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「共創」で生み出す、映像クリエイティブの明るい未来

株式会社Viibar

インターネットを通じて仕事の受発注を行う「クラウドソーシング」。新たな働き方としてアメリカを中心に盛り上がりをみせ、最近になって日本でも多くのサービスがスタートしている。そのなかでも動画・映像制作のクラウドソーシングに特化したサービスが「Viibar(ビーバー)」だ。Viibarは2013年に楽天での勤務を経た上坂優太氏が起業。映像業界の多重下請け構造やクリエイターの制作環境などに疑問を持ち、クライアントとクリエイターをシンプルにつなぐサービスとして構想した。ウェブ上での映像利用の裾野が広がりつつあるなか、働き方やクリエイティブの形にどのような変革をもたらそうとしているのか。代表の上坂氏とクリエイターエンゲージメントユニットの高橋氏にお話を伺った。

取材・文:宮崎智之 撮影:永峰拓也(2014/07/03)

これまでのやり方では情報の伝達が遅すぎる。時代に求められる映像の新しいニーズ

一般的に映像制作といえばテレビ番組やCM、映画などを想像するが、現在はウェブ上のプロモーションやサービス説明などでも動画が利用され、需要が拡大している。ネット回線の充実やスマートフォンの普及によって動画を視聴する機会は今後も増え続けると見られており、そうした状況がViibarに注目が集まる理由の一つとなっている。

株式会社Viibar 代表取締役 上坂 優太さん

株式会社Viibar 代表取締役 上坂 優太さん

上坂:インターネット動画広告市場は2017年には約700億円規模になると言われています。さらに、広告以外にもサービス説明、教育コンテンツ、採用サイトなど、情報を伝えるあらゆる場面で動画が使われるようになりました。また、今後はウェブメディアでもオリジナル動画を配信することが当たり前になってくるかもしれません。例えば「東洋経済オンライン」では独自の動画コンテンツの配信を開始したりと、いずれはオンラインのコミュニケーション全般で動画が使われる日が来るでしょう。

高橋:Viibarは地上波で流れるようなハイエンドの映像、例えば、大手制作会社が作っていたような映像を、安く提供するというサービスではありません。中小企業だったり、地域の商店だったり、数百万〜数千万の予算は出せないけれど、数十万円〜100万円クラスの価格帯で映像を作りたいという「ミドルエンド」のニーズは必ずある。これまでプロが作る動画に触れていなかった顧客層にプロの作品を提供するのが我々のミッションです。

クライアント側のニーズが多様になってきたことで「ミドルエンドの映像」が求められるようになってきた時代の変化に、Viibarはいち早く反応した。一方、制作会社やクリエイター側は、このトレンドにどのような反応を示しているのだろうか。

2013年7月にローンチした『Viibar』

2013年7月にローンチした『Viibar』
http://viibar.com/

上坂:制作会社は高価な機材やスタジオを持っているケースも多いため、大きな固定費がかかります。ですから、ミドルエンドの価格帯では仕事を受けにくい状況がある。一方、技術革新により機材や編集ソフトなどが安価になり、働き方に対する意識も変化してきた今では、会社の枠に縛られずフリーランスで仕事をするクリエイターも増えてきました。

そう話す上坂氏は、映像関係の制作会社出身。当時から、業界に対する問題意識があったのだという。

上坂:最初に入った制作会社ではテレビや音楽関係の映像を作っていました。ここでさまざまな作り手の立場を見て、クリエイターの労働環境などに対して疑問を持つようになって。明らかに多重の下請け構造があり、そんな環境の中に身を置くことに疲労を感じる部分もありました。その後、楽天に移ったあとは、テレビCMやYouTubeを使ったプロモーション動画をつくる、発注側になりました。制作、クライアントの双方を経験してわかったのが、お互いが持っている「情報の非対称性」です。映像制作の世界は多重下請け構造になっているので情報の伝達が遅いし、関わっている人が多すぎて会議を開くのも一苦労です。特に今の時代はスピードが命でもあるので、これではマズいなと思いました。

本質的な動機は「クリエイターを取り巻く環境のひずみを変えたい」ということ。「クリエイティブなことをしているんだから儲からなくても仕方ない」という嫌儲主義を上坂氏は嫌う。しっかり儲かる仕組みを作ってこそのクリエイティブであり、本来、クリエイターこそ、一番に評価されるべきだとも話す。

