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「見る」から「使う」へ。ウェブデザインの新たな地平!

株式会社フォーデジットデザイン

良いウェブデザインとは何か? これまでも、そして今後も繰り返されるこの問いに、あなたならどう答えるだろう。鮮やかなヴィジュアル、思わず誰かに伝えたくなる仕掛け、使う際の気持ちよさ。どれも有効解になり得るが、変化の激しいこの世界では「正解」も刻一刻と変化する。その中で、一過性の目新しさとは一線を画した、理論的リサーチに基づくクリエイティブを駆使する会社が存在する。それが、フォーデジットデザインだ。 一見して派手な「カッコ良さ」「面白さ」とも異なるウェブづくり、しかしそこにはテクノロジーと発想力を活かした、刺激的かつ本質的なデザインの世界が広がる。同社の田口亮・代表取締役と仁田雄一・マネージャー / ディレクターを案内人に、その扉の向こうを覗いてみた。

取材・文:CINRA編集部 撮影:豊島望(2013/11/29)

最適なデザインを生むためのリサーチ術

母体となる株式会社フォーデジットの設立12年を経た分社化により、2012年に誕生したフォーデジットデザイン。まだ設立2年目ながら、その実績は有名ジャズクラブ「BLUE NOTE TOKYO」やアパレルブランド「UNITED ARROWS green label relaxing」のサイト全面リニューアルから、数々のコーポレートサイト立ち上げ、各種ECサイトまで幅広い。ただそこにはひとつ共通点があるという。

株式会社フォーデジットデザイン 代表取締役 田口 亮さん

株式会社フォーデジットデザイン
代表取締役 田口 亮さん

田口:すべてのプロジェクトに共通しているのは、近年ウェブサイトが”見るもの”から”使うもの”になってきた、その文脈に即したデザインをしていることです。ネットの世界でのこの流れには、3つの契機があったと思います。それはすなわち、(1)ブログの登場による能動的なネット発信、(2)EC等ネット購買の隆盛によるウェブ業界への資本投下、(3)スマートフォン等の登場によるインターフェースの変化ですね。この時代背景に応えて、利用者にいかに便利に、気持ちよく活用してもらえるかを追求する。そしてクライアントの利益にもつながるプロジェクトを遂行するのが、僕らの得意分野です。

そんな彼らは、デザインを具現化するための入念なマーケティング調査や情報設計に限らず、ユーザー視点を重要視し、調査・分析を自ら行う。特徴的なのは、独自システム「CREATIVE SURVEY」を駆使したデザイン特化型リサーチだ。同システムでは多様なユーザデータ収集と高度な分析をウェブ上で実施可能。たとえば「エリアマッピング」は、ウェブページ画像の特定エリアを指してコメントを書き込む手法で、利用者が「どこ」を「なぜ」支持・不支持したかを具体的に把握する。集計画面ではその印象分布がヒートマップ的に(ポジティブ=赤、ネガティブ=青)マッピング表示され、実際の意見も紐付けた閲覧が可能だ。

CREATIVE SURVEY

さらに、クリック / タッチなど画面操作の行動パターンを取得・集計したり、対象への曖昧な感性——ごく単純な例でいえば「好き⇔嫌い」など——を数値化するSD法(意味差判別法)を取り入れたリサーチも行う。また、同社ではユーザーの視線の動きを調査するアイトラッキング(視線追従)システムも利用する。その根底にあるのは、まさに「ユーザー」を重視する開発姿勢といえる。

田口:デザインの評価方法は様々ですが、現実のデザイン決定では、ユーザーという観点を欠いたまま進んでしまうケースも少なからず見られます。やはり”使われる”サイトであれば、実際に使うユーザーがどう捉えるかがキモになってくるはずです。そのためには、生の意見を元にしたデータ=定性調査と、数値化可能なデータ=定量調査の双方が自ずと必要になってきます。

こうしたリサーチにまで踏み込んでデザインをする姿勢は、同社グループ全体が共有するもの。母体のフォーデジット社は新築マンションの販促サイト開発などを得意とし、ユーザーの物件購入を最終ゴールとする大きなマーケティングの入口となる制作力を磨いてきた。サイトの第一印象の信頼性や的確な情報設計が重視される世界で得た、開発力とクオリティ追求の思想。フォーデジットデザインは、これをより広い世界のウェブクリエイティブに応用すべく誕生したのだ。

調査結果の「文脈」が勝負になる?

