Interview 私としごと

人生って、一度決めたらスピードが早い

株式会社LIG
竹内 紳也(メディアクリエイター)

斬新かつユーモラスな自社ブログが、制作会社の域を超えて大きな話題になっているLIG。そのLIGブログの運営を担当しているのが「紳さん」こと竹内紳也さんだ。29歳まで様々なアルバイトを転々としながらフリーター生活を続けていた竹内さんは、中学時代の同級生だった同・副社長の誘いを受け、正社員に採用される。その時竹内さんはウェブはおろか、スマホの存在すらも知らない状態だったという。まったくのウェブ未経験から大人気ブログを作り上げた竹内さんの、ユーモアセンスの源に迫った。

プロフィール

竹内 紳也

長野県出身。趣味は人を笑わせることと、カードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング」。土木作業員、飲食、本屋、車の部品作りなど様々なアルバイトを渡り歩き、29歳の時中学校の同級生が副社長を務めるLIGにブログ担当として入社。ウェブ未経験ながら独自のユーモアセンスを発揮してLIGブログを大人気ブログに成長させる。2013年4月1日にブログで「嫁を募集」し、応募者と4月12日に入籍。

LIG初代広報担当、ジェイをつくりだす

—そんな竹内さんが29歳の時にLIGの正社員になるんですよね。これはどういうきっかけがあったんですか?

竹内:副社長が僕の中学校の同級生なんですよ。その頃、「普通とは違う、面白い自社ブログを始めたい」という話が会社で出ていたらしく。そこでウェブの知識がある人に面白いことをさせるのではなく、ユーモアのセンスがある人間にウェブの知識を与えた方が絶対に面白いものができる、って考えたそうです。それで「面白いから」っていう理由だけで僕に声が掛かり、正社員となりました。

—自動車の部品工場からウェブ業界へ、かなり大胆な転職です。それまでに、ウェブの知識や経験はどれくらいあったんでしょうか?

竹内:それが普通の人よりはるかに疎くて、入社時はTwitterやFacebookはおろか、スマホっていうものの存在すら知らなかったんです。だから、社員の中には「あいつ、何しに来たの?」って思っていた人もいたでしょうね(笑)。でも不思議と不安は全くありませんでした。やっぱりゲームみたいに、物事をリアルに考えられないから、「なんとかなるんじゃないかな」くらいに思っていましたし。それで最初の1ヶ月は、皆が制作の仕事をしてる中、僕だけ朝から晩までひたすらウェブサービスを見ていたんです。それこそTwitterやFacebookから個人ブログまで、延々と。

—なるほど。竹内さんのある種楽観的な考え方は元々の順応性の高さからきているのかもしれませんね。LIGでの肩書きは「メディアクリエイター」ですが、主にどんなお仕事を?

竹内 紳也

竹内:ブログの執筆と、TwitterやFacebook、メールマガジンの運用が僕の仕事です。あとはたまに「伝説のウェブデザイナーを探して……」みたいな変わった企画も考えてます。要は社内の楽しさを打ち出して、広く世の中にLIGという会社のことを知ってもらうための活動といった感じです。今までで一番印象に残っているのは、初代広報担当の「ジェイ」のキャラクターを作ったこと。ジェイは元々、ああいうキャラではあったんだけど、ブログでは普通の文を書こうとして、本来の面白さが伝わっていなかったんで「俺はジェイだ。Thank you for the people!」みたいな感じでブログを書いてもらうことにしました。それを読者の人が受け入れてくれた時に、「会社の広報に話しかけてくれる一般の人がいるんだ」って、感動したのをすごく覚えてますね。あの瞬間は忘れられないなぁ。それからLIGでは広報を1人の人間として押し出すようになりましたね。

—フリーターから初めて正社員になって、戸惑ったり苦労したことはありませんでしたか?

竹内:基本的に、僕はアルバイトも十分立派な仕事だと思ってるんです。フリーター時代に色んなバイトをしましたけど、大抵どこにいっても「お客さんからしたらアルバイトも立派なプロだよ」って言われて。例えば、マクドナルドや吉野家の店員さんが社員かバイトかなんてお客さんには関係ない。だから僕がLIGにいる間は正社員だとかっていう肩書きは関係なく、LIGのメディア制作のプロとしてやっていかないといけないと思ってます。アルバイト経験で養われたプロ意識といいますか(笑)。

—そう考えると、フリーターも捨てたもんじゃないですね。LIGの仕事はそういった仕事を渡り歩いて見つけた天職という感じですか?