クリエイティブを最大限に発揮できるプラットフォームへ

そんな問題意識からスタートしたViibarは、実際にどのようなサービスなのだろうか。

上坂:映像制作に関わるクリエイターに登録してもらい、クリエイター同士が共同で制作できる環境をクラウドで提供しているサービスです。そこに動画を作ってほしいクライアントが直接発注できます。私たちはクライアントの発注に対して、手数料を一部いただくというビジネスモデルです。

登録には審査があり、ポートフォリオや経歴などが一定基準をクリアしているクリエイターとなる。また、クライアントとのマッチング方法は二つ用意されている。

上坂:一つはポートフォリオコンペです。ワンクリックでコンペに参加することができ、クライアントは事前に登録されているポートフォリオなどを参考にクリエイターを選びます。二つ目は、絵コンテコンペです。こちらは案件に対して出されたプランからクライアントが採用企画を選定。1位はもちろん案件を受注するのですが、2、3位に対しても賞金を支払うことになっています。さらに、どういう基準で選んだのかクライアントからフィードバックしてもらい、次のチャレンジに生かせるような仕組みにしています。

しかし、映像制作の発注ややり取りに不慣れなクライアントもいるのも事実。そのような問題にViibarはどう対応してきたのだろうか。

クリエイターエンゲージメントユニット 高橋 俊輔さん

クリエイターエンゲージメントユニット 高橋 俊輔さん

高橋:クリエイターは広告代理店などのプロと一緒に仕事をしてきた人ばかり。ですから、動画制作に関して素人のクライアントと仕事をすると、齟齬が生じてしまうこともあります。たとえば一口で「イラスト」と言っても、プロが考えるイラストと、素人が考えるイラストでは、まったく違うものかもしれない。作業の進み方がわからなかったり、期待値がずれたり、摩擦が起きたりすることもある。そういったギャップをなくすために専用のワークフローを丁寧に作りこんでいます。例えば修正作業は手戻りが多く発生しやすい工程ですが、そういった作業を「見える化」し、手戻りが起きない仕組みを導入しています。ただ、それでも生じてしまう問題に対しては、私や担当がサポートに入ることもあります。

もともとNHKでテレビ制作の現場にいたという高橋氏。映像制作のいろはを認識している存在だ。しかしながら、このようなサポート体制は決して理想の形ではないという。

上坂:理想は僕らがいなくても、きちんと案件が回ること。ですから、高橋のミッションは、今やっている仕事を全部なくすことなんです。高橋のやっていることを因数分解して、システムに落とし込んでいかなければいけない。すでに、ディレクターのタスク業務などを簡単にできるような仕組み作りをしていますが、我々が計画している開発の全てが済んでいるわけではないので、高橋のような人間がサポートしています。つまり今は過渡期でもあるんです。

工程管理やクライアントとの齟齬など、非クリエイティブな要素はシステムにより効率化し、クリエイターには制作に専念してもらう。それがViibarの理想型だ。

水平的なチームが「共創」を生む

映像の制作は一人では完結できないのが普通だ。そのため、共同制作の際には、クリエイター同士がどのように上手く連携するのかも課題になる。Viibarはその部分について、どのような考えを持っているのだろうか。

上坂:そもそも、クラウドソーシングが出てくる前から、映像の世界では作業がパートごとに細分化されました。イラストを描く人やモーションをつける人、実写の映像を撮る人、演者、ナレーション、構成作家、ディレクターなど、携わる人もさまざま。そこをシステム内でうまくモジュール化して、よりスムーズに進行できるようにしています。もちろん、昔からフリーランスもいましたが、彼らフリーランスは基本的には制作会社にプロジェクトごとに雇われて、クライアントから代理店、複数の制作会社などを貫く垂直統合型の指示系統で仕事をしていることが多い。一方でViibarは、クライアントも含めて並列の水平的なチームが組めるよう心掛けています。

社内風景

社内風景


こうした水平的なチームの働き方を上坂氏は、「共創」と表現している。その発想こそがインターネットの理念そのものであり、新しいクリエイティブが生み出す根源になると考えている。

高橋:ただ、オンライン上ですべてをフラットにやり遂げたいのではなく、システムで出来ない部分はそのまま残すことも大切だと思っています。だから、クリエイターたちがリアルの場で交流する「場」をつくることも大切にしていて。我々が目指すのは広い意味でのプラットフォームです。なにもオンライン上だけで完結することではないんです。リアルな場で情報交換することにより、僕らの経済圏以外の人の交流が生まれるかもしれない。それが社会への価値と同義になるとも思っています。

上坂:本質的な目標はクリエイティビティを発揮できる場を作ることであり、システムはそれを実現するための一要素に過ぎません。あくまで水平的な組織と仕組みを作り、価格も適正にしていくということを大切に思っています。

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