
フランス映画界の報酬ルールやハラスメント対策、日本とどう違う?フリーランス法や映適で変わる業界
- 2026.03.25
- REPORT
2024年11月からフリーランス・事業者間取引適正化等法(以下、フリーランス法)が施行され、発注者側はフリーランスに仕事を発注後、直ちに業務内容・報酬額・支払期日などを書面または電磁的方法で明示することが義務づけられています。
また映画業界においては、より良い労働環境を目指す日本映画制作適正化機構(以下、映適)が設立され、徐々に契約に対する意識や働き方に変化が生まれつつあります。ただし、契約書があったとしても、健全な労働環境と正当な報酬を守るためには、きちんと契約内容を理解し、自身で内容を精査することが必須。
一般社団法人Japanese Film Project(以下、JFP)では文化庁主催事業として「映画関係者のための契約レッスン」と題し、文化庁が公表した「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン」に基づいた、契約や労働に関するさまざまなコンテンツを作成しています。
昨年は監督や映画スタッフの目線からフランスの契約事情を聞き取りましたが、今年2月4日にはフランスで活動する俳優やプロデューサーも交え、より具体的な就労環境について学ぶオンライン講座『映画俳優・監督の契約事情〜フランス映画界の事例紹介〜』と、19日にさまざまなアンケート調査をもとに『映画関係者のための契約レッスン〜アンケート調査解説編』を開催。本稿では上記2つのオンライン講座の内容をレポートしながら、映画業界における契約の在り方と今後を考えます。
- 取材・テキスト:ISO
詳細なルールはあるが柔軟なフランス映画業界
『映画俳優・監督の契約事情〜フランス映画界の事例紹介〜』には在仏俳優の成田結美、同じく在仏監督・脚本家である畑明広、東京とパリを拠点に監督・プロデューサーとして活動するロナン・ジル、在仏映画ジャーナリストの林瑞絵が登壇。それぞれの立場から、フランスの映画業界や日本との違いについて話しました。
林瑞絵(以下、林):フランスには労働の法律である「労働法典※」があり、それを補完する「労働協約」が業界や職種ごとに存在します。映画業界の労働協約では、さまざまな基準やルール、各職種の定義などが明記されており、監督や俳優を含むすべての働き手に適用されます。
重要な点は、映画の予算規模やジャンル、職種、役職などによって、異なるルール(報酬基準や就業時間など)が設けられていることです。2024年に性差別・性暴力への予防強化が追記されるなど、協約の内容は交渉で随時更新されており、業界内でかなりの共通認識を形成しています。
また、フランスの現場は階層構造(管理職・非管理職)が明確ながら、同時に協調的に働くという意識が根づいています。スタッフも監督の指示待ちではなく、映画をともに完成させるパートナーとして意見やアイデアを監督に伝えていく民主的な現場であるというのが特徴。
たとえば第一助監督をされているフランク・エロンさんはフランスの就労環境について「ルールはしっかりあるが、一定の柔軟性が共存している点が強み」と述べています。
※労働法典については昨年のJFPレポートを参照
【フランク・エロン氏の標準的な撮影スケジュール】
1日の構成:合計10時間(準備1~1.5時間、食事1時間、撮影8時間)の設定が多い。
柔軟な調整:週単位の合計時間も管理することで働き過ぎを防ぐ。
職種別の配慮:準備・片付けに時間を要するスタッフは個別のスケジュールを適用。
またフランスの映画業界で働く俳優は他の国と比較しても特異な法的位置にあり、以下のような就労環境で働いています。
・俳優はエキストラも含め労働法に基づく賃金労働者であり、働く場所に関わらず、社会的権利の恩恵を受けられる。
・キャリアマネージメントを担うパートナーであるエージェントが受け取る手数料は、報酬の10%が上限。
・総労働時間は原則1日12時間/週35時間まで。
・最低報酬が役割ごとに細かく明示されている。
