Special 特集・PR

たった数秒のためでも、こだわらないなら仕事じゃない。テレビ番組を彩る、森三平の仕事の美学

株式会社森三平

普段何気なく見ているテレビ番組。その裏側には多くの立役者がいる。たとえばオープニング映像やタイトルロゴ、テロップ、イラスト、アニメーションなど。これらが全くなければ、撮影された映像だけが淡々と流れる、なんとも味気のない番組になるかもしれない。今回話を聞いたのは、まさにそういったテレビ番組の2D・3DCGの制作を手がける株式会社森三平。彼らの仕事の流儀について、代表取締役・デザイナーの森山ヒロカズさん、取締役・デザイナーの三宅大介さん、執行役員・プロデューサーの中村哲雄さんに伺った。

取材・文:村上広大 撮影:鈴木渉(2017/10/03)

人こそすべて! 「森三平」流、人たらしな仕事術

壁面に所せましと並ぶ漫画やフィギュア、ゲーム。森三平のオフィスは、まるで小さい頃に夢見た秘密基地にいるような気分になる。彼らのスタートは2006年。人物名と間違えられることもある森三平という社名は、前職のCG制作会社で出会った創業メンバーである森山、三宅、小平の3人が集い、それぞれの苗字から一文字ずつ取って付けられた。以降、前職からの仕事の流れを汲む形でテレビのバラエティ番組を中心にCG映像を制作。『いきなり!黄金伝説。』や『マツコの知らない世界』、『世界一受けたい授業』など、多くの人が一度は目にしたことのある番組に、イラストやCGで花を添えてきた。一見、華やかな業界イメージを抱くが、これまでの歩みは想像以上に険しい道のりの連続だったという。

三宅:個人的な印象でとても言い方が悪くなってしまうんですけど、会社を設立した10年前って、テレビ番組向けのCGというのは「クリエイターとして独立できなかった人間が、自身の可能性を繋ぐための場所」だと、少し卑屈に感じていました。当時の自分は、映画やCMといった映像単体で勝負できるクリエイターこそが本物で、テレビ番組向けのCGは、いわば映像の隙間産業のように感じていたんです。そのときは誰に頼んでも変わらないような仕事でも請けて、なおかつ自分たちなりにクオリティにこだわりながら、地道に実績を積み重ねていました。

専務取締役・デザイナー 三宅大介さん

専務取締役・デザイナー 三宅大介さん

こうした努力の結果、森三平は業界内で着々と信頼を得ることができた。それに比例してクライアントも増え、一緒に働く仲間も加わっていったのだ。アニメーション制作会社を経て、森三平に中途入社したプロデューサーの中村哲雄さんもその一人。今の仕事のスタイルについて「人と人との繋がりだけで仕事ができていると言っても過言ではない」と話す。

中村:弊社には「営業職」というポジションが存在しません。仕事のほとんどが人からの紹介なんです。ある番組を担当していたディレクターが別の番組ディレクターを紹介してくださったり、評判を聞きつけたディレクターから依頼をいただいたり。地道にこだわってきた仕事が、新たな仕事を呼んでくるというか。だから会社と会社というよりも、個人と個人が強く結ばれた延長に今があるように思います。取引先の方から、「人たらしの仕事術」と評価を頂いたこともあるのですが、言い得て妙だと思いました(笑)。

担当ディレクターとの親交が深いと、ときには企画段階から会議に参加して、プロデューサーや構成作家、美術スタッフと一緒に番組づくりをすることもあるという。それは森三平への信頼の証に他ならない。

三宅:番組づくりはケースバイケースですが、まだ番組の方向性が決まっていない初期段階からブレストに参加することも最近は多いですね。ターゲット層はどこで、MCは誰なのか、美術セットはどんな雰囲気になるのかなどを早くから把握することで、映像をトータルに考えられるんです。場合によっては、タイトルロゴを先につくって、それに合わせるように美術セットを組んでいただいたこともありますね。

「テレビ番組の世界観をデザインする」と言ったら少し大げさに聞こえるかもしれないが、森三平の仕事ぶりは番組のカラーや方向性に少なからず影響を与えているのだ。

一瞬で消費されるデザインにも妥協を許さない理由

テレビ番組の制作は、スケジュールがとにかくタイト。長くても約1か月、ときには放送が数日後に迫った映像を制作して欲しいと依頼が舞い込むこともあるという。そうした時間がない中での作業にも対応でき、しかも最後まで手を抜かないのが彼らのこだわりだ。案件ごとに最適なチームを編成し、森山さん、三宅さん、小平さん、中村さんの4人でクオリティを担保。自分たちの納得できないものは世に出さないという主義を貫き通している。

中村:クオリティへのこだわりは人一倍あると思います。特にテレビで使用する映像は早いものだと数秒で消費されますから。いわば「使い捨てのような仕事」に対して、そこまでクオリティにこだわらなくてもいいんじゃないかと考える方が少なからずいらっしゃるのも事実です。会社の経営という面だけを切り取って見れば、経費を抑えて、短期間で制作すればそれだけ利益は出ます。でも、それを仕事と呼んで良いのかという想いがあって。たとえ、その瞬間はお金にならず、直接的な評価に繋がらなくても、視聴者の記憶に残るようなものづくりをしたいじゃないですか。それに、文字テロップのデザイン一つとっても、「なぜその色なのか」「なぜそのフォントなのか」「なぜそのサイズなのか」など、必ず理由を考えて行わないと、ただの作業になりクリエイター自身の成長も止まってしまう。それはいずれ、番組関係者だけではなく、視聴者からも見透かされると思うんです。

森山:アニメーションやテロップ、イラストのクオリティに加えて、最終的に気にするのはやっぱり視聴率です。これは経営者視点の考え方かもしれませんが、多くの人が見ていること自体がそのまま会社の評価に繋がっていると思います。たとえば、バラエティ番組『マツコ会議』のタイトルロゴを制作したと話すだけで初対面の人でも一気に距離が縮まって、信頼を得られる瞬間があるんです。高視聴率の番組を手がけているということは、自分たちの仕事を目にしてくれる人がそれだけ多くなるということ。CGを制作している人間として励みにもなりますし、その度にテレビやバラエティ番組の影響力を実感しますね。

代表取締役・デザイナー 森山ヒロカズさん

代表取締役・デザイナー 森山ヒロカズさん

三宅:そういう意味では僕たちの会社はとても運が良いんですよ。スタッフさんにお声がけいただいた番組の視聴率が高いだけでなく、長寿番組として続いているケースも多いので。

森山:その分、18年間放送されたバラエティ番組『いきなり!黄金伝説。』が終了したときは、仕事が一気に減るかなと焦りました。結果的には、番組スタッフの方たちが、それぞれ別の番組を担当することになるので、逆に依頼は増えましたが(笑)。それも、これまでお世話になったプロデューサーやディレクターが信頼や期待をしてくださっていた証かなと。だからこそ、中途半端なアウトプットはしたくないし、彼らが抱く番組の世界観をできる限り表現したいと純粋に思えるんですよね。

Next Page
CG制作会社なのに、CGだけには頼らない。固定概念を覆す企画力とは?

この企業で現在募集中の求人