Interview 私としごと

何もできない“カス”から、一流デザイナーへの道

チームラボ株式会社
久冨 伸彦(クリエイティブDiv. デザイナー)

サイエンス・テクノロジー・デザイン・アートなどを融合し、革新的なサービスを世に送り続けているチームラボ。“ウルトラテクノロジスト集団”を名乗り、国内外から注目を集める彼らだが、そんな最先端の“チーム”に新卒で入社し、大規模WEBサービスのデザインを担当しているのが久冨伸彦さんだ。建築のデザインを学ぼうと大学に入学するも、授業には出席せず、コンビニのアルバイトとフットサルに明け暮れていた日々……。進路に悩みながらも、畑違いであるWEBの世界に飛び込んでから、5年が経過した。「入社した当初はカスみたいなものでした」と語る久冨さんが、チームラボのデザイナーとして活躍するまでの道のりとは?

プロフィール

久冨 伸彦

1984年生まれ。山口県山口市出身。名古屋市立大学 芸術工学部生活環境デザイン学科を卒業後、2007年4月に新卒でチームラボへ入社。主に大規模WEBサービスのデザインを担当している。

WEBも建築も大きな違いはない

—入社してからは、どのような仕事を?

久冨:まず手掛けたのは、携帯の物々交換サイトです。内定前に出された課題を通して少しはWEBのことを学んでいたのですが、やっぱりまだ分からないことが多かったため、先輩に聞きながらとにかく必死に取り組んだことを覚えています。一度は不採用をもらっていますし、WEBのデザインはホントに素人だったので、「自分はカスだ」と言い聞かせて、はじめのうちは周りの人の言うことを全て受け入れて実行するというスタンスで臨んでいました。

—そんな実践を重ねて、徐々に成長していったと。

久冨 伸彦

久冨:「もっと、自分の意見を言った方がいいよ」とお叱りを受けることもありましたが、全てを受け入れる姿勢だけは頑なに守っていましたね。でも、そのうち他の人がどのようなものを良いと言うのか、悪いと言うのかについての基準が分かってきまして。その基準を踏まえたうえで、作品を自分が持つ美的感覚のフィルターにかけられるようになり、はじめて意見をガンガン言えるようになりました。

—他人の良し悪しの基準が蓄積されたことで、自分の世界観を作ることができたんですね。

久冨:今でも人の言うことは否定せずに、一度は受け入れるように心掛けています。他人が思ったことは、ユーザーも同じことを思うということですから。WEBサービスを作る場合、見た目のデザインも大切ですが、ユーザーが使いやすいように操作性を高めることも重要です。例えば、デジタルカメラで撮影した画像を、写真集のようなブックにして届けるサービス「PHOTOPRESSO」を作ったときには、エンジニアと相談しながら使いやすいインターフェイスのデザインを実現しました。ユーザーがWEB上で編集作業をするわけですから、操作性にストレスを感じたら、途中で止めてしまいますよね。つまりデザイナーのエゴだけでは、良いサービスを作ることができないんです。

—では学生のときに学んでいた建築とWEBの共通点はありますか?

久冨:それは少なからずあると思います。当時、名古屋市立大学で教授をしていたデザイナーの川崎和男先生が、「デザインは思いやりだ」というようなことを仰っていたんですね。最終的に使う人のことを考えて、導線や情報を設計していく手法は建築でもWEBでも、なんでも同じだと思っています。

—冒頭の話に似ていますね。お母さんの身長に合わせて一軒家を建てたという。

久冨:やっぱり、まだ洗脳されているのかな(笑)。

みんなが幸せになったら、それでいい

—現在は入社6年目ということですが、チームラボで働く魅力とはなんでしょう?

久冨:チームラボではプロジェクトごとにチームを組むことが多いため、プロジェクトのたびにその時のメンバーにあったやり方が求められるんです。そうすると当然、自分の役割も変わってきます。大変だけど、そこが面白いところですね。うちの会社には同じやり方に固執することを嫌う社員が多いので、その都度、最高のサービスを作るために工夫をしていく。

—良いモチベーションに繋がりそうですね。

久冨:一方、クライアントも「面白いことをやってほしい」と求めてくるケースが多く、期待されている分、もちろんプレッシャーもあります。「クライアントが思う面白さ」=「良いもの」ではない場合もあり、それをどう説得するかが難しいところです。もちろん、逆も然りですが。でも、最終的に面白いものを作らなければ、うちに頼んでもらっている意味がないので、そこは妥協せずに突き詰めて行きたいところではあります。

—では最後に、今後の目標をお聞かせください。

久冨 伸彦

久冨:あんまり具体的な目標はないんですよ。スタートラインがカスだったので、ものごとをフラットに見るようになったせいか、固定観念にとらわれずに今までの経験を生かして活躍する場があるならば、どこにでも飛び込んでいきたいと思っています。WEBの世界の移り変わりも激しいですし、チームラボ自体にもプロダクトや展示など新しい案件が増えてきています。

—形にはとらわれないと。そんな久冨さんのものづくりにおけるポリシーとは?

久冨:そうですね……。特にWEBのデザインを極めたいとかは全くないんですよ。だから職種にこだわりはないんです。でも、みんなが幸せになったらいいな。些細なことでもいいですけど、クライアントもユーザーも僕も幸せになる。僕のつくったサービスを多くの人に使ってもらったら、幸せな人がより増えるみたいな。なので常にアンテナを張って、新しいことを否定せずに、人々を幸せにできるような仕事ができれば最高だと思っています。

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久冨 伸彦
女性ファッション誌
大学のころから、女性ファッション誌を読むのにハマッっています。「女性って、こういう企画が好きなんだな」と仕事の参考にすることもありますが、本音を言うと、純粋に女性のファッションを見るのが好きなんです。ファッションの幅が男性より広いですし、可愛い女子がお洒落な服を着ているのを見ると、テンションが上がります。特に、街角スナップがお気に入りで、「そのアウターとスカートを組み合わせるんだ!」などと、感心しながら眺めています。もちろん、デザイン関係の雑誌も読んでいますが、僕のオフィス机には女性ファッション誌がいっぱい置いてあって、仕事の合間に読んでは疲れを癒しています(笑)。

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