜかといえば、映像の制作予算を組むという考え自体がなかったからなんです。僕らはそこに踏み込んで、さまざまなシューズのプロモーション映像を作らせていただきました。「ちょっと作ってみませんか」という感じに、新しい可能性を見せてあげるというか。低予算だとしても、まずは一度作って、評価される状況にすることが重要なんです。

代表取締役CEO 酒井智啓さん

代表取締役CEO 酒井智啓さん

高橋:弊社のスタッフは、趣味でもスポーツやアウトドアが好きな人ばかり。そんな「好きなこと」で生計を立てるのは幸せなことですが、日本ではスポーツ・アウトドアの領域においてユニークなプロモーションを手掛けている会社が少ないんです。そもそも日本はスポーツの競技人口やアウトドアの愛好家が世界的に見ても少ないので、もっと活性化させていきたいですね。

酒井: スポーツ・アウトドアを楽しむ人口が少ないから業界が成熟していないというか。それに加えて、企業が新しい商品開発には予算をかけるけれど、その商品を広める方にはなかなか目を向けていないんです。そういった悪い循環が業界にあるような気がします。その現状を僕らがサポートして、盛り上がるきっかけを作っていけたらと。

予算が少なくても相談を受けるケースもある。一般的には予算が見合わない場合、断ることが多いが、スポーツ・アウトドアを愛するからこそ、あそぶは簡単には諦めないという。

酒井:他社が断るところを僕らは想いでクリアしていきます。たとえ少額だとしても、それは企業の担当者がようやく捻出してくれた予算ですし、その人の役に立ちたい。一歩踏み出すことでまったく違う景色と出会えるかもしれないから、そのための背中を押しているんです。そうしていかないと、業界全体が今までと何も変わらない。一緒に汗を流す仲間になって血を通わせることも僕らの仕事の醍醐味。まずは信頼を勝ち取って、いつかは商品開発や売り方といった、もっと内側に入り込んでいきたいですね。

社内に「全種目のスポーツバカが揃うこと」が目標?

競技人口が少ない一方で、日本のスポーツ・アウトドア文化は多様で、世界トップクラスのクオリティを誇る。各メーカーが作る商品の精度もさることながら、最近は「スポーツ・アウトドアへの関わり方」が裾野を広げつつあるようだ。

高橋:アウトドアブランドのスノーピークも地方創生に関するコンサルティングの新規事業を立ち上げましたよね。僕らもスポーツ・アウトドアが自治体や一般企業と絡んでいくことに可能性を感じているんです。あそぶは現状、業界外の仕事もやっていますが、どちらかだけでは広がりを作ることができない。スポーツ・アウトドアとその他の領域をミックスさせて、新しいユーザーを獲得することに挑戦しています。

左:代表取締役COO 高橋靖幸さん / 右:ディレクター 矢代蔵人さん

左:代表取締役COO 高橋靖幸さん / 右:ディレクター 矢代蔵人さん

2016年は、ラグジュラリーなアウトドア体験としてグラマラスとキャンピングの造語「グランピング」が人気を集めたことでも話題となった。

酒井:弊社でも航空会社からの依頼で、グランピングイベントを企画からお手伝いさせていただきました。今の時代は普段着感覚というか、スポーツやアウトドアと、日常生活とのボーダーを無くす傾向にあります。カタチから入るのも楽しいですし、お気に入りのモノを使う贅沢感がアクティビティにつながりますから。

昨年はカラーランやナイトランなどのランニングイベントも流行りましたよね。こうしたイベントに若者が集まるということは、スポーツを楽しむための場を求めているということであって。そこでの体験とSNSやメディアでの情報発信をもっと密接に連動して継続していく必要もある。グランピングはまだまだ流行ると思いますが、日本の消費者は動き出すのも飽きるのも早いから、施設は近い将来に淘汰されていくかもしれません。どのような動向があるのか、アンテナを張っておくことも重要だと思っています。

高橋:だからこそ採用を強化していかなければならないんですよね。やはり事業を拡大していくためには、マンパワーが必要。僕らの軸だけで継続していっても限界が生じます。もっとスポーツ・アウトドア業界に対して影響力を発揮していきたいし、業界の裾野を広げていきたい。僕らと同じ志を持った人たちと一緒に仕事をしたいですね。いずれは、社内に「全種目のスポーツバカが揃っている」という状態を目指したいと思っています(笑)。

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オリンピックで経済効果の恩恵を受けるより、
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クライアントワークの他に、自社企画のイベントも手掛けているというあそぶ。ディレクターの矢代蔵人さんは「会社で仕事する」を「青空の下で仕事する」という発想に転換したプロジェクト、『OUTDOOR OFFICE®』を挙げてくれた。これはもともと、ひとつの社内行事だったという。

矢代:『OUTDOOR OFFICE®』は今年で5年目を迎えますが、2016年はキャンプ場を舞台に1泊2日で開催して、30社の企業と75人もの方々が集まりました。参加企業の中にはIT企業、バイクメーカー、歯医者さんもいらっしゃいますね。青空の下で歯医者さんが診察するというシチュエーションはとにかく斬新でした(笑)。「このイベントをきっかけにキャンプへ行くようになった」と言ってくれた参加者がいたり、新たな出会いやアイデアが生まれる場にもなっています。是非いろんな業界で働く方たちに参加していただきたいですね。

