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インハウスデザイナーは、もっと面白い仕事になる! お菓子のスタートアップBAKEの挑戦

株式会社BAKE

あるスタートアップが、洋菓子業界に革新的なインパクトを与えている。焼きたてチーズタルト専門店「BAKE CHEESETART」、クロッカンシュー専門店「CROQUANTCHOU ZAKUZAKU」(ザクザク)などを展開する株式会社BAKEである。自らを「お菓子のスタートアップ」と名乗り、北海道をバックグラウンドとした高品質な美味しいお菓子を提供して、連日行列ができる店舗を多数抱えている。

しかし、BAKEがこだわっているのは、お菓子の味だけではない。これまでの洋菓子業界では見られなかったような斬新な店舗やパッケージデザインを打ち出し、保守的だと言われている業界に風穴をあけているのだ。設立わずか約3年で急成長を遂げているBAKEだが、躍進の原動力としてデザインの力は欠かせないものになっている。なぜ、BAKEはデザインにこだわるのか。そして、どのようにして自由にデザインできる環境をインハウスで実現しているのか。アートディレクターの長沼有紀さん(通称:ユキさん)と、クリエイティブプランナーの貞清誠治さん、マーケティング部の阿座上陽平さんに話を伺った。

取材・文:宮崎智之 撮影:永峰拓也(2016/2/23)

NYに渡って確信。BAKEは世界でも通用する洋菓子屋になる!

BAKEは、長沼真太郎さんが2013年に起業したスタートアップだ。北海道の洋菓子屋「きのとや」を営む家に生まれた長沼さんは大手商社を退職後、「きのとや」での勤務を経て独立した。現在、BAKEでアートディレクターを務める長沼有紀(ユキ)さんは、社長の姉。BAKEの立ち上げをデザイナーとしてサポートした。その後、ニューヨークの美大に留学したが、弟の奮闘に影響されて心境が変化し始める。

ユキ:ニューヨークには、世界のありとあらゆる洋菓子ブランドが集まっていましたが、日本のブランドはそんなに流行っていない印象があり、少し残念に思っていました。ちょうどその時期に、父がテレビ東京の『カンブリア宮殿』に出演し、娘として感動したんですよね。原点を思い出した気がします。

アートディレクター 長沼有紀さん

アートディレクター 長沼有紀さん

洋菓子屋への想いが強くなったユキさんは、日本に帰国してBAKEに合流する。「父と弟と自分の3人が力を合わせれば、世界に通用する洋菓子屋が作れるのではないか」という想いがあったという。自分の原点、そして世界の広さを知ったなかでの決断だった。

そんなユキさんに誘われてBAKEに入社したのが、クリエイティブプランナーの貞清誠治さんだ。アパレル業界で店舗デザインなどに携わり、フリーランスで飲食店の立ち上げに関わったこともある。BAKEを拡大するにあたって、経験豊富な貞清さんに白羽の矢が立ったわけだが、オファーされたのはなんとユキさんがニューヨークに留学する直前のことだった。

貞清:声をかけられたのはユキさんが留学に行く3日前、社長を含めて顔合わせをしたのが1日前でした。社長とは初対面だったのに、「後はよろしく」と言い残してニューヨークに発ってしまうという(笑)。しかも、頼まれた店舗(当時、新ブランドとして立ち上げていた「ザクザク」)のオープンが2か月後に迫っていた。それはもう必死でやりましたね。

タブー上等!? 固定観念に縛られない、BAKEのデザイン

突然のオファーで携わることになったBAKEの仕事で、貞清さんはある挑戦をする。飲食業界、特にスイーツ関連のデザインでは、青色は「食欲を減退させる色」として避けられることが多い。しかし、「ザクザク」のイメージカラーに、あえて青色を使ったのである。

貞清:「おいしそう」に見える色と言えば、お菓子が美味しく見える色、いわゆる暖色系です。たとえば茶色とかですね。でも、僕がイメージしたのは、北海道の青い空と、新鮮な牛乳の白。青色が飲食でタブーなことは知っていましたが、「他と違うものを作りたい」という想いがありました。

結果的に、イメージカラーを含めて「ザクザク」は好評を得ることができ、BAKEをさらに勢いづかせた。しかし、青色を使ったデザインに踏み切る決断をしたことに、迷いはなかったのだろうか。

クリエイティブプランナー 貞清誠治さん

クリエイティブプランナー 貞清誠治さん

貞清:もちろん、迷いはありましたよ(笑)。下手すれば何を売っている店なのか、お客さんがわからなくなるリスクがありましたから。でも、社長が「これでいこう」と即決してくれました。経営者がデザインを理解して、リスクをとってくれたからこそできたと思っています。

BAKEの店舗やパッケージデザインには、既存の洋菓子屋と一線を画すものが多い。販売しているお菓子が美味しいことはもちろん、デザインの“新しさ”が消費者の心を掴み、BAKEのブランドイメージを構築している。社長の長沼さんも、「一番大切なのは商品、二番目に大事なのがデザイン」と語っている。貞清さんいわく「BAKEのデザインからは、具象的な表現を排除している」。どういうことだろうか?

貞清:日本風でも欧州風のデザインでもない。洋菓子屋だからといって、洋風にしなければいけないというわけではないのです。BAKEは一つのブランドに一種類のお菓子しかありません。そのため、あえて具象的な表現でくくってブランドを統一させる必要がないんです。

さらに、ユキさんもこう語る。

ユキ:各ブランドがそれぞれ一品に特化しているからこそ、その特性をデザインで表現しているのがBAKEらしさ。ショーケースに宝石のようなお菓子が並ぶ、よくある洋菓子屋の店舗デザインと違い、一つのお菓子を見せるためにこだわり抜いたデザインを心がけています。これから、デザインでもっともっと差別化できると思っています。シンプルな中でもインパクトを与えられる。「○○風」ではないBAKEらしさを追求していきたいです。

長く続く洋菓子業界の“当たり前”に囚われないことが、「BAKEらしさ」を生み出している。

貞清:あまり業界を知りすぎていないからこそ、新しいデザインが生まれているのかもしれません。僕が参考にしているのは他の洋菓子屋ではなく、アパレルのデザインだったりすることが多い。当たり前ですが、アパレルのショッピングバッグって、とてもお洒落ですよね。だけど、BAKEのバッグもそれに負けたくないという想いがある。ですから、デザインのトレンドはずっと追うようにしています。

革新には常にリスクがつきまとうが、そうしたデザイナーの挑戦を支えているのが、BAKE社のポリシーだ。

貞清:「新しいものを作りたい」という意識は常にあるんですけど、とはいえ確かに「変なものは作れないな」という想いも、一方であるんですよね。でも、社長の長沼がデザインを選ぶ基準は「今まで見たことがないもの」なんです。その背景には、「BAKEはスタートアップである」という強い意識があるのだと思っています。だから、僕らも「他と違うもの」を作ってそれに応えようとするんです。

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