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「永く愛されるデザイン」を広めるために、スパイラルマーケットが作家と築く関係性

スパイラルマーケット

1985年、株式会社ワコールが「文化の事業化」を目指して東京・青山にオープンした文化複合施設「スパイラル」。アートを生活の中でより身近に感じてもらい、豊かなライフスタイルを提案するコンテンポラリーなカルチャー発信基地として、人々に長く愛されている。スパイラルマーケットは、「エターナルデザイン」をコンセプトに掲げるセレクトショップだ。アーティストやクリエイターとのコラボレーションはじめ、これまで数多くの作品や商品を生み出してきた。実際、個性的な商品はどのようにして開発されているのだろうか? スパイラルマーケットスタッフの堤谷美雪さん、後藤千佳さん、スパイラルのエントランスに構えるスペース「Showcase」と「MINA-TO」を担当する安蒜はるかさん、そして「MINA-TO」とのコラボレーション作品を手掛けたアートユニットSPOLOGUMのみなさんに話を訊いた。

取材・文:阿部美香 撮影:岩本良介(2017/03/24)

アートシーンの象徴、スパイラル30年のあゆみ

最先端のアートとトレンドが交差する街、東京・青山。現在に続くTOKYOカルチャーの礎が続々と生まれた1980年代半ばにオープンし、今も感度の高い人々から愛され続けている複合文化施設が「スパイラル」だ。そのコンセプトは「生活とアートの融合」。大人のためのハイセンスな生活雑貨を扱う「スパイラルマーケット」や、最先端のモダンアートを紹介するギャラリー「スパイラルガーデン」、こだわりの食材を用いたメニューが好評の「スパイラルカフェ」、ネイルサロン「アモ園」など生活を豊かに彩る多種多様なショップ&スペースを併設する。

「SICF(スパイラル・インディペンデント・クリエーターズ・フェスティバル)」に代表される、次代を担う若手アーティスト、クリエイターの発掘・育成・支援に精力的にも取り組んでいる。海外アーティストの招聘やアートを通じた街作りなど、スパイラル館外でも様々な文化活動によって、積極的に社会にコミットしている。

Spiral Market 店内画像提供:スパイラル / 株式会社ワコールアートセンター

Spiral Market 店内
画像提供:スパイラル / 株式会社ワコールアートセンター

そもそもスパイラルという名称は、「螺旋」を意味する英語から由来する。モダニズム建築で知られる、日本を代表する建築家・槇文彦が手掛けたこの建築は、正方形や円形、円錐などの幾何学体をコラージュした未来的で斬新な要素が細部にまで行き渡っている。1階の広いエントランスから3階まで続く大きな階段と螺旋状のスロープで構成され、内部を自由に回遊することで、様々なアートに自然に触れられる魅惑的な空間を演出しているのだ。

この空間に訪れること自体がアートを体感することであり、「衣食住」といった私たちの日常生活をアーティスティックに演出してくれる。それが、オープンから約30年の時を経ても変わることのないスパイラルの魅力。新しくて面白く、上質なモノやコトを常に発信し続けるスパイラルは、今も成長し続けている。

世界中のカルチャーと日本の技術力を掛け算する

「スパイラルマーケット」は、スパイラルの顔とも呼べる生活雑貨ショップ。そこで扱う商品をセレクトしているバイヤーのひとり、堤谷美雪さんがこだわっているのは、商品として「永く愛されるデザイン」だ。

バイヤー 堤谷美雪さん

バイヤー 堤谷美雪さん

堤谷:私たち、スパイラルマーケットが最もこだわっているのは時代や流行に左右されない「エターナルデザイン」です。扱う商品もメーカー品だけでなく、陶器やアクセサリー、ファッションアイテム、インテリア類は個人の作家さんが手掛けるものもあります。とくに店内入口のコーナーは、スパイラルマーケットが注目する作家やメーカーの作品(プロダクト)を、ある程度のボリュームを持たせて展示することで、そのものの作られた背景も含めたトータルな世界としてご紹介しています。今年の1月に開催した「夜とコーヒー」というタイトルの企画展では食器だけでなく、夜にコーヒーを楽しんでもらう雑貨として作家さんに「灯明」を作ってもらいました。どれくらい反響があるのか私たちも手探りでしたが、お客様からも大変好評で。単なる商品ディスプレイではなく、きちんと生活に根づいているからこそ、スパイラルらしい化学反応が起きているのかもしれません。

20代から40代の顧客層の趣味・嗜好に合った作家に声を掛け、新しい才能の発掘にも取り組んでいる。堤谷さんを含む数名のバイヤーたちが、作家やデザイナーとともに商品を開発しながら、生活とアートの架け橋となるような活動を行っている。

堤谷:作品販売には、日本の優れた技術とアートセンスを国内外に広く紹介する意図もあります。作家の作品をライフスタイルショップでご紹介することで、お客様にはより具体的にご自身の生活に取り入れた場面をイメージしていただけるかと思っています。また、異なる目的で訪れたお客様との偶然の出会いにもなるかもしれません。時には「こういった作品を作ってみませんか?」と私たちから提案することも。作家さんの新たな一面や可能性に気付けるのも楽しみのひとつです。

Mapoesieをはじめとしたデザイナーとコラボレーションした「+S Handkerchief series」画像提供:スパイラル / 株式会社ワコールアートセンター Photo by Kimiko Kaburaki

Mapoesieをはじめとしたデザイナーとコラボレーションした「+S Handkerchief series」
画像提供:スパイラル / 株式会社ワコールアートセンター Photo by Kimiko Kaburaki

特に10年ほど前から行っているオリジナルアイテムの開発に関して、最近は海外ブランドとのコラボレーションにも積極的だと堤谷さん。

堤谷:スパイラルのオリジナルブランドは「+S(プラスエス)」シリーズとして展開しています。最近ですと、フランスのスカーフ・アクセサリーブランドであるMapoesie(マポエジー)とコラボレーションした「mapoesie+S てぬぐい」は、海外に買い付けに行った際にアプローチしたのがはじまり。スカーフの美しいデザインをぜひ別の形で紹介したいと思って、6年前から一緒にものづくりができないかと打診していました。日本の職人との打ち合わせを何度も重ね、商品化が実現。日本の良さと、海外アーティストのこだわりが融合した、スパイラルらしいアイテムになったと思います。

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「作家の想いを汲み取り、伝える」ショップスタッフの醍醐味とは