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海外拠点でトレンドをキャッチ。広告代理店K&Lがグローバル展開に強い理由

株式会社ケー・アンド・エル

広告やキャンペーン、SNSといったコミュニケーション施策は、消費者が商品やブランドを知る大きなきっかけ。それは海外においても同様だ。株式会社ケー・アンド・エル(以下、K&L)は、日系企業の海外展開を得意とする広告代理店。上海、デリー、シンガポール、マレーシア、アムステルダムに海外拠点も構え、現地の社員と連携を取ることで、グローバルに広がるクリエイティブを生み出している。それでは、国境を越えるクリエイターに必要なものとは何なのか。上海拠点でプランナーとして活躍する藤井努さんと、藤井さんを東京からサポートするアカウントプランナーの夏目慶一さん、森祐子さんに、ノウハウをうかがった。

大御所相手でも日和らない。世界的クリエイターと仕事をするコツは?

立案した企画を具体的なクリエイティブに落とし込む際は、国内外のトップクリエイターと一緒に仕事をすることも多いという。グローバルに活躍するクリエイターと仕事をするうえで、意識すべきポイントはどこにあるのだろうか。

夏目:いちばんは「日和らない」ことですね。大御所だからといって、お任せしてしまうとぼくたちがいる意味がない。たとえば撮影でも、「このまま終わるとマズいな」と思ったときは、その後の関係値がどうなるかは考えずにきちんと言います。クリエイターがつくりたいものではなく、クライアントが求めているものをつくらなければいけないので。

藤井:そのバランスを保つのは難しいですね。日本人同士だと「汲み取ってくれるだろう」という甘えが出てしまうのですが、海外では「汲み取る」という概念がないですから。言語が違うからこそ、きちんと言葉にすることを心がけています。

森:地域ごとに好まれる広告の方向性も違うので、それも意識しなければいけません。たとえば、ヨーロッパで好まれる落ち着いたデザインが、アメリカではあまり受けなかったりするんです。

藤井:中国は、人と「ストーリー」のある広告が多いですね。モノだけが写っているものは、日本より少ないかもしれません。CMや動画も、ストーリー仕立てにすることでグッとプレゼンスが上がります。

「ひと目でわかる」ことも大切だと思います。中国向けのプレゼン資料をつくるときも、1ページ目に書く内容は2、3行が限度。ひと目でわからないと読んでもらえないのです。

国境を越えるクリエイターになるために。必要なのは「理解」と「軸」

ローカルのテイストやトレンドを的確に把握し、その地域にもっとも適したクリエイティブを投入する。そんなグローバルで通用するクリエイターになるために、必要なものは何なのだろうか。

藤井:「とらわれない」ことですね。たとえば、日本で余白を活かしたシンプルなデザインが評価されていたとしても、中国では「余白があるなら文字を入れたい」とか、「もっと目立つように赤くしてほしい」と指示が入ることがあります。でもそれが彼らの文化・習慣・考え方なので、リスペクトしないといけません。まずは現地のルールを知ることが大事だと思います。

藤井:一方で、国や文化が違っても共通する「共感ポイント」もある。たとえば、「インスタ映え」の感覚やTikTokは、日本で流行る1、2年前に中国ですでに流行っていました。トレンドになる時期こそ違いますが、根底にあるのは「自分も表現したい」というユーザーの思い。ローカルルールと「共感ポイント」を汲み取りながら、アプローチを考えるのです。

相手のコミュニティーの人々が何に感動するのか、何を嬉しいと思うのか、何を悲しいと思うのか。まずはそれを考えるべしと藤井さんは語る。ただ、そこに自分らしさをプラスすることも、クリエイターにとっては大切なことだ。

藤井:自分の好きなもの、好きなことをはっきりと持っていなければ、いろんな意見に流されてしまって、結局何を伝えたいのかがブレてしまう。「自分の軸」も、企画やアウトプットを生み出すうえで必要です。

森:映画や音楽は世界共通ですから、海外のクリエイターと仕事をする際も、「あの映画のあのシーンみたいなテイスト」と言うだけでわかり合えることがある。好きなものがたくさんあり、「こうしたい」と言えるクリエイターはグローバルな仕事に向いていると思います。

元新聞記者にジムトレーナー。バックグラウンドのすべてがK&Lで武器になる

実際にグローバルで活躍する藤井さんたちが「一緒に働きたい」と思うクリエイターは、どのような人なのだろうか。

夏目:たとえば、「とにかく映画が好きで、映像がやりたいです!」という人がいたら、ポジションにかかわらず、しっかりと映像制作に携わってもらいます。そういう人を最終的に、映像関係においてグローバルで戦えるくらいのレベルまで育てていきたい。経験や好みを活かして成長できる環境が整っていると思います。

藤井:肩書きや役割にとらわれず、「こういうクリエイターになりたい」というビジョンを持っている人は働きやすいと思います。つぎのキャリアとして、海外市場に目を向けている人もいいですね。ぼく自身、こういったチャンスをいただき、現地で深く海外市場向けの広告制作に携わることができたのは、自分のキャリアにとってもいいと思っています。

強い海外ネットワークと柔軟なチーム編成を武器に、グローバルで存在感を放つK&L。今後はアジアでの展開を一層強化していきたいという。

藤井:目下のチャレンジとしては、判断が早く、半年単位でトレンドが移り変わる中国で、数年間にわたって通用するサービスモデルをつくるのが目標です。

また、現在のクライアントは日系企業がメインですが、中国起点でも考えていきたい。いまの中国は生活や習慣が変容するスピードも速く、ビジネスチャンスがたくさんある。たとえば、海外に住んでいる中国人向けにコミュニケーション施策を打つこともできるでしょう。そういった展開は、K&Lだからこそできると思います。

インタビュー収録中も笑いが絶えず、和気あいあいとした雰囲気が垣間見えた。フラットに意見を言い合える環境は、まさに「歴史のあるベンチャー」そのもの。社員同士の信頼が築かれているからこそのものだろう

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