・リハーサル報酬、配役変更時の同意、危険な撮影における保険加入の義務など諸権利も保障。
・プロ意識を維持させるよう、台詞の熟知、撮影時間の厳守、容姿の維持、危険な活動の禁止なども規定されている。
※これらフランスの就労環境についての調査結果については、JPFのnoteに各項詳しく記載されている

林瑞絵(在仏映画ジャーナリスト)
札幌生まれ。映画会社で宣伝担当を経て渡仏。パリを拠点に欧州の文化・社会について取材、執筆。海外映画祭取材、映画人インタビュー、映画パンフなど執筆多数。現在は朝日新聞、日経新聞の映画評メンバー。在仏日本人向け新聞OVNIでは25年以上継続してフランスの映画情報を発信。著書に仏映画製作事情を追った『フランス映画どこへ行く』(キネマ旬報映画本大賞7位)、日仏子育て比較エッセイ『パリの子育て・親育て」(共に花伝社)。
日本とフランスの撮影現場の違いとは
—フランスで俳優として活動されている成田さんは、契約についてはどのように対応されているのでしょうか。
成田結美(以下、成田):エージェント事務所に法律専門の人もいるので、契約についてはエージェントが対応してくれています。
またエージェントはオーディション前から詳しい情報を教えてくれたり、報酬の交渉を行ったり、何か起きたときにプロダクションとの間に入って守ってくれるという役割もあり、俳優はアート面だけに集中することができます。なので俳優がエージェントに入らず活動するのはリスクが大きく、難しいのではないかと思います。

成田結美 (俳優)
フランスを拠点に俳優として多数の映画や舞台に出演している。日仏記者協会(APFJ)が発表する『フランスで日本を代表する30人』(2024年)に選出される。主な出演作に、どんぐり氏演じるプロデューサーの通訳役を演じた仏リメイク版『キャメラを止めるな!』(2022年 / ミシェル・アザナヴィシウス監督)、ピエール瀧と共演し主役を演じた『マリの話』(2023年 / 高野徹監督)、ロマン・デュリスの妻役で出演し国際離婚の親権問題を描いた『また君に会えるまで』(2024年 / ギヨーム・セネズ監督)などがある。また、フランスの舞台や堪能な英語力を活かし、海外のTVドラマに出演するなど、活動の場を国際的に広げている。
—フランスで監督、脚本家として活動される畑さんはいかがですか?
畑明広(以下、畑):監督もエージェントを通して制作会社と交渉しますが、共同経営しているプロダクション会社で製作する場合はプロデューサーと直接交渉します。俳優と異なり、監督や脚本家に関してはエージェントがいなくとも仕事はできると思います。
—日本と比べ、フランスの撮影現場にはどのような特色がありますか?
畑:フランスの撮影現場は日本と同様に縦社会でありながら、それぞれの部署のチーフが監督と話し合いながら自主的に決断を下していくということが最大の違いだと思います。
日本は責任の所在が曖昧なのでそうはいかない。なので日本と比べてもコミュニケーションが円滑で、時間が効率的に使えている感覚があります。またフランスは労働時間の制限があるので、簡単に一日増やしたりすることができず、制限の枠内でスケジュールをどうするか決めていく必要があります。

畑明広(映画監督、脚本家)
1984年、兵庫県生まれ。2003年に渡仏し、パリ第1大学(パンテオン・ソルボンヌ大学)で映画学の学士号を取得。2006年に国立映画学校La Fémisの映画監督科に入学し、2010年に卒業。長編デビュー作「Grand Ciel」が2025年ヴェネツィア国際映画祭オリゾンディ部門でワールドプレミアされる。
—日本とフランスで監督、プロデューサーをされているロナンさんにうかがいたいのですが、労働協約と公的な助成金にはどのような関係があるのでしょうか?
ロナン・ジル(以下、ロナン):労働協約はCNC(フランス国立映画センター)の助成制度とも連動しているので、製作中に法律や労働協約から逸脱すると、助成金が出ないだけでなく、その後の配給も難しくなります。
—日本とフランスの撮影現場にはどのような違いがあると思いますか?
