Special 特集・PR

情報空間と実空間を横断して「場」をつくる、ツクルバ流デザイナーの役割

株式会社ツクルバ

「シェアオフィスを探しているのだけど、なかなか良い仕事場が見つからない」「空き家があるんだけど、利活用できていない」「物件を売りたいんだけど、適切な価格で評価してもらえない」。2011年創業のツクルバは、私たちが暮らしのなかで直面するそんなさまざまな「場」に関する課題を、斬新なサービスで解決してきた「場の発明カンパニー」だ。 オーナーや利用者が自発的にコミュニティーを形成し、全国に拠点を広げるシェアードワークプレイス「co-ba(コーバ)」にはじまり、空間デザイン・プロデュースを手がける「tsukuruba design」、WEBをはじめ情報空間のデザインに関わるエンジニアチーム「tsukuruba technology」、中古リノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」など、実空間と情報空間を股にかけた実践で、建築・不動産業界に新風を吹き込んできた。そんなツクルバが目指すデザインのあり方、そして求めるデザイナー像とは? 代表取締役CCOの中村真広さん、アートディレクターの柴田紘之さんに話を聞いた。

取材・文:杉原環樹 撮影:鈴木渉(2017/11/08)

「チャレンジを応援する場をつくる」。シェアードワークプレイス「co-ba」の歩み

2011年の創業以降、さまざまな「場」をデザインしてきたツクルバ。単なる空間づくりではなく、人の想いが交錯する「場」をテーマに事業を手がけてきた。その原点には、代表取締役CCO・中村真広さんが共同創業者である村上浩輝さんたちとともに始めた、小さなカフェでの経験がある。

もともと二人は、2009年に入社した大手不動産デベロッパー会社の同期。当時、都心部では開発の余白が少なくなる一方、全国的に人口減少時代に突入していた。物件が飽和状態となり、既存の空間の再利用が叫ばれる時代のなかで、「これからは使う側の創意工夫が大事ではないか」との思いもあったのだとか。

中村:リーマンショックを機に、二人とも別会社に転職した後、一緒に始めたのがカフェでした。オープンしてみると、集まる人たちが自然に掛け算されて、コミュニティーが生まれていくことに驚いたんです。友達同士が知り合い、新しい仕事が生み出される様子を見て、これは面白いなと。

また、同時期に東日本大震災が起きたこともあって、「生き方」や「働き方」を自問していました。自分が信じるクリエイションは何かと考えるなかで、遠くの課題や顔のわからない誰かに対してアプローチするのではなく、目先の誰かが喜ぶようなアクションをしたいと思い、起業を決意したんです。

代表取締役CCO 中村真広さん

代表取締役CCO 中村真広さん

ツクルバを創業し、最初に手がけたコワーキングスペースの「co-ba」は、そんな中村さんたちの理想の仕事場をかたちにしたサービスだ。ただ場所を共有するだけではなく、起業家、NPO、学生、地域住民などがワーキングコミュニティーの一員になり、互いにナレッジを共有する場として機能している。さらに「co-ba」は、全国の拠点をネットワーク化し、利用者は全国の「co-ba」をわたり歩いて仕事ができる仕組みになっている。このシステムで目指したのは、「大小さまざまなチャレンジを応援する場」であることだ。

中村:起業して間もないぼくたちも、いろんな疑問を相談できる相手が欲しかったし、自分たちの事業に対してさまざまな人からの意見も聞きたかった。チャレンジする人には、同じ悩みを持つ人も多いと思うんです。われわれの考える「場」とは、物理的な空間だけでなく、そこに集う人々のコミュニケーションなども含めたもの。利用者同士がどんな会話をし、どんな化学反応が生まれるのかが大事だと思っていて。それを「co-ba」として、かたちにしたかったんです。

さらに「co-ba」の試みは、ツクルバがつくり手としてその場所と長くつき合っていくための実験でもある。たとえば、建築の世界では、物件の完成後、つくり手がそのまま関わる機会は少ない。しかし実際は、場所をつくるまでより、完成してから使われる時間のほうが圧倒的に長い。重要なのは完成後の時間に関わる人々のあり方をいかに考えるか、ということだ。ツクルバが手がける事業の一つひとつには、その哲学が宿っている。

