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毎週全員でランチ! 毎月パーティー! monopo流、世界を目指す組織の社内コミュニケーション術

monopoは、代表である佐々木芳幸さんが早稲田大学在学中に、大学の音楽サークルで出会った先輩である岡田隼さんと2011年に設立した会社。「ただの制作会社に終わらない、新しい視点から価値を提案する」をポリシーに、スタッフほとんどが20代という若さと行動力にあふれる精鋭クリエイティブファームだ。個々の専門分野だけでなく、ディレクター / プロデューサー視点から制作に取り組めるフレキシブルなワークスタイルが強みだという。monopo流クリエイティブの秘訣と、日々スキルアップを重ねるスタッフ育成の取り組みについて話を聞いた。
  • 取材・文:阿部美香
  • 撮影:豊島望

年商を倍々ゲームで増やすスタイルから、monopoらしいクリエイティブの確立へ。

2011年の設立から今年で5年目を迎えるmonopo。現在、業務委託スタッフやインターンを含めて15名のメンバーを有する彼らの平均年齢は26歳。平成生まれのCEO・佐々木さんをはじめとした、若きデザインファームだ。

佐々木:そもそもmonopo設立のきっかけは学生時代。卒業を控えていた岡田とeコマースのシステムコンサルティングを主軸としたビジネスをやっていたんです。普通に就職するよりも、起業して自分の未来を切り拓きたいと思いmonopoを立ち上げたのがスタート。最初はかなり失敗もしましたが、2012年にデザイナーの亀田が入社して以降、岡田が得意とするWEBマーケティングやシステム開発と、亀田のデザインという2軸が強化されたんです。そこから企画立案を含めたWEBサイトなどを手がける制作会社のスタイルへと業務拡大してきました。

代表取締役 佐々木芳幸さん

代表取締役 佐々木芳幸さん

そんな3名体制の初期は、企業からのIT関連の受注制作を大小問わず盛んに請け負い、制作会社としてのスキルとノウハウを蓄積していった。徐々にスタッフが増えるにつれ、数千万円から数億円へと年商を倍々ゲームのように発展させてきた。そんな彼らに最も大きな転機が訪れたのは、2014年のこと。「日本生命」のWEB企画プロデュースを手がけるチャンスが舞い込んだ。

佐々木:「日本生命MAKE HAPPYNINGキャンペーン」は、日本生命が若年層に対して生命保険をアピールしようという取り組み。その時、電通にいた先輩が「若者向けの企画なのだから、企画立案からスタッフィングまでを若いmonopoでやってみろ」と言ってくれて。無事にコンペも勝ち抜き、ありがたい機会をモノにできました。これを期に、ただのWEBや映像制作にとどまらず、PRや広告も含めた提案も必要とされる「ブランディング領域」をカバーするクリエイティブビジネスに舵を切っていきました。

岡田:それまでは、会社を存続させるための売り上げをあげることだけに注力してきたんです。でもこのキャンペーン以降は、クライアント視点に立ち、本質的な課題探求や解決を広く実現していこうという基準が、monopoの中にできていった気がします。

取締役 岡田隼さん

取締役 岡田隼さん

そこからmonopoならではのやり方を確立。実際にものづくりをするデザイナーやエンジニアがプロデューサーとなって動き、打ち合わせの場で絵なり動画なりシステムなりを見せて先方の要望を聞くスタイルにしているそうだ。全スタッフが横断的に、企画提案を含めて営業としても活動できるというモットーが定着していった。

佐々木:これほど仮説・検証スピードが早くて、お互いの満足度を高められる仕事の仕方はないじゃないですか。だったらうちは少数精鋭で、機動力が高く、仮説・検証スピードが速く、よりクライアントの視点に寄り添った提案ができる「小さな電通」になればいいんだと。僕らが目指したいのは、大勢のクリエイターを抱えて数%の手数料を手にする受託制作会社じゃない。10人がフルに能力を発揮して、億単位の大きなプロジェクトもプロデュースできる、小さくて強い組織なんです。