ロナン:日本には特有の建前文化があり、俳優とスタッフが同時に現場にきて、することがない人も最後まで残っていることが多い。監督として仕事に集中したくとも、周りにすることのない人がたくさんいて難しかった経験もありました。
一方、フランスのクルーはそれぞれ自分の仕事をしたら現場を去って忙しい人の邪魔をしない。またフランスは制度が明確なぶん、予想外の問題が起きたときに簡単に変更ができないということも挙げられます。
—日本の撮影現場でも取り入れたほうが良いと思うフランスの仕組みがあれば教えてください。
ロナン:フランスの複雑なシステムは80年ほどかけて構築してきたものであり、日本がそのまま真似ることは難しいということは大前提ですが、就労時間の制限を各部署ごとに取り入れるのは良いと思います。また監督は各部署のチーフにもっと裁量を与えれば、より良いものができるのではないでしょうか。
フランスの現場はコミュニケーションが円滑で、規則はいろいろあるものの、それにがんじがらめになっている訳ではありません。

ロナン・ジル(監督・プロデューサー・コンサルタント)
東京とパリを拠点に、映画のプロデューサー、コンサルタントのほか、監督、脚本家、映画作曲家として幅広く活動する。ARP(作家・監督・製作者協会)理事。2016年まで、フランス3シネマ、ヨーロッパ・シネマ・アトリエ(ACE)で代表を務めた後、長編劇映画やドキュメンタリー映画の脚本・監督に転向。映画の仕事に関しては、10代の頃に、エリック・ロメール監督作品の音楽作曲家としてキャリアを開始している。2017年には長編映画『海の底からモナムール』(主演:桐山漣、清水くるみ)を劇場公開。フランス国内外の多くのプロジェクトでスクリプトドクターを務め、作家協会「Séquence Sept」の長編映画ワークショップのメンターも担当。日本の文化庁および経済産業省にて、日本の映画監督を対象にワークショップを開催。現在、ドキュメンタリー映画『長島さんとゴミ屋敷(仮)』の編集作業と、日本のVesuvius Picturesが制作する長編劇映画『アカナメ』の脚本執筆に取り組む。
—フランスの現場では撮影中のトラブルをどのように予防しているのでしょうか?
林:フランスの撮影現場には、スタッフや俳優の声を吸い上げる役が配置されていて、誰に連絡すればいいのかも周知されています。またハラスメント防止トレーニングが、雇う側はもちろん、2025年1月からは撮影クルー全体の義務として行われています。
成田:映画やドラマは主役級でなくとも、オンラインのハラスメント研修を受けて、証明書を手に入れないと撮影に入れないことが多いです。当然の内容も含まれているので俳優のなかには無駄だと感じている人もいますが、私はやる意義はあると感じています。
畑:フランスでは作品が法律に則っていると証明できなければ上映も配給もできません。それを証明するための条件のひとつがハラスメント教育であり、問題をなくすためには大袈裟であっても教育は大事だと思います。また、長編ではスタッフの声を聞く係を2人(管理職ではない男女)を選んで配置します。そしてハラスメントなどがあればそこから報告を受け、プロダクションに持っていきます。
ロナン:制作中のハラスメントがSNSやメディア発信で扱われると作品の死につながります。それは大勢の仕事の喪失を意味する。なのでそれを防ぎ、被害者を守り、調査や対策を行うためにも、ハラスメントが報告された際に監督やプロデューサーはどう対応すべきかレクチャーを受ける必要があると考えます。
映適とフリーランス法で日本映画界はどう変わったか
『映画関係者のための契約レッスン〜アンケート調査解説編』には映適の大浦俊将、労働経済学者の神林龍、弁護士の長澤哲也、JFP代表理事で映像作家の歌川達人が登壇。公正取引委員会の報告書、映適による発表、JFPによるアンケート調査(中間報告)をもとに、多角的に議論をしました。
大浦俊将:映適とは、映画制作に携わるすべての人が安心して働く環境をつくるために、日本映画界が自主的に設立した第三者機関で、間もなく設立3周年を迎えます。
映適は「映適取引ガイドライン」に基づき制作環境の体制が整備されているかを審査し、認証を与えるのが役割。ひとつの映画に対し、クランクイン前後とポスプロ終了後の3段階の審査を行っています。
これまでに221本が申請され、承認されたのが127本(残り多くは審査中)。映適が導入されたことで、申請作品の一日あたりの平均撮影時間は8時間49分(休憩・食事含む)、平均撮影休日取得数は週に2.04日と労働環境改善の効果を生んでいます。4年目に向け、撮影時間に週単位管理制を導入するなどガイドラインの改訂も行います。

大浦俊将(一般社団法人日本映画制作適正化機構 事務局長)
広島県尾道市出身。1995年に東宝へ入社し、1998年に東宝映画へ出向。『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)他のゴジラシリーズや『模倣犯』(2002年 / 森田芳光監督)『赤い月』(2004年 / 降旗康男監督)などの映画に制作部として従事し、『愛の流刑地』(2007年 / 鶴橋康夫監督)、『ゼロの焦点』(2009年 / 犬童一心監督)などではプロデューサーを務めた。2013年から東宝の映像事業部でゴジラのライセンスや「TOHO animation」関連の契約業務に10年間携わる。映適には事務局立上げから参加し、2023年7月より現職。
歌川達人:JFPでは昨年秋から「映画業界の適正な契約関係構築に向けたアンケート調査」を受注者と発注者を対象に実施しています。中間報告にはなりますが、以下の設問は、特に議論となる点です。
