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命を削る時代は終わった。グッドフィーリングが目指す、映像制作会社の新境地

株式会社グッドフィーリング

フリーランスではないクリエイターにとって、会社は1日の大半を過ごすことになる場所。だからこそ、会社の雰囲気や居心地、社内の人間関係は、仕事の満足度や意欲に直結する。設立18年目を迎えた株式会社グッドフィーリングは、「会社が楽しい」を目指す広告映像プロダクションだ。その背景には、従来のストイックな制作スタイルに対する違和感があったという。彼らはどのような方法で理想を実現しようとしているのか。代表取締役の酒井智啓さんと、まさにいま会社を楽しんでいる若手社員の二人に話を聞くと、これからの時代にあるべき制作会社の姿が見えてきた。

取材・文:榎並紀行(やじろべえ) 撮影:朝山啓司 編集:立花桂子(CINRA)(2019/06/14)

「個人商店の集まり」では意味がない。仲間と助け合い、身も心もヘルシーに

―酒井さんは、従来の広告映像制作の進め方に違和感を感じていたそうですね。

酒井:はい。広告映像制作は始まりから終わりまでのプロセスが長いんですよ。中小の制作会社では、見積もりからスケジュール作成、企画構成、映像編集までをひとりのクリエイターが一貫して行うパターンが一般的でした。当然、すべてをひとりで担うとなると相当な激務になってしまう。そこで、クライアントとやり取りをする窓口業務と制作を分業する必要性を感じたのです。

株式会社グッドフィーリング 代表取締役の酒井智啓さん

株式会社グッドフィーリング 代表取締役の酒井智啓さん

酒井:もちろん、コストや納期、人手の都合で「分業化したくてもできない」会社側の事情もありますし、できる人が「ひとりでやる方が早い」と仕事を抱え込んでしまうこともある。ですが、この状況が続くと、やがてクリエイターは自分の仕事以外に関心を示さなくなり、会社が「個人商店の集まり」になってしまうんです。

―そうなると、会社に所属している意味がないですね。

酒井:そのとおりです。会社として集まっているからには、仲間と助け合い、刺激し合い、「会社にいる意味」を感じられる環境を整える必要があります。最近は案件や予算を安定して確保できるようになり、ようやく分業化を進められるフェーズに入りました。

ぼくたちが最も大事にしたいのは「グッドフィーリング」、つまり働いている全員が精神的にクリーンでいること。誰かひとりに負担が偏る状態は好ましくありません。分業化を進めることで、一人ひとりが仲間と助け合い、ヘルシーに働けるようになる。会社としても、プロデューサーならクライアント窓口、ディレクターなら制作と、「適材適所」の業務に集中できる環境は、作品の質がよくなることにもつながると考えています。

楽しい会社づくりは朝から始まる。日課は全員でのラジオ体操

―先ほど仕事風景を拝見しましたが、代表の酒井さんと社員の方が気軽に声を掛け合うなど、とてもいい雰囲気でした。

酒井:ありがとうございます。精神的にクリーンでいるためにも、「この会社で働くことが楽しい」と全員が思えるムードづくりやコミュニケーションを大切にしているんですよ。これは、福利厚生といった「制度」以上に重視すべきなのではないでしょうか。そのための取り組みのひとつが、仕事を始める前に全員でラジオ体操をすることです。

オフィスは馬喰横山の呉服店を改装したもの。大きな窓から明かりがたっぷり入り、開放的な雰囲気をかもし出している

オフィスは馬喰横山の呉服店を改装したもの。大きな窓から明かりがたっぷり入り、開放的な雰囲気をかもし出している

―制作会社とラジオ体操というのは、意外な取り合わせですね。

酒井:たしかに、映像制作会社では珍しいかもしれません。でも、意外といいんですよ(笑)。オフとオンの切り替えになり、単純に体を動かす気持ちよさもある。それに、みんなで体操をすると「同じ釜の飯を食う」ことに似た連帯感が生まれる気がします。

朝は、若手社員に「自分が好きなこと、得意なこと」をテーマに話してもらい、みんなで共有する時間も設けています。だいたい15分くらいですが、それぞれのパーソナリティーを理解したり、興味を持ったりするための大事な習慣になっていますね。若手の渡辺や加藤にも、それぞれのテーマで発表してもらっています。

―渡辺さんはどんなテーマでお話しされたのですか?