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クライアントワークも順調に広がり、自社プロジェクトも軌道に乗ってきたあそぶ。2020年に開催が迫っている東京オリンピックも、まさにその延長線上にあるように思える。東京開催が決定してから、日本では海外からのインバウンドを狙った観光施策が積極的に企画されるなど、2020年に向けての露出は年々増すばかり。あそぶは自社の事業において、オリンピックをどのように位置付けているのだろうか。

酒井:会社を設立した当時は東京オリンピックの開催は決まっていなかったんですよ。自分たちが生活する国でのオリンピックは、生きている間に1〜2度あるかどうか。もちろん、僕らも関われたら最高だなと思っています。でも、僕らが関わりたいのは大手の代理店がやっている本線とは異なる、伏線の部分というか。「選手の応援」ではなく、オリンピックを機にスポーツやアウトドアに興味を持ってくれた人たちが、実際に自分たちの生活に取り入れて盛り上がってくれたらいいなと思っています。

高橋:最近の海外旅行客の増加を踏まえると、東京オリンピックはスポーツ・アウトドア業界に限らず、その他の業界や自治体にも経済効果をもたらす可能性がありますからね。その両者を繋げ合わせることが、僕らが目指している「クリエイティブ・コミニケーション・ハブ」なんです。素晴らしいプロダクトの魅力を広める力が弱いというのは、スポーツメーカー以外にも共通しているのかもしれませんね。伝えきれていない素晴らしいストーリーの一つ一つをすくい上げて届けるのが僕らのミッションです。クライアントとのコミュニケーションの濃度を薄めたくないから、仕事はクライアントとの直取引が9割です。

社員もクライアントも、課題を一緒に乗り越えるための仲間

あそぶには年末年始に新しいメンバーがジョインしたばかり。関連会社から転籍してきた映像ディレクターの吉原圭太さんと、現在沖縄の大学に通うインターンの山内沢真さんだ。

右:ディレクター 吉原圭太さん

右:ディレクター 吉原圭太さん

吉原:もともとアウトドアが好きで、今は伊豆の山奥に住んでいます。もはや生活自体がアウトドアみたいな感じ(笑)。週1回は出社して、それ以外は自宅で編集作業をしたり、シナリオを書いたりしていて。あそぶに転籍して新鮮だったのは、友達になれそうな人がクライアントに多いということですね。プロジェクトが終わった段階で関係性が完結するのではなく、その後の展開まで気にかけるようになったのは大きな変化です。もしかすると、趣味の面でクライアントとの共通項が多いからかもしれません。

山内:僕は大学の国内留学を利用して、インターンとして働いています。もともと空間デザインと映像制作に興味がありましたが、地元の沖縄にはそれに触れられる環境が少ないので上京し、あそぶのインターンに申し込みました。仕事の一部にも関わらせてもらったり、1か月もしないうちに社員旅行で台湾に連れていってもらったり。あそぶでインターンを経験してから、早く社会で働きたいと思えるようになりました。

高橋:せっかく良いものを作るなら、「一緒に作り上げた」という達成感をスタッフにも、クライアントにも共有できた方が良いと思っていて。共に乗り越える仲間という意識で、どんなプロジェクトも担当しています。それは、お客さんも社員もインターンも同じ。

インターン 山内沢真さん

インターン 山内沢真さん

競技やアクティビティとして見ると、スポーツ・アウトドアはひとつの目標に向かって時間を共にするからこそ、うわべだけでの人間関係では成り立たない。あそぶが特化する業界にとっても、そうしたマインドの部分が大きいからこそ、仕事の上でも自分の想いをストレートに伝えることが必要だという。

酒井:お客さんに気に入られてなんぼというところはありますよね。「コミュニケーション能力」とよく言いますが、それは相手の話にただ合わせることではないと思っていて。「おっしゃるとおりです」とか「そうなんですか」なんて相槌は、何も言ってないのと一緒。自分のパーソナリティを持って対峙していくと、人の深みが表れます。興味関心があるということは、言い換えると伸びしろがあるということですからね。本当に知ろうと思えば質問の角度や質が変わるし、表情が変わってくる。

高橋:僕らはとんでもない実績がある人と仕事をしたいわけじゃないんです。お客さんのところに連れていきたい。そう思える人と出会いたい。自分がやってきた得意なスキルを使って、その人が好きなものを成熟させてくれたらと。そういうスポーツ・アウトドアを愛する人が僕らの会社にたくさん集まって、一緒に業界を盛り上げていけたら最高ですね。

  • Profile

    あそぶ株式会社

    「スポーツ・アウトドア業界を盛り上げる!」

    日本のスポーツ・アウトドアはもっと進化できる! もっと楽しいことができるはず! と、4年前に会社を起ち上げました。周りの人からはちゃんと仕事してるの? と心配されてますがちゃんと働いています!

    あそぶは、主にスポーツ・アウトドア関連の企業様におけるプロモーション(グラフィック、WEB、映像、スペース、イベントなど)を手掛けています。

    日本のスポーツ・アウトドア業界をさらに面白いものにしたい! また、困難は多くありますが働き方を変えて、新たな自分にチャレンジしたい! というバイタリティ溢れた方を求めております。しかし、苦労を克服しながら創っていくには基本前提としてスポーツ・アウトドアが好き(バカ)じゃないと無理です!

    そんな「バカ」をあそぶは求めております。

    あそぶ株式会社