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22世紀型、クリエイティブクラス・カンパニー

RIDE MEDIA&DESIGN株式会社

女性クリエイターのライフスタイル・ウェブマガジン『箱庭』の運営や、「ジャンプの次に高校生に支持される雑誌」=『Samurai ELO』の制作。フレッド・ペリーやニクソンなど多彩な企業のウェブソリューション、そして、ファッション誌から音楽レーベルサイトまでを横断するデザイン事業。さらにママモデルのマネジメントや、果てはラオスでのコーヒー農園プロジェクトまで――!? RIDE MEDIA&DESIGNは、本人たちも「一言では説明しづらい」と言う様々なモノ・コトづくりを手がける集団。そんな彼らが掲げる理念=思想は「個が輝けるクリエイティブクラス・カンパニー」。クリエイター50人を擁する会社が、社員の個性を活かしてビジネスをすることはいかにして可能なのか。その問いを同社のリーダーたちにぶつけてみた。

取材・文:内田伸一 撮影:菱沼勇夫(2013/05/07)

「ひとり一人が主役になれる会社」は可能か?

僕らなりのやり方があるはず

荻窪駅から徒歩数分、RIDE MEDIA&DESIGNのクリエイティブLab.は元・材木倉庫をリノベーションした場所にある。エントランスの自転車ラックには、スタッフの色とりどりの愛車が並んでいた。「通りがかりに”自転車屋さん?”と聞かれることもあります(笑)」と出迎えてくれたのは、国府田淳代表。CEOという肩書きから連想しがちな威圧感はなく、カジュアルな出で立ちの、気のいい兄貴ぶん的な佇まいだ。若者向けファッション誌の編集者出身というバックグラウンドを知れば、それも納得。

共に取材に参加してくれた副社長の酒井新悟さんは、対照的にきれい目ジャケットを着こなす穏やかな理知派風。そして、長身に似合うシンプルなコーディネイトでクールな雰囲気のIT事業部本部長・斉藤裕介さん。ここまで個々のキャラクターが立っている経営陣も珍しい? 「メンバーひとり一人が主役となって活躍できる会社」をモットーにするRIDE MEDIA&DESIGN(以下RIDE)は、彼らを中心に2006年に誕生した。しかし当初から、ベンチャー的なアイデアや、「次は○○市場が来る!」という目論見があったわけではないという。それどころか「始めはなにも決まってなかったかも」と笑いながら国府田さんは話す。

RIDE MEDIA&DESIGN株式会社 代表取締役 国府田 淳さん

RIDE MEDIA&DESIGN株式会社 代表取締役 国府田 淳さん

国府田:当時、僕は出版社から転職したベンチャー企業を辞めてフリーで仕事をしていて、会社の後輩だった酒井と、そのときお世話になったアパレルブランドにいた斉藤、さらにフリーのデザイナーだった清水良(現・チーフクリエイティブオフィサー)の3人に、会社を作らないかと誘ったんです。全員が10年選手のクリエイター。それぞれ勤務先でも重要な存在だったと思いますが「自分たちが完璧に魂を燃やせる会社を作ろう」を口説き文句にして……(笑)。

その根底にあったのは、彼が会社員を経てフリーでも順調に仕事をこなすようになってから、ずっと抱いていた「組織と個人」への疑問と熱意だった。従来、特に大企業などにおける「会社の仕事」は、全体を機能させる上では長所も多い反面、ひとり一人の働きがいを考えると疑問も多かったと言う。よくも悪くも先が見えてしまう年功序列や、組織の必要悪として個人が甘んじなければいけない理不尽、熱意とアイデアに溢れた人にも活躍の場が回ってこないもどかしさ――。

国府田:もちろん既存の企業でも成長できる面もたくさんありましたが、「個々の力をもっと燃やせるだろ!?」という想いはずっとあったんです。特にバブルが弾けた後に就職した世代だったので、色々な価値観が変わっていくのを実感したのも大きかった。たとえば「豊かさ」の感覚についてもそう。高級なリゾートホテルもいいけれど、僕はその翌日にキャンプで野宿でも全然ありだと思うし。農作業(アナログ)の合間に、WEB (デジタル)を作るとかも面白い。どちらか一方の価値に捕われたくないんです。会社のありようも、昭和を支えた組織マネジメント中心のものでもなく、ゴリゴリのベンチャー企業でもない、僕らなりの別のやり方もあるはずだと考えていました。