Q. 職種・役職で就業時間のルールを分けるべきかどうか?
<受注者>
・全スタッフ一律が良い:38% (39)
・職種・役職で分けるべき:48% (51)
<発注者>
・全スタッフ一律が良い:28% (10)
・職種・役職で分けるべき:55% (20)
※()は回答者数
分けた方が良い理由には、以下のような回答がありました。
・職種によって柔軟に対応すべきだと思う。ただ就業時間の上限や翌日までのインターバルなどの規則は必要。
・全ての職種を一律で考えることは危険。
・結局、休める部署と休めない部署の待遇の格差が広がっているような気がしてならない。完全休日になっていても休める状況にない人が必ずいるので、そのような人には手当を出すなど、損にならないための救済措置を考えるべき。
撮影現場にとって、より良い制度に今後発展していく必要があるのではないかと考えています。

歌川達人(司会・調査結果の分析発表などを担当)
映像作家・アーティスト。フリーランスとしてNHK番組やCM、映画の現場で働く。短編『時と場の彫刻』が『ロッテルダム国際映画祭2020』の『Japan Cuts 2020』で上映。2023年に長編『浦安魚市場のこと』が全国の劇場で公開。2021年よりトヨタ財団研究助成に採択され、映画業界の状況を調査。東京大学大学院学際情報学府在籍。JFP代表理事。
—公正取引委員会の報告書を受け、弁護士の立場からご意見をいただけますでしょうか?
長澤哲也(以下、長澤):公正取引委員会の報告書で気になるのは契約締結の時期。フリーランス法に則れば、発注した時点で直ちに契約内容の明示をしなければいけない。なので本来クランクイン後に締結するのは論外。決まっていない部分は後からでもOKなので、まずは少なくともフリーランス法で求められている事項に関しては、発注した時点で発注内容を明示する必要があります。
報酬問題に関しては、映画製作の最初から最後までの流れ(サプライチェーン)のなかで、順番かつ適切にコストが転嫁されていくべきである。そうしなければ、誰かがどこかでしわ寄せにあう。仮にフリーランスの報酬を引き上げられたとしても、それで制作会社が立ち行かなくなっては意味がない。制作会社がかなり苦しいというデータもありましたから、製作委員会に対してコストを今後どう転嫁していけるか。これらの点が今後の課題だと考えます。

講師:長澤哲也(弁護士・弁護士法人大江橋法律事務所パートナー)
主著として、『取引適正化法制の解説と分析』(商事法務、2026年)、『独禁法務の実践知〔第2版〕』(有斐閣、2024年)。文化庁 文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けた検討会議委員。
—JFPのアンケート調査結果に関して、労働経済学者の立場からはどう読みましたか?
