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会社だからできること、少数精鋭だからできること

asura株式会社

クリエイティブプロダクション「asura」は、今年で設立9年目。創造性と技術に裏打ちされた豊かな映像表現を軸に、多彩なクライアントに対して「a different output」をキーワードとした制作を手がける。現在スタッフ5名からなる少数精鋭の同社では、若手の経験する仕事密度も濃い。今回、クリエイターと経営者の両側面で同社を牽引する佐藤至宏代表に加え、転職して合流した下里達也さん、新卒入社した藪内将史さんにもお話を伺うことができた。そこから見えてきた、チームとしての、また個々のクリエイターとしての挑戦の様子を紹介する。

取材・文:内田伸一 撮影:菱沼勇夫(2013/04/02)

会社化で大きく変わった、仕事の幅

クリエイティブの広がりと、総合力への意欲

サンスクリット語の「命(asu)」と「与える(ra)」に由来する社名。asura株式会社は、「映像やデザインに命を吹き込み、見る人に響くものづくり」を標榜する。代表取締役の佐藤至宏さんは、フリーランスの映像・デザイン制作者としてそのキャリアをスタートさせた。

佐藤:フリーで2年ほど活動したころに、会社化しました。といっても最初は社員も僕ひとり。新規に話を頂いたある仕事を受ける際に、契約の都合上、会社にする必要があったんです。それで社名を考えた際に、「戦いの神」とも呼ばれる阿修羅にあやかり、これから頑張って戦っていくぞという想いもありました(笑)。

その後、この案件が大きく発展していき……? というこちらの勝手な先読みには「いえ、実はそんなことも特になかったのですが」と涼しげに笑う佐藤さん。

asura株式会社 代表取締役 佐藤 至宏さん

asura株式会社 代表取締役 佐藤 至宏さん

佐藤:まず、お付き合いのあった代理店さんからの依頼が増えました。フリー時代も大手メーカーのお仕事をやらせて頂いた経験はありましたが、代理店によってはフリーのクリエイターとは直接取引しないところもあります。受注したプロダクションからフリーの人に降りてくる孫請けのようなケースは多いけれど、その形だと制作において関われる部分は限られがちです。でも会社化後には、企画段階から参加できる機会が増えてきました。これは大きかったですね。

その後、創業9年目の現在までに、トヨタ自動車、LEXUS、SONY、NTT DOCOMO、森永乳業、製薬会社にパチンコメーカーなど、幅広いジャンルの大手クライアントと、映像やグラフィック制作を手掛けてきた。そのスタイルも、スタイリッシュなものからユーモラスなものまで多種多様だ。早くからハイビジョンを主軸とし、多重合成やマルチプロジェクションにも取り組んできた。

そのどれもに、時代に敏感に反応し、変化を恐れない表現力が光る。その上でクライアントの信頼を勝ちとってきたのは、「作るだけ」ではなく、それらが企画からアウトプットまでのすべてを自社で完遂できる総合力ゆえだ。

根本的な課題解決のために

佐藤:最近ではMacBookにAdobeを入れるだけでも、かなりのことができます。その点では、フリーランスと制作会社との間にある差も縮まっていますね。ただ、どんなに質の高い映像を作っても、肝心の「見せたい人々」に届く場面でベストなクオリティでなければ効果がない。そして今、その場面は多様化・高度化しています。そこに対応できる力も持ちたいと考え、様々な試行錯誤も行ってきました。

たとえば、映像コンテンツの納品はDVDが主流だった時期に、Blu-lay(ブルーレイ)の高品質映像による納品や上映を取り入れた。LEXUSが毎年参加するミラノ・サローネでのインスタレーション記録映像を手がけたのをきっかけに、「より美しい映像を届けたい」と導入を摸索。もちろん、単に記録メディアを変えればベストな結果が得られるわけではない。当時いち早くBlu-layに対応したPlayStation®3など身近なアイテムの活用から始め、やがては専門メーカーにも出向いて技術的課題を解決しながら、ノウハウを獲得した。

EDIT ROOM

EDIT ROOM

その原動力は「せっかく良いものを作ったのなら、最後まで責任を持ちたい」との想い。かつてフリーランスだった佐藤さんならではの課題意識かもしれないが、会社設立後に参加した現場でも、組識をまたぐ制作プロセスの中で、コンテンツのポテンシャルが発揮しきれないケースを少なからず見てきたという。

