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ECは単なるオンライン販売ではない。ユニクロのインハウスチームの挑戦とは

株式会社ユニクロ

ファッション業界最大手の株式会社ユニクロ。ECサイトの制作運営を自社で行うべく、昨年に「グローバルサイトイノベーションチーム」を設立した。その背景には、全世界にある約2,000もの店舗と、各国のECサイトを融合させるビジョンがあるという。今回お話をうかがったのは、チームリーダーの遠塚谷さん、元々エンジニアで現WEBプロデューサーの山田さん、WEBディレクターの鈴木さん、さらにチームの設立に貢献した、UXデザインチームリーダーの前川さん。ユニクロのインハウスの新チームだからこそ得られる、経験やスキルについて聞いた。

取材・文:冨手公嘉 撮影:玉村敬太 編集:吉田真也(CINRA)(2019/07/3)

クリエイターのインハウス化は、ビジョンを達成するために必要不可欠でした

—さまざまな部門のインハウス化を進めるなかで、ECサイト制作を担う「グローバルサイトイノベーションチーム(以下、サイトイノベーションチーム)」が設立されたそうですね。どのようなビジョンのもと、発足したチームなのでしょうか。

前川:ユニクロは、「世界中のあらゆる人の生活をより豊かにする服づくり」を目指しています。それを実現するためには、世界中のお客さまのデータをもっと集めることが必要です。そのために、ECの強化は必須でした。

ECで得た一人ひとりのお客さまの情報やニーズを起点に、商品企画や製造販売をしていきたい。そうすれば、おのずと世界中のお客さまから求めていただけるブランドになれるはずです。

そうしたビジョンのもと、設立したのが「サイトイノベーションチーム」です。ですから、私たちの考えるECは、単なるオンライン販売ではありません。ECを進化させて、ブランド全体の「商売の変革」に貢献することを目標にしています。

デジタル業務改革サービス部 コアエンジニアリング UXデザインチーム 兼 グローバルデジタルコマース部 サイトイノベーションチームリーダー  前川美穂さん

デジタル業務改革サービス部 コアエンジニアリング UXデザインチーム 兼 グローバルデジタルコマース部 サイトイノベーションチームリーダー 前川美穂さん

—なるほど。単にECだけで売上を伸ばすことが最大の目的ではないのですね。

前川:はい。インハウス化は、ブランドとしてのビジョンを達成するうえで必要不可欠でした。「商売の変革」を起こすには、EC強化をして「欲しいものが欲しいときに買える」環境をつくる必要があったんです。

そのためには、「全世界の店舗とECサイトの融合」も重要になります。たとえば、ECで購入した商品を店頭で受け取れるサービス。2017年3月に開始し、多くのお客さまにご利用いただいています。このように、ECと店舗の境目をなくすことで、あらゆるお客さまにとって、より便利で身近なブランドになれると、私たちは考えています。

現在、ユニクロは全世界で約2,000店舗を構え、ECサイトも店舗を展開しているほとんどの国と地域で展開しています。しかしこれまで、ECサイトの制作運用に関しては外注していたこともあり、店舗サービスと連動性を高めるのが難しかったんです。インハウス になったことで、店舗との連携もより密になると思います。

サイトイノベーションチームが運営するユニクロのECサイト(画像提供:ユニクロ)

サイトイノベーションチームが運営するユニクロのECサイト(画像提供:ユニクロ)

—発足して間もないサイトイノベーションチームですが、どんなチームを目指していますか?