その気持ちに応え、安定した職場を離れてRIDE立ち上げに参加した2人にも、それぞれの想いがあったという。

(左手前)取締役副社長 酒井 新悟さん、(右奥)取締役 斎藤 裕介さん

(左手前)取締役副社長 酒井 新悟さん、(右奥)取締役 斎藤 裕介さん

酒井:それまでは若さの勢いで(苦笑)、日々、雑誌作りをはじめ目の前の仕事を必死にこなしていました。でも、RIDEへの参加は自分の今後を真剣に見直す、いいタイミングでもあったんです。「個性を大切にする会社」って何だろう? と考える中で、元々プロとして仕事をしてきた人間が集ってコミュニティ的な組織になれたらどんなことができるのか、その可能性に惹かれました。

斉藤:僕の場合、アパレル時代は、ウェブサイト制作や運営、ブランド立ち上げや店頭販売まで色々経験させてもらいました。その中で、ファッションやエンタメに強いウェブ集団があるといいなという気持ちがあったんです。このメンバーと一緒なら、ブランドや今までの枠組みを超えて新しい挑戦ができるという想いがあったのかもしれませんね。

「個性」が「派生」を生み、事業をつくる

こうしてRIDEは、雑誌・ウェブマガジン等のコンテンツをつくるメディア事業、ウェブサイト制作を中心にしたIT事業、そして両者にまたがるデザイン事業を展開することになる。現在に至るまで営業部は存在せず、全員がクリエイターというのも特徴的だ。もともと個々人が仕事を生み出す実力のあるメンバーたちだから、すぐにより多くの仲間が必要になったという。

国府田:その当時は、求人媒体を利用することも無く、当時盛り上がっていたmixiを使い、クリエイター系コミュニティでやる気のある若い人を募集したり(笑)。そこからまた個性的なメンバーが集まってきました。

箱庭 http://www.haconiwa-mag.com/

運営メディア『箱庭』
現在、Facebookのいいね!数は25,000を超える。
http://www.haconiwa-mag.com

ある者はバーテンダーから転身し、やがてRIDEが編集を請け負う10代向けメンズ誌『SamuraiELO』、若いママ向けのファッション誌『I LOVE mama』(いずれもインフォレストパブリッシング社からの制作受託)で編集長を歴任、そして20代で取締役に登用。また、デザイナーとして入社して働きつつ、自社メディアとなる女性クリエイター向けウェブマガジン『箱庭』を立ち上げたスタッフもいる。面白いのは、個々の社員の活動は所属事業部のジャンルに留まらないこと。つまり、いいアイデアがあり、「やりたい」と思った者が適任者であれば、扉は大きく開かれている。

斉藤:『箱庭』編集長の東出桂奈は、入社時も今もIT事業部のウェブクリエイターなんです。RIDEでは個性発信を奨励する意味で、勤務中のSNS利用も勧めているのですが、彼女の写真やつぶやきがいちいち面白かったんですね。それで国府田が「これ、メディアにできるかもね?」と持ちかけたのがきっかけです。

国府田:WEBデザインのお仕事に支障が出ない範囲で、「やってみませんか……?」という低姿勢で(笑)。もともと東出の発信クオリティが高かったので、facebookを中心にどんどん盛り上がっていって。今は『箱庭』から派生したディスカバリー型ECサイト「箱庭のおくりモノ」や、キュレーションと写真の講座を開く「箱庭のガッコウ」とその輪は広がっています。

酒井 新悟さん

酒井:メディア事業部でも、『I LOVE mama』誌の制作を通して、ママモデルのマネジメント事業が新たに派生する動きもありました。そういう点では、定例会議で「企画出して!」というよりも、社員たちの自発性や、彼らの個性を周囲がキャッチして生まれたアイデアが、仕事として実現していくケースも多い。だから僕ら経営陣は、個の成長をいかに組織への貢献にも転換できるかを大切に考えています。

もちろん「やりたい仕事」をビジネスとして成立させるのは簡単ではない。それでも、その基準に外れる依頼は断れる決断力と、一見市場のない場所も掘り起こし、育てていける力が彼らにはあった。たとえば、これまでRIDEが育ててきた各種メディアは、当人たちいわく「ニッチメジャー」。ニッチだけど、角度を変えればメジャーにもなり得る世界を選び、読者との対話型を強く意識したものだ。

そこに”コミュニティ”が生まれたら、濃度の高いシーンが育っていくという嗅覚と信念。これは、彼らの考えるクリエイティブクラス・カンパニーという理想そのものにも通じるビジョンだろう。いつしかRIDEはメディア制作 / ITソリューション / デザインが相互連携できる総合力に加え、ユニークビジネスの創出力も持つ組織に成長していた。

組織と個人の幸せな関係とは?