佐藤:むしろ高度な映像・デザイン制作が手軽にできるようになるほど、クオリティーの担保に対する問題点が浮き彫りになってきたとも感じます。これはウェブ制作における映像表現も同様で、今後はそこに活かせる力も強化していきたいです。

こうして獲得した総合力・応用力は、表現のクオリティのみならず、クライアントとの信頼関係にもつながっていく。並行して、昨年は高度な映像編集・合成システム「Inferno」も導入するなど、社内の制作力も強化。変化の激しい映像業界ではあるが、スタッフの多さや高価な機材から、制作環境や仕事の仕方を変えることはなかなかに難しい業界。特に大手プロダクションでは、なかなかに難しい。asuraの強みは、企業としての実績と信頼は言わずもがな、少数精鋭だからこそ柔軟に時代の変化に対応できるということなのかもしれない。自身が作り手である佐藤さんのこだわりや時代の動きを捉えるアンテナが、制作・経営両面に反映されることで、asuraという企業の上昇気流が形作られてきたとも言えそうだ。

チームで働くことが「強み」になるとき

成長のチャンスと視野の多層化

チームづくりという点においても、総合力・応用力を大切にする考え方は共通する。現在スタッフ5名の少数精鋭による運営ながら、手がける仕事は前述の大手企業をはじめとして、対象も舞台も多種多様だ。CGデザイナーの下里達也さんと、アニメーター / プロダクションマネージャーの藪内将史さんにも話を聞いた。

CGデザイナー 下里 達也さん

CGデザイナー 下里 達也さん

下里:以前はケーブルTV会社で、番組のオープニングやCM制作を担当していました。asuraに転職したのは、狭義の映像にとどまらず、インスタレーション的な表現もやってみたいという想いからです。今は入社約1年半で、CM、ウェブ、イベントと、色々な場での仕事を担当させてもらっています。前職では組識の大きさゆえに分業的でしたが、ここでは自分でやれる範囲が広いですね。映像制作の場としては自分の理想に近い環境です。

軽やかにそう話す下里さんは、Sonyのデジカメ商品のための店頭用映像ではパントマイム劇団に協力を依頼したり、「ぱちんこ必殺仕事人」のプレス向けプロモーションイベントでは、壇上の演者とプロジェクション映像による敵役とが殺陣(たて)を展開する試みにも挑戦した。異ジャンルの表現者たちとも協働しながら作っていく「映像」は、下里さんにとってのCGデザイン世界も広げたようだ。

一方、薮内さんは去年4月に新卒採用で入社した最若手。下里さんのもとで素材作りや動画制作を担当後、今ではCMやPV案件を自身が任せられている。

アニメーター / プロダクションマネージャー 藪内 将史さん

アニメーター / プロダクションマネージャー 藪内 将史さん

薮内:映像制作はパソコンの前だけでやる仕事ではない、という点で密度の濃い体験をさせてもらっています。制作全体を担当するようになってからは、より広い世界を見られますし、映像と制作、両方の知識が互いに役立つんだな、とも実感します。

薮内さんはもともと、学校でイラストやアニメーション制作を学んで来た。入社後はその得意なスキルでクリエイターとして関わりながら、それまで経験してこなかった制作管理業務のフィールドにも挑戦。ミュージッククリップやCDの特典映像制作に携わったり、プロダクト紹介のための映像づくりで街なかでのロケ撮影手配を手がけたりと、入社初年にして早くも幅広い経験を積み続けている。加えて、彼独特のユーモラスな感覚を活かした映像を担当するなど、asuraに新風を吹き込んでいるとも言えよう。

佐藤:asuraとして引き受けた仕事は、僕だけじゃなく、みんなでアイデアを出し合って、よりアウトプットが良くなるよう精査をします。そういう意味では、経験だけが全てじゃなくて、若い子でも、どんどん案件にコミットできるような体制にはしていますね。そうすることで会社全体の表現にも広がりが出てくると思いますから。

仲間となら実現できる「三面六臂」

究極的には、まさに阿修羅のような三面六臂(三つの顔に六つの腕)の応用力が理想型? ただ、もちろんひとりでできることには限界もある。そして、チームであるということには、人が増えたぶん動かせる腕の数が増える、という単なる足し算効果を超えた強みがあるのだろう。