渡辺:私はクリスチャンなので、「お祈り」をしました。みなさんに「みんなでやろうよ」と言っていただき、やることになったのです。週に一度の「お祈り」の時間は、私の性格やライフスタイルに溶け込んだ大切なもの。それを一緒に働くメンバーに知ってもらい、認めてもらえたのは嬉しかったですね。仕事に関係のないパーソナルな一面を共有でき、汲み取ってくれる会社ってあまりないんじゃないかと思います。

株式会社グッドフィーリング ディレクターの渡辺友基さん。2017年8月の入社以来、新規営業やプロデュース、アシスタント、ディレクションなどさまざまな業務にチャレンジしているという

株式会社グッドフィーリング ディレクターの渡辺友基さん。2017年8月の入社以来、新規営業やプロデュース、アシスタント、ディレクションなどさまざまな業務にチャレンジしているという

加藤:私はロンドンに留学していたこともあって、「英語」をテーマに発表しました。たとえば、好きな海外ドラマの映像を見てもらいながら、セリフを紹介する、という感じです。

株式会社グッドフィーリング デザイナーの加藤夏実さん。美術大学でイラストを学び、2017年10月に入社。イラストの制作をはじめ、近年ではモーショングラフィックスの制作なども担当

株式会社グッドフィーリング デザイナーの加藤夏実さん。美術大学でイラストを学び、2017年10月に入社。イラストの制作をはじめ、近年ではモーショングラフィックスの制作なども担当

加藤:私の場合、「自分のことを知ってもらう」というよりは、コミュニケーションに役立っていると思います。自分から話しかけられない性格なので、入社当初は先輩への質問すらもためらっていました。

それが、最近は少しずつ変わってきたように感じます。朝の発表をきっかけに、仕事以外の会話が生まれ始めたんです。すると、好きなことや興味のあることを、喜んで話してくれる人が多いということもわかってきて、仕事のことも気軽に質問できるようになりました。

会社も学校と同じ。「個性を認めてもらえない環境はつまらない」

―会社や職種によっては、同僚の趣味やパーソナリティーをあまりよく知らないケースも多いでしょう。その点、「朝の発表」のような試みは、社員同士の自然なコミュニケーションを促すきっかけになりますね。

酒井:そうですね。いちばんよくないのは、会社に来ているのに誰とも会話しない、接しないこと。映像制作会社は、下手したらそれが成立してしまうんです。でも、それなら会社に来る意味がない。学校と同じですよね。「会社に行くのが楽しい」と思えるためには、自分を偽らず、堂々と個性を発揮できる雰囲気をつくることがいちばん重要だと思います。

―親密なコミュニケーションや雰囲気が苦手なクリエイターもいるのでは?

酒井:もちろん、わずらわしく感じる人もいると思います。「ひとりでものづくりに没頭したい、周りの人は関係ない」という考えも一理あるでしょう。でも、会社である前に人が集まる場所として、それは健全でないように思います。少なくとも、ぼくは楽しくない。自分の個性を周りに認めてもらえない環境って、つまらないじゃないですか。

いくら尖ったクリエイターが揃っていて、素晴らしい作品をつくれたとしても、内部がギスギスしていたら居心地が悪いですよね。そんな会社には絶対にしたくないんです。余裕のない人や暴走している人がいたら、周囲が「大丈夫?」と声をかけられる、いい意味で家族のような温かい会社でありたい。そういうカルチャーは一朝一夕ではなく、日々の積み重ねによって培われるものだと思います。

―渡辺さんは、酒井さんの考えをどのようにとらえていますか?

渡辺:私自身は、酒井さんと考えが似ていると思います。もともと「ビジネスライク」という言葉に違和感があって、仕事での接し方と、プライベートでの接し方を分けたくないと思っていました。最低限の礼儀は必要ですが、会社のメンバーはもちろん、クライアントとも、気軽に会話ができる友人同士に近い関係性をつくれたらいいな、と。

渡辺:クライアントから見ても、どうせなら「気が合う」とか、「親身になって話を聞いてくれる」とか、そういう会社と仕事がしたいんじゃないかなと思うんです。クライアントとフランクな関係でいるためにも、まずは社内から心地いい関係性をつくっていきたい。他愛ない会話を交わせる環境があるのは嬉しいことです。

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