亀田:実際僕もデザイナーとして入社した当初は、クライアントに会いに行くのが少し怖かったです(笑)。でも、現場の人間がクライアントのもとに直接行くようになったことで、自分が作っているものがプロジェクトにおいてどういう意味を持つのか、どういう意図で作るべきかもハッキリしますから、モチベーションも高まる。自分のスキルを高める役にも立つので、全員が前向きに取り組んでいます。

一人一人がアーティスト。個人活動を推奨する社風

社員個人が自主的に行うクリエイティブな活動を推奨しているのもmonopo流だ。

亀田:僕は肩書きとしてはアートディレクターですが、個人的にはDJとして活動しつつ、映像や写真作品も手がけています。monopoの仕事が終わった後、会社で個人活動の打ち合わせをすることもできますし、環境にはとても恵まれていますね。クラブイベントのオーガナイザーとしてもありがたいことに多くの方に来て頂いたりもしていて。グッズ販売をしていたり、会社の仕事をしながら個人的にやりたいことも全く我慢していません。

アートディレクター 亀田翔一朗さん

アートディレクター 亀田翔一朗さん

岡田:僕も社外の友人とハッカソンやアイデアソンに出たり、最近では楽曲から解析した感情を元にミックスジュースを作るマシン「Squeeze Music」を海外のショーに出したりしました。社外活動をすることでリフレッシュできますし、そこで出たアイディアがmonopoの仕事の役立ったりと、メリットはいろいろありますね。

佐々木:そういう意味では、うちはみんながアーティスト。monopo以外の活動は、個人のクリエイティブなビジョンを培うためにも、自由にやってもらいたいと思ってます。

それらの個人活動は、社外コンペ入賞という成果にも結びついている。昨年4月に行われた「2015ヤングライオンズコンペティション」(通称:ヤングカンヌ)日本代表選考において、サイバー部門で岡田さんと亀田さんががシルバー賞を獲得し、シンガポールで行われた「ヤングスパイクス」に出場。PR部門でも亀田さんがブロンズ賞に選ばれ、電通、博報堂、マッキャンエリクソンなど錚々たる大手代理店のクリエイターと肩を並べた。

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monopo流 “周りを巻き込む”コミュニティの作り方

monopo流 “周りを巻き込む”コミュニティの作り方

一人一人がアーティスト志向だと、会社としてはまとめるのが大変なのでは……? そんな懸念も過ったが、定期的に交流の場を設けることで、あらゆるノウハウを資産としてより強固に蓄積していくのがmonopo流だという。特に彼らが力を入れているのが、スタッフ間のコミュニケーションとスキル、モチベーションを高めていく多数のユニークな取り組みだ。その積み重ねで「monopoらしさ」が形成されている。
 


 

1.週に一度の昼食会「monopoケータリング」

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写真提供:monopo

岡田:実は今日もそうだったんですが、毎週一回、僕らが顔なじみの早稲田のバーからヘルシーな和食のランチメニューを運んでもらい、外部の知り合いや友人、クライアントや仕事のパートナーさんなどを交えながらみんなでお昼を食べてます。

佐々木:以前は、僕が社員のみんなとコミュニケーションを取りたくてマンツーマンで個別にランチに誘っていたんです。でも社員数が多くなってくるとどうしても僕と社員の間に上下関係もできてしまいますし、何よりランチに誘ったとしてもなかなかフラットな関係は作りにくくなる。仕事が立て込んでくると、いちいち外に出られない人も出てきますしね。であれば、会社に無料のランチを用意すれば全員で食べながら雑談もでき、みんなが考えていることを知る自然な機会にもなるなと思い、数か月前から始めました。

亀田:業務で外に出てしまっている人以外は、ほぼ100%が参加していますし、雰囲気もすごく良いですね。執務スペースと同じ部屋で行うのですが、仕事のオンとオフがスムーズに切り替えられるスタッフばかりだからこそ実現できているのかもしれません。

2.毎月開催! 夜の集い「monopo night」

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写真提供:monopo

亀田:毎月第二金曜日にやっているのが「monopo night」。社員が持ち回りで幹事になって食べ物を用意するパーティーのようなものですね。夏は社屋の屋上でBBQをやったりもしますし、自由に楽しく過ごす集い。最初はオフィス移転祝いパーティーとして始めたんですけど……。