前職ではデザイン事務所でデザイナーとしてブランディングや広告に携わってきた柴田紘之さんがツクルバに感じた魅力も、その部分と関係している。

柴田:前職では、ひとつの案件に注力する期間は長くても半年くらいでした。愛情を注いでデザインをしたので、その成果がきちんと出ているのか、ずっと見守りたい。デザインを通じて自分の仕事が社会のためになっている実感を得たかったんです。でも、次の案件を進めないといけない。もちろん当たり前のことなんですが、手を離さなければならない状況に対し、個人的にモヤモヤしていました。ツクルバは自社サービスということもあり、深く事業に入り込めるし、ビジネスを通して社会課題を解決している。その点が、ぼくのキャリアビジョンとマッチしました。

すべてが「一点もの」。リノベーション住宅の価値を掘り起こす、「cowcamo」の挑戦

創業から数年のうちに、「co-ba」の拠点は全国へと広がり、訪れた人からオフィスなどの空間プロデュースを個別に頼まれることも増えた。そんななか、ツクルバの規模が一気に拡大するきっかけとなったのが、2015年6月にリリースした「cowcamo」という新たなサービスだ。

「cowcamo」は、中古リノベーション住宅から、理想の「一点もの」の住まいに出会い、自分らしい都心暮らしを実現するためのサービス。その特徴は、淡白になりがちな物件情報を、リノベーションを手がけた人の想いやこだわりを「その街で暮らすとしたら?」というイメージとともに届けている点だ。このストーリー性が、「人」と「一点ものの住まい」の特別な出会いを演出する。

中村:すでにある空間の有効活用は、成熟した都市が抱える社会的な課題です。築30年、40年のマンションにきちんと手を加え、現代的な価値に見合う住宅にアップデートする。そうすることで都心居住の選択肢は一気に広がります。このような価値がきちんと更新された物件を売り主のストーリーと一緒に届けることで、流通を促進できるはず。リノベーション物件の良さを伝え、価値の底上げがしたかったんです。

リノベーション住宅の魅力を伝え、「一点もの」の住まいとの出会いを提供する「cowcamo」

リノベーション住宅の魅力を伝え、「一点もの」の住まいとの出会いを提供する「cowcamo」

こうして始まった「cowcamo」は、2016年の「グッドデザイン賞」を受賞。さらにこの事業が面白いのは、物件を紹介する「メディア」であるだけでなく、買い主と親身に向き合う「エージェント」サービス、そして、そこで得たニーズを売り主と共有して物件づくりに活かす「不動産事業者向けのプラットフォーム」サービスという、3つの軸で展開されているという点だ。その循環から、「cowcamo」にしかできない場が創出される。

柴田:たとえば、社内のエージェントチームが実際に物件を案内して、「こうした物件への要望がある」ということを知る。そしたら、その要望を不動産事業者と連携しながら、具現化することもあります。また、「cowcamo」では、住まいに関するトークイベントやワークショップも行っていますが、当日のオペレーションや会場設営には「co-ba」で培ってきたノウハウも活かされています。一見、「cowcamo」はWEBサービスですが、その背後には実空間で得た経験が糧になっている。事業部やチームを超えたデータに基づく場づくりが行われています。

アートディレクター 柴田紘之さん

アートディレクター 柴田紘之さん

このようにツクルバの取り組みは、WEBで情報の流れを変え、そこに滞留・蓄積された知恵を具体的な物件に落とすような、実空間と情報空間の横断によって展開されている。中村さんは、その循環のすべてを「デザイン」の観点から捉えられると話す。

中村:大学で建築を学んだのですが、建築家の役割は、ただ建物をつくるだけではなく、そのときの社会状況に対してどのようなフレームをつくって、未来に導くかということだと思っていて。ぼくはそれを、「枠組みのデザイン」と呼んでいます。たとえば、建築界の巨匠である丹下健三は、1970年の『大阪万博』のとき、「お祭り広場」という大屋根に包まれた空間をつくって、多くの人々を集め、高度経済成長期の象徴のような場をデザインしました。ツクルバではそうしたアウトプットを、実空間と情報空間を横断するデザインによってつくりたいと思っているんです。

Next Page
ツクルバのデザイナーが、サービスの根幹に関わる理由

この企業で現在募集中の求人