半年に一度の「結束会」

今では社員50名を擁し、本社・神楽坂に加えてこの荻窪にもオフィスを展開している。しかし、個性を活かした組織という方針は、この規模まで成長した後も有効なのか?

CLASKA(クラスカ)で行われた、半年に一度の「結束会」の様子

CLASKA(クラスカ)で行われた、半年に一度の「結束会」の様子

国府田:各事業を展開していく中で、社内からは「他の事業部が何をやっているか、もっと知りたい」との声も出てきて。それで、全社員で「結束会」というのを半年に一度開くことにしたんです。といってもよくあるベンチャーの新興宗教っぽいものではなくて(笑)、各事業部のカラーで現状や目標をプレゼンし合うのと、あとはMVP社員の選出など遊び心的なものも加えています。

取材時に見せてもらった「結束会」プレゼン資料の全プリントアウトは、百科事典なみのブ厚さ。内容も、クールな事業報告から、なぜかホラー風味のMVP候補が並ぶユーモラスなスライドまで様々だ。国府田さんの言う通り、洗脳的な「結束」とは違うが、逆に言えば学園祭的な自由さ(失礼ながら!)も感じるこの結束会。しかしここにも、彼ら流の組織マネジメント観があった。

酒井:「隣の芝生は青い」ではないけれど、特に社会人経験が浅い時って、色々な会社の働き方を見てみたいものですよね。RIDEは事業部ごとの独立採算で、仕事のスタイルもそれぞれ。その点では複数社の働き方や運営方法を垣間見られるような良さがあるかもしれません。だからこそ、チームで働く際の責任と意義を共有できる場にもしたいです。

社員でのキャンプの模様

恒例行事のキャンプ

なお、この「結束会」を始めてからは離職率も大きく下がったという。そんな事実からも、社員の意識を共有する場としても大切な催しになっていることがわかる。また現在まで、各事業部の売り上げはいずれも黒字計上中で、儲からない仕事だから他事業で補充する、といったことはしていないという。そういった姿勢には、やりたい仕事をやる楽しさと、責任を知るからこその気概も感じられる。

ラオスでコーヒー農園!?

そんなRIDEの挑戦は新たに海外事業へも広がっている。しかし、聞けば最新プロジェクトは「ラオスでのコーヒー栽培」とこちらの予想の斜め上!? 一体なぜソコに?

国府田:始まりは、社外取締役メンバーの誘いから東南アジアでビジネスの可能性を視察する機会で。学生時代にバックパッカーだった酒井も誘って「とにかく行ってみるか!」と(笑)。僕らが得意なファッションでの輸出取扱業も試験的に始めつつ、現地の農業の様子にも関心が出てきました。そしたらラオスでも美味しいコーヒーを栽培していて、重要な輸出産業でもあることを知ったんです。自分たちの畑で取れたコーヒーを淹れて飲むのっていいなぁ……と考えてたら、僕自身が小規模でもいいから始めてみたくなったんです(笑)。

クリエイティブLab.風景

クリエイティブLab.風景

酒井:幸い、信頼できる現地パートナー企業のスタッフが農園に住み込んで、コーヒーを育ててくれています。来年には初収穫なので、楽しみですね。正直に言えばすぐ大きな利益が出る見込みはありませんが、その挑戦自体を『箱庭』のプロジェクトにして、編集部が現地で交流する様子も今、記事化されています。

突飛と思える(?)試みさえも、メディア制作力を活かして新コンテンツに変えていく。他事業部でも「今度は一体何をやってるんだろう、って見守っている感じ(笑)」とは齋藤さんの言葉だが、ロサンゼルスから仕入れたアイテムを『箱庭』で展開、韓国から仕入れた子供服をママモデル事業の一貫として販売するなど、メディア、IT、デザイン部門の連携は既に随所に見られる。こうした国際色を取り入れた試みには、等身大のグローバル視点で自分たちを見つめ直せる良さもあるという。