佐々木:やったら楽しくなっちゃって(笑)、1年ほどずっと続いてます。このパーティーはmonopoと一緒に仕事をしてみたい方が、雰囲気を知るために参加してくれても全然OK。参加人数もどんどん増えていて、お酒を飲んで楽しみながら色んな業界の人たちとゆるやかなコミュニティを形成できる場として、非常にうまく機能していると感じていますね。「monopo night」で出会ったフリーランスの人たちとは、一緒に仕事をするようになったり、中には会社とは関係ないプロジェクトを組むことになったケースもありました。

3.コミュニケーション力を養うための、英語によるディスカッション「monopo buzz」

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写真提供:monopo

亀田:「monopo buzz」は、週に3回、昼の時間帯に1回1時間ずつ行う英会話でのディスカッション。希望者が集まってカナダ人スタッフのチェイスを囲み、仕事からただの雑談まで、様々なテーマで話し合うんです。英語でディスカッションをすると、普段は話さない内容も議論できるし、先輩後輩の垣根を取り払ってフラットな会話ができる。さらに英語力を鍛えたい人は、チェイスにプライベートレッスンを受けることもできます。

佐々木:monopoのビジョンが「世界を代表する制作会社」。そのためにも英語力は当然必要ですからね。スタッフは最初、特に「英語を勉強したい!」という雰囲気でもなかったんですが、やってみるとみんなのモチベーションも劇的に変化しましたね。
 


 

他にも、夏には社員旅行を兼ねて、ビジョンを話し合ったりグループワークを行ったりする1週間ほどの「夏合宿」や、毎月末に投票でその月の仕事ぶりに対するMVPを決める会を開くなど、日頃からメンバーの意見を聞く環境作りを心掛けているという。

佐々木:ただ、それが馴れ合いになってはいけない。締めるところは締める。売り上げ管理は徹底的にしていますし、個々の反省点もみんなで共有するようにしている。常にメリハリを意識して、仕事にいい影響を与えることを一番に考えています。

亀田:社内のコミュニケーションを取る機会を活発にしているのも、けっしてスタッフに強制しているわけじゃなくて。みんな仕事を良くするためにやっていることだと理解しているから、続いているんだと思いますね。

目指すは世界に通用する新しいタイプの「制作会社ブランド」

monopoが目指すのは、世界の中でもかつてないタイプの制作会社のスタイルを作ること。最近では、その足がかりにもなる自社メディアを準備している。

佐々木:現在ティザーとして公開している『poweredby.tokyo』です。東京に暮らす国内外のクリエーターを集め、ローカルなライフスタイルやおすすめのスポットを世界に発信するコミュニティメディアとして3月からスタートし、ゆくゆくは洗練された旅行ガイドとして活用してもらい、さらにはホテルやカフェなど、リアルな場も作って行きたいです。

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亀田:『poweredby.tokyo』はもちろんですが、僕はmonopo自体のブランディングもしっかり進めていきたい。その意味で、今年はmonopoのイメージも変わる1年になるんじゃないかなと思っています。だからこそ、ケータリングやbuzzでスタッフ同士の考えをぶつけ合っている時期なのだと考えています。

世界を視野に入れて動くためにもmonopoは、新たな仲間を求めながら成長していきたいという。

岡田:今までのmonopoは、学生インターンからそのまま社員に……という形が多かったんですが、今年からは業務もより広がりを見せるので、スキルがあり経験豊富な人にも今後は仲間になってもらいたいなと思っています。

亀田:時には自らmonopoを変えていく気概を持って。

佐々木:今はまさにmonopoというブランドを一緒に作りあげていくタイミングだと思っています。僕らにとってはパートナーや外部スタッフも含めて、monopoに関わる全員がmonopo。お互いが寄り添いながら一緒に変化していけるmonopoでありたいですね。

Profile

株式会社monopo

ブランディング・広告・PRを中心にさまざまなアイデアを形にし、東京を拠点に世界で戦うクリエイティブエージェンシー。

“A Brand of Collective Creativity”をビジョンに掲げ、皆が持っているアイデアや創造性を共に発揮できるようなコミュニティづくりを目指す。

自社プロジェクト「poweredby.tokyo」では、東京の知られざる魅力を発信。

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