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JFPが『日本映画業界におけるユニバーサル上映実態調査』を公開。日本のバリアフリー上映はまだ発展途上

一般社団法人Japan Film Project(以下、JFP)が4月9日、『日本映画業界におけるユニバーサル上映実態調査2025春』をサイトにて一般公開した。

JFPは、日本映画業界の「ダイバーシティ&インクルージョン・労働環境・若手人材不足」を検証し、「調査・提言・課題解決に向けた事業」を行う非営利型の一般社団法人。今回の調査では日本におけるユニバーサル上映の実態とその傾向を量的および質的な調査で示している。

調査について

量的調査では、劇場公開された映画(邦画および洋画)における、「バリアフリー上映対応作品数とその傾向」を2023年と2020年の2年分ではあるが数値化。質的調査では、ユニバーサル上映専門館である「シネマ・チュプキ・タバタ(以下チュプキ)」による、音声ガイド制作のプロセスを追っている。対象作品はドキュメンタリー映画『ラジオ下神白』。

それらの調査結果を踏まえ、ブラインドコミュニケーター(石井健介氏)、映像作家(小森はるか氏)、ディスアビリティ研究(飯野由里子氏)、アクセシビリティ研究(田中みゆき氏)、音声ガイド制作者(柴田笙氏)、上映者(平塚千穂子氏)が各々の立場から寄稿している。

調査結果について

邦画におけるバリアフリー上映対応作品の比率は、2020年では約15%、2023年では約21%となり、3年間で6%ほど上昇している。洋画では、2023年のバリアフリー上映対応作品は8本のみで、2020年では2本だった。

ジャンルごとの傾向としては、アニメ・劇映画・ドキュメンタリーごとにそれぞれ数値を算出。2023年のバリアフリー上映対応のアニメ作品は37.64%だったが、劇映画とドキュメンタリーは17~19%に留まった。2020年においては、劇映画が約14%、ドキュメンタリーが19.4%でほぼ変化が見られなかったのに対し、アニメ映画は14.51%だった。アニメ映画のバリアフリー上映対応作品の比率は、2020年から2023年にかけて14.51%から37.64%となり、3年間で約23%上昇した。

2023年において、大手5社ではバリアフリー上映対応作品率が58~59%程度であるのに対して、5社以外では約14%に留まった。2020年では大手5社44.56%で、5社以外は7~8%程度となり、同様の傾向が見られる。資本力の大きな作品ほど、バリアフリー上映対応作品率が高いという結果になった。要因の一つとして、経済性が考えられる。しかし、芸術文化振興基金による情報保障の助成は「大手5社」と「5社以外」で助成率はほぼ変わらず、約3%だった。言い換えれば、資本力の小さな作品のバリアフリー上映対応作品率が低い傾向を考えると、そういった作品は公的助成がなければバリアフリー対応が難しいことが想定されるが、助成対象は大手資本とインディペンデントとほぼ同率である。

『ユニバーサル上映実態調査2025年春』はJFPのサイトで見ることができる。

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