佐藤:いままでも、グラフィックが得意な人が映像もこなすようになったり、同じ分野でも知識やアイデアを交換しながら成長できた相乗効果がありました。得意分野を大切にしながら、互いの世界を広げていける。これは単純なことながら、意外に大きなメリットだったと思っています。

下里:佐藤自身が作り手ということもあり、アウトプットに対するチェック機能の精度も高いと感じます。そういう「目」が入る頻度が多いぶん、よりよいものになる確率は上がるのかな、と。

OFFICE

OFFICE

佐藤さんも「インターンが何人か来ることもあって、彼らの反応も参考になります。僕らより、実際に見てほしい人に近い存在だったりしますからね」と語った。こんな風通しの良さも、彼らが生み出す息の通った表現を支えている。

多様な視点の交換という点では、彼らは毎月1回「クリエイティブ研修」も行っている。各々が気になる催しを体験しに出かけていくというものだ。入場料などは研修費扱いと嬉しい配慮だが、そのぶんしっかり報告の時間もとられる。

佐藤:スタッフそれぞれが興味のある美術展や映画、演劇やセミナーなどを見に行き、そこからの印象や発想を互いに発表し合います。こうしたことで自然と、日頃の自分のアンテナも広がるといい。発表もするので、ただ行くのとは違った目線で見ることにもなりますし、プレゼン技術の鍛錬も兼ねてもいます。

「a different output」を合言葉に

こうしたasuraの「これから」について、佐藤さんはどんなビジョンを描いているのだろうか。起業以来、ひとつひとつの仕事で着実に評価を積み重ね、主にそこからの紹介で仕事の幅を広げてきたという彼ら。今後はより積極的に、その活動の舞台も広げていきたいという。

佐藤:もしお客さんのために必要ならば、たとえ映像の依頼でも「それはウェブが最適では」というところまでさかのぼって提案できる、そういう会社でありたいんです。「a different output」というのがasuraのコンセプトで、表現の手段や目的が多様化する中で、それぞれに最良のアウトプットを提案できる存在を目指しています。

DEMO REEL

今後は海外も含めて、活動の場をさらに広げていくことを考えているという。そこにはまた、日本とも違う習慣やスタイルがあるだろうが、「見る人に届く」ものづくりという軸は揺るがない。彼らが特定のジャンルやテイストにこだわらないのも、そうした姿勢ゆえだろう。

最後に、今後新たに加わる仲間には何を期待したいか、をそれぞれに伺った。

佐藤:自分たちがより面白いと思える仕事をしていくためには、今後スタッフの増員が必要だとも思っています。ただその際、たとえば「CGしかやりません / できません」みたいな人より、仕事で関わる世界を少しずつでも広げていける人、その中で自分の「得意」を伸ばしていける人と一緒にやっていきたいですね。

下里:やはり、指示待ちで動くより、自分で考えて動ける人が加わってくれると良いと思います。そういう人の方が、成長の伸びしろが絶対あると思いますので。

薮内:成長できるという点では、僕のように若いスタッフはいま、一番その恩恵を受けています。同年代では、なかなかやらせてもらえない仕事も、ありがたいことに体験できているので。まだまだ知識も経験も身に付けたいですが、そのためにも、若手が等身大で頑張ることで教えてもらえることもあるかと思っています。

まとめ

「僕らの会社では広く色々なことに関わるし、それが成長にもつながると思っています。そういう経験を求める人が加わってくれたら嬉しい」とも語った佐藤さん。なお、取材で詳しく話を聞くうちに、彼の口からポロリとこぼれた意外な事実もあった。20代前半は、何とカーレースの世界で活動していたという。26歳で映像・デザインに新境地を求めたのが現在の活躍のスタート地点となる。考えてみればモータースポーツでも、個の力を研ぎ澄ますことと、チームの総合力が可能にすることの融合でゴールを目指す面があるのはどこか興味深い――。 asura株式会社たった1つの技術や1つのイノベーションによって、クリエイティブ業界は常に変化を要請される。この世界で軽やかに、しかし力強く遊泳していくasuraの原動力は、フリーランスにはない総合力と、少数精鋭ならではの柔軟性のハイブリッドだと言えそうだ。そんな彼らの「これまで」と「これから」は、何かと変化の激しいクリエイティブ業界での働き方における、大きなヒントにもなるだろう。