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一人で紙もWEBもつくる。東京の魅力を発信するハルマリの編集スタイル

株式会社ハルマリ

東京に暮らす女性向けのライフスタイルメディア『TOKYO DAY OUT』は、2018年で立ち上げ4年目。年4回発行のフリーペーパーと、日々更新されるWEBマガジンのほか、書籍やセレクトショップなど、多角的な編集アプローチで東京という街をビビッドに発信している。運営するのは、「こころおどる世界を届ける。」を企業理念に掲げて活動する株式会社ハルマリ。メディアのかたちにとらわれないものづくりにおいて、編集者に必要な素質とは何なのだろうか。編集長でハルマリ代表の島崎昭光さん、編集部員の青木優さん、郷田絵梨さんに、『TOKYO DAY OUT』の編集術について話を伺った。

取材・文:小沢あや 撮影:きくちよしみ(2017/12/25)

東京を独自の視点で切り取るメディア『TOKYO DAY OUT』とは?

「東京」をテーマにした数あるメディアのなか、痒いところに手が届くリアルな情報で女性から支持されている『TOKYO DAY OUT』。フリーペーパーでは吉岡里帆さんをはじめ、いまをときめく女優たちが表紙を飾り、その編集チームの感度の高さも注目されている。そんな独自の地位を確立しているメディアづくりの秘訣はどこにあるのだろうか。

ー『TOKYO DAY OUT』がスタートしたきっかけを教えてください。

島崎:2014年頃、僕が広告のクリエイティブディレクターとして仕事をするなかで、あるクライアントさんから相談をいただいたのが始まりでした。当時、ネイティブアド(企業の広告を、読者にとって有益なコンテンツのかたちで提供する手法)などの新たな広告手法が注目されていて、「より効果的に観光マーケティングができる方法はないか?」と相談を受けたのです。そのときちょうどハルマリでも新しいメディアをつくりたいと思っていたので、「東京の魅力を伝えるメディアをつくるので、スポンサーになってくれませんか」と逆提案し、『TOKYO DAY OUT』がスタートしました。

株式会社ハルマリ CEO兼『TOKYO DAY OUT』編集長・クリエイティブディレクター 島崎昭光さん

株式会社ハルマリ CEO兼『TOKYO DAY OUT』編集長・クリエイティブディレクター 島崎昭光さん

ー『TOKYO DAY OUT』では、フリーペーパーとWEBを中心に、書籍やセレクトショップなど、さまざまな形態でメディアを運営していますね。

島崎:キュレーションメディアなどの二次メディア(他社が制作したコンテンツを集めて配信するメディア)が読者との接点になるケースが増えるなか、一次メディア(自社で制作したコンテンツを配信するメディア)がどうブランディングして生き残るかは、メディアを運営する会社にとってとても重要な課題。そのためにも、まずは誠実にどんなメディア形態になっても通用するコンテンツをつくりたかったんです。

ー東京をテーマにしたメディアはいくつもありますが、ずばり『TOKYO DAY OUT』の強みは何でしょうか。

青木:一般の方から、いわゆる業界の方たちまで、さまざまなライフスタイルをリサーチしているため、多角的な視点で東京の魅力を発信していることがいちばんの強みだと思います。また『TOKYO DAY OUT』は30歳前後の女性がメインターゲットなのですが、ちょうどその層にあたる女性たちにライターをお願いしていて。彼女たちが実際に取材に行って感じたことを、「体験レポート」として記事にしています。ファッション、マスコミといった東京の最先端で働く女性たちもスタッフとして関わっているので、ハイセンスだけど使い勝手のいいショップや、ここでしか紹介していない情報なども豊富です。

『TOKYO DAY OUT』コンテンツプロデューサー 青木優さん

『TOKYO DAY OUT』コンテンツプロデューサー 青木優さん

郷田:ライター自身が「この店、使える」と思えるかどうかも大事にしています。店のカタログ的な情報はほかのメディアでも見られますから、『TOKYO DAY OUT』では「その店はどんなシーンで使えるのか」「どうすれば使いこなせるのか」という切り口から情報を提供したいと考えていて。

ー「使える」記事として、最近好評だったのはどんな企画でしょう。

島崎:深夜に終電を逃したとき、女性でも時間を潰せる場所を紹介した記事は人気でしたね。現役OLの方に、人気のスポットから業界人が通う店などをセレクトしてもらって、新宿や渋谷など街ごとのシリーズでつくりました。また、一般的におでかけ系のメディアは週末などオフタイムの過ごし方がメインになりがちなんですが、『TOKYO DAY OUT』はメインターゲットが「働く女性」なので、取引先への移動の合間など、オンタイムの隙間時間をテーマにした記事も人気ですね。

青木:そういった記事は、FacebookなどSNSでのシェアも伸びますね。

ー企画を立てる際、情報収集はどのように行っていますか?