国府田:やっぱり現地の人との直接的な交流も含めて、日本で働いているだけでは生まれない発想も出てきて、自分自身勉強になることが多いです。グローバル化といっても、もちろん無理はしないで、自分たちのやれる範囲で少しづつ進めています。今は世界的にフラットな時代になってきたからこそ、自由な発想でビジネスを展開しやすくなった。例えば僕は、IT等の最新技術と有機農業だったり、職人さんの手仕事によるものづくりを組み合わせたようなプロジェクトに、凄く興味があって。今は実際に畑を耕しに行ったり、職人さんを訪ねたりしているところです。

お金を稼ぐだけ、はもったいない

自分たちの信じる価値観を大切にしたい

大企業とも、専門的な制作会社とも異なり、またフリーランスの集まる傭兵部隊的プロダクションとも違うRIDEスタイル。国府田さんたちはその将来像をどう考えているのだろう?

国府田:アメリカのポートランド市などは、クリエイティブクラスの人々が多く集まる街として知られます。その種の企業・人材を歓迎する政策も採っているようですね。クリエイターの集まる場がひとつの街レベルになると、相乗効果はもちろん、独自のセーフティネットのような社会的機能が生まれたり、今までにない面白い事も起きてくると思うんです。ヒッピー的なコミューンなどとも違い、責任を持って社会ともつながった表 現者たちのコミュニティができるなら、そこにどんな可能性があるのか。僕らも「RIDEシティ」じゃないですけど(笑)、各スタッフの個性を大切にしながらどこまで発展できるか、そこは挑戦したい部分ですね。

斎藤 裕介さん

斉藤:確かに、RIDEは全員クリエイターというのが大きな意味を持っているかもしれません。そういう人が集まることで、個々の職業へのコミットの度合いもより深くなったし、自由と無責任を混同せずにやってこれたとも思う。また、RIDEは未経験者からの出発も多く、中には国会議員秘書からクリエイターになりたいと転職してきた者もいます。彼らの先入観の無さ、多様な出自も組織の糧にしたいです。

常に既成概念に捕われず、自分達の信じる価値観を貫いていく。それがRIDEのコアにあるスタイルなのかもしれない。最後に、今後共に働きたい人材のイメージについても聞いてみた。

国府田:今好きなモノや「こうなりたい自分」をハッキリ語れる人。例えば音楽が好きなら、どんなジャンルのどんなアーティストのどんな曲……くらい具体的に語れる人って本当に好きなんだな、熱いなって思う。また、RIDEには理念やビジョンに加えて、6つの行動指針「楽しむ」「感謝する」「夢を持つ」「行動する」「信念をもつ」「遊ぶ」というのがあって、それらに共感してくれる人。当たり前かもしれないけれど、僕ら自分自身の満足感なしに、皆さんの期待を超えるものは提供できないと思いますから。

酒井:創業当時はよく「仕事も遊びも振れ幅MAX」を合言葉にしていましたね(笑)。目一杯働いて、旅行やフェスに行ったりとか。仕事と遊びをクロスオーバーさせることで生まれる企画もありますし、何事にもリミットをかけずに情熱を持って取り組むことは素敵だと思うし、自分から動き出せる人がRIDEには向いていると思います。

斎藤:人生において仕事が大半を占めてしまうのは否めないと思うので、それがお金を稼ぐだけになってしまうのは、やっぱりもったいない。だからこそ、仕事においてもいい意味で「遊ぶ」という感覚を大切にして欲しいし、そんな働き方を楽しめる人と、共に働き、仕事をしたいですね。

まとめ

自分の人生で脇役を演じることほど、つまらないことはない。しかし同時に、人生は一人芝居ではないからこそ面白い——。「システムでラクして儲けようとか、ゲームが流行っているからゲーム事業をやろうとか……そういうお金儲けだけを考えるのは、ちょっとお腹一杯。もちろん企業として利益を出し、メンバーや社会に還元することは大事にしていますが、好きでできる範囲から物事を生み出して、信じる働き方でコミュニティの輪が広がっていけばいい。相手に対して真面目にコツコツと、面白い価値を提供する、その大切さはいつの時代もずっと同じ。シンプルなことだけど凄く重要なことだと思う。」と国府田さんは最後に語ってくれた。 この7年間での躍進は予想以上でも以下でもない、と自信を伺わせるが「でも、コーヒー栽培までやるとは僕も思わなかったな〜(笑)」との笑顔が何より魅力的だったのも事実だ。彼自身もまた、RIDEで個性を活かされたひとりなのだろう。彼らが乗り込む「クリエイティブクラス・カンパニー」という乗り物がどんな新天地を切り拓くのか、注目したい。

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