もちろん、こうしたリサーチでは情報を得ることがゴールではなく、むしろそこがスタート地点。得られた結果をどう解釈し、調理するかが重要だ。制作現場を束ねる仁田雄一マネージャーも「調査から見えてきた現象や行動をどう捉え、いかに問題解決に結びつけられるか」を強調する。

そこでいくつかの事例を紹介してもらった。コンタクトレンズの製造・販売を行う大手メーカーのスマホサイトリニューアルでは、クライアント特有のサービスとユーザーの関係を深く理解し、コミュニケーション方針を徹底的に考え抜いた。

ディレクター・マネージャー 仁田 雄一さん

マネージャー・ディレクター 仁田 雄一さん

仁田:まずクライアントの業態把握を通じ、店舗での購入につなげるクーポンサービスの仕組みに着目しました。メルマガでの配布、街頭での手配り、また初回利用時のみの特別割引など……これがかなり多種多様で、複雑でもあったんですね。そこでこの仕組みを一度徹底的に整理し、ユーザーの利用データも提示してもらいながら現状を図示化し、どの入口を強化すべきかを探りました。

クライアント自身も整理できていなかった詳細な現状把握と徹底的な分析。さらに彼らは、並行してリサーチも実施したと話す。

仁田:「どのようなユーザーが、どのような状況・目的で、どのようにサイトを利用しているのか」を深く理解するために、「CREATIVE SURVEY」を利用してオンラインリサーチを実施しました。それでわかったのは、彼らの多くは最もお得なメルマガのクーポンを知らず、街頭の手配りクーポンを利用していること。そこにユーザーとクライアント間にギャップが生まれていると考えたんです。よってサイトではその溝を埋めるべく、かつ継続利用につなげるものを目指しました。これを設計・デザインに落とし込めた結果、より良いユーザー体験とクライアントの利益の双方に貢献できたと思います。

田口:サイトリニューアルで陥りやすいのは、印象で「ここをこう変えたい」「このほうがいい」と決めて、有効な改善点の把握をないがしろにしたまま進むケース。いわゆる「カッコイイ」「カワイイ」のみで判断してしまう例です。そこを極力噛み砕き、どこにどんな流れを取り入れれば効果的か、本来の目的を踏み外さず、クライアントと共に考えていくことが重要だと考えます。

結果、解決法も事例ごとに様々となるが、それこそがこうした手法の醍醐味かもしれない。あるアパレルメーカーのブランドサイトリニューアルでは、ECサイトとの共存でいかにブランドサイトを機能させるかを目指した。

仁田 雄一さん、田口 亮さん

仁田:ブランドサイトは、デザイン性やコンセプトの打ち出しが強く志向される傾向にあります。ただ、この際のユーザー調査で見えたのは、同ブランドが好きでもECサイトを見ない人が数多く存在するということ。ならばブランドサイト側でもイメージを伝えるだけでなく、具体的な商品情報を数多く掲載すれば、機会創出になるはず。そこで、コーディネートを提案するページや、商品をよく知る店舗スタッフがサイト内でおすすめアイテムを紹介する仕組み、そして、紹介する商品をECサイトのデータと連携させる仕組みも盛り込みました。

近年、クライアント側の担当者もウェブについて意欲的に学び、成果物にはそうした側面からも厳しい批評の眼が向けられるという。だが仁田さんは「だからこそ、両者のコラボレーションが生まれるはず」と意欲的だ。発注側と受注側の不要な壁は取り払い、お互いが明確なゴールに向け、共に問題を深堀りしていくことが大切なのだと話す。

仁田:リサーチや分析、戦略といった領域については、今はウェブコンサルティング業というものが成立しています。僕らの場合はその領域からアプローチし、より本質的な制作を行う体制を評価頂いていて、そこに存在意義を見出してくれているのだと思います。

クリエイターの創造力はどう活かすべきか?

ところで、こうしたものづくりの体制において、いわゆるクリエイターたちの力量はいかにして発揮されるのだろう。現在同社は、ディレクター、デザイナー、デベロッパー部門に各7人ほどを擁する。プロジェクトごとに各部門から適任者が集結してチームを組む。リサーチや分析から戦略を立案し、各種設計に落とし込んでいくのが彼らのやり方だが、必ずしもディレクターのトップダウンではないという。

フォーデジットデザインメンバー

フォーデジットデザインメンバー

仁田:上流フェーズはやはりディレクターがまとめることが多いのですが、調査・分析の段階から、クリエイターも参加しメンバー全員で意思決定を行います。インタラクションやユーザーインターフェース(UI)が特に重要になる場合は、よりユーザエクスペリエンス(UX)の重要性が増します。そのため初期の段階から動くモックアップを作って、クリエイター主導で進めることもあります。
 
田口:問題の発見と解決にはディレクターの経験だけでなく、クリエイターのもつ発想力や最新の知識が切り札になることも多々あります。そうした意味でも、トップダウン式ではなく制作陣みんなが並列に、力を引き出し合った方がアウトプットの質が上がる実感があるんです。