郷田:私はSNSをよく使います。気になっているお店をハッシュタグで検索して口コミを見たり、どの地域がアツいとか、どういうコンセプトのお店が流行っているかを調べたり。Instagramは良く見せようと「盛った」投稿をしてしまいがちですが、Twitterには、意外な本音が落ちていることが多いんですよ。あと、編集会議で出たお店は、Googleマップのお気に入りに登録して保存しています。「近くへ行ったときに寄ってみよう」と

『TOKYO DAY OUT』編集ディレクター兼ライター 郷田絵梨さん

『TOKYO DAY OUT』編集ディレクター兼ライター 郷田絵梨さん

青木:私は読者と同じ年齢層の友達に、ストレートに聞いちゃいますね。はまっていることとか、いま身の回りで流行っていることとか。

島崎:ある程度のアイデアが浮かんだあとは、現地に行くことも大事です。このあいだも、「最近、秋葉原に最近おしゃれなお店が多い」と聞いて、記事にしようかなと思ったんです。リサーチの段階では良さそうな店がたくさん見つかったんですが、郷田が実際に行ってみたところ、男性客ばかりだったみたいで。女性はお店の雰囲気を消費したい人が多いので、いくら店内がオシャレでも客層を踏まえると紹介できないな、と判断したこともありました。

郷田:たとえ美味しくておしゃれなお店でも、お客さんの層が「自分と違うな」と思ったら居心地が悪いし、リピートもしないんですよね。そうした雰囲気の部分は、机上のリサーチだけでは、なかなかわからない。実際に現地へ足を運び、体験することが大切なんです。

ざっくばらんに話し合える、「個性」を活かした編集チーム

多面的な東京の「いま」を独自の視点で切り取り、現場取材にもとづきながら情報発信を行う『TOKYO DAY OUT』編集部。個人の得意領域を活かした「役割分担」と「フラットなコミュニケーション」を意識することで、円滑なチーム運営が可能になっているそうだ。

ー現在、『TOKYO DAY OUT』は何名体制で運営しているのでしょうか。

島崎:編集部のコアメンバーは3名。アシスタントや外部のパートナーを入れると8名です。

『TOKYO DAY OUT』のバックナンバー

『TOKYO DAY OUT』のバックナンバー

ーもともと、編集経験者が多いのでしょうか。

青木:私はハルマリに入社してから実務を通して経験を積みました。ネット系の広告代理店からキャリアをスタートしたあと、総合広告代理店とデジタルのプロダクションを経てハルマリへ。なので、ハルマリではエディターとしてだけでなく、WEBプロデューサーやコンテンツディレクターとして、メディアプランニングや制作進行も担当することが多いですね。

ーデジタルメディア時代ならではの、新しい編集者像に近いイメージですね。郷田さんはいかがですか?

郷田:私はライターとして、学生時代からファッション誌や文芸誌で活動していました。新卒入社したのはIT企業で、コピーライターとしてさまざまなコンテンツを制作していました。そのあとは総合広告代理店でコミュニケーションプランニング、コンサルティングファームで企業のPRなどを経験。ハルマリに業務委託として関わり始め、もうすぐ3年が経ちます。

ー正社員以外に、業務委託という選択肢もあるのですね。

郷田:一般的な業務委託では、プロジェクトのコアメンバーとして自らが企画の発案者になることはめったにないと思います。でもハルマリでは、企画の段階から深く関わることができる。街で見つけた面白いスポットや、思いついた企画のアイデアをみんなで話して、かたちにしていくのは楽しいですね。

ーざっくばらんに話し合える雰囲気なのですね。

郷田:はい、会社には苦手な人が一人もいないんです(笑)。次々と新しいことに挑戦していくような、好奇心旺盛な人が多いので、とても刺激になりますね。

青木:みんな面白い人だなって素直に思います。議論はするけれど、変にぶつかることはないですし。私は、自分が真面目なタイプなので、責任感がない人は苦手なんですが、チームのみんなとは気持ちよく仕事しています。

島崎:基本的に、編集長である僕以外のスタッフは、みんなフラットな関係ですね。プロジェクトごとに、仕切る人も変わる。個人の得意な領域に合わせて、担当者を決めるようなイメージです。

大きな窓から光が差し込み、開放感のあるハルマリのオフィス

大きな窓から光が差し込み、開放感のあるハルマリのオフィス

ーリモートワークなども柔軟に対応しているのでしょうか。

島崎:正社員は裁量労働制です。もちろんコンプライアンス上、労働時間は記録していますが、席にずっといてくれということはありません。業務委託のスタッフも成果を残すことが第一で、働くスタイルは個別に相談しながら決めています。

青木:家で作業したほうがはかどる業務もあるので、オフィスにいなくてもいいのは助かっています。気分転換に、気になるエリアのカフェで仕事をすることもありますし、インプットために時間を確保できるのも嬉しいですね。時間や場所にしばられず、フレキシブルに働けるのは、ハルマリの魅力だと思います。

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紙とWEB、メディアごとに特化した編集を学べる『TOKYO DAY OUT』の強み