遠塚谷:さまざまな職種のスペシャリストが集うチームにしたいですね。まだまだメンバーを募集している段階ではありますが、それぞれの職種観点で話し合える環境になってきています。

これをさらに強化できれば、顧客サービスの向上からワークフローまで最適化できるはず。信頼できる仲間たちと一致団結し、さまざまな角度からECサイトの進化を追及するチームにしたいですね。

グローバルサイトイノベーションチーム リーダーの遠塚谷流さん

グローバルサイトイノベーションチーム リーダーの遠塚谷流さん

鈴木:そのためにも、職種を超えた情報共有をよりスムーズにしたいです。

チームの中長期的な目標として、グローバルにおける「ECサイトのあり方」の追求を掲げています。現に「世界標準のサイトとはどのようなものか」と、職種を超えて全員で情報を共有し合っています。それぞれの職種目線で、「世界でいちばん使いやすいサイトにするには、どうすればいいのか」を話せるのは、非常に参考になります。

グローバルサイトイノベーションチーム ディレクターの鈴木要さん

グローバルサイトイノベーションチーム ディレクターの鈴木要さん

自分たちのブランドを、自分の情熱と技術で育てていけるのがインハウスの醍醐味

—ユニクロのインハウスで働くやりがいや面白さを教えてください。

山田:仕事における納得度と自由度が高いことですね。サイトを制作する際は、デザイナー、エンジニア、プロデューサーなど制作に関わる全員が構想段階から参加し、「どのようなページをつくればお客さまにご満足いただけるか」と、ディスカッションをしながら進めます。

「つくる目的」を理解したうえで制作に取りかかれるので、納得感を持って進められる。さらに、自社ブランドのため自由度も高い。すると、自然にモチベーションも高まりますし、クオリティーにもつながっていきます。

そして、最終的にはお客さまの反応まで直接見ることができる。構想から結果まで、直接サイト制作に関われるのがインハウスの良さだと思います。

グローバルサイトイノベーションチーム WEBプロデューサーの山田岳人さん

グローバルサイトイノベーションチーム WEBプロデューサーの山田岳人さん

—ディレクターの鈴木さんはいかがですか?

鈴木:「自分たちのブランド」を、自分の情熱と技術で育てていけるのが、インハウスの醍醐味だと思います。私は前職が大手広告代理店の子会社だったので、クライアント案件が中心でした。

それはそれで学ぶことも多かったですが、いくらコミットしても「自分たちのブランド」とは呼べません。あくまで外部パートナーであり、責任感の重さも、ブランドにかける思いも、クライアントのほうが強いんです。

それがうらやましくもあり、インハウスに転職を決めたんです。ブランドをより自分事として捉えられる環境のなかで、やりがいを日々実感しています。

「世界一を目指す側」だからこそ、「難易度の高い課題」がまだまだある

—しかも、ただの一般企業ではないですしね。日本有数のグローバルカンパニーのインハウスは、クリエイターとして大きく成長できそうです。

鈴木:たしかにグローバルカンパニーという点は大きいと思います。全世界で2,000もの店舗を構えるアパレル企業は、そうそうないですからね。また、ECサイトも店舗を展開しているほとんどの国と地域で展開しているので、サイトの仕様を変えるだけで、それが世界中に反映される。すると、売上も大きな規模で変化していきます。

そのダイナミズムを体感できるのは、モチベーションになりますね。「世界一お客さまに求められる企業を目指す」と口に出せる企業は限られているなかで、本気でトップを目指してチャレンジできるのは、なかなかないチャンスだと思います。

ユニクロ有明本部の廊下に飾られている、世界各地の店舗の写真(画像提供:ユニクロ)

ユニクロ有明本部の廊下に飾られている、世界各地の店舗の写真(画像提供:ユニクロ)

前川:私もそう思います。私の前職は、IT業界で世界トップの企業でした。でも、「トップでいること」よりも「トップを目指せる」環境に身を置いたほうが、UXデザイナーとして成長できると思ったんです。

実際、「世界一を目指す側」になってみて、自分のやるべきことや伸ばすべきスキルが明確になりました。UXデザイナーは、課題を解決するのが仕事。本気で世界一を目指せる位置にいるからこそ、難易度の高い課題に取り組めます。クリエイターにとって、最高の環境だと思います。

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