企業内で開発に従事するクリエイターは、つい自社ディレクターを相手に仕事をしている意識になりがちかもしれない。そんな中で、本質はクライアントやユーザーのためのものづくりである事を忘れずにいてほしい———その思いから、客先打ち合わせに作り手を同行させることも多い。田口さんいわく、「人的な管理面では組織化されるべきですが、ものづくりにおいてはフラットに発言できる環境が理想」だという。単にスキルの寄せ集めでつくるのではなく、作り手全員が密なコミュニケーションのなかで目標に向けコミットし、相互作用の中で制作を進めていく。そこには、フラットなコミュニケーションを重視することで互いの能力が活かされるという、彼らの思想が反映されている。

「人間中心設計専門家」であれ

ここで田口代表の名刺に記載していた、とある資格について質問してみた。すなわち「HCD-Net認定 人間中心設計(Human Centered Design)専門家」なるものだ。ユーザビリティ・デザインに関わる国際規格(ISO9241-11)に基づいた専門家認定の資格。まさにここまで伺ってきた世界に通じるとも言える。

田口 亮さん

田口:かつて世にオフィス機器が一気に登場した時代、作り手の論理中心で新製品が多産され、ユーザーそっちのけで開発が進むような傾向もありました。「使いやすさより、とにかく機能追加」みたいな(笑)。ユーザビリティという言葉もその問題意識から生まれたものです。最近はプロダクトデザインのみならず、ウェブの世界にも専門家が増えていると思います。それもやはり、ウェブが「見る」ものではなく、「使う」ものになってきたということでしょう。

そのような前提の上で、今度はさらに、ウェブを起点に「デザインの定義」が変わっていくのでは、と田口さんは話す。たとえばKinectやLeap Motionなどの動作検知デバイスの進化も、職場のデスク風景を変えていくだろうし、携帯電話の近距離通信機能は、入店者にお得な情報を自動送信することなども可能にする。

田口:そうした新たな技術活用の場には、ウェブに関わる知識やアイデアが絶対に必要とされるはずですし、ウェブを軸としたインタラクションは益々多様化していくでしょう。そう考えると今後ウェブとデザインの関係から生まれるものは、ほとんど無限にあると言ってもよいと思います。

一方で、そうした新技術から広がる世界を想像するとき、やはりまず思い浮かびやすいのは「テクノロジーで面白いことやったもの勝ち」という派手な広告の世界かもしれない。

田口:広告やエンターテインメントではそういう派手な手法が用いられることも多くて、もちろん僕もすごく興味があります。でも一方で、ビジネスではインバウンドマーケティング(マス広告等ではなく、検索エンジンやソーシャルメディア、自社メディア等を通じて”見つけてもらう”手法)だったり、リサーチや顧客理解という着実なステップで成果を出すことも注目されています。例えば、普段の生活の中で使うものが、デザインの力で使いやすくなったり、テクノロジーの力で進化していったりすることは当然です。もちろん、どちらが良いとかではないですし、どちらも、ものづくりとしてとても価値のあることだと思っています。

関わる人達すべての喜びのために

「派手な広告賞にはそれほど縁がない」と笑う田口さんたちだが、トロフィーにも負けない誇れるものがある。それは、お客さんに喜ばれるものを作っている自負と、その手応えを実感させてくれるリピート率、そして全ての人たちからの信頼だ。

田口:僕らの会社は「DESIGN for DELIGHT」、つまり、喜びのためにデザインしようというビジョンを掲げています。喜びを届ける対象はユーザーであり、クライアントであり、そして最後には自分たち自身。

社会も、制作環境も、ユーザーの感性も変化し続ける中で、個々の事例に特化したデザインの最適解を探る日々。それはもちろん終わりのない挑戦とも言える。

仁田 雄一さん、田口 亮さん

田口:でも、そもそもデザインという営み自体、そういうものだと思うんです。だからそれ自体は苦になりませんし、むしろ新たな挑戦を楽しみたい。「本質的なものを作りたい」と願い続けることと、そこで必要な手段・手法が変化していくことは、ぜんぜん矛盾しないと思っています。

最後に田口さんに「これからどんな会社を目指しているのか?」と伺ったところ、「『DESIGN FOR DELIGHT』を掲げる日本一の会社にしたい」と微笑みながら語ってくれた。シビアな成果を求められるサイト制作と共に、ものづくりは社員同士フラットでいきたい、といった言葉からにじみ出るのは、彼らの目指す「誰しもの喜びのためにデザインをする」ということへの1つの回答なのかもしれない。

まとめ

今回の取材中、田口・仁田両氏がたびたび口にする言葉に「文脈」という一語もあった。「直観」とは対照的に、ものごとの背景や筋道、そこにある意味内容のつながりを指すこのキーワードは、彼らの知的なクリエイティビティを象徴する単語とも言える。日々、無数に行われるウェブブラウジングやネットショッピングの舞台裏で、さりげなく、しかし明確に施された「文脈を読み込んだものづくり」。そこでは今日も、「良いウェブデザインとは何か?」への問いに対し、絶え間ない応答が繰り広げられている。