竹内:いや、天職っていう感覚はないですね。その感覚、僕は一生持つことはないような気がします。僕、土木も接客も飲食の仕事も大好きだったんですけど、それでも飽きちゃう(笑)。自分でも渡り鳥みたいな人生だなぁと思います。あと、これまでやってきた仕事って人に紹介されて始めることがほとんど。自ら「ここで働きたい!」って仕事を探したことがないんです。LIGに誘ってくれた副社長もそうだし、オンラインゲームで知り合った人がバイトを紹介してくれたこともある。そう考えるとコミュニケーションが人生の土台になっているんだと思います。

自分なりの「面白い」を、追求していきたい

—コミュニケーションが人生の土台。これまでのエピソードを聞いていると、納得です。そういえば竹内さんは結婚の仕方も斬新でしたね。LIGブログでお嫁さんを募集して、出会ったその日にほんとに結婚してしまうという……。

竹内:実は、ブログを使ってお嫁さん募集をしたのにはちゃんと理由があって。「ジェイ」の時もそうですけど、TwitterやFacebookを知って、こんな風にいろんなところから反応があるのがすごく面白いと感じるようになったんです。それで、こういう形のコミュニケーションを使わない手はないな! と思い。ブログでの結婚募集に応募してくる人って、普通ではないじゃないですか(笑)。そもそも、僕自身がこういう人間なので、自分と合う人を見つけるのは難しいと思っていたんですけど、そういう人とだったら絶対にうまくいくだろうって。これって、合コンに行って、女の子に声を掛けるより断然効率的だと思うんですよ。実際、結婚してみたらお互いの趣味も同じだとわかってきたし、すごく気も合うんです。普通とは順番が逆ですけど(笑)。これも「なんとかなるだろう」って考え方がなければ絶対にできないですよね。

—やっぱり、リアルに物事を考えられないからこその発想は大きいのかもしれません。LIGブログで発揮されているようなユーモアのセンスも、そういったコミュニケーションを通じて培われたのかもしれませんね。

竹内 紳也

竹内:そうですね。僕、仕事も好きですけどサボるのも大好きだし、あんまり一生懸命に努力とかできないんですね。ただ人と話すことが好きというのはずっと変わらずにあるもの。人を笑わせたいとかユーモアの心って、どんな人でも持ってるものだと思うんです。でも、きっと僕の中では、そのユーモアに対する貪欲さみたいなものが、人一倍大きいのかもしれない。一時期本気で芸人を目指していたこともありますしね(笑)。

—そうなんですね(笑)。では、竹内さんの今後の目標などはありますか?

竹内:やっぱりブログを通じて、もっと多くの人が笑える、一見意味のないようなくだらないことをやっていきたいです。ウェブで仕事をするようになってから、改めてテレビってすごいなって思うんですよ。最近の例だと、「半沢直樹」や「あまちゃん」、あるいは「AKB48」みたいな巨大なムーブメントって、まだウェブでは作れていないんですよね。影響力の大きさが、まだまだテレビには勝てていない。だからウェブでテレビに勝てるようなコンテンツ作りをするのが一つの大きな目標です。

—なるほど。今やっていることを続けてさらに大きなものにしていきたい、と。

竹内:今はウェブの会社で働いているのでそう思いますけど、もっと長期的に見たら、ウェブにこだわる必要もないと思ってます。面白いことができるならラジオでもテレビでもなんでもいい。なんならLIGにこだわる必要もないですし。僕が思うに、やっぱり、人生って決めたらスピード早いんですよ。自分がLIGに入社する前って、貯金の残高二桁でしたからね。そのときから考えると、こんな仕事をして、結婚して、今恵比寿に住んでいるなんて、ほんと夢のような話で、当時の僕が見たら驚くと思いますよ(笑)。

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竹内 紳也
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ここ最近、ネットやテレビなどでも流行っているパーティゲーム「人狼」をわかりやすくカードにしたものです。会話を通じて嘘をついている「人狼」役を当てるゲームなんですが、心理戦や駆け引きのドキドキ感が魅力です。嘘をついてる時って人間の癖や本性が出て、その人の意外な一面が見れるのも楽しいですね。ゲームって、その中に新しい世界や価値観が生まれるのがほんとにいい。ゲームをしている間に味わえる優越感も、負けたらそうもいかない、というスリルも含めて。フリーター生活が長かったせいか、「働いて金稼ぐだけが価値じゃないぞ」みたいなところも大きいかもしれません(笑)。

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