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「右脳事件」って何者?奇抜な社名に隠れた、チームワークと映像制作への想い

右脳事件株式会社

東京・千駄ヶ谷に、一度目にしたら忘れられない名前の映像制作会社がある。その名は、「右脳事件」。そんなアンダーグラウンドな空気を感じさせるネーミングとは裏腹に、明るいオフィスでは、仲のよい社員たちが持ち前のチームワークによってNTTドコモ、森永乳業、花王、東芝など、業種を問わずさまざまなナショナルクライアントの映像を制作。いったい、右脳事件とはどのような会社なのだろうか? 同社でプロデューサーを務める森永さんと草部さん、ディレクターを務める村田さん、松岡さんの座談会からは、ジャンルを越境していくチャレンジ精神とそれを支える「チームワーク」が浮かび上がってきた。

取材・文:萩原雄太 撮影:豊島 望(2018/8/10)

「社名のインパクトが絶大でしたが、意外にまじめで興味を惹かれました(笑)」

サイバーエージェントの調査によれば、2017年に1,374億円の市場規模を誇る動画市場は、2020年には2,700億円、2023年には3,485億円にまで膨れ上がると予測されている。そんな時代の追い風を受ける動画業界において、創業から16年の長きにわたって、独自の存在感を発揮してきたのが右脳事件だ。同社の最大の強みは、映像というジャンルにとらわれることなく、常に「おもしろいこと」を探し求める貪欲な姿勢。いったい、なぜこのような社風が生まれたのだろうか?

—まず、「右脳事件」という会社名はとても強いインパクトがありますね。みなさんが入社するときは、やはり、この社名に惹かれたのでしょうか?

草部:最初はインパクトのある社名にびっくりしたんですが、実際に面接に行くと、意外にも奇抜さはなく、社員の働く環境や、ものづくりに対する考え方がしっかりとした会社だった。そのギャップに惹かれた部分は大きいですね(笑)。

松岡:ぼくの場合も、インパクトのある社名が最初に目につきましたね。やばそうな会社があるぞ、と。でも、代表のインタビュー記事などを見ると、まじめに仕事に取り組んでいるということが伝わってくるし、単に映像制作をするだけではなく、自分たちが「おもしろい」と思うものをつくっていこうというスタンスもよかった。そこで、右脳事件という会社への興味が深まったんです。

ディレクターの松岡さん(左) プロデューサーの草部さん(右)

ディレクターの松岡さん(左) プロデューサーの草部さん(右)

—社名と実際のギャップに惹かれた、と(笑)。みなさんは、もともと、映像業界から右脳事件に転職したのでしょうか?

松岡:前職は、大阪のポストプロダクションの会社で映像編集をしていました。業務内容としては、テレビ局のディレクターが出す指示に従いながら映像を編集していくというもの。もちろん、やりがいはあったのですが、その一方でだんだんと「こうすればもっとよくなるのでは……?」という、企画や撮影のやり方だけでなく、自分の描く構想も蓄積する。そんな悶々とした気持ちを振り切るため、右脳事件にディレクターとして転職したんです。

村田:ぼくの場合は、もともと映像の大学を卒業してから映画業界に入り、助監督や制作として現場を学んでいました。2年ほど映画業界に携わっていたのですが、制作予算も厳しく、生活もしんどくなって……。業界を離れたいという思いが膨らみつつも、映像制作には関わりたいと思っていた頃に、当時、一緒に現場にいた人から、「純粋な制作ができる、おもしろい会社があるよ」と、右脳事件を紹介されたんです。

映像業界はわりとブラックな会社が多いなか、ここは社員に対してちゃんと向き合ってくれている感じがしたし、代表の影山(二郎)もそういう働き方を変えたいという思いがあった。そこが入社の動機としては大きかったですね。

ディレクターの村田さん

ディレクターの村田さん

草部:私も同じで、やっぱり会社がしっかりしていなければ、しっかりした仕事はできません。右脳事件なら楽しみながら働けると思い、転職を決めたんです。

森永:ぼくは、将来的に大学時代の仲間と映像系の会社を起業しようと考えています。影山は、大学時代の仲間と右脳事件を設立し、15年以上経営してきました。そこで、起業のノウハウなど、何か勉強できることがあるのではと、入社を決めたんです。面接でも、「起業をしたい」という思いを正直に伝え、「30歳までは残っていると思います」と話していましたね(笑)。

プロデューサーの森永さん

プロデューサーの森永さん

—森永さんのように起業志向が強くても、右脳事件の一員として活躍できるんですね。

森永:入社してから1年4か月ほどなのですが、実際に入社して驚くのが居心地のよさです。社員にはいい人が多いし、みんな積極的にコミュニケーションを取ってくれる。リラックスした雰囲気で仕事に臨める社内体制など、勉強すべきところがたくさんあると実感しています。いまのところ、右脳事件に勝る会社をつくる術が見当たらないですね(笑)。

「映像」にこだわるのではなく、「おもしろい」というクリエイティビティーを突き詰める

—森永さんは右脳事件で、プロデューサーとして仕事をしています。これまで手がけたなかで、印象に残っているのはどのようなお仕事でしょうか?

