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クリエイターが考える「未来の仕事場」。コワーク界の先人co-labに聞く

春蒔プロジェクト株式会社

2017年にオープンした「渋谷キャスト」は、クリエイターが集い、イノベーションを生み出すクリエイティブな複合施設。オフィス、カフェ、住宅、ショップなどが集積するここは、先端的な文化の生まれる渋谷を象徴する場所として注目されている。そしてその中核の一つが、クリエイター専用のコワーキングスペース「co-lab」だ。世界的にも先駆けて2003年より通算10か所でコワーキングスペースを展開してきた彼ら。その背景には、ただ場所を貸し出す「不動産業」とは一線を画した哲学が込められている。他に類を見ない同社の取り組みと、多くのクリエイターたちに場を提供してきた彼らが考える「未来の仕事場」について聞いた。

クリエイター同士だからこそわかる、「ちょっと散らかった仕事場」がベスト

—co-labの特徴は、コワーキングスペースに「コミュニティーファシリテーター(以下CF)」というスタッフが常駐していることです。CFがコミュニティーを活性化し、内部でクリエイター同士のコラボレーションが生み出されるそうですが、具体的にCFはどのような仕事をされているのでしょうか?

佐藤:入会希望者の審査にはじまり、メンバーさんと日々コミュニケーションを取りながら、良質なコミュニティーを維持開発していくのがCFの仕事です。交流やコラボレーション誘発のためのイベントを企画したり、「ここにこんなものがあったらいい」といった空間の仕掛けを常に考えたりしますね。

—どのようなイベントを企画しているのでしょうか?

佐藤:『プレゼンテーション会』というイベントを定期的に開催し、メンバー同士が深く自分の仕事をプレゼンテーションし合うことで、コラボレーションが生まれやすい環境をつくっています。また、カジュアルなお茶会やランチ会などを開催し、普段は共通点がない人々が話す場も用意していますね。

—その結果、どんなコラボレーションが実現していますか?

栗原:例えば、ウェブサイトや紙モノの制作プロジェクトなどに、メンバーさん同士のチームで取り組んでいる姿をよく見かけます。毎日一緒の場所にいると打ち合わせもしやすいし、安心感もある。必ず入会審査をしているので、メンバーのクオリティーも担保されています。

佐藤:印象的なものだと、3Dプリンターを使ってものづくりを支援する株式会社カブクさんは、co-lab渋谷アトリエで出会ったFABLAB Shibuyaさんと意気投合し、会社の発展を急加速させて、大きな出資を受けるようになっていきました。

—co-labが会社の発展のきっかけになった?

佐藤:そうであったらうれしいですね(笑)。そんな出会いが起きやすい環境づくりをするのが、CFの大きな役割ですね。

—クリエイターに向けて場所を提供するにあたって、気をつけている点はありますか?

田中:co-labの内装デザインでは「余白」を大切にしていて、あえて素地を見せたり、ラフな素材を使ったりすることによって、使い手にとって編集可能な余地を残すようにしています。

クリエイターにとっては、すべてつくり込まれた空間より、自分で能動的に何か手を加えられそうな空間のほうが心地良く感じてもらえるのでは、と思うからです。

また、散らかっていたとしても、汚く見えないような空間構成をしています。これは私や、co-labで働いているCFに美術大学の出身者が多いことも関係しているのですが、クリエイティブなことに頭を使うときって「いい具合の散らかり具合」が大事なんです。だから、クリエイターが仕事をしやすい「適度なごちゃっと感」を保っておくのもCFの役割です。

佐藤:CFに求められるスキルは、クリエイターたちとの共通言語を持ち、心地のいい距離にいながらも、注意やお願いをしなければならないときには、きちんと話を聞いてもらえる関係性をつくっておくこと。そのためには、やはり自分自身も何かしらつくったことがある人のほうが、コミュニケーションの塩梅をわかっていることが多いですね。

気持ちいいオフィスづくりで用いられる「バイオフィリックデザイン」とは?