神林龍(以下、神林):フリーランス法には大きく分けてふたつの目的があります。それは①公正な取引の実現(公正取引委員会的発想)②フリーランスの保護(厚生労働省的発想)。
二つは異なる発想であり、前者は「取引が公正でさえあれば、そこから出てくる報酬や就労時間は肯定すべきである」、後者は「公正な取引はいつまで経っても達成しないので、フリーランスの保護は報酬などの基準を直接決めてしまった方が良いのではないか」というもの。
芸術や映画の世界ではこういった車の両輪になるような形での法整備が遅れていて、フリーランス法ができたわけですが、そのフリーランス法の目的自体が一体どの辺にあるのか、じつはまだ厚生労働省と公正取引委員会の間でも一致しているわけではないというのが現状かと思います。
JFPの調査では、フリーランス法の施行前後でどういった変化が起きたのか尋ねています。私たちの経済学の世界では、データの変化に注目していて、フリーランス法が施行されることによって行動を変えた人たちがどの程度いるのかということが、ポイントになるのではないかと思います。
Q.契約書(または発注書)を結ぶ頻度はどれくらいか?
2023年 毎回結ぶ:29.25%(31) ほとんど結ばない:29.25%(31)
2024年11月頃から(フリーランス法施行後) 毎回結ぶ:42.45%(45) ほとんど結ばない:19.81%(21)
Q.仕事前に報酬額が提示されているか?
2023年 必ず提示される:12.26% (13)
2024年11月頃から 必ず提示される:20.75% (22)
Q.ハラスメント防止策および紛争解決手順は示されているか?
2023年 必ず提示される:8.49% (9)
2024年11月頃から 必ず提示される:19.81% (21)
神林:そして、重要なデータ、特に人々の生活に直撃するような労働時間や賃金などは常に複数の角度からデータを取ってきて確認する必要があるだろうと思います。

神林龍(労働経済学者・武蔵大学経済学部教授)
2000年東京大学大学院経済学研究科修了(博士(経済学))。東京都立大学助教授、スタンフォード大学経済学部客員研究員、OECDコンサルタント、一橋大学経済研究所教授などを経て現職。公正取引委員会競争政策研究センター「人材と競争政策に関する検討会」委員(2017年)。
長澤:さまざまな映画関係者から相談を受けていると「フリーランス法によってほとんど変わっていない」と感じている人が大半に思いますが、例外的に映適と外資系の仕事は明確に変わったということはよく聞きます。
なのでそれらが今後、業界全体の良い意味での起爆剤になるのではないかと期待しています。
神林:グローバル化するなかで、世界水準で労働条件を整備することが企業の評価基準になりつつある。特にジェンダーや人権に関するところ。なのでフリーランス法のような国内法などで適正な環境に変えていかなければ国際市場から弾かれてしまうというリスクがあることを映画業界は考えるべきだと思います。
長澤:実際、周りの同僚が外資系に引き抜かれ、日本映画を作る人の人口がさらに減っていってるという声も耳にします。まさに労働市場の需給バランスも崩れてるので、映画産業も対応せざるを得ないという状況です。
神林:そのときに、公正な契約の仕方、労働市場のあり方を示すことができれば、各制作会社が右往左往しなくて済む。賃金を上げて、とにかくいてくれと言えば、それでいい訳ではない。きちんとした仕事の流れやあり方はこうだと共通認識ができれば、そうそう引き抜かれるものではないので、そういったことを、きっちり認識しておくと良いと思います。
歌川:映画は文化領域でもあるので、多様であるということが価値基準の一つです。映画そのものの多様性が損なわれるような形で構造が変わっていくということに対しては、映画が好きでやってる人たちが多いので、すごく抵抗がある。
さまざまな課題もしっかりクリアしながら、映像の中身、そして制作者の多様性をどう確保し、広げていくか、すごく大事な議論だと思います。
さいごに
課題は多く残るも、フリーランス法や映適などの導入で日本の映画業界は徐々に変化しつつあります。ただし、大きく変えていくためには他国を参考にしながら、一人ひとりが正しく契約や働き方について学んでいくことも重要。JFPでは、そのためのオンライン講座やアンケート調査、調査資料作成などを行っています。他国の労働状況については記事での発信も行っていますので、下記参考サイトを契約を学ぶ一助にするのがおすすめです。
主催:文化庁(令和7年度「芸術家等実務研修会」)
事務局・企画・運営:一般社団法人Japanese Film Project
▼参考サイト
映画関係者のための契約レッスン – Japanese Film Project
※フランスのシンポジウムの記録動画リンク
※映適オンライン講座の記録動画リンク