森永:今年3月につくったNTTドコモのサービス紹介動画「ddる ラップ」篇は、とても印象に残っている仕事です。個人的にもラップが好きなのですが、この企画を提案する際には、紙の資料だけでなく、ビデオコンテという企画イメージを伝えるための映像を作成しました。この映像のなかで、ぼく自身がラップをしてイメージを伝えたところ、クライアントからとても好評をいただき、受注に至ったんです。

村田:森永の企画提案には、必ずラップネタが一つ入っているよね(笑)。


NTTドコモ demenu検索プロモーション映像「ddる ラップ」篇(動画提供:右脳事件)

森永:映像業界におけるプロデューサーの仕事は、営業や予算管理、進行管理がメインになることが多いんですが、右脳事件はもっと自由にいろいろな仕事を手がけることができます。企画の提案から、撮影助手のような仕事まで、「やりたい」という気持ちがあれば、どんなことでも挑戦することができる職場だと思いますね。

—個々人がはっきりとした分業のもとに仕事をするのではなく、それぞれのモチベーションに基づいて役割分担が決まっていくんですね。

村田:右脳事件の場合、「こうでなければいけない」というやり方は決まっていません。クライアントの課題や目的、映像の内容、そして映像を発表する媒体によっても求められるものが変わってくるので、その過程についてはフレキシブルなんです。新しく入った人のやり方が、いままでの右脳事件とはまったく別のものだとしても、いい部分があれば、積極的に取り込んでいこうという姿勢です。

森永:だから、一様な「右脳事件」というカラーで染められるのではなく、多種多様なカラーを持つ人が協力してチームワークを生み出していく。それが、結果的に右脳事件らしさにつながっているのではないかと思います。

—松岡さんと村田さんはディレクターとして業務を行っています。印象に残るのはどのようなお仕事でしょうか?

松岡:少し前に、地域プロモーションの仕事がありました。海老名、座間、綾瀬の3市による合同キャンペーンだったのですが、企画を立案する段階で、必ずしも映像にしなくてもいいという依頼でした。そこで、地域に住む50人くらいに、インタビューと写真撮影をして「ポスターをつくる」企画を実施したんです。

通常なら綿密に構成を考えてから撮影現場に入るのですが、今回はだいたいの流れだけを決めて、次から次へと撮影していくという手法をとりました。そのアドリブ感も楽しかったし、出演してくれた地域の方々もとても楽しんでくれていた。そんなチャレンジができるのは右脳事件らしさですね。

—普通の映像制作会社なら、映像を切り口としますよね。

松岡:右脳事件は、決して「映像」というジャンルにとらわれない会社です。企画を考える際にも、映像以外のアイデアのほうが結果的にいいプロモーションに結びついたり、おもしろいプロモーションが生まれたりする可能性はありますよね。そのため、右脳事件では、映像にとどまらず、グラフィックや新聞広告などを手がけることもあります。

村田:ぼくも、「印象に残っている仕事」と聞かれると、映像だけではない仕事が思い浮かびます。タイヤメーカーのグッドイヤーが『東京モーターショー』に出展した際の、プレゼンテーションの企画・総合演出をしたことです。

そのときは、未来の車をかたどったブースを訪れた来場者が、3Dメガネをかけて、3DCGの立体視映像を見ながらリアルと映像の掛け合いでプレゼンテーションを体験できる展示展開にしました。単に映像を制作するだけでなく、映像をどのように届けるかまでを考えながらつくることができたのは、とても大きなやりがいでしたね。

『東京モーターショー』におけるグッドイヤーのブース総合演出(画像提供:右脳事件)

『東京モーターショー』におけるグッドイヤーのブース総合演出(画像提供:右脳事件)

—近年、WEB動画が当たり前のものとして生活に浸透し、動画制作会社も増えていくなか、右脳事件では映像だけに固執するのではなく、ジャンルにとらわれないコミュニケーションをつくっているんですね。

村田:映像が広く普及した現在、その使い方は多様化しています。なかでも、グッドイヤーの仕事のように、映像だけで完結しないほうがいいものをつくれることもある。そんな環境のなかで、右脳事件ではひとつの手法に凝り固まるのではなく、「おもしろい」というクリエイティビティーを突き詰めることを大切にしているんです。

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クリエイティブ職は評価されにくい? 右脳事件が、チームワークと制度を大切にする理由

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