—各企業では、イノベーションを起こす場としてのオフィスづくりが課題となっています。長年、クリエイターに向けて仕事場を提供してきたco-labから見て、そんなオフィスをつくるためにはどのような工夫が必要だと思いますか?

田中:「バイオフィリックデザイン」を用いた空間がオフィスに求められるようになってくると思います。植物や自然光、自然素材などが使われている空間で仕事をすることで、働きやすくなり、生産性も向上するという考え方が世界基準になりつつある。

特にクリエイティブな発想は、人の「気持ち」に影響されるものですよね。バイオフィリックな空間に身を置くことで、気持ちよく仕事ができ、いい発想を生み出しやすくなります。

co-lab二子玉川の様子。オフィス中に植物が配置されている

佐藤:まだ日本では一般に認知は浅いですが、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)や、ESG(E:環境、S:社会、G:ガバナンス)という投資指標を意識する国内企業が近年加速度的に増えています。

つまり、世界的に「持続可能性」を重視したビジネスの展開が主流になってきている流れがあります。

バイオフィリックデザインを用いることは、そうした時代の流れに即しており、かつ人間性に回帰している現代社会からも強く求められているように感じています。

—人間の身体感覚にフィットする空間を提供することで、質の高いアイデアやイノベーションが生み出される、と。

田中:そもそも、日本では窓が開くオフィスが少ないですよね。欧米では、外気を感じられないオフィスには借り手がつきにくかったり、そもそも法律で窓を開けるよう定めていたりする国もあります。

先日、デンマークやオランダのオフィスを視察したところ、建物はすべて薄くつくられ、大きなビルでも必ず外光が入るように設計されていました。今後は「人間的に働ける空間」こそが、オフィスの絶対条件になっていくでしょうね。

—では、そんな時代を迎え、これからのコワーキングスペースはどうなっていくのでしょうか?

田中:CBREという世界的な不動産会社のデータによると、アメリカでは、2030年までにオフィスの30%がコワーキングスペースになると予想されています。いま、日本のオフィスにおけるコワーキングの割合は5%弱ですが、アメリカ並みの30%には届かないまでも、3倍の15%程度になることは考えられます。

—そのとき、働き方においても副業やフリーランスといったフレキシブルな方法がますます一般化していくのでしょうか?

田中:そうですね。また、企業としてもオフィスを自社で抱えるのではなく、コワーキングスペースで社員が働くことで、コストを下げられる。いま、大企業の一部では、自社のオフィスを減らして、社員の仕事場をコワーキングスペースにする動きが生まれつつあるし、建設中のオフィスビルに最初からコワーキングスペースが入ることも珍しくありません。この流れはより加速していくでしょうね。

—では、そんな時代を目前にして、春蒔プロジェクトでは、どのような活動を展開していくのでしょうか?

田中:渋谷キャストの仕組みやつくられ方の好例を受け、東京都心に限らず、さまざまな地方都市からもお話をいただいています。そういった場所で、コワーキングスペースをどのように機能させていくことができるのかが、今後挑戦していきたい課題です。

いま、ぼくらが目指しているのは「意思を持ったコワーキングスペース」をつくること。co-labでは、クリエイターたちが集い、集合知を形成しています。

そんな特徴を活かして、特に地方において、地域を活性化するためにどのような役割を担えるのか、co-labからどのような仕事を生み出せるのかを模索していきたいと考えています。ゆくゆくは、デザインなどのクリエイティブだけではなく、政策や経営などの課題を解決できる場所にしていきたいですね。

佐藤:それは、「シンクタンク」ならぬ、クリエイターたちが集合知によって課題を解決する「ドゥータンク」といったイメージの姿です。AIは過去のビッグデータに基づいて解答を出しますが、クリエイターは、アイデアとスキルによって未来を考えることができます。「ドゥータンク」としてのco-labにこそつくれる未来